セット内容

  • 株主間契約書(共同創業者向け)Word形式(相互条項型)
  • ベスティング条項(株式取得権の段階的確定)の解説
  • 経営陣退任時の株式買取条項の取り決め例

こんな場面で

複数人で会社を共同創業する際、離脱した創業者の株式扱いや重要事項の意思決定ルールをあらかじめ取り決めたい場面。

特長

  • 早期離脱者の株式を残存創業者・会社が買い取れるベスティング条項を標準装備
  • デッドロック(意見対立)発生時の解消手続きを規定
  • 投資契約書(toshi-keiyaku-j-kafu/toshi-keiyaku-yusen-kabu)締結前の土台として機能
以下はAIが作成し弁護士監修前のβ版である。一般的な参考情報として無料公開しており、個別事案への適合性は保証しない。重要な取引に使用する際は専門家によるレビューを受けること。監修完了後に正式版へ差し替える。

株主間契約書(共同創業者向け)(監修用ドラフト)

⚠ 本ファイルは弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布を禁止する。

商品ID: kabunushikan-keiyaku-so / 価格: 4,980円 / 立場バージョン: 創業株主A(持株比率高)有利・創業株主B(持株比率低)有利・相互(中立)

本商品は複数人で会社を共同創業する場面において、離脱した創業者の株式取扱いや重要事項の意思決定ルールをあらかじめ取り決めておくための株主間契約書である。性質上は相互条項型(当事者双方に同一の枠組みを適用する契約)であるが、実務上は持株比率の多寡により交渉上の利害が非対称になりやすいため、第2部では便宜上「創業株主A(持株比率高)有利バージョン」「創業株主B(持株比率低)有利バージョン」という2方向の修正パターンを提示する構成とする。第1部には相互(中立)版をベース条文として掲載する。


第1部: 契約書本文(標準版・中立)

株主間契約書

〇〇〇〇(以下「甲」という。)及び〇〇〇〇(以下「乙」という。)(甲及び乙を個別に又は総称して「本契約当事者」といい、甲及び乙が共同創業者として出資又は保有する株式会社〇〇〇〇(以下「本会社」という。)の株式を「本株式」という。)は、本会社の株式の取扱い及び本会社の運営に関する重要事項の意思決定ルールについて、以下のとおり株主間契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的)

本契約は、甲及び乙が本会社の共同創業者として保有する本株式の取扱い、本会社の経営に関する重要事項の意思決定手続並びに本契約当事者間に意見の対立が生じた場合の解消手続について定め、もって本会社の安定的な運営及び企業価値の維持向上を図ることを目的とする。

第2条(定義)

本契約において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるとおりとする。

(1)「対象株式」とは、本契約当事者が本契約締結日現在保有する本会社の株式及び本契約締結後に取得する本会社の株式の総称をいう。 (2)「ベスティング対象株式」とは、第3条に基づきベスティング(株式取得権の段階的確定)の対象となる本株式をいう。 (3)「リバースベスティング」とは、ベスティング対象株式のうち未確定持分について、離脱創業者から残存創業者又は本会社が買い取ることができる仕組みをいう。 (4)「グッドリーバー」とは、第6条第2項に定める事由により本会社の役員又は業務執行者を退任した本契約当事者をいう。 (5)「バッドリーバー」とは、第6条第3項に定める事由により本会社の役員又は業務執行者を退任し、又は解任された本契約当事者をいう。 (6)「本取締役会」とは、本会社の取締役会(取締役会非設置会社の場合は株主総会又はこれに準ずる意思決定機関)をいう。

第3条(ベスティング条項)

  1. 本契約当事者が保有する対象株式のうち、別紙「ベスティングスケジュール」に定める株式数を上限として、ベスティング対象株式とする。
  2. ベスティング対象株式は、本契約締結日(以下「ベスティング開始日」という。)から起算し、次の各号に定めるとおり段階的に確定するものとする(以下「ベスティングスケジュール」といい、確定した持分を「確定持分」、未確定の持分を「未確定持分」という。)。 (1)ベスティング開始日から起算して1年間(以下「クリフ期間」という。)を経過するまでは、確定持分は生じないものとする。 (2)クリフ期間経過時点で、ベスティング対象株式数の4分の1が一括して確定するものとする。 (3)クリフ期間経過後は、ベスティング対象株式の残り4分の3について、月数の経過に応じて月次均等按分で確定するものとし、ベスティング開始日から起算して4年間(以下「ベスティング期間」という。)の経過をもって全部が確定するものとする。
  3. 前項のベスティングスケジュールは、本契約当事者間の合意により別紙のとおり別段の定め(例: 期間の長短、クリフの有無)を置くことを妨げない。
  4. 本契約当事者は、本会社が将来第三者から出資を受け入れる場合(種類株式の発行を伴う場合を含む。)、当該出資者との間で本条のベスティング条件につき別途の合意がなされる可能性があることをあらかじめ了解する。

第4条(リバースベスティング・株式の買取り)

  1. 本契約当事者のいずれか(以下「離脱当事者」という。)が、ベスティング期間の満了前に本会社の役員及び従業員たる地位を喪失した場合(理由の如何を問わない。以下「離脱事由」という。)、当該離脱当事者が保有するベスティング対象株式のうち未確定持分については、残存する本契約当事者(以下「残存当事者」という。)又は本会社が、離脱当事者に対しその買取りを請求できるものとする。
  2. 前項の買取請求がなされた場合、離脱当事者は、正当な理由なくこれを拒否してはならず、本契約当事者間で別途合意する手続に従い、未確定持分に係る株式を残存当事者又は本会社(若しくはその指定する第三者)に譲渡しなければならない。
  3. 前項の買取価格は、原則として離脱当事者が当該未確定持分の取得に要した払込金額と同額(以下「取得原価」という。)とする。ただし、第6条に定めるグッドリーバー・バッドリーバーの区別に応じ、買取価格の算定方法が別途調整される場合がある。
  4. 確定持分については、本条に基づく強制的な買取りの対象としない。ただし、第7条(株式譲渡制限)及び第8条(先買権・共同売却権)の規定の適用は妨げられない。

第5条(未確定持分の買取価格の調整)

  1. 前条第3項の定めにかかわらず、離脱当事者が第6条第2項に定めるグッドリーバー事由により離脱した場合、未確定持分の買取価格は取得原価を基準とする。
  2. 離脱当事者が第6条第3項に定めるバッドリーバー事由により離脱した場合、未確定持分の買取価格は、取得原価又は名目上の対価(〇〇〇〇円等、名目的な低廉額)のいずれか低い額とすることができる。
  3. 買取価格の算定にあたり、本会社の直近の資金調達における株式評価額その他の客観的指標を参酌することができる。

第6条(グッドリーバー・バッドリーバーの区別)

  1. 本契約当事者は、離脱当事者が退任するに至った経緯を、次項に定めるグッドリーバー事由又は第3項に定めるバッドリーバー事由のいずれかに区分するものとする。
  2. 次の各号のいずれかに該当する場合、当該離脱当事者はグッドリーバーとして取り扱う。 (1)死亡、傷病その他本人の責めに帰すことができない事由により業務執行が困難となった場合 (2)本契約当事者全員の合意により円満に退任した場合 (3)その他本契約当事者間で協議のうえグッドリーバーに該当すると合意した場合
  3. 次の各号のいずれかに該当する場合、当該離脱当事者はバッドリーバーとして取り扱う。 (1)本会社又は他の本契約当事者に対する背信行為、競業行為その他重大な義務違反があった場合 (2)正当な理由なく本会社の業務執行を放棄し、又は無断で長期間離脱した場合 (3)犯罪行為その他本会社の信用を著しく毀損する行為があった場合
  4. グッドリーバー又はバッドリーバーのいずれに該当するかの判断に疑義が生じた場合は、本取締役会(離脱当事者を除く。)の決議によるものとし、なお疑義が解消しない場合は第10条に定めるデッドロック手続に準じて処理する。

第7条(株式譲渡制限)

  1. 本契約当事者は、他の本契約当事者全員の事前の書面による承諾を得ることなく、対象株式の全部又は一部を第三者に譲渡し、担保に供し、又はその他の処分をしてはならない。
  2. 前項の規定は、本会社の定款に定める譲渡制限株式に関する取締役会(又は株主総会)の承認手続を経ることを妨げるものではなく、両手続はいずれも充足される必要がある。
  3. 本契約当事者は、対象株式について質権の設定その他の担保提供を行う場合も、前2項の手続に準じて他の本契約当事者の事前の承諾を得るものとする。

第8条(先買権及び共同売却権)

  1. 本契約当事者の一人(以下「譲渡希望当事者」という。)が対象株式の全部又は一部を第三者(以下「譲受希望者」という。)に譲渡しようとする場合、譲渡希望当事者は、他の本契約当事者に対し、譲渡条件(譲渡株式数、譲渡価格、その他の主要条件をいう。以下同じ。)を書面で通知しなければならない。
  2. 前項の通知を受けた他の本契約当事者は、通知受領後〇〇日以内に、当該譲渡条件と同一の条件で、譲渡対象株式の全部又は一部を自ら優先的に買い取る旨を譲渡希望当事者に通知することができる(以下「先買権」という。)。
  3. 前項の期間内に先買権が行使されなかった場合、他の本契約当事者は、譲渡希望当事者に対し、譲渡希望当事者が譲受希望者に譲渡する株式数に応じた比率で、自己が保有する対象株式を同一の条件により譲受希望者に売却するよう請求することができる(以下「共同売却権」といい、英文契約における「Tag Along Right」に相当する。)。
  4. 譲渡希望当事者が保有する対象株式の全部又は一部を第三者に譲渡しようとする場合であって、当該譲渡が本会社の支配権の移転を伴う等一定の重要な場合には、本契約当事者は、他の本契約当事者に対し、同一の譲渡条件により保有する対象株式全部を譲受希望者に売却するよう求めることができるものとすることができる(以下「強制売却権」といい、英文契約における「Drag Along Right」に相当する。)。強制売却権の要否及び発動要件(本会社の議決権の〇〇%以上を保有する本契約当事者が譲渡する場合に限る等)は、本契約当事者間で別途協議のうえ定める。
  5. 前各項の規定は、本契約当事者間における第4条及び第5条に基づく株式の買取りには適用しない。

第9条(議決権拘束)

  1. 本契約当事者は、本会社の株主総会において、次の各号に掲げる事項(以下「重要事項」という。)を決議する場合、事前に本契約当事者間で協議し、別紙又は本契約当事者間の別途合意により定める割合以上の賛成を得たうえで、当該協議の結果に従って議決権を行使するものとする。 (1)定款の変更 (2)新株、新株予約権又は社債の発行 (3)本会社の合併、会社分割、株式交換、株式移転その他の組織再編 (4)本会社の解散又は事業の全部若しくは重要な一部の譲渡 (5)代表取締役その他役員の選任及び解任 (6)年間事業計画及び予算の承認並びにこれらからの重要な逸脱 (7)第三者からの資金調達(デットファイナンス及びエクイティファイナンスを含む。)に関する事項 (8)その他本契約当事者があらかじめ重要事項と合意した事項
  2. 前項の重要事項について本契約当事者間の意見が対立し、協議が調わない場合の取扱いは、第10条の定めるところによる。

第10条(デッドロックの解消)

  1. 前条第1項の重要事項その他本会社の経営上の重要な意思決定について、本契約当事者間の意見が対立し、合理的な期間内に合意に至らない状態(以下「デッドロック」という。)が生じた場合、本契約当事者は、まずデッドロックが生じた日から〇〇日間、誠実に協議するものとする。
  2. 前項の協議期間内に合意に至らない場合、本契約当事者は、次の各号に定める手続のうち、あらかじめ選択した一つ又は複数の手続によりデッドロックの解消を図るものとする。 (1)本契約当事者双方が合意する第三者評価人又は経営に関する有識者(以下「第三者評価人」という。)を選任し、その意見又は勧告を参考に再協議する手続 (2)本契約当事者の一方が他方に対し、自己の保有する対象株式の全部を一定の算定方法により他方に売却し、又は他方の保有する対象株式の全部を同一の算定方法により買い取る旨を申し出て、申出を受けた当事者がいずれかを選択する手続(いわゆるテキサスシュートアウト条項。以下「シュートアウト手続」という。) (3)本会社の解散又は事業譲渡その他の抜本的な解消手続について協議する手続
  3. シュートアウト手続を選択する場合、その具体的な発動条件、価格提示の方式、期限、選択権者の決定方法等は、本契約当事者間で別途書面により合意し、別紙に定めるものとする。シュートアウト手続は当事者の資金力の差により結果が偏りやすい性質があるため、採否は本契約当事者の持株比率・財務状況を踏まえ慎重に検討する必要がある。
  4. 第三者評価人の選任費用は、本契約当事者が別段の合意をしない限り、等分して負担するものとする。

第11条(投資契約締結時の取扱い)

  1. 本契約当事者は、本会社が将来、外部投資家との間で投資契約書(普通株式による出資契約又は優先株式による出資契約を含むがこれに限らない。)を締結する場合、本契約の内容が当該投資契約の内容と抵触するときは、両契約間の適用関係についてあらかじめ協議のうえ調整するものとする。
  2. 本契約は、外部投資家を引受人とする資金調達が行われるまでの間、本契約当事者間における暫定的な土台としての性格を有するものとし、投資契約締結後は、本契約中の重複する規定は投資契約又はこれに付随する株主間契約に統合又は代替される場合があることをあらかじめ了解する。
  3. 前2項の調整に際しては、既存の本契約当事者間の合意内容(特にベスティング条件及び議決権拘束の内容)が投資契約により一方的に不利益変更されないよう、本契約当事者は協力して対応するものとする。

第12条(表明保証)

本契約当事者は、それぞれ相手方に対し、本契約締結日現在において、次の各号の事項を表明し、保証する。

(1)対象株式について、本契約に定める場合を除き、第三者の権利(担保権、譲渡制限その他の負担を含む。)が設定されていないこと (2)本契約の締結及び履行につき、法令上及び本人の権限上必要な手続を履践していること (3)本契約の締結が、本契約当事者が当事者となる他の契約又は法令に違反するものでないこと

第13条(秘密保持)

本契約当事者は、本契約の締結及び履行を通じて知り得た相手方及び本会社の営業上・技術上の秘密情報を、他の本契約当事者の事前の書面による承諾なく第三者に開示又は漏えいしてはならない。ただし、法令上の開示義務がある場合、専門家(弁護士、公認会計士、税理士等)に開示する場合又は将来の投資家候補に対するデューデリジェンスのために合理的な範囲で開示する場合は、この限りでない。

第14条(反社会的勢力の排除)

  1. 本契約当事者は、それぞれ他の本契約当事者に対し、自己(自己の役員を含む。)が、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団その他これらに準ずる者(以下「反社会的勢力」と総称する。)に該当しないこと、及び反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有していないことを表明し、保証する。
  2. 本契約当事者のいずれかが前項の表明保証に違反した場合、他の本契約当事者は、何らの催告を要せず本契約を解除し、又は違反当事者に対し対象株式の全部の買取りを請求することができる。

第15条(有効期間)

  1. 本契約の有効期間は、本契約締結日から本会社が株式上場(証券取引所への上場をいう。)を果たすまで、又は本契約当事者全員が対象株式の全部を第三者に譲渡するまでのいずれか早い時点までとする。
  2. 前項の規定にかかわらず、第13条(秘密保持)及び第17条(合意管轄)の規定は、本契約終了後も〇年間、なお効力を有する。

第16条(権利義務の譲渡禁止)

本契約当事者は、他の本契約当事者の事前の書面による承諾を得ることなく、本契約上の地位並びに本契約に基づく権利及び義務を第三者に譲渡し、承継させ、又は担保に供してはならない。

第17条(協議事項及び合意管轄)

  1. 本契約に定めのない事項又は本契約の解釈に疑義が生じた事項については、本契約当事者が誠意をもって協議のうえ解決するものとする。
  2. 本契約に関する紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、各自記名押印のうえ、各自1通を保有する。

〇〇〇〇年〇〇月〇〇日

(甲)住所    氏名         印

(乙)住所    氏名         印


第2部: 立場別修正パターン

本商品は本来、共同創業者間で対等な条件を適用する相互条項型の契約であるが、実務上は持株比率の多寡や出資額の差により、当事者間で利害が非対称になりやすい。以下では、便宜上「創業株主A(持株比率が相対的に高い当事者)」及び「創業株主B(持株比率が相対的に低い、少数株主に近い当事者)」という2つの立場を仮定し、それぞれの立場からの修正パターンを提示する。第1部は両者の中間的な設計(中立版)である。

A. 創業株主A(持株比率高)に有利なバージョンへの変更

A-1. 第9条(議決権拘束)の重要事項から拒否権項目を縮小

修正前(中立版): 重要事項(8号列挙)すべてについて、あらかじめ定めた割合以上の賛成を要件とする。

修正後(A有利): 重要事項のうち、少数株主保護に関わる項目(定款変更、新株発行、組織再編等)についてのみ持株比率高当事者の意向を優先し、日常的な事業計画・予算執行等はA単独の決定権限(本取締役会における普通決議相当)とする旨を追加する。

解説: 持株比率の高い当事者にとっては、経営の機動性を確保するため、少数株主に事実上の拒否権(全重要事項への同意権)を与えることを避けたいという動機が働く。少数株主側からは強い抵抗が予想される修正であり、交渉の焦点になりやすい箇所である。

A-2. 第10条(デッドロック解消)にキャスティングボート条項を追加

追加条文例: 「前項の協議によっても合意に至らない場合、持株比率が本会社の議決権の過半数を超える本契約当事者の意見を優先するものとする。ただし、第9条第1項第1号から第4号までの重要事項については、この限りでない。」

解説: デッドロック時に持株比率の高い当事者の意向を最終的に優先させる仕組みであり、少数株主保護の観点からは重要な後退となる。組織の根幹に関わる事項(定款変更等)を除外することでバランスを取る例が一般的である。

A-3. 第3条(ベスティング)のベスティング期間を長期化

修正後: ベスティング期間を4年から5年程度に延長し、クリフ期間も1年から1.5年程度に延ばす。

解説: 持株比率の高い当事者(多くは創業経営者)にとっては、共同創業者の株式確定を長期化することで、早期離脱のインセンティブを抑止し、経営の安定性を高める効果が期待される。他方、少数株主側にとっては株式の確定が遅れ、離脱時の未確定持分(買取対象)が拡大するリスクとなる。

A-4. 第5条(買取価格の調整)でバッドリーバー時の買取価格をより低廉に設定

修正後: 「バッドリーバー事由による離脱の場合、未確定持分の買取価格は、名目的な対価(1株1円等)とすることができる。」

解説: バッドリーバー該当性の認定を厳格に行うことを前提に、離脱当事者への抑止力を強める修正である。ただし、あまりに低廉な対価設定は、後日の紛争において公序良俗違反や権利濫用の主張を招くリスクがある点に留意する必要がある。

A-5. 第8条(先買権・共同売却権)の強制売却権(Drag Along)の発動要件を緩和

修正後: 発動要件を「議決権の過半数を保有する当事者」に設定し、持株比率の高い当事者が単独で強制売却権を発動できるようにする。

解説: 会社売却(M&A等のExit)局面において、持株比率の高い当事者が単独で決定できる範囲を広げるための修正であり、少数株主にとっては自己の意思に反して株式売却を強制されるリスクが高まる。

B. 創業株主B(持株比率低)に有利なバージョンへの変更

B-1. 第9条(議決権拘束)に少数株主の拒否権項目を明記

追加条文例: 「前項各号の重要事項の決議にあたっては、本契約当事者全員の同意を要するものとする。」

解説: 持株比率が低い当事者であっても、重要事項について事実上の拒否権を確保する修正である。少数株主保護の観点からは望ましいが、持株比率の高い当事者にとっては経営の機動性を著しく損なうため、強い抵抗が予想される。実務上は、対象事項を絞り込んだ限定列挙型の拒否権(例: 定款変更、新株発行、組織再編、役員の解任等の重大事項に限定)とする折衷案も広く用いられている。

B-2. 第10条(デッドロック解消)でシュートアウト手続の価格提示を対称的に設計

修正後: 「シュートアウト手続における価格提示は、資金力の多寡にかかわらず、本会社の直近の資金調達時評価額又は本契約当事者双方が合意する第三者評価人の算定額を基準とする。」

解説: 資金力に劣る当事者が一方的に不利にならないよう、シュートアウト手続の価格算定基準を客観化する修正である。持株比率が低く資金力にも劣る当事者にとっては、単純な「言い値と選択権」方式のシュートアウトは実質的に機能しないリスクがあるため、この調整は重要な交渉ポイントとなる。

B-3. 第3条(ベスティング)のベスティング期間を短縮し、クリフを緩和

修正後: ベスティング期間を3年程度に短縮し、クリフ期間も6か月程度に短縮する。

解説: 持株比率が低い当事者にとっては、早期に株式が確定することで、将来の離脱時における未確定持分(買取対象となりうる持分)を減らすことができる。特に、共同創業者としての貢献度に対する評価が固まる前の段階で離脱を余儀なくされるリスクを軽減する狙いがある。

B-4. 第5条(買取価格の調整)で買取価格に公正価値(フェアバリュー)を反映

追加条文例: 「未確定持分の買取価格は、取得原価を下回らない範囲で、本会社の直近の資金調達時評価額を参酌して算定するものとする。」

解説: 取得原価のみを基準とすると、企業価値が向上した後に離脱した場合であっても離脱当事者が値上がり益を享受できず、持株比率の低い当事者にとって不利になりやすい。企業価値の向上を買取価格に反映させる修正は、少数株主側から求められることが多い。

B-5. 第8条(先買権・共同売却権)に共同売却権の実効性を高める規定を追加

追加条文例: 「譲渡希望当事者は、共同売却権を行使した本契約当事者の持分が含まれない限り、譲受希望者との間で株式譲渡契約を締結してはならない。」

解説: 共同売却権(Tag Along)が単なる努力義務にとどまらず、実際に行使を担保する強行的な効力を持つようにする修正である。持株比率の低い当事者が会社売却の局面で置き去りにされることを防ぐ趣旨であり、少数株主保護の観点から重要な条項である。

C. 相互(中立)バージョンの位置づけ

第1部の本文がこれに該当する。共同創業者間で持株比率が拮抗している場面(例: 二人代表で概ね50%ずつ出資する場合)を想定し、議決権拘束・デッドロック解消・ベスティング条件のいずれについても、特定の当事者に偏らない設計とする。


第3部: 逐条解説(購入者向け)

第1条(目的)

契約全体の趣旨を示す条項。共同創業者間の株主間契約は、単なる株式の取扱いだけでなく、経営の意思決定プロセスそのものを規律する性格を持つため、目的条項において「意思決定手続」及び「対立解消手続」を明記しておくことが望ましい。

第2条(定義)

ベスティング、リバースベスティング、グッドリーバー・バッドリーバーといったスタートアップ実務特有の用語をあらかじめ定義する条項。これらの用語は法令上の定義がないため、契約書内で意味内容を明確にしておく必要がある。

第3条(ベスティング条項)

創業株主間契約の中核となる条項の一つ。本文では「4年ベスティング・1年クリフ」という設計を採用しているが、これはスタートアップ実務において広く参照される一般的な設計例であり、事業の性質や当事者の関与度に応じて年数を調整することが一般的である。クリフ期間を設ける趣旨は、ごく短期間で離脱した創業者に株式が確定してしまう事態(いわゆる「フリーライダー問題」)を防ぐ点にある。

第4条・第5条(リバースベスティング・買取価格の調整)

離脱した創業者の未確定持分を残存創業者又は会社が買い取る仕組み(リバースベスティング)を定める条項。買取価格の算定方法は、グッドリーバー・バッドリーバーの区別と連動して設計するのが一般的である実務であり、いずれの場合も画一的な金額を定めるのではなく、算定基準(取得原価、時価、名目額等)を明確にしておくことが望ましい。なお、買取りを強制する条項の効力については、対価の相当性を欠く場合に公序良俗違反等が問題となりうる余地があり、この点は監修時に確認を要する。

第6条(グッドリーバー・バッドリーバーの区別)

離脱の経緯に応じて創業者を「円満な離脱者」と「背信的な離脱者」に区分し、買取価格に差を設ける仕組み。バッドリーバー事由は、恣意的な運用を避けるため、できる限り具体的な事実に基づいて認定できるよう設計することが望ましい。判断が割れた場合の解消手続(本文第4項)を用意しておくことも実務上重要である。

第7条(株式譲渡制限)

会社法上の譲渡制限株式に関する手続(定款に基づく取締役会・株主総会の承認)とは別に、契約上の譲渡制限(当事者間の事前承諾)を重畳的に課す条項。両者は根拠が異なるため、いずれか一方の手続を履践しただけでは足りない点に留意する必要がある。

第8条(先買権及び共同売却権)

株式の外部流出を防ぐための先買権(Right of First Refusal)と、少数株主保護のための共同売却権(Tag Along Right)、会社売却を円滑にするための強制売却権(Drag Along Right)を規定する条項。特に強制売却権は、少数株主の意思に反して株式売却を強いる効果を持つため、発動要件(持株比率の閾値等)を当事者間の力関係を踏まえて慎重に設計する必要がある。

第9条(議決権拘束)

重要事項について、あらかじめ定めた賛成割合に従って議決権を行使する義務を課す条項。会社法上、議決権拘束契約の有効性は一般的には認められると解されているが、契約に違反して議決権を行使した場合の効力(決議自体の効力に影響するか、当事者間の債務不履行責任にとどまるか)については見解が分かれる部分があり、実務上は損害賠償や株式買取請求権などの実効性確保手段を併せて定めておくことが望ましい。

第10条(デッドロックの解消)

共同経営における対立解消の仕組みを定める、実務上最も重要度の高い条項の一つである。第三者評価人による調整、シュートアウト手続(テキサスシュートアウト条項)、会社解散等の抜本的手続を段階的に用意する構成が一般的である。シュートアウト手続は、資金力に優る当事者に有利に働きやすい性質があるため、採用の是非及び発動条件は当事者の状況に応じて慎重に検討すべき事項である。

第11条(投資契約締結時の取扱い)

本契約が、将来の外部投資家との投資契約(普通株式又は優先株式による出資契約)締結までの暫定的な土台として機能する位置づけであることを明記する条項。実務上、シードステージの共同創業者間契約は、シリーズA等の資金調達時に投資家側から新たな株主間契約の締結を求められることが多く、既存の合意内容(特にベスティング条件)が一方的に変更されないよう配慮する必要がある。

第12条(表明保証)

対象株式に第三者の権利が設定されていないこと等を相互に保証する条項。株式に担保権や第三者との別合意が付着していた場合、本契約に基づく買取り・譲渡制限の実効性が損なわれるため、基本的な確認事項として設けている。

第13条(秘密保持)

会社経営に関する情報は当事者間の信頼関係を基礎とするため、秘密保持義務を明記する条項。将来の資金調達に伴うデューデリジェンスのための開示を除外事由として明記しておくことが実務上望ましい。

第14条(反社会的勢力の排除)

現在の契約実務でほぼ必須とされる条項。株主間契約でも例外ではなく、表明保証違反時には契約解除に加え、対象株式の買取請求権を認めることで実効性を確保する設計とした。

第15条(有効期間)

株式上場又は全株式の譲渡をもって契約が終了する旨を定める条項。2020年(令和2年)の民法改正(債権法改正)により、契約の終了時期や存続条項の考え方について整理が進んだ経緯を踏まえ、存続条項の対象(秘密保持義務等)を明確に列挙しておくことが望ましい。

第16条(権利義務の譲渡禁止)

契約上の地位の第三者への譲渡を制限する一般的な条項。民法改正(2020年施行)により契約上の地位の移転に関する規律(民法第539条の2)が明文化されたことも踏まえ、本条のような契約上の別段の定めが、当事者の意図を明確にする観点から引き続き重要である。

第17条(協議事項及び合意管轄)

一般的な協議条項及び合意管轄条項。共同創業者間の紛争は感情的な対立を伴いやすいため、可能であれば調停等の裁判外紛争解決手続(ADR)の活用を協議条項に含めることも一案として検討に値する。


第4部: 監修者への確認依頼事項

  1. 第3条のベスティングスケジュール(4年ベスティング・1年クリフ、クリフ後は月次均等按分)について、日本国内のスタートアップ実務における標準的な設計として妥当か、他の一般的な設計例(例: 3年ベスティング)も併記すべきか確認いただきたい。
  2. 第4条・第5条のリバースベスティングに基づく強制買取り及び名目的対価(バッドリーバー時)の設計が、会社法上の株主平等原則や公序良俗との関係で問題を生じないか、買取価格の下限設定について助言をいただきたい。
  3. 第9条の議決権拘束条項について、契約違反時の効力(決議の効力自体への影響の有無)及び実効性確保手段(違約金、株式買取請求権等)の設計として、どの程度まで具体的に記載すべきか確認いただきたい。
  4. 第10条のシュートアウト手続(テキサスシュートアウト条項)について、日本の実務での採用例や、当事者の資金力格差が大きい場合の代替設計(第三者評価人による強制買取り等)に関する追加コメントがあれば確認いただきたい。
  5. 第8条の強制売却権(Drag Along Right)の発動要件(議決権比率の閾値)について、少数株主保護の観点から一定の下限(例: 全部売却時の対価の公正性担保)を条文上明記すべきか確認いただきたい。
  6. 第11条の投資契約締結時の取扱いについて、実際に優先株式による資金調達(種類株式発行)が行われた場合、本契約とのいずれの規定が優先するか(本契約の一部失効・統合等)を条文上より明確化する必要があるか確認いただきたい。
  7. 本商品は「相互条項型」であるとしつつ第2部で持株比率の高低による2パターンを提示しているが、この整理・表現が購入者に誤解を与えない適切なものか(相互条項型という位置づけと有利・不利パターンの併記が矛盾しないか)確認いただきたい。
  8. 2020年(令和2年)の民法改正(債権法改正)との関係で、第16条(契約上の地位の譲渡禁止)その他の条項につき、改正民法の規律(債権譲渡制限特約の効力等を含む)を踏まえた見直しが必要な箇所がないか確認いただきたい。