定時株主総会で剰余金の配当を決議する際の議事録。会社法第454条に基づく配当財産の種類・総額・効力発生日の記載例と、分配可能額の確認手順を収録しています。

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株主総会議事録(剰余金の配当決議)

第1部: 書式本文

【会社名】は、【事業年度】の事業年度に係る定時株主総会を、【開催年月日】、本店所在地【本店所在地】において開催した。当日出席した株主の議決権数は、発行済株式に係る議決権総数【総議決権数】個のうち【出席議決権数】個であり、法令及び定款に定める定足数を充足していることを、議長【議長氏名】(代表取締役)が確認したうえで、開会を宣した。冒頭、議長は本総会の目的が計算書類の内容報告と、これに基づく剰余金の配当議案の審議にある旨を説明し、続いて第2号議案として次のとおり剰余金の配当に関する議案を上程した。

議長は、直前期の決算に基づく分配可能額が【分配可能額】円であること、及び本議案に係る配当総額がこの範囲内に収まっていることを説明資料に基づき説明した。続いて、出席株主から配当原資や次期以降の配当方針に関する質疑があり、議長及び担当取締役【担当取締役氏名】がこれに応答した。質疑終了後、議長が本議案の採決を諮ったところ、出席株主の議決権の【賛成割合】が賛成し、本議案は原案どおり可決された。可決された決議事項は次のとおりである。

第2号議案 剰余金の配当に関する件

  1. 配当財産の種類:【金銭/現物の別】
  2. 配当財産の帳簿価額の総額:金【配当総額】円
  3. 株主への割当てに関する事項及びその総額:普通株式1株につき金【1株当たり配当額】円とし、【基準日】現在の株主名簿に記載又は記録された株主に対し、その有する株式の数に応じて割り当てる
  4. 剰余金の配当がその効力を生ずる日:【効力発生日】
  5. 配当支払方法:【支払方法(振込先金融機関等)】

なお、当会社は本配当の実行にあたり、所得税法181条に基づき支払時に所得税及び復興特別所得税を源泉徴収する義務を負う旨を経理担当部署に確認させたうえで、源泉徴収後の金額を株主の指定口座に振り込む予定であることを議長が付言し、出席株主から了承を得た。あわせて、議長は本配当が定時株主総会における期末配当であり、事業年度の途中に行う中間配当(会社法454条5項)とは根拠条文及び決定機関が異なる旨を確認的に説明した。

議長は、以上の決議内容を確認し、株主に異議のないことを確かめたうえで、議事の一切が終了した旨を告げ、【終了時刻】閉会を宣した。本議事録の正確性を証するため、議長及び出席取締役は次に記名押印する。

【作成年月日】 【会社名】定時株主総会 議長・代表取締役 【氏名】 印 取締役 【氏名】 印

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節 取締役会設置会社(かつ会計監査人設置会社・監査役会設置会社等)で定款授権により取締役会決議で配当する場合

会社法459条1項は、会計監査人設置会社であり、かつ取締役会設置会社であり、かつ監査役会設置会社(又は監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社)であって、取締役の任期を1年以内とする旨を定款で定めている株式会社は、剰余金の配当を含む一定の事項を取締役会の決議によって定める旨を定款で定めることができる旨を規定する。この特則を用いる会社では、本書式の第1部は株主総会議事録ではなく取締役会議事録として構成し直す必要があり、本文中の「議長が採決を諮ったところ」以下の記載は次のように修正する。

修正条文例:「取締役会は、会社法459条1項及び当会社定款第【条数】条の定めに基づき、出席取締役の全員一致をもって、次のとおり剰余金の配当を決議した。」

一言解説: 定款に459条特則の定めがあるかどうかを商業登記簿又は現行定款で必ず確認したうえで機関を選択する必要がある。なお、この特則を採用する会社では期中の配当回数に法令上の上限はなく、取締役会は事業年度中に複数回にわたり剰余金の配当を決議することができる点が、年1回の定時株主総会決議に依拠する会社との実務上の大きな相違点となる。

B節 取締役会非設置会社が定時株主総会で配当を決議する場合

取締役会を置かない会社では459条特則を利用できないため、剰余金の配当は常に株主総会の決議事項となる。定足数・決議要件についても、公開会社でない会社では定款で定足数を緩和している例が多く、第1部の冒頭部分を次のように修正する。

修正条文例:「本総会は、当会社が取締役会を設置していないため、会社法309条1項に定める普通決議の要件(定款第【条数】条の別段の定めを含む)に従い、出席株主の議決権の過半数をもって本議案を可決した。」

一言解説: 取締役会非設置会社では取締役の業務執行の決定プロセスが異なるため、配当議案の提案主体(代表取締役か取締役の過半数の決定か)を第1部の前文に明記しておくと後日の議事録審査で疑義が生じにくい。また、取締役会非設置会社であっても定款に中間配当(454条5項)の定めを置くこと自体は可能であるが、その場合であっても中間配当の決定機関は取締役の決定によることとされており、本書式(定時株主総会決議)とは別に中間配当専用の書式を用意しておく必要がある。

第3部: 書き方と法的ポイントの解説

本書式は、株式会社が定時株主総会(又は臨時株主総会)において剰余金の配当を決議する場面で使用することを想定している。前述のとおり、会社法459条の要件を満たし、かつ定款に取締役会決議による配当を認める定めがある会社では、本書式をそのまま株主総会議事録として用いることはできず、取締役会議事録の書式に置き換える必要がある点に注意を要する。

根拠法令としては、配当議案の決議事項を定める会社法454条1項(配当財産の種類、帳簿価額の総額、株主への割当てに関する事項、効力発生日)、株主の有する株式の数に応じた割当てを原則とする453条(株主平等の原則)、配当は分配可能額を超えてはならないとする461条(超過した場合、業務執行者及び受領した株主は会社に対し金銭支払義務を負う)、そして純資産額が300万円を下回る場合は配当をすることができないとする458条が中心となる。あわせて、剰余金の配当は定時株主総会に限らず、事業年度中であれば臨時株主総会を随時招集して決議することも妨げられない点(459条特則を用いない限り、取締役会決議のみによる期中配当はできない点)にも留意されたい。

実務上よくある失敗として、第一に分配可能額の算定を誤り461条の規制に抵触する配当を決議してしまう例がある。これを防ぐため、第1部の決議文言に「分配可能額の範囲内であることを確認した」旨の説明段落を残し、算定根拠資料を議事録に添付する運用が望ましい。第二に、種類株式を発行している会社で株主平等原則(453条)の適用単位を誤り、種類ごとの配当額の差異について定款上の根拠を示さないまま決議してしまう例がある。この場合は第1部の割当条項に配当する株式の種類を明示し、定款の該当条項を引用する必要がある。第三に、効力発生日を定めずに「速やかに支払う」といった曖昧な記載にとどめてしまう例があり、454条1項3号の要求する記載として効力発生日は必須である。

また、第四によくある失敗として、源泉徴収義務(所得税法181条)の存在を失念し、配当金の全額を控除なしに株主へ支払ってしまう例が挙げられる。配当支払実務のフローに源泉徴収税額の計算・控除・納付というステップをあらかじめ組み込み、経理担当者と決議内容を共有しておくことが有効な対策となる。

なお、配当決議の適法性(分配可能額の算定の当否、税務上の取扱いを含む)は会社の財務状況や資本構成によって個別性が高いため、本書式を利用する場合であっても、個別事案は専門家に確認のうえで最終的な議案内容を確定することを強く推奨する。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 直前期の計算書類が株主総会で承認済み、又は会計監査人設置会社等で計算書類確定の特則要件を満たしているか確認したか
  • [ ] 分配可能額を461条の算定方法に従って計算し、配当総額がその範囲内に収まっているか確認したか
  • [ ] 純資産額が300万円を下回っていないか(458条)確認したか
  • [ ] 配当財産の種類(金銭か現物か)を決議事項として明記したか
  • [ ] 1株当たり配当額及び基準日を明記し、株主平等原則(453条)に沿った割当てとなっているか確認したか
  • [ ] 効力発生日を具体的な年月日で記載したか
  • [ ] 定款に会社法459条特則の定めがあるかを確認し、取締役会決議で足りるか株主総会決議が必要かを判定したか
  • [ ] 種類株式発行会社の場合、配当する株式の種類ごとの取扱いを定款・種類株主総会の要否とあわせて確認したか
  • [ ] 出席取締役・監査役の記名押印欄を実態に合わせて調整したか
  • [ ] 議事録の保存期間・備置義務(会社法318条)への対応を確認したか