完全親子会社関係を創設する株式交換契約の承認議事録。会社法第783条・第795条の特別決議に加え、対価の相当性の説明と反対株主の株式買取請求への対応を含みます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
株式交換契約の承認に関する株主総会議事録
第1部: 書式本文
株式交換とは、ある会社(完全子会社となる会社)の発行済株式の全部を、他の会社(完全親会社となる会社)に取得させることにより、両者の間に完全親子会社関係を成立させる組織再編行為である(会社法第767条)。本件では、株式会社【完全子会社名】(以下「甲会社」という。)を完全子会社、株式会社【完全親会社名】(以下「乙会社」という。)を完全親会社として、甲会社の株主が保有する甲会社株式の全部を乙会社に取得させ、その対価として乙会社株式【割当株式数】株等を交付する株式交換契約が、両会社間で令和【年】年【月】月【日】日付で締結されている。本議事録は、甲会社(完全子会社となる会社)における株主総会での承認決議を記録するものである。
議長【議長氏名】は、第【号】号議案「株式交換契約承認の件」を上程し、本契約の主要な内容として、①乙会社が甲会社の発行済株式の全部を取得すること、②甲会社の株主に交付する対価が乙会社株式【割当株式数】株(甲会社株式1株につき乙会社株式【交換比率】株の割合)であること、③効力発生日(【効力発生日】)を説明した。議長は、本議案が会社法第783条第1項及び第309条第2項第12号に定める特別決議事項である旨を確認し、出席株主の議決権数の集計結果を報告した。
財務担当取締役【氏名】より、本件株式交換における対価の相当性について、甲会社及び乙会社それぞれの企業価値評価に基づき交換比率が算定された経緯が説明され、外部専門家による算定書の内容が紹介された。議長は、対価の相当性に関する取締役の説明義務(会社法第782条関連)を踏まえ、算定の前提条件及び妥当性について質疑応答の時間を設けた。
法務担当取締役【氏名】より、本件株式交換に反対する甲会社の株主は、会社法第785条の定めるところにより、甲会社に対し自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求できる旨、及びその行使期限について説明がなされた。株式交換は組織再編行為ではあるが、原則として甲会社・乙会社いずれにおいても債権者異議手続を要しない(会社に対する債権者の請求権に変動が生じないため)類型である旨、あわせて確認された。
監査役【氏名】は、対価として交付される乙会社株式の評価根拠及び交換比率算定の手続について監査した結果、算定方法に不合理な点は認められない旨を発言した。議長はさらに、本総会に先立ち、株式交換契約の内容、対価の相当性に関する事項その他会社法施行規則に定める事項を記載した事前開示書面を甲会社の本店に備え置き、株主の閲覧に供している旨を確認した。
なお、乙会社の発行済株式のうち一定割合を甲会社の既存株主が引き続き保有することとなる設計ではなく、甲会社株式の全部が乙会社に移転する完全親子会社化である点について、議長より重ねて説明がなされ、出席株主から質疑がないことが確認された。
審議の後、議長が採決を諮ったところ、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が得られたことが確認され、第【号】号議案は原案どおり承認可決された旨が宣言された。
本議事録は、株式交換契約の内容及び決議の経過を正確に記録するため作成し、議長及び出席取締役がこれに記名押印する。
【作成日】 株式会社【完全子会社名】 議長・代表取締役 【氏名】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 完全子会社となる会社の議事録として記載する場合
「当会社(甲会社)の株主は、本株式交換の効力発生日をもって、その保有する当会社株式の全部を乙会社に取得させ、これと引換えに乙会社株式の割当てを受ける。当会社は、株式交換の効力発生日以降、乙会社の完全子会社となる。」 一言解説: 完全子会社側の議事録では、株主が保有株式を失い対価として親会社株式等を取得する旨を明確に記載し、少数株主保護の観点から株式買取請求権の案内を欠かさないことが重要である。
B節: 完全親会社となる会社の議事録として記載する場合
「当会社(乙会社)は、甲会社の発行済株式の全部を取得し、その対価として当会社の株式【割当株式数】株を甲会社の株主に交付する。本件は会社法第795条第1項の特別決議事項であるが、簡易株式交換(会社法第796条第2項)の要件を満たす場合には、当会社における株主総会決議を省略することができる。」 一言解説: 完全親会社側では、交付する対価の額が当会社の純資産額の5分の1以下である等の簡易株式交換の要件を満たすかどうかにより、株主総会決議の要否が変わるため、該当性の判断根拠を記載しておくことが望ましい。
参考: 対価が金銭である場合の記載例
「当会社(乙会社)は、甲会社の発行済株式の全部を取得し、その対価として甲会社の株主に金銭【金額】円を交付する。当会社の株式の発行は行わない。」 一言解説: 対価を金銭のみとする株式交換(いわゆるキャッシュアウト型)では、甲会社の株主は乙会社の株主とはならず、金銭を受領して株主の地位を失う。この場合、対価の相当性がより厳格に問われる傾向があるため、算定書の内容を丁寧に説明する必要がある。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、既存の2社の間で完全親子会社関係を作出する場面で使用する。新たに会社を設立して完全親会社とする場合(株式移転)や、事業そのものを他社に承継させる場合(会社分割)には、適用条文及び手続の構造が異なるため、本書式をそのまま用いてはならない。
根拠法令は、会社法第767条(株式交換契約の締結)、第783条第1項及び第795条第1項(両当事会社の株主総会特別決議、第309条第2項第12号)、第785条及び第797条(反対株主の株式買取請求権)、第796条(簡易株式交換の要件)である。株式交換は会社の財産構成そのものには変動を生じさせないため、原則として債権者異議手続は不要であるが、対価が株式以外(金銭等)である場合や、譲渡制限株式を対価とする場合など、一定の類型では債権者異議手続が必要となることがある点には注意を要する。
実務でよくある失敗として、第一に、対価の相当性に関する取締役の説明義務を形式的にしか履行せず、算定根拠の開示が不十分なまま決議に至るケースがある。外部専門家による算定書を活用し、質疑応答の記録を議事録に残すことが対策となる。第二に、簡易株式交換の要件を満たすと誤認し、完全親会社側の株主総会決議を省略してしまう例がある。純資産額の算定基準日を明確にし、要件充足を慎重に確認する必要がある。第三に、対価の内容によっては金融商品取引法上の開示規制(有価証券届出書等)が別途問題となる場合があるにもかかわらず、これを見落とす例がある。
なお、対価の相当性、簡易株式交換の該当性及び金融商品取引法上の規制の要否は個別の資本関係・対価内容により異なるため、個別事案は専門家に確認のうえ手続を進める必要がある。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 株式交換契約の内容(対価・交換比率・効力発生日)を具体的に記載したか
- [ ] 完全子会社側の特別決議要件(会社法第783条第1項)を満たしたか
- [ ] 完全親会社側の特別決議要件(会社法第795条第1項)を満たしたか
- [ ] 簡易株式交換(会社法第796条第2項)の該当性を検討したか
- [ ] 対価の相当性に関する取締役の説明及び算定書の準備を行ったか
- [ ] 反対株主の株式買取請求権(会社法第785条・第797条)の案内を行ったか
- [ ] 債権者異議手続の要否(対価の内容による)を確認したか
- [ ] 金融商品取引法上の開示規制の適用有無を確認したか
- [ ] 事前開示書面の備置及び株主・債権者への閲覧提供を行ったか
- [ ] 議長及び出席取締役の記名押印欄を設けたか
- [ ] 対価が株式か金銭かにより説明義務の程度に差が生じることを踏まえたか
- [ ] 甲会社株主が乙会社の株主となるか対価受領のみで地位を失うかを明記したか