会議室や共用スペースの予約と利用ルールを定める規程です。優先順位、キャンセル、社外者の利用、原状回復の義務を規定します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
会議室・共用施設利用規程
第1部: 書式本文
会議室・共用施設利用規程
(目的) 第1条 本規程は、【株式会社〇〇】(以下「会社」という。)が管理する会議室、応接室、リフレッシュスペースその他の共用施設(以下「共用施設」という。)の利用方法及び利用者の遵守事項を定め、施設の適正な管理と円滑な利用を図ることを目的とする。
(適用範囲) 第2条 本規程は、会社の従業員、派遣労働者、業務委託先の担当者その他会社の許可を得て共用施設を利用する全ての者(以下「利用者」という。)に適用する。
(予約の方法) 第3条 共用施設の利用を希望する者は、会社が指定する予約システム又は予約簿により、事前に予約を行わなければならない。 2 予約は、原則として利用日の【1か月前】から受け付ける。
(利用の優先順位) 第4条 共用施設の予約が重複した場合の優先順位は、次の各号の順による。 一 【役員会・取締役会等】の会社主催の公式会議 二 顧客又は取引先を招く対外的な打合せ 三 社内定例会議 四 その他の社内利用 2 前項の優先順位によっても調整できない場合は、【施設管理者】が利用者間の調整を行う。
(利用時間及び原状回復) 第5条 利用者は、予約した時間内で共用施設を利用するものとし、終了後は速やかに、備品の配置、照明・空調の消灗、ゴミの持ち帰り等、原状回復の措置を講じなければならない。
(キャンセル及び変更) 第6条 利用者は、予約を取り消し又は変更する場合は、利用開始【24時間】前までに予約システムを通じて手続をしなければならない。 2 前項の期限を過ぎたキャンセル(無断キャンセルを含む。)が繰り返される場合、会社は当該利用者又は所属部門の予約権限を一定期間制限することができる。
(社外者の利用) 第7条 社外者を共用施設に招く場合、利用者は事前に来訪者情報(氏名、所属、来訪目的、来訪予定時刻)を【受付システム/入退館管理台帳】に登録しなければならない。 2 社外者は、常に利用者又は会社の担当者が同行し、単独で共用施設以外のエリアに立ち入らせてはならない。 3 会社は、入退館情報を防犯及び安全管理の目的の範囲で保有し、目的外に利用しない。
(利用時の遵守事項) 第8条 利用者は、共用施設の利用に際し、次の各号の事項を遵守しなければならない。 一 施設・設備・備品を故意又は過失により損傷しないよう注意して使用すること 二 火気の使用、危険物の持込みを行わないこと 三 会社が指定する場合を除き、施設内での飲食を制限された区域で行わないこと 四 大音量の音響機器の使用等、他の利用者の業務に支障を及ぼす行為を行わないこと 五 施設内の掲示物、備品配置を許可なく変更しないこと
(損傷・汚損時の取扱い) 第9条 利用者の故意又は重大な過失により、共用施設又はその設備・備品を損傷したときは、会社は、当該利用者又はその所属部門に対し、修繕又は原状回復に要する実費の負担を求めることができる。
(設備の貸出し) 第10条 プロジェクター、ウェブ会議機材その他の備品の貸出しを希望する者は、事前に【施設管理者】に申請し、承認を得るものとする。貸出品は使用後速やかに返却しなければならない。
(利用制限・禁止) 第11条 会社は、次の各号のいずれかに該当する場合、共用施設の利用を制限し、又は禁止することができる。 一 本規程に違反したとき 二 施設の保守点検その他会社の管理上の必要があるとき 三 その他会社が利用を不適当と認めたとき
(緊急時の対応) 第12条 火災、地震その他の緊急事態が発生した場合、利用者は会社の定める避難経路及び手順に従い、施設管理者の指示に従うものとする。
(規程の改廃) 第13条 本規程の改廃は、【総務部門統括責任者】の決裁により行う。
附則 本規程は、【令和〇年〇月〇日】から施行する。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 施設管理者側の運用場面
A-1 稼働率の低い会議室の優先開放を定める例 「予約開始から【48時間】を経過しても稼働率が【50%】に満たない会議室については、施設管理者の判断で他部門への優先利用案内を行うことができる。」 一言解説:会議室の抱え込み(過剰予約)を防ぎ、限られた施設資源の有効活用を図る管理者側の運用ルールである。
A-2 大規模イベント時の一括貸切りに関する記載例 「全社イベント又は株主総会等、会社主催の大規模行事のために共用施設を貸し切る場合、施設管理者は【2週間前】までに利用予定部門へ周知するものとする。」 一言解説:通常予約者との調整を事前に行い、混乱を防ぐための管理者向け運用規定である。
A-3 セキュリティレベルに応じた施設区分を追加する例 「会議室は、取扱う情報の機密性に応じて『一般会議室』と『機密会議室』に区分し、機密会議室の利用には別途アクセス権限の付与を要する。」 一言解説:情報漏えいリスクの高い商談・M&A協議等に対応するため、施設を機密性で区分する管理者側の統制強化例である。
B節: 利用者側の運用場面
B-1 部門をまたぐ共同利用時の調整ルールを追加する例 「複数部門が合同で会議室を利用する場合、代表となる部門が予約を行い、他部門は当該部門を通じて利用調整を依頼するものとする。」 一言解説:予約の重複や連絡の行き違いを防ぐため、利用者側の窓口を一本化する運用ルールである。
B-2 テレワーク併用時のウェブ会議利用ルールを追加する例 「会議室からウェブ会議システムを利用する場合、利用者は会議内容が施設外に漏れないよう、通話音量及び画面共有範囲に配慮しなければならない。」 一言解説:ハイブリッド会議の普及に伴い、情報管理の観点から利用者に求める配慮事項を明文化する例である。
B-3 社外者同行時の受付手続を簡素化する例 「頻繁に来訪する取引先については、事前登録制度により、来訪の都度の詳細な情報登録を簡略化することができる。」 一言解説:日常的な取引先対応の利便性を高めつつ、入退館記録自体は省略しない形で管理水準を維持する運用の工夫である。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
使う場面・使ってはいけない場面の解説 本規程は、自社が所有又は賃借する会議室・応接室・リフレッシュスペース等の共用施設について、社内の利用ルールを定める場合に用いる。他社とのシェアオフィスやコワーキングスペースのように、施設全体の管理権限が第三者に帰属する場面では、当該施設運営者の利用規約が優先するため、本規程はその範囲内での補完的な社内ルールとして位置付ける必要がある。また、貸ビルの共用部分(エントランス、エレベーターホール等)は建物所有者又は管理組合の管理規約の適用対象であり、本規程の対象である「自社管理の共用施設」とは区別して整理すべきである。
根拠法令の解説 共用施設に対する会社の管理権限の根拠は、民法第206条にある。同条は「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」と定めており、会社が自ら所有し、又は賃借権に基づき使用する施設について、利用ルールを設定し、これに従わない利用者の利用を制限する根拠となる。また、社外者の来訪に際して氏名・所属等の入退館情報を取得・保有する場合、個人情報保護法の適用を受ける。同法第17条は個人情報の適正な取得を、第20条は取得した個人データについて漏えい・滅失・毀損を防止するための安全管理措置を講じる義務を、それぞれ個人情報取扱事業者に課している。防犯目的で保有する入退館記録についても、利用目的の範囲を超えた第三者提供や目的外利用を行わないよう留意する必要がある。
よくある失敗と条項上の対策 第一に、予約の優先順位を定めていないため、会議室の取り合いが常態化し、社内トラブルの原因となる例が多い。第4条のように優先順位のルールを明文化し、調整権限者を明確にすることが対策となる。第二に、無断キャンセルが横行し、実際には使われない「空予約」が施設の稼働率を圧迫する例がある。第6条のようにキャンセル期限と違反時の予約権限制限を規定することで抑止効果を持たせられる。第三に、来訪者の入退館情報を漫然と収集・保管し、利用目的や保管期間を定めていないため、個人情報保護法上の適正管理義務との関係で問題となり得る例がある。取得目的・保管期間・アクセス権者を規程上又は付随する個人情報保護方針上で明確にすることが望ましい。これらの管理体制の適否については個別の施設状況によって判断が異なるため、個別事案は弁護士等の専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- 対象となる共用施設の範囲(会議室・応接室・リフレッシュスペース等)を明記したか
- 予約方法及び受付開始時期を具体的に定めたか
- 予約重複時の優先順位と調整権限者を明確にしたか
- キャンセル期限とその違反時の対応(予約権限制限等)を定めたか
- 原状回復義務(備品配置、清掃、消灯等)を明記したか
- 社外者利用時の入退館情報の取得・登録手続を定めたか
- 個人情報保護法上の安全管理措置(目的外利用の禁止等)に配慮したか
- 損傷・汚損時の費用負担ルールを明記したか
- 設備・備品の貸出手続と返却義務を定めたか
- 民法上の施設管理権(所有権・賃借権)の範囲と規程の対象施設が一致しているか確認したか
- 緊急時(火災・地震等)の対応手順を定めたか
- シェアオフィス等第三者管理施設との適用範囲の切り分けを確認したか