新会社へ事業を承継させる新設分割計画の承認議事録。会社法第804条の株主総会決議と第810条の債権者異議手続、事前開示書面の備置義務までをカバーします。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
新設分割計画の承認に関する株主総会議事録
第1部: 書式本文
株式会社【新設分割会社名】(以下「当会社」という。)は、【事業部門名】に関する事業を切り出し、新たに設立する株式会社【設立会社名(仮称)】(以下「設立会社」という。)にこれを承継させる新設分割を計画している。吸収分割が既存の会社に事業を承継させる組織再編であるのに対し、新設分割はこの新設会社を受け皿として設立する点に特徴があり、当会社は単独新設分割として、新設分割計画(会社法第762条)を作成した。当会社が発行済株式の全部を保有する完全子会社として設立会社を設立する形態であるため、相手方当事会社との契約締結手続(吸収分割契約のような双方合意)は要しないが、当会社の株主総会における承認は必要となる。
議長【議長氏名】は、第【号】号議案「新設分割計画承認の件」を上程し、新設分割計画の主要事項として、①設立会社の目的・商号・本店所在地、②設立会社が承継する権利義務の範囲(【事業部門名】に属する資産・負債・雇用契約等)、③当会社が設立会社の設立に際して割当てを受ける株式の数、④効力発生(設立会社成立)予定日(【設立予定日】)を説明した。議長は、本議案が会社法第804条第1項及び第309条第2項第12号の定める特別決議事項である旨を確認し、出席株主の議決権数の集計結果を報告した。
法務担当取締役【氏名】より、本件新設分割に反対する株主は、会社法第806条の定めるところにより、当会社に対し自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求できる旨、及びその行使手続について説明がなされた。また、新設分割後に当会社に対して債務の履行を請求できなくなる債権者については、会社法第810条に基づき、一定の期間を定めて異議を述べることができる旨を公告し、知れている債権者には各別に催告する予定である旨が報告された。
議長はさらに、新設分割計画の内容、設立会社の定款案、承継する資産・負債の明細その他会社法施行規則に定める事項を記載した書面を、本総会に先立ち当会社の本店に備え置き、株主及び債権者の閲覧に供している旨を確認した。
財務担当取締役【氏名】からは、設立会社の設立時貸借対照表の見込み及び承継させる資産・負債の評価額について報告があり、当会社が割当てを受ける株式数の算定根拠が示された。監査役【氏名】は、承継対象資産の評価及び対価としての株式割当てについて監査した結果、著しく不当と認められる事情はない旨を発言した。
議長は、新設分割計画において、設立会社の設立時取締役として【氏名】を、設立時監査役として【氏名】をそれぞれ選任する旨が計画に定められている旨を確認し、当該選任事項についても本議案に含めて審議する旨を説明した。承継対象となる雇用契約に関しては、労働契約承継法に基づく通知及び協議を株主総会決議に先立ち実施済みである旨、法務担当取締役より補足があった。
審議の後、議長が採決を諮ったところ、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が得られたことが確認され、第【号】号議案は原案どおり承認可決された旨が宣言された。
本議事録は、新設分割計画の内容及び決議の経過を正確に記録するため作成し、議長及び出席取締役がこれに記名押印する。
【作成日】 株式会社【新設分割会社名】 議長・代表取締役 【氏名】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 特別決議要件を明示して記載する場合
「本議案の可決には、当会社の議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上にあたる多数の賛成を要する(会社法第309条第2項第12号)。」 一言解説: 新設分割計画の承認は特別決議事項であるが、譲渡制限設定のような特殊決議(頭数要件を伴うもの)とは異なる点を明確に区別して記載することで、決議要件の混同を防げる。
B節: 登記申請用に設立会社の内容を整理して記載する場合
「新設分割により設立する会社の商号は株式会社【設立会社名】、本店の所在地は【所在地】、目的は【事業目的】とする。当会社は設立会社の発行する株式【株式数】株の割当てを受ける。」 一言解説: 新設分割による設立登記の申請では、新設分割計画の内容のうち設立会社に関する基本的記載事項(商号・本店・目的・発行株式数)を過不足なく議事録に反映させることが重要であり、別紙として新設分割計画書全文を添付する運用が一般的である。
参考: 現物出資規制との関係を確認する記載例
「本新設分割は会社法上の組織再編行為として行うものであり、設立会社の設立に際して現物出資に関する検査役の調査(会社法第33条)は適用されない。」 一言解説: 新設分割による資産の承継は、通常の現物出資とは異なる会社法上の手続によるため検査役調査を要しないが、この点を誤解して不要な手続を予定してしまう例があるため、条文上の位置づけを明記しておくと社内説明が容易になる。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、単独の会社が事業の一部を切り出し、新たに設立する会社に承継させる場面で使用する。既存の会社に事業を承継させる場合(吸収分割)や、複数の会社が共同で新設分割を行う場合には、必要となる手続や記載事項が異なるため、本書式をそのまま用いてはならない。
根拠法令は、会社法第762条(新設分割計画の作成)、第804条第1項及び第309条第2項第12号(新設分割会社の株主総会特別決議)、第810条(新設分割会社の債権者異議手続)、第806条(反対株主の株式買取請求権)、並びに新設分割計画に関する事前開示書面の備置義務(会社法第803条)である。
実務でよくある失敗として、第一に、新設分割は相手方当事会社との契約締結を要しないため、事前開示書面の備置や債権者異議手続のスケジュール管理が吸収分割より軽視されがちであるが、法定の備置期間・催告期間は同様に遵守しなければならない。第二に、設立会社に承継させる債務の範囲を曖昧にしたまま計画を作成し、後日、承継の対象となるか否かで紛争が生じる例がある。承継対象となる資産・負債は計画書及び議事録において具体的に特定することが対策となる。第三に、設立会社の設立時取締役・監査役の選任事項を新設分割計画に含め忘れるケースがある。会社法第763条に定める記載事項を計画作成段階でチェックリスト化しておくことが望ましい。
また、新設分割は完全親子会社関係を新たに作出する行為でもあるため、税務上の適格性(税制適格分割の要件)についても組織再編スキームの検討段階で並行して確認しておくことが望ましい。会社法上の手続と税務上の要件は独立に判断されるため、一方の適法性がもう一方を保証するものではない点に注意が必要である。
なお、承継対象資産の範囲の特定、対価としての株式割当ての相当性及び債権者異議手続の要否は個別の事業内容により異なるため、個別事案は専門家に確認のうえ手続を進める必要がある。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 新設分割計画の内容(承継対象・設立会社の基本事項・効力発生予定日)を具体的に記載したか
- [ ] 会社法第804条第1項・第309条第2項第12号の特別決議要件を満たしたか
- [ ] 会社法第763条に定める新設分割計画の必要記載事項を網羅したか
- [ ] 事前開示書面(会社法第803条)を本店に備え置き株主・債権者の閲覧に供したか
- [ ] 債権者異議手続(会社法第810条)の公告・催告スケジュールを確認したか
- [ ] 反対株主の株式買取請求権(会社法第806条)の案内を行ったか
- [ ] 設立会社の設立時取締役・監査役等の選任事項を計画に含めたか
- [ ] 承継させる資産・負債・雇用契約の範囲を具体的に特定したか
- [ ] 設立会社の発行株式の割当て内容(当会社への割当て)を確認したか
- [ ] 議長及び出席取締役の記名押印欄を設けたか
- [ ] 現物出資規制(会社法第33条)との関係を社内で正しく整理したか
- [ ] 労働契約承継法に基づく労働者への通知・協議手続を確認したか