既存株主へ持株比率に応じて新株を割り当てる増資の議事録。会社法第202条の株主割当ての決議事項と申込期日、割当てを受ける権利の通知期限までを網羅した書式です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
株主総会議事録(募集株式の発行(株主割当))
第1部: 書式本文
【株式会社〇〇】は、既存株主の持株比率をできる限り維持しながら増資による資金調達を行う方針を採用し、その方法として株主割当てによる募集株式の発行を選択した。これを受け、【西暦】年【月】月【日】日午前【時】時、本店所在地【所在地】において臨時株主総会が開催された。開会に先立ち、出席株主の議決権数を集計したところ、発行済株式総数に係る議決権総数【数】個のうち出席株主(委任状出席を含む。)の議決権数は【数】個であり、定款所定の定足数を満たすことが確認されたため、あらかじめ選定されていた議長【氏名】(代表取締役)が議事を進行した。
議長は、株主割当てによる募集株式の発行にあたっては、募集事項に加え、株主に株式の割当てを受ける権利を与える旨及び申込期日を定める必要がある旨を説明し、第1号議案「株主割当てによる募集株式発行の件」を上程した。
議案の内容は次のとおりである。
1 募集株式の数 【種類】株式【数】株 2 募集株式の払込金額 1株につき金【金額】円 3 払込期日 【西暦】年【月】月【日】日 4 株主に対し、その有する株式の数に応じて募集株式の割当てを受ける権利を与える旨、及びその割当てにより各株主が割当てを受ける株式の数は、当該株主が有する株式【数】株につき募集株式【数】株の割合とする旨 5 申込期日 【西暦】年【月】月【日】日 6 増加する資本金の額 金【金額】円、増加する資本準備金の額 金【金額】円
議長は、申込期日については各株主に対し当該期日の2週間前までに通知を行う予定である旨を付言した。あわせて、通知には、割当てを受ける株式の数、払込金額、払込期日及び申込期日を記載した書面を用い、申込みをしない株主については当該株主の割当てを受ける権利が申込期日の経過をもって消滅する旨も明記する予定であることを説明した。
議長はまた、本募集株式の発行により増加する資本金の額を金【金額】円、増加する資本準備金の額を金【金額】円とする見込みであり、調達する資金は【資金使途、例:運転資金】に充当する計画であることを説明した。
議長が本議案の採否を諮ったところ、出席株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって、原案どおり可決された旨を宣言した。議長は、申込期日までに申込みのない株主については、その割当てを受ける権利が消滅し、当該株主に割り当てられるはずであった株式の取扱いは、別途取締役会において決定する旨をあわせて説明した。
議長は、通知の発送を【西暦】年【月】月【日】日までに完了させることで、申込期日である【西暦】年【月】月【日】日との間に会社法第202条第4項の定める2週間の期間を確保できる見込みであることを、担当取締役【氏名】の報告に基づき確認した。
これにより本総会の目的たる事項の審議がすべて終了したため、議長は閉会を宣した。
本議事録の内容を証するため、議長及び出席取締役は次のとおり記名押印(電子署名を含む)する。
【西暦】年【月】月【日】日 【株式会社〇〇】臨時株主総会 議長・代表取締役 【氏名】 印 出席取締役 【氏名】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 非公開会社が特別決議で決定する場合
株主割当てによる募集事項の決定は、非公開会社においては原則として株主総会の特別決議による(会社法第202条第3項第4号)。ただし、定款に別段の定めがある場合には取締役会(取締役会非設置会社では取締役)の決定で足りるとされている。
修正条文例: 「当会社の定款第【条】条には、株主割当てによる募集株式の発行に関する事項を取締役会の決議によって定めることができる旨の定めがあるため、本募集事項は既に取締役会において決定済みであることを議長が報告した。」
一言解説: 定款に別段の定めがある会社では株主総会決議自体が不要となるため、まず定款の規定を確認し、本書式を使用すべき場面かどうかを見極める必要がある。定款に定めがない場合でも、機動的な増資を目的として今後同様の定めを設けることを検討する余地がある。
B節: 登記申請用として作成する場合
株主割当てにより資本金の額が増加する場合、変更登記の添付書類として本議事録を用いることになる。
修正条文例: 「本募集株式の発行により増加する資本金の額は金【金額】円、増加する資本準備金の額は金【金額】円とし、払込期日である【西暦】年【月】月【日】日をもって効力を生じるものとする。」
一言解説: 登記申請では払込みがあったことを証する書面(払込みを取り扱った金融機関の残高証明書等)と本議事録を併せて提出するため、払込期日と資本金等の額の記載を一致させておくことが重要である。株主割当ての場合、申込みをしなかった株主が生じることにより実際の払込総額が当初想定額を下回ることがあるため、登記申請時には最終的な払込確定額に基づき資本金等の額を再確認する必要がある。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、非公開会社が既存株主全員に対して持株数に応じた割当てを受ける権利を与える、いわゆる株主割当ての方法により募集株式を発行する場合の株主総会議事録として使用することを想定している。特定の第三者にのみ株式を割り当てる第三者割当ての場合や、公開会社が株主割当てを行う場合(取締役会決議で足りることが多い)には、決議事項及び決定機関が異なるため、本書式をそのまま使用するべきではない。株主の一部が持株比率に応じた出資を継続できない事情がある場合には、株主割当てではなく第三者割当てその他の方法を検討する余地がある点もあわせて留意されたい。
根拠法令としては、株主割当てにおける募集事項の内容を定める会社法第202条第1項、非公開会社における株主総会特別決議を定める同条第3項(定款に別段の定めがある場合や公開会社の場合の例外を含む)、及び申込期日の2週間前までに株主へ通知しなければならない旨を定める同条第4項が中心となる。株主割当てにより募集株式の引受けの申込みをした株主は、申込期日において当然に募集株式の割当てを受けたものとみなされる(同条第2項)ため、第三者割当てのように別途割当ての通知を要しない点も、第三者割当てとの実務上の相違点として押さえておくとよい。
実務上よくある失敗としては、第一に、申込期日の通知を2週間前までに行わず、株主の権利行使の機会が実質的に奪われた状態で手続を進めてしまう例が挙げられる。対策として、通知発送日と申込期日の間隔を議事録又は添付書類上で明示し、期間計算の根拠を残しておくことが有効である。第二に、定款に別段の定めがあるにもかかわらず株主総会決議を重ねて行い、手続が重複・混乱する例がある。対策として、決議前に定款の該当条項を確認し、決定機関を正しく選択することが望ましい。第三に、割当てを受ける権利の内容(持株数に応じた割合)を具体的な数値で示さず、後日株主間で割当株式数の解釈に争いが生じる例もあるため、割当比率を明確な数式又は具体例で記載することが望ましい。
このほか、株主割当てでは既存株主全員に申込みの機会が与えられるものの、資金力の乏しい株主が申込みを見送ることで結果的に持株比率が変動する場合があり得るため、株主への説明においてはこの点も含めた丁寧な情報提供を行うことが望ましい。また、端株や単元未満株式が生じる割当比率を設定すると、割当計算が複雑化し株主からの問い合わせが増える傾向があるため、可能な限り整数比になる割当比率を選択することも実務上の工夫の一つである。
株主割当ての方法選択及び通知期間の計算が適切であるかは会社の株主構成によって異なり得るため、個別事案については専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 発行会社が非公開会社であり、定款に別段の定めがないことを確認したか
- [ ] 募集株式の数を明記したか
- [ ] 払込金額又はその算定方法を明記したか
- [ ] 払込期日を明記したか
- [ ] 株主に割当てを受ける権利を与える旨を明記したか
- [ ] 各株主の割当株式数の算定基準(持株比率)を明記したか
- [ ] 申込期日を明記したか
- [ ] 申込期日の2週間前までの通知スケジュールを確認したか
- [ ] 増加する資本金及び資本準備金の額を記載したか
- [ ] 特別決議の定足数及び可決要件を確認したか
- [ ] 登記申請に必要な添付書類(払込証明書等)との整合性を確認したか
- [ ] 個別事案について専門家へ確認する予定があるか