解散後に清算人を選任する株主総会の議事録。会社法第478条の清算人の就任と第928条の清算人登記に触れ、代表清算人の選定や就任承諾書の添付まで解説します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
株主総会議事録(清算人の選任の件)
第1部: 書式本文
株主総会議事録
- 会社名: 【株式会社◯◯】(以下「当社」という。)
- 解散日: 【西暦】年【月】日(株主総会決議による解散、会社法第471条第3号)
- 開催日時: 【西暦】年【月】日【午前・午後】【時】分
- 開催場所: 【本店所在地又は開催場所】
- 株主総数、発行済株式総数及び議決権総数: 株主総数【◯名】、発行済株式総数【◯株】、議決権総数【◯個】
- 出席株主数及び議決権数: 出席株主数【◯名】(委任状による出席【◯名】を含む)、議決権数【◯個】(定足数を充足)
- 議長: 定款の定めに基づき、【氏名】が議長に就任した。
- 開会: 議長は、定足数の充足を確認し、【時】分開会を宣言した。
第1号議案 清算人選任の件
議長は、当社が【西暦】年【月】日開催の株主総会決議により解散したことに伴い、会社法第478条第1項の規定により清算人を選任する必要がある旨を説明した。
議案上程: 1. 定款に清算人に関する別段の定めがないこと、及び株主総会において清算人を選任すること(会社法第478条第1項第3号)を確認した。 2. 清算人候補者: 【氏名】(住所【◯】、生年月日【◯】) 3. 就任予定日: 【西暦】年【月】日(解散日の翌日) 4. 清算人の員数: 【◯名】
議長は、上記候補者を清算人として選任することの可否を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の過半数をもって、原案どおり承認可決された。本決議は会社法上特別決議を要する事項ではなく、普通決議(定款に別段の定めがある場合はこれに従う)によるものであることを議長は確認した。
第2号議案 代表清算人選定の件
議長は、選任された清算人が複数名であるため、清算人の互選又は株主総会の決議により代表清算人を定める必要がある旨を説明した(会社法第478条第3項)。審議の結果、【氏名】を代表清算人に選定する旨、出席株主の議決権の過半数をもって承認可決された。
決議事項確認: 1. 清算人候補者から就任承諾書を取得済みであることを確認した。 2. 解散日と清算人の就任日に齟齬がないことを確認した。 3. 代表清算人の選定方法(清算人の互選又は株主総会決議)が定款の定めに沿っていることを確認した。 4. 清算人の登記(会社法第928条)を就任日から2週間以内に行う旨を確認した。
議長は、以上をもって本日の議事全部が終了した旨を述べ、【時】分閉会を宣言した。
上記の議事の経過及び結果を明確にするため、本議事録を作成し、議長及び出席清算人がこれに記名押印する。
【西暦】年【月】日 【株式会社◯◯】(清算株式会社)
議長 【氏名】 印 出席清算人 【氏名】 印 出席株主 【氏名】 印
添付書類: 清算人就任承諾書
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 清算株式会社としての機関構成を明示する場合
修正後の文例:
当社は、【西暦】年【月】日の解散により清算株式会社となり、会社法第476条の規定により清算の目的の範囲内において存続する。清算人会を設置しない清算株式会社であるため、清算人が単独で又は複数名の場合は各自が代表清算人として業務を執行する旨を、本総会において別途確認する。
一言解説: 清算株式会社は解散前の機関設計(取締役会設置会社であったか等)にかかわらず、清算人会を置くかどうかを定款又は決議で改めて整理する必要がある。清算人会を置かない場合は各清算人が原則として代表権を有する点を議事録上明記しておくと登記実務上も整合が取りやすい。
B. 登記申請用として就任承諾及び印鑑証明の添付を明示する場合
修正後の文例:
本議事録は、清算人の登記(会社法第928条第1項)の申請に際し、選任を証する書面として使用する。清算人候補者の就任承諾書及び本人確認資料(印鑑証明書等)を本議事録に添付し、登記申請書類一式として保管する。
一言解説: 清算人の登記は就任を証する書面(株主総会議事録)及び就任承諾書のいずれも添付書類として求められることが多い。代表清算人については個人の印鑑証明書の添付を求められる場合があるため、登記申請予定の場合は選任と同時に必要書類を揃えておく。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、株式会社が株主総会の解散決議(会社法第471条第3号)により解散した後、清算事務を遂行する清算人を選任する株主総会議事録である。解散前の取締役をそのまま清算人とする場合(法定清算人)には別途の選任決議は不要であるが、定款又は株主総会の決議によって解散時の取締役以外の者を清算人として選任する場合、あるいは複数の清算人の中から代表清算人を定める場合に本書式を使用する。清算結了の承認決議や、清算人の解任の議事録には用いない。
根拠法令は、清算人の就任について定める会社法第478条第1項である。同項は、解散した株式会社の清算人は、原則として解散の時における取締役が就任するが、定款に別段の定めがある場合又は株主総会において清算人を選任した場合は、その定め又は決議により選任された者が清算人となる旨を規定する(同項第3号)。清算人が複数名の場合の代表清算人の選定は同条第3項に基づき、定款、清算人の互選又は株主総会の決議によって定めることができる。清算人の選任は、会社法上、株主総会の特別決議を要する事項として第309条第2項各号に列挙されておらず、原則として普通決議(定款に定足数・決議要件の別段の定めがある場合はこれに従う)で足りる点を明確に押さえておく必要がある。清算人の解任は会社法第479条により、いつでも株主総会の決議(普通決議)によって行うことができる。就任した清算人については、会社法第928条により、就任の日から2週間以内に清算人の登記をしなければならない。
実務でよくある失敗として、第一に、清算人候補者からの就任承諾書を議事録に添付せず、登記申請の際に選任を証する書面として不備を指摘され受理されないケースがある。選任決議と同時に就任承諾書を取得し、議事録の附属書類として一体的に保管することが望ましい。第二に、複数名の清算人がいる場合の代表清算人の選定について、本来は清算人の互選又は取締役会に相当する清算人の会議体での決定になじむ場面であるにもかかわらず、これを株主総会の決議のみで済ませてしまい、定款や清算人間の合意関係との整合性を欠く混同が生じることがある。代表清算人の選定方法は定款の定めを確認した上で、株主総会決議によるか清算人の互選によるかを明確に選択する必要がある。第三に、解散日と清算人の就任日にずれがある場合(例えば解散決議日と清算人選任決議日が異なる日である場合)に、その関係を議事録上明記しないまま登記申請を行い、登記官から補正を求められるケースがある。解散日、清算人就任日、登記申請予定日の三者を議事録上明確に区別して記載することが求められる。
個別の事案については、清算人の資格要件、清算人会設置の要否、登記申請に必要な添付書類の範囲などを含め、弁護士・司法書士等の専門家に個別に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 解散決議(会社法第471条第3号)の日付及び内容を確認したか
- [ ] 法定清算人(解散時の取締役)によるか、株主総会での別途選任によるかを整理したか(会社法第478条第1項)
- [ ] 清算人選任決議が普通決議であり特別決議を要しないことを確認したか
- [ ] 清算人候補者から就任承諾書を取得し議事録に添付したか
- [ ] 複数の清算人がいる場合、代表清算人の選定方法(定款、互選、株主総会決議)を確認したか(会社法第478条第3項)
- [ ] 解散日と清算人就任日の関係を議事録上明確に記載したか
- [ ] 清算人の登記(会社法第928条)を就任日から2週間以内に申請する準備をしたか
- [ ] 登記申請に必要な添付書類(議事録、就任承諾書、印鑑証明書等)を確認したか
- [ ] 議長及び出席清算人の記名押印が漏れなく行われているか
- [ ] 個別事案の法的リスクについて弁護士・司法書士等の専門家に確認したか