譲渡制限株式の譲渡について会社の承認を求める請求書。会社法第136条・第137条の請求権者と記載事項に加え、第145条のみなし承認となる2週間の期間制限に触れます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
株式譲渡承認請求書
第1部: 書式本文
株式譲渡承認請求書
【請求年月日】
【会社名】 御中
【請求者の住所】 【請求者の氏名又は名称】 印
私(当社)は、貴社の譲渡制限株式である下記株式について、会社法第136条(又は第137条)の規定に基づき、その譲渡を承認するよう請求します。
記
- 請求者の資格: 【現に株式を有する株主として請求(第136条)/株式を取得した者として請求(第137条)】
- 譲渡人の氏名又は名称及び住所: 【譲渡人の氏名又は名称】/【住所】
- 譲受人(譲渡等承認請求の相手方として株式を取得しようとする者)の氏名又は名称及び住所: 【譲受人の氏名又は名称】/【住所】
- 譲渡しようとする株式の種類及び数: 【株式の種類】【株式数】株
- 譲渡しようとする株式に係る株券番号(株券発行会社の場合): 【株券番号】
- 会社が譲渡を承認しない場合の対応: 貴社又は貴社の指定する買取人が当該株式を買い取ることを併せて請求する場合は、その旨を明記する(会社法第138条第1号ハ又は第2号ハ)。 【買取請求の有無: する/しない】
- 承認機関: 取締役会設置会社にあっては取締役会、非設置会社にあっては株主総会(定款に別段の定めがある場合はこれに従う)。
- 添付書類: 株券(株券発行会社かつ株式取得者からの請求の場合)、株式取得を証する書面(相続・売買契約書の写し等)、【印鑑証明書その他会社が指定する書類】
以上のとおり、会社法第138条各号に掲げる事項を記載の上、譲渡等の承認を請求します。貴社は、本請求の日から会社法の定める期間内に承認又は不承認の決定内容を通知するようお願いします。
【請求者の住所】 【請求者の氏名又は名称】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 譲渡人(現に株式を有する株主)として請求する場合
修正条文例:
私は、貴社発行の【株式の種類】【株式数】株について、譲受人である【譲受人氏名又は名称】に譲渡することの承認を、会社法第136条の規定に基づき請求します。譲受人の連絡先は【連絡先】のとおりであり、承認の可否に関するご連絡は本請求者宛にお願いします。
一言解説: 譲渡人からの請求(136条)では、譲渡人自身が株主であることを前提に、譲受人候補者の氏名・住所・連絡先を具体的に特定する。譲受人が法人の場合は商号・本店所在地・代表者名まで記載し、会社が承認審査を行う際に不明点が生じないようにする。
B. 譲受人(株式を取得した者)として請求する場合
修正条文例:
私は、【譲渡年月日】に譲渡人【譲渡人氏名又は名称】から下記株式を取得しましたので、会社法第137条第1項の規定に基づき、当該取得について貴社の承認を請求します。取得原因は【売買・相続・会社分割等】であり、これを証する書面を添付します。
一言解説: 株式取得者からの請求(137条)は、既に株式を取得したことを前提とする点で136条の請求と場面が異なる。株券発行会社の場合は株券の提示・添付が原則として必要となるため、株券の保管状況及び番号を事前に確認しておく。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、譲渡制限株式の譲渡人又は譲受人(株式取得者)が、会社に対して譲渡等の承認を求める場面で使用する。会社が承認・不承認を回答する場面では、本書式ではなく回答用の通知書を用いるべきであり、両者は請求と回答という異なる立場・段階の書式である点に注意する。
根拠法令は、会社法第136条(株主からの譲渡等承認請求)、同法第137条(株式取得者からの譲渡等承認請求)、同法第138条(請求の方法・記載事項)である。会社が請求の日から会社法の定める2週間以内に不承認等の通知をしなかった場合には、会社法第145条の規定により承認をしたものとみなされる点も、請求書提出時に押さえておくべき重要な起算点である。この2週間の起算日は請求書が会社に到達した日を基準に考えるのが一般的であるため、請求書の提出日及び到達日を記録に残しておくことが望ましい。到達日が不明確なままだと、みなし承認の成否をめぐって会社と請求者の間で見解が食い違うおそれがあるため、内容証明郵便や受領印による受付など、到達を客観的に証明できる方法で提出することが望ましい。
なお、136条による請求と137条による請求は、いずれも会社法第138条が定める記載事項に従う点で共通するが、請求権者が「これから譲渡しようとする株主」であるか「既に取得した者」であるかという時間軸の違いがあるため、事案がどちらの場面に当たるかを最初に整理してから請求書を作成する必要がある。
実務でよくある失敗として、次の例が挙げられる。第一に、譲受人候補者の氏名・住所等の記載が漏れており、会社が承認審査(譲受人の属性確認等)を行えない例がある。対策として、譲受人が個人・法人いずれの場合も、氏名又は商号、住所、連絡先を具体的に記載する。第二に、会社が不承認とした場合の買取請求(会社法第138条第1号ハ・第2号ハ)をするかどうかを記載しないまま提出し、後日あらためて買取請求が必要になる例がある。対策として、請求時点で買取請求の要否を検討し、必要であれば同一の請求書に明記しておく。第三に、株式取得者からの請求において株券の提示・添付を怠り、会社から補正を求められて手続が遅延する例がある。対策として、株券発行会社か否か、株券が現存するかを事前に確認し、必要書類を漏れなく準備する。
また、非公開会社(全株式譲渡制限会社)では、株式の分散を防ぎ経営の安定を図る目的で譲渡制限が付されているため、会社が承認しない場合には、会社又は指定買取人による買取手続(会社法第140条以下)へと進むことが想定される。請求者としては、承認・不承認いずれの結果になっても手続が停滞しないよう、買取請求の有無や希望する売買価格の考え方について、あらかじめ社内(譲渡人側)又は取得予定者(譲受人側)と方針をすり合わせておくことが望ましい。
さらに、譲渡制限株式の譲渡は、承認の有無にかかわらず当事者間の株式譲渡契約自体は有効に成立しうるが、会社との関係(名義書換・株主としての権利行使)においては承認を得るまで対抗できない点に留意が必要である。そのため、株式譲渡契約書の締結と譲渡等承認請求書の提出は、実務上ほぼ同時並行で進めることが多く、契約書上の効力発生条件を承認取得と連動させておくと、承認が得られなかった場合の後処理(契約解除・原状回復等)を円滑に行いやすい。
個別事案では、定款による承認機関の別段の定めや、株式取得原因(相続・合併等)によって必要書類や手続が異なるため、専門家に確認しながら進めることが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 請求者が譲渡人(136条)か株式取得者(137条)かを明確にしたか
- [ ] 譲受人候補者の氏名又は名称・住所・連絡先を記載したか
- [ ] 譲渡しようとする株式の種類及び数を記載したか
- [ ] 株券発行会社の場合、株券番号及び株券の添付要否を確認したか
- [ ] 不承認の場合の買取請求の有無を明記したか
- [ ] 株式取得を証する書面(売買契約書・相続を証する書面等)を添付したか
- [ ] 会社の承認機関(取締役会又は株主総会)を確認したか
- [ ] 請求書の提出日及び到達日を記録したか
- [ ] みなし承認となる期間の起算日を把握したか
- [ ] 定款に承認手続に関する別段の定めがないか確認したか