監査役を置く旨の定款規定を廃止する際の議事録。会社法第326条第2項の機関設計と第336条第4項の任期満了に触れ、廃止に伴う退任登記の申請手順まで整理しました。
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監査役設置会社の定め廃止 株主総会議事録
第1部: 書式本文
― 商号: 【株式会社〇〇】 ― 本店所在地: 【〇〇県〇〇市〇〇】 ― 開催日時: 【20〇〇年〇月〇日午前・午後〇時〇〇分】 ― 開催場所: 【本店会議室】 ― 株主及び議決権の総数: 【株主〇〇名、議決権〇〇個】 ― 出席株主及び議決権数: 【〇〇名、議決権〇〇個(委任状出席を含む)】
株主〇〇名の出席を得て本総会は適法に成立したので、あらかじめ選任された議長【氏名】は、その旨を述べたうえで議事に入る旨を宣した。議長は、本日の議題が、当会社を監査役設置会社とする旨の定款の定めを廃止することについての承認を求めるものであることを説明した。
議長は、当会社が非公開会社であり取締役会を設置していないこと、事業規模及び株主構成に照らし、監査役による監査機能を維持する必要性が乏しくなったこと、監査役の選任・改選等に伴う実務負担を軽減する趣旨から、監査役設置会社の定めを廃止したい旨を述べ、下記議案を上程した。
第1号議案 定款一部変更(監査役設置会社の定め廃止)の件
現行定款第【〇】条を削除する。 「(現行)当会社は監査役を置く。」
上記削除に伴い、以下の条項を削除する。 現行定款第【〇】条(監査役の員数)、第【〇】条(監査役の選任)、第【〇】条(監査役の任期)、第【〇】条(監査役の報酬等)
議長は、本議案が可決され効力を生じた場合、当会社は監査役を置かない会社となり、現任監査役【氏名】は会社法336条4項4号により本定款変更の効力発生と同時に任期満了により退任することになる旨を説明し、退任後の書類の引継ぎ及び退任登記の準備を進める予定である旨を報告した。
議長がこの議案の必要性及び監査役【氏名】の退任の取扱いについて説明し、質疑に応じたところ、出席株主から異論は出されなかった。議長がこの議案の可否を諮ったところ、出席株主の議決権の3分の2以上に当たる賛成が得られたので、議長は本議案が原案どおり承認可決された旨を宣言した。
議長は、本件定款変更の効力発生日を本総会の決議の日である【20〇〇年〇月〇日】とする旨を確認し、あわせて、現任監査役【氏名】に対しては本総会終了後速やかに退任及びこれに伴う書類返還を依頼する旨を述べた。
出席株主のうちの一人から、監査役廃止後の会計監査及び業務執行の適正確保についての質問があり、議長は、今後は取締役が自ら業務執行の適法性を確認する体制を整えるとともに、必要に応じて顧問税理士による会計面のチェックを継続する予定である旨を回答した。また、議長は、監査役【氏名】から預かっている会社印及び帳簿書類については、本総会終了後速やかに返還を受け、代表取締役が保管する旨を説明した。
審議すべき事項がほかにないことを確認し、議長は閉会を宣した。
以上の経過及び結果を明確にするため、この議事録を作成し、議長及び出席した取締役がこれに記名押印する。
【20〇〇年〇月〇日】 【株式会社〇〇】株主総会 議長 【氏名】 印 出席取締役 【氏名】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 非公開会社であることを前提に手続を進める場面
修正後の文例:
議長は、当会社が会社法上の公開会社に該当しないこと及び取締役会設置会社でないことを確認したうえ、監査役設置会社の定めを維持すべき法令上の義務がないことを説明し、本議案の上程理由とした。
一言解説: 会社法327条2項により取締役会設置会社は原則として監査役を置かなければならないため、監査役設置の定めを廃止する前提として、当会社が非公開会社かつ取締役会非設置会社であること(又は会計参与を置くなど他の要件を満たすこと)を議事録上で確認しておくと、後日の登記審査で疑義が生じにくい。
B. 登記申請の添付書類として用いる場面
修正後の文例:
議長は、本議案の可決により監査役設置会社の定めが廃止されること、及びこれに伴い監査役【氏名】が会社法336条4項4号により本日付けで任期満了により退任することを確認し、退任を証する書面として本議事録を援用する旨を宣言した。
一言解説: 監査役設置会社の定めの廃止による監査役の退任登記では、退任事由を証する書面として株主総会議事録が用いられることが多いため、退任の根拠条文と退任日を明確に記載し、変更登記申請書に添付できる形式に整えておく。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、非公開会社かつ取締役会非設置会社が、監査役を置く旨の定款の定めを廃止する場面で用いる。取締役会設置会社や監査役会設置会社など、会社法327条1項により監査役の設置が強制される会社類型では、監査役設置会社の定めのみを単独で廃止することはできないため、本書式をそのまま用いることはできない。また、会計参与を置くことにより監査役設置義務が緩和される場合など、機関設計の組合せによって結論が変わる会社では、廃止の可否そのものから検討し直す必要がある。
根拠法令は、会社法326条2項(監査役を置く旨は定款の定めによるものとされ、非公開会社かつ取締役会非設置会社では監査役の設置が任意であること)、会社法466条及び309条2項11号(定款変更は特別決議による)、会社法336条4項4号(監査役設置会社の定めを廃止する定款変更の効力が生じた場合、監査役はその効力発生時に任期満了により退任するものとされること)である。
実務でよくある失敗の一つ目は、取締役会設置会社である場合や監査役会設置会社である場合に、監査役設置の定めだけを廃止しようとしてしまうことである。会社法327条2項により取締役会設置会社は原則として監査役を置く必要があるため、監査役設置の定めを廃止するのであれば取締役会設置の定めもあわせて廃止するか、他の機関設計への移行を検討しなければならない。対策として、本文冒頭で当会社が非公開会社かつ取締役会非設置会社であることを確認する一文を設けている。
二つ目の失敗は、監査役の退任時期を誤解し、株主総会での選任行為(退任の決議)が別途必要と考えてしまうことである。監査役設置会社の定めを廃止する定款変更の効力発生により、監査役は会社法336条4項4号に基づき法律上当然に任期満了で退任するため、別途の解任決議は不要である。対策として、本文に退任の根拠条文と退任時期を明記している。
三つ目の失敗は、定款変更の効力発生後、監査役の退任登記及び定款変更に伴う変更登記を怠ることである。監査役設置会社の定めの廃止は登記事項の変更を伴うため、変更登記の申請期限(会社法915条1項により変更後2週間以内)を意識した準備が必要となる。
四つ目の失敗は、監査役廃止後の内部けん制機能について何ら手当てをしないまま手続を終えてしまうことである。監査役を置かないこと自体は非公開会社では適法であるが、会計処理や利益相反取引のチェック体制が空白になると、後日の紛争や税務調査で不利益を受けるおそれがある。対策として、本文に廃止後の会計面の確認体制について触れる一文を設けている。退任する監査役の範囲や退任日の認定には事案ごとの検討を要するため、個別事案は専門家に確認のうえで手続を進めることが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 当会社が非公開会社かつ取締役会非設置会社であることを確認したか
- [ ] 取締役会設置会社・監査役会設置会社等、監査役設置が強制される機関設計に該当しないか確認したか
- [ ] 定款上の監査役関連条項(員数・選任・任期・報酬)を漏れなく削除対象としたか
- [ ] 特別決議(会社法309条2項)の定足数及び賛成要件を満たしているか
- [ ] 現任監査役の氏名及び退任日を議事録に明記したか
- [ ] 退任の根拠が会社法336条4項4号であることを議事録上で明確にしたか
- [ ] 定款変更の効力発生日を確定したか
- [ ] 監査役からの書類・印鑑等の引継ぎ方法を決めたか
- [ ] 変更登記の申請期限(効力発生から2週間以内)を把握しているか
- [ ] 登記申請書に添付する議事録の記載内容が登記事項と整合しているか
- [ ] 監査役から会社印・帳簿書類等の返還を受ける手順を決めたか
- [ ] 監査役廃止後の会計・業務執行チェック体制の代替策を検討したか