優先株式等の種類株式を新設する定款変更の議事録。会社法第108条の種類株式の内容と発行可能種類株式総数を定め、第309条第2項の特別決議で承認する文例です。

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種類株式発行のための定款一部変更 株主総会議事録

第1部: 書式本文

― 会社名: 【株式会社〇〇】 ― 開催日時: 【20〇〇年〇月〇日午前・午後〇時〇〇分】 ― 開催場所: 【本店会議室】 ― 発行済株式総数及び総株主の議決権数: 【〇〇株、議決権〇〇個】 ― 出席株主数及び議決権数(委任状出席を含む): 【〇〇名、議決権〇〇個】 ― 議事録作成者: 【氏名】

代表取締役【氏名】は、定款に定める議長として議長席に着き、上記のとおり本総会が定足数を充足していることを確認したうえ、開会を宣した。議長は、本日の目的が、内容の異なる種類の株式を新たに発行できるようにするための定款一部変更であることを告げ、下記議案の審議に入った。

議長は、当会社が今後の資金調達に際し、普通株式に優先して剰余金の配当を受けられるA種優先株式を発行できるようにする必要が生じたため、発行可能種類株式総数の枠を新設し、A種優先株式の内容を定款に定めるものである旨を説明した。

第1号議案 定款一部変更の件

現行定款第【〇】条(発行可能株式総数)を次のとおり変更する。 「当会社の発行可能株式総数は【〇〇】株とし、その内訳は普通株式【〇〇】株、A種優先株式【〇〇】株とする。」

新設条項(第【〇】条 A種優先株式の内容)を次のとおり定める。 「1 当会社は、A種優先株主に対し、普通株主に先立ち、1株につき金【〇〇】円を上限とする額の剰余金の配当をすることができる。具体的な配当額は、配当のつど株主総会の決議により定める。 2 A種優先株式について残余財産の分配を受ける権利の有無及びその内容は【定める・定めない】。 3 A種優先株主は、株主総会において【議決権を有しない・〇〇の事項に限り議決権を有する】ものとする。 4 A種優先株主は、当会社に対し、その保有するA種優先株式を普通株式に転換することを請求できるものとし、その条件は別途取締役会で定める。」

議長がこの議案の趣旨、既存の普通株主に及ぼす影響及び資本政策上の必要性について説明し、質疑に応じたところ、出席株主から格別の異議は述べられなかった。議長がこの議案の可否を諮ったところ、出席株主の議決権の3分の2以上に当たる多数の賛成を得たので、議長は本議案が原案どおり可決確定した旨を宣言した。

議長は、あわせて、本件定款変更が既存の種類の株主に損害を及ぼすおそれがあると認められる場合には、これとは別に当該種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要することがある旨を付言し、その要否については会社において確認のうえ、必要な手続を追って行う予定である旨を報告した。

議長は、あわせて、既存株主の中に本件定款変更に反対する意向を有する株主が確認された場合には、当該株主との個別説明の機会を設けたうえで議決権行使を求める方針であることを説明した。また、A種優先株式の割当てを予定する引受人については、本総会の決議後、別途、募集事項の決定に関する取締役会又は株主総会を開催して手続を進める予定であることを補足した。

なお、株主から、A種優先株式の内容のうち転換請求の条件を取締役会に一任することの当否について質問があったが、議長は、転換の基本的な枠組みは本議案の条項において確定しており、取締役会に委ねるのは細目的な事務手続に限られる旨を説明し、株主の理解を得た。

議長は、以上をもって本総会に付議すべき事項の審議を終えた旨を述べ、閉会を宣した。

上記の議事の経過の要領及びその結果を明確にするため、本議事録を作成し、議長及び出席取締役がこれに記名押印する。

【20〇〇年〇月〇日】 【株式会社〇〇】株主総会 議長・代表取締役 【氏名】 印 出席取締役 【氏名】 印

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 特別決議の要件充足を明確化する場面

修正後の文例:

議長がこの議案の可否を諮ったところ、総株主の議決権〇〇個のうち出席株主の議決権数は〇〇個であり、その3分の2に当たる〇〇個を超える〇〇個の賛成を得たので、法令及び定款所定の特別決議要件を満たして可決した旨を宣言した。

一言解説: 定款変更は会社法466条及び309条2項11号により特別決議事項であるため、頭数ではなく賛成議決権数を明記し、定足数と可決要件の双方を満たしたことを数値で示しておくと、決議の効力を争われた場合の立証が容易になる。なお、定款で定足数を別途厳格化している会社では、その定めに従った要件充足も併せて確認する必要がある。

B. 登記申請の添付書類として用いる場面

修正後の文例:

議長は、本議案に係る定款変更の効力発生日を本総会決議の日である【20〇〇年〇月〇日】とする旨を確認し、変更後の発行可能株式総数及びA種優先株式の内容を添付の定款変更案のとおり確定した旨を宣言した。

一言解説: 登記申請では発行可能株式総数の変更及び種類株式の内容の設定が登記事項となるため、効力発生日と変更後の条項の文言を議事録上で確定的に記載し、添付書面としてそのまま利用できる形に整えておく。

第3部: 書き方と法的ポイントの解説

本書式は、内容の異なる2以上の種類の株式を発行するために定款を変更し、その内容を株主総会で決議する場面で用いる。既に種類株式を発行している会社が既存種類株式の内容を変更する場合や、単に発行可能株式総数のみを変更し種類株式を新設しない場合には、決議事項の構成が異なるため、そのまま流用すべきではない。また、公開会社が譲渡制限株式や拒否権付株式(いわゆる黄金株)を新設する場合など、既存の資本構成や上場規則との整合性を要する場面では、本書式の条項をたたき台としつつ個別に条項を作り込む必要がある。

根拠法令は、会社法108条(内容の異なる2以上の種類の株式を発行する旨及び各種類の株式の内容並びに発行可能種類株式総数を定款で定める必要があること、優先配当・議決権制限・取得請求権付株式など9類型の内容を列挙していること)、会社法466条及び309条2項11号(定款変更は株主総会の特別決議による)である。

実務でよくある失敗の一つ目は、発行可能株式総数の総枠のみを変更し、各種類の株式ごとの発行可能種類株式総数を定款に定め忘れることである。会社法108条2項は種類株式ごとの発行可能種類株式総数を定款の絶対的記載事項として求めているため、本文の変更条項では総数の内訳を種類ごとに明示している。

二つ目の失敗は、既存の普通株主に損害を及ぼすおそれのある内容にもかかわらず、種類株主総会の要否を検討せずに手続を終えてしまうことである。会社法322条1項は、ある種類の株式の株主に損害を及ぼすおそれがある定款変更を行う場合、当該種類の株主を構成員とする種類株主総会の決議を要する旨を定めており、本文でもその確認を促す一文を設けている。

三つ目の失敗は、優先配当の額や議決権の有無といった内容を抽象的にしか定めず、後日の紛争時に解釈が分かれることである。会社法108条2項各号が列挙する内容ごとに、上限額や算定方法、議決権制限の範囲を具体的に定めておくことが望ましい。

四つ目の失敗は、取得請求権付株式や取得条項付株式とする場合に、取得の対価や取得事由を定款上で具体的に定めないまま決議してしまうことである。会社法108条2項5号及び6号は、取得の対価の種類・数・算定方法並びに取得事由を定めるべき事項として挙げており、これらを欠くと登記の受理自体が困難になりうる。種類株式の設計は資本政策や既存株主との関係により最適解が異なるため、個別事案は専門家に確認のうえで条項を確定されたい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 新設する種類株式の内容が会社法108条1項各号のいずれに該当するか特定したか
  • [ ] 各種類の株式ごとの発行可能種類株式総数を定款に明記したか
  • [ ] 優先配当額・算定方法・上限を具体的に定めたか
  • [ ] 議決権の有無及びその範囲を明確にしたか
  • [ ] 既存の普通株主に損害を及ぼすおそれの有無を検討したか
  • [ ] 損害を及ぼすおそれがある場合、種類株主総会の開催要否を確認したか
  • [ ] 特別決議の定足数及び賛成要件(会社法309条2項)を満たしたか議事録上で明示したか
  • [ ] 定款変更の効力発生日を明確にしたか
  • [ ] 登記申請に必要な変更後の条項文言を確定したか
  • [ ] 種類株式の内容につき専門家によるレビューを経る予定を確認したか
  • [ ] 取得請求権付・取得条項付とする場合、取得対価と取得事由を具体的に定めたか
  • [ ] 割当予定の引受人がいる場合、募集事項決定の手続を別途予定しているか確認したか