ストックオプション等の新株予約権を発行する際の議事録。会社法第238条の募集事項や行使価額・行使期間の記載例と、第239条の委任決議を用いる場合の留意点を示します。

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株主総会議事録(新株予約権の募集事項の決定)

第1部: 書式本文

【株式会社〇〇】では、役員及び従業員に対するインセンティブ制度としてストックオプションを導入する方針が取締役会で協議され、その実行のため新株予約権の募集事項を決定する必要が生じた。これを受けて、【西暦】年【月】月【日】日午後【時】時から、本店所在地【所在地】の会議室において臨時株主総会が開催された。招集通知に記載されたとおりの時刻に開会し、出席状況を確認したところ、議決権を行使することができる株主【数】名のうち、出席株主(委任状出席を含む。)の議決権数は【数】個であって、発行済株式総数に係る議決権総数【数】個の過半数に達していたことから、定足数を満たしていることが確認された。その後、取締役会であらかじめ議長として選定されていた代表取締役【氏名】が議長席に着き、開会を宣した。

議長は、当会社が非公開会社であることから、新株予約権の募集事項の決定には株主総会の特別決議を要する旨を説明した上、第1号議案「新株予約権の募集事項決定の件」を上程した。

議案の内容は次のとおりである。

1 新株予約権の内容及び数 種類 【内容、例:普通株式を目的とする新株予約権】、数 【数】個 2 新株予約権の払込金額 【無償又は1個につき金【金額】円】 3 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額 1株につき金【金額】円 4 新株予約権を行使することができる期間 【西暦】年【月】月【日】日から【西暦】年【月】月【日】日まで 5 割当日 【西暦】年【月】月【日】日 6 割当先 【氏名(役員又は従業員)】、割当個数 【数】個

議長は、新株予約権を無償で発行すること、又は行使価額が特に有利な条件に該当する場合には、その旨及び理由を取締役【氏名】から説明させた。取締役【氏名】は、本新株予約権が役員及び従業員の中長期的な業績向上への貢献意欲を高めることを目的とするものであり、権利行使に際して出資される財産の価額を直近の株式評価額を踏まえて設定していることから、既存株主の利益を不当に害するものではないと考えている旨を説明した。

議長はさらに、新株予約権の割当てを受ける者が退職その他の事由により資格を喪失した場合の取扱いや、当会社が組織再編行為を行う場合における新株予約権の取扱いについては、別途新株予約権割当契約において定める予定であることを付言した。

議長が本議案の採否を諮ったところ、出席株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって、原案どおり承認可決された。議長は、可決後、割当先である【氏名(役員又は従業員)】との間で新株予約権割当契約を締結し、割当日である【西暦】年【月】月【日】日までに必要な事務手続を完了させる予定であることを説明した。

以上をもって本総会の議案審議を終えたので、議長は閉会を宣言した。

上記の経過及び結果を明確にするため、この議事録を作成し、議長及び出席取締役が次のとおり記名押印(電子署名を含む)する。

【西暦】年【月】月【日】日 【株式会社〇〇】臨時株主総会 議長・代表取締役 【氏名】 印 出席取締役 【氏名】 印

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 非公開会社が特別決議で決定する場合

非公開会社が新株予約権を発行する場合、募集事項の決定は原則として株主総会の特別決議による(会社法第238条第2項、第309条第2項第6号)。無償発行や払込金額が特に有利な条件である場合には、取締役は株主総会でその条件により募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない(同法第238条第3項)。

修正条文例: 「取締役【氏名】は、本新株予約権を無償で発行することが役員及び従業員の職務執行に対するインセンティブ付与を目的とするものであり、その必要性及び相当性について説明した。」

一言解説: ストックオプションとして無償発行する場合は有利発行に該当するのが通常であるため、説明義務の履行を議事録に明記しておくことが望ましい。あわせて、税制適格ストックオプションとしての要件(権利行使期間、行使価額、譲渡制限等)を満たすかどうかも制度設計の段階で確認しておく必要がある。

B節: 募集事項の決定を取締役(会)に委任する場合

株主総会は、新株予約権の内容及び数の上限、並びに行使価額の下限その他法務省令で定める事項を定めて、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社では取締役会)に委任する特別決議をすることができる(会社法第239条)。

修正条文例: 「本総会は、新株予約権の目的である株式の種類及び数の上限を【数】株、行使価額の下限を1株につき金【金額】円と定め、その余の募集事項の決定を取締役会に委任する。」

一言解説: 委任決議を活用すると発行のたびに株主総会を開催する必要がなくなるが、委任の範囲を数量・価額の上限下限を明示せずに定めることはできない点に留意する。委任に基づき取締役会が募集事項を決定した場合には、決定内容が委任決議の範囲内に収まっているかを取締役会議事録上でも確認できるようにしておくことが望ましい。

第3部: 書き方と法的ポイントの解説

本書式は、非公開会社が役員又は従業員向けのストックオプションその他の目的で新株予約権を発行するにあたり、募集事項を株主総会で決定する場合の議事録として使用することを想定している。公開会社の場合には、募集事項の決定は原則として取締役会の決議で足りる(会社法第240条)ため、公開会社を前提とする場面では本書式をそのまま使用すべきではない。また、募集株式(普通株式そのものの発行)を対象とする議事録とは決議事項の内容が異なるため、両者を混同しないよう注意が必要である。

根拠法令としては、新株予約権の募集事項の内容を定める会社法第238条第1項、非公開会社における株主総会特別決議を定める同条第2項及び第309条第2項第6号、有利な条件による発行の場合の取締役の説明義務を定める同条第3項、並びに募集事項の決定を取締役等に委任する場合の特別決議を定める同法第239条が中心となる。新株予約権が行使され株式が発行される段階では、別途会社法第281条以下の払込みに関する規律が適用されるため、募集事項の決定だけでなく、行使段階の手続についても社内で担当部署と時期を確認しておく必要がある。

実務上よくある失敗としては、第一に、無償発行であるにもかかわらず有利発行に該当する旨の説明を省略し、後日、発行差止め等を求められるリスクが指摘される例がある。対策として、無償発行の必要性・相当性を説明した事実を議事録に残すことが有効である。第二に、行使期間や行使価額の記載が曖昧で、権利行使時に解釈の争いが生じる例がある。対策として、行使期間の始期・終期及び行使価額算定の根拠を具体的数値で明記することが望ましい。第三に、委任決議(第239条)を用いる際に行使価額の下限を定めずに委任し、委任の有効性が問題となる例もあるため、下限の明記を徹底する必要がある。

このほか、新株予約権の割当対象者の範囲を広げすぎると、発行済株式総数に対する潜在株式の比率(希薄化率)が高まり、既存株主の持株比率に無視できない影響を及ぼすことがある。対策として、あらかじめ希薄化率の上限に関する社内方針を定め、募集事項の決定に先立って試算を行っておくことが有効である。また、割当先が複数回にわたり新株予約権の付与を受ける場合には、過去の付与状況(付与日、付与数、行使価額)を一覧化した資料を議事録に添付し、累積の希薄化状況を株主に説明できるようにしておくことも実務上有用である。

新株予約権の発行条件が有利発行に該当するか否かの判断は、対象者の属性や算定方法によって異なり得るため、個別事案については弁護士等の専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 発行会社が非公開会社であることを確認したか
  • [ ] 新株予約権の内容(目的となる株式の種類)及び数を明記したか
  • [ ] 払込金額又はその算定方法(無償の場合はその旨)を明記したか
  • [ ] 行使に際して出資される財産の価額を明記したか
  • [ ] 行使期間の始期・終期を明記したか
  • [ ] 割当日を明記したか
  • [ ] 割当先及び割当個数を明記したか
  • [ ] 無償発行又は有利発行に該当する場合、取締役の説明内容を記載したか
  • [ ] 特別決議の定足数及び可決要件を確認したか
  • [ ] 募集事項の決定を委任する場合、数量・行使価額の上限下限を明記したか
  • [ ] 募集株式の発行議事録と混同していないか確認したか
  • [ ] 個別事案について専門家へ確認する予定があるか