持株会社を設立する株式移転計画の承認議事録。会社法第804条の特別決議と第806条の反対株主の買取請求、新株予約権者への通知や設立登記の添付書類を案内します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
株主総会議事録(株式移転計画の承認の件)
第1部: 書式本文
株主総会議事録
- 会社名: 【株式会社◯◯】(以下「当社」という。)
- 開催日時: 【西暦】年【月】日【午前・午後】【時】分
- 開催場所: 【本店所在地又は開催場所】
- 株主総数、発行済株式総数及び議決権総数: 株主総数【◯名】、発行済株式総数【◯株】、議決権を行使できる株主の議決権総数【◯個】
- 出席株主数及び議決権数: 出席株主数【◯名】(委任状による出席【◯名】を含む)、議決権数【◯個】(議決権総数の【◯】%に相当し、定足数を充足)
- 出席役員: 取締役【◯名】中【◯名】、監査役【◯名】中【◯名】出席
- 議長: 定款の定めに基づき、代表取締役社長【氏名】が議長に就任した。
- 開会: 議長は、上記のとおり定足数を充足していることを確認し、【時】分開会を宣言した。
第1号議案 株式移転計画承認の件
議長は、当社が単独株式移転(会社法第772条第1項)の方法により完全親会社となる持株会社【株式会社◯◯ホールディングス】を設立するため、【西暦】年【月】日開催の取締役会において承認された株式移転計画(以下「本計画」という。)の内容を説明した。
議案上程(会社法第773条記載事項): 1. 設立する完全親会社の商号: 【株式会社◯◯ホールディングス】 2. 設立する完全親会社の目的、本店所在地及び発行可能株式総数: 本計画添付のとおり 3. 完全親会社が当社株主に対して交付する株式の数及び割当てに関する事項(株式移転比率): 当社普通株式【◯】株につき完全親会社株式【◯】株を割り当てる 4. 完全親会社の資本金及び準備金に関する事項: 本計画添付のとおり 5. 新株予約権の交付に関する事項(該当する場合): 本計画添付のとおり 6. 効力発生日(設立登記の予定日): 【西暦】年【月】日
議長は、本計画の内容及び株式移転比率の算定根拠(算定機関【◯◯】作成の株式移転比率算定書、写しを本議事録末尾に添付)を説明の上、本議案の採否を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の3分の2以上に当たる賛成をもって、原案どおり承認可決された(会社法第309条第2項第12号、第804条第1項)。
決議事項確認: 1. 定足数(議決権を行使できる株主の議決権の過半数)を充足していることを確認した。 2. 賛成議決権数【◯個】は出席株主の議決権数の3分の2以上に該当することを確認した。 3. 反対株主の株式買取請求(会社法第806条)に関する通知・公告を効力発生日の20日前までに行う旨を確認した。 4. 新株予約権者に対する買取請求(会社法第808条)の通知・公告の要否を確認した。
議長は、以上をもって本日の議事全部が終了した旨を述べ、【時】分閉会を宣言した。
上記の議事の経過及び結果を明確にするため、本議事録を作成し、議長及び出席取締役がこれに記名押印する。
【西暦】年【月】日 【株式会社◯◯】
議長・代表取締役 【氏名】 印 出席取締役 【氏名】 印 出席取締役 【氏名】 印 出席監査役 【氏名】 印
添付書類: 株式移転計画書、株式移転比率算定書
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 持株会社化(単独株式移転)を行う場合
修正後の文例:
本株式移転は、当社を株式移転完全子会社とし、新たに設立する【株式会社◯◯ホールディングス】を株式移転完全親会社とする単独株式移転(会社法第772条第1項)であり、他に株式移転完全子会社となる会社はない。当社は本計画の効力発生日をもって、完全親会社の完全子会社となる。
一言解説: 単独株式移転か共同株式移転(複数会社が共同で1つの持株会社を設立する方式)かによって計画記載事項(会社法第773条)や関係当事会社の議事録の要否が変わる。共同株式移転の場合は各社ごとに同様の株主総会決議が必要となる旨を付記する。
B. 特別決議の成立要件を厳格に記録する場合
修正後の文例:
議長は、本議案が会社法第309条第2項第12号の定める特別決議事項であることを述べた上、定款第【◯】条により定足数を議決権総数の3分の1以上と定めている旨を確認し、出席株主の議決権数【◯個】(議決権総数の【◯】%)及び賛成議決権数【◯個】(出席議決権数の【◯】%)を明示して採決を行った。
一言解説: 特別決議は定足数(原則過半数、定款で3分の1まで軽減可能)と賛成割合(出席議決権の3分の2以上)の双方を満たす必要があるため、後日効力を争われないよう両者の数値を議事録に明記する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、株式会社が単独株式移転により持株会社を新設し、既存事業会社を完全子会社化する場合の株主総会議事録である。共同株式移転で複数会社が同一の持株会社の傘下に入る場合にも基本構成は流用できるが、各社ごとに議事録及び計画記載事項(会社法第773条)を作成する必要がある。単なる子会社の増資や株式交換による完全子会社化には用いない。
根拠法令は、株式移転計画の作成に関する会社法第772条、計画の記載事項を定める第773条、株主総会の特別決議を要求する第804条第1項(会社法第309条第2項第12号)である。株式移転は完全親会社を新設する組織再編であるため、事業譲渡(会社法第468条)や吸収合併に見られるような簡易手続(会社法第805条に相当する軽微基準)は適用対象が限定的であり、原則として特別決議を省略できない点に注意する。反対株主の株式買取請求権については第806条が規定し、効力発生日の20日前から前日までの間に請求することができるため、会社は効力発生日の20日前までに株主に対し株式移転をする旨等を通知又は公告しなければならない。新株予約権を発行している場合は第808条により新株予約権者にも買取請求権が認められる。効力発生後は第925条に基づき、完全親会社の設立登記及び完全子会社側の変更登記を行う。
実務でよくある失敗として、第一に、株式移転比率(割当比率)の算定根拠となる第三者算定機関の算定書やディスカウント・キャッシュフロー法等の計算資料を議事録に添付せず、後日株主から比率の合理性を争われた際に説明責任を果たせないケースがある。算定書の写しを議事録の附属書類として保管し、議事録本文でも算定機関名と算定手法を明記することが望ましい。第二に、新株予約権付社債権者や新株予約権者に対する通知・公告(会社法第808条等)を失念し、買取請求権の行使機会を実質的に奪ってしまう失敗がある。新株予約権の発行状況を事前に棚卸しし、通知対象者リストを議事録作成と並行して整備する必要がある。第三に、反対株主の買取請求期間の起算日、すなわち効力発生日の20日前の日を誤って計算し、通知が遅延した結果、買取請求手続そのものの有効性が争われるリスクがある。効力発生日を確定した時点でカレンダー上の起算日を逆算し、社内スケジュール表に明記して二重チェックする体制が求められる。
個別の事案については、株式移転比率の妥当性、税務上の適格要件、上場会社における適時開示の要否などを含め、弁護士・公認会計士等の専門家に個別に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 単独株式移転か共同株式移転かを明確にし、計画記載事項(会社法第773条)を確認したか
- [ ] 株式移転計画が取締役会で承認され、株主総会招集通知に議案として記載されているか
- [ ] 特別決議の定足数及び賛成割合(会社法第309条第2項)を満たしているか
- [ ] 株式移転比率の算定根拠資料(算定書等)を議事録に添付又は保管したか
- [ ] 反対株主の株式買取請求に関する通知・公告(会社法第806条)を効力発生日の20日前までに行ったか
- [ ] 新株予約権者・新株予約権付社債権者への通知・公告(会社法第808条)の要否を確認したか
- [ ] 効力発生日(設立登記予定日)が計画書と議事録で一致しているか
- [ ] 設立登記(会社法第925条)に必要な添付書類一式を整えたか
- [ ] 議長及び出席取締役の記名押印が漏れなく行われているか
- [ ] 個別事案の法的リスクについて弁護士等の専門家に確認したか