会計監査人を選任する株主総会の議事録。会社法第329条の選任決議と第396条の権限、第337条の資格要件に触れ、就任承諾書や資格証明書の添付書類も案内します。

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会計監査人選任 株主総会議事録

第1部: 書式本文

― 会社名称: 【株式会社〇〇】 ― 本店: 【〇〇県〇〇市〇〇】 ― 日時: 【20〇〇年〇月〇日午前・午後〇時〇〇分】 ― 場所: 【本店会議室】 ― 総株主の議決権の数: 【〇〇個】 ― 出席株主の議決権の数(書面・委任状による行使を含む): 【〇〇個】

定時株主総会は法定の定足数を満たす株主の出席を得て適法に成立し、議長である代表取締役【氏名】は開会を宣した後、本総会に付議する議案のうち、会計監査人の選任に関する議案の審議に入る旨を告げた。

議長は、当会社の資本金及び負債の額が会社法上の大会社の基準に該当することとなり、会計監査人の設置が義務付けられることとなったため、下記の者を会計監査人として選任したい旨を説明し、議案を上程した。

第【〇】号議案 会計監査人選任の件

議長は、会計監査人候補者として次の者を推薦する旨を述べた。

「候補者: 【監査法人〇〇 又は 公認会計士〇〇】 事務所所在地: 【所在地】 選任理由: 候補者は公認会計士法上の資格を有し、【業界名】業界における監査実績が豊富であり、当会社の事業内容及び規模に照らして適任と認められる。 任期: 就任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで。 報酬等の決定方法: 監査役【会・全員】の同意を得たうえで取締役会において定める。」

議長は、候補者が会社法337条1項の定める資格(公認会計士又は監査法人であること)を有していること、及び会社法337条3項各号に定める欠格事由に該当しないことを、候補者から提出された資格証明書及び誓約書により確認した旨を報告した。

議長がこの議案の内容及び選任理由について説明し、出席株主からの質疑に応じたところ、格別の異議は述べられなかった。議長がこの議案の可否を諮ったところ、出席株主の議決権の過半数の賛成を得たので、議長は本議案が原案どおり承認可決された旨を宣言した。

議長は、選任された会計監査人は、会社法396条に基づき、当会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査する権限を有し、会計帳簿及び関連資料の閲覧謄写を求めることができる旨を確認した。あわせて、選任後速やかに就任承諾書を徴求し、監査契約を締結する予定である旨を報告した。

出席株主の一人から、会計監査人の交代が事業運営に与える影響及び監査費用の水準についての質問があり、議長は、候補者は複数の同業他社の監査実績を有しており、報酬水準についても既存の監査法人と大きく乖離しない見込みである旨を回答した。また、議長は、会計監査人選任後、監査役会において監査計画の説明を受ける機会を設ける予定である旨を補足した。

本総会に付議すべき事項の審議を終えたので、議長は閉会を宣した。

上記の議事の経過の要領及び結果を明確にするため、この議事録を作成し、議長及び出席取締役が次に記名押印する。

【20〇〇年〇月〇日】 【株式会社〇〇】定時株主総会 議長・代表取締役 【氏名】 印 出席取締役 【氏名】 印

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 大会社として会計監査人設置が義務付けられる場面

修正後の文例:

議長は、当会社の直近事業年度に係る貸借対照表上の資本金の額が5億円以上又は負債の額が200億円以上に該当し、会社法上の大会社に当たることを確認し、会社法328条により会計監査人の設置が義務付けられることを説明したうえで、本議案を上程する旨を述べた。

一言解説: 会社法328条は大会社に会計監査人の設置を義務付けており、公開会社である大会社では監査役会等との組み合わせも問題となるため、当会社がどの類型の大会社に該当するかを議事録上で確認し、設置義務の根拠を明示しておくと後日の確認が容易になる。

B. 変更登記の添付書類として用いる場面

修正後の文例:

議長は、選任された会計監査人につき、就任承諾書及び資格を証する書面(登録番号を記載した公認会計士登録証明書又は監査法人の登記事項証明書)の提出を受けたことを確認し、これらの書面とあわせて本議事録を変更登記の添付書類とする旨を宣言した。

一言解説: 会計監査人の就任による変更登記では、選任決議を証する株主総会議事録に加え、就任承諾書及び資格を証する書面の添付が求められるため、議事録上で候補者の資格確認の経緯を記載しておくと添付書類間の整合性が取りやすい。

第3部: 書き方と法的ポイントの解説

本書式は、株主総会において会計監査人を選任する場面、特に大会社に該当することとなり会計監査人の設置が新たに義務付けられる場面や、任期満了に伴い会計監査人を改選する場面で用いる。会計監査人を解任する場合や、監査役会等が会計監査人を解任する場合(会社法340条)には、決議事項及び手続主体が異なるため本書式をそのまま用いることはできない。また、会計監査人が任期満了前に辞任し、後任を緊急に選任する必要がある場合には、一時会計監査人の選任(会社法346条4項)という別制度によることになるため、本書式の議案構成をそのまま転用すべきではない。

根拠法令は、会社法329条1項(会計監査人は株主総会の普通決議によって選任すること)、会社法337条(会計監査人の資格は公認会計士又は監査法人であることを要すること)、会社法396条(会計監査人の権限として計算書類等の監査及び会計帳簿等の閲覧謄写権を有すること)、会社法328条(大会社は会計監査人の設置が義務付けられ、公開会社である大会社では監査役会等との組み合わせが問題となること)である。

実務でよくある失敗の一つ目は、会計監査人候補者が公認会計士又は監査法人の資格を有することの確認を怠り、資格証明書を徴求しないまま選任決議をしてしまうことである。会社法337条1項の資格要件を欠く者を選任しても効力を有しないため、対策として、本文に資格証明書による確認の経緯を明記している。

二つ目の失敗は、会計監査人の報酬等の決定手続を誤り、監査役の同意を得ずに取締役会限りで決定してしまうことである。会社法399条1項は、会計監査人の報酬等の決定には監査役(監査役が複数の場合はその過半数、監査役会設置会社では監査役会)の同意を要する旨を定めているため、本文の報酬決定方法においてもその手順を明示している。

三つ目の失敗は、会計監査人の任期の起算点や満了時期を誤って記載し、次期定時株主総会での改選手続を失念することである。会計監査人の任期は選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされ、当該定時株主総会で別段の決議がなされない限り再任されたものとみなされる。

四つ目の失敗は、監査役設置会社かつ大会社である公開会社において、機関設計の組み合わせを誤認し、会計監査人の設置と監査役会の設置がいずれも必須であることを見落とすことである。会社法328条1項は、公開会社である大会社について監査役会及び会計監査人の設置を義務付けているため、会計監査人選任の議案とあわせて監査役会の設置状況も確認しておく必要がある。会計監査人の資格確認及び報酬決定の適法性判断には専門的な検討を要するため、個別事案は専門家に確認のうえで手続を進めることが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 会社法328条に基づき大会社に該当するかどうかを確認したか
  • [ ] 候補者が公認会計士又は監査法人であることを資格証明書で確認したか
  • [ ] 候補者に会社法337条3項の欠格事由がないか確認したか
  • [ ] 選任は普通決議(会社法329条1項)であり特別決議ではないことを確認したか
  • [ ] 会計監査人の任期(選任後1年以内の定時株主総会終結時まで)を正しく記載したか
  • [ ] 報酬等の決定について監査役(会)の同意を得る手続を予定しているか
  • [ ] 就任承諾書の取得予定を確認したか
  • [ ] 会計監査人の権限(会社法396条)について社内での説明を行ったか
  • [ ] 変更登記に必要な添付書類(資格証明書等)を準備したか
  • [ ] 監査契約の締結時期及び監査報酬の水準を確認したか