私署証書に確定日付を付与してもらうための申請書式です。確定日付の効力、債権譲渡通知での活用場面を整理します。関連書式とあわせて使うことで手続の漏れを防げます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
確定日付付与申請書
第1部: 書式本文
確定日付とは、私署証書(当事者間で作成した契約書・通知書などの私文書)について、その日にその証書が存在していたことを公証人が証明する制度である。証書の内容の真実性や成立の真正を証明するものではない点に注意が必要である。以下は公証役場に対して確定日付の付与を申請する際の標準的な記載項目と記載例である。
1. 申請書の表題 「確定日付付与申請書」と明記する。
2. 申請年月日 【令和◯年◯月◯日】
3. 申請人の表示 住所:【東京都◯◯区◯◯町◯丁目◯番◯号】 氏名(名称):【申請人氏名または法人名】 (法人の場合)代表者の資格及び氏名:【代表取締役 甲野太郎】 連絡先電話番号:【000-0000-0000】
4. 対象証書の表示 証書の標題:【債権譲渡通知書】 作成年月日:【令和◯年◯月◯日】 作成者:【甲野太郎】 通数:【正本1通・副本1通】(必要に応じて謄本の作成を依頼)
5. 申請の趣旨 「上記証書について、民法施行法第5条に定める方法により確定日付を付与されたく申請する。」
6. 添付書類 ・対象証書原本【1通】 ・申請人の本人確認資料(運転免許証等)【写し1通】 ・(代理申請の場合)委任状【1通】
7. 手数料 確定日付付与の手数料は証書1通につき700円(令和6年時点、公証人手数料令による)。持参する証書の通数分の手数料を現金で用意する。
8. 公証人による付与欄(役場記入欄) 「本証書は令和◯年◯月◯日、当職の面前において提出されたことを証明する。」 公証人氏名:【 】 印
9. 留意事項の記載 「本申請は証書の内容の真正または当事者の意思表示の真実性を証明するものではなく、当該日付に証書が存在したことのみを証明するものであることを確認する。」
10. 申請人署名欄 申請人:【署名または記名押印】
11. 複数通提出時の一覧表(必要な場合) 同一機会に複数の証書について確定日付を求める場合は、以下のような一覧表を添付すると窓口での確認作業が円滑になる。
番号 | 証書標題 | 作成年月日 | 枚数
1 | 債権譲渡通知書 | 令和◯年◯月◯日 | 1枚
2 | 業務委託契約解除通知 | 令和◯年◯月◯日 | 2枚
上記のとおり、証書原本を持参のうえ最寄りの公証役場窓口で申請する。郵送による確定日付付与は原則として取り扱われないため、代理人による持参が困難な場合は委任状を用意して代理申請とする。また、公証役場によっては事前予約制を採用している場合があるため、来訪前に電話またはウェブサイトで受付方法・待ち時間を確認しておくことが望ましい。証書が複数枚にわたる場合は、ページ間に契印(割印)を施したうえで持参すると、証書の同一性確認がより円滑に進む。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 申請者側の視点からの書き換え
申請者(債権譲渡通知の通知人となる場合など)は、確定日付を急いで取得する必要がある場面が多い。第4条の「作成年月日」欄について、証書に日付を記載していない場合は付与ができないため、申請前に必ず証書本文に作成年月日を明記しておく。また第9条の留意事項は、後日「確定日付があるから内容も真実だ」という誤解による紛争を防ぐために申請者自身が理解しておくべき条項であり、削除せず残すことが望ましい。
急ぎの場合の書き換え例として、第2条の下に「緊急対応希望:即日交付を希望する」旨を付記し、事前に公証役場へ電話で在庫状況・待ち時間を確認したうえで来訪する運用に変更する。これは公証役場の窓口対応時間に限りがあるため、書面上の記載だけでなく実務上の事前連絡が実効性を左右するからである。
B節: 公証役場側の視点からの書き換え
公証役場(公証人)の立場では、申請書の記載が公証人法上の職務執行の根拠資料となるため、第4条の証書表示欄をより厳密にし、「証書の枚数」「契印の有無」を追加項目として設けることが望ましい。これは後日、付与した確定日付と証書との同一性について疑義が生じた場合に、公証人が説明責任を果たすための備えとなる。
また、代理申請を受け付ける場合は第6条の委任状について「委任者の実印および印鑑登録証明書の添付」を求める記載に修正する。本人確認を厳格化することで、なりすまし申請による確定日付の不正取得を防止する趣旨である。
場面バリエーション: 債権譲渡通知に用いる場合
民法467条2項により、債権譲渡を債務者以外の第三者に対抗するためには、確定日付のある証書による通知または承諾が必要とされる。この場面では第4条の証書標題を「債権譲渡通知書」とし、申請の趣旨欄に「第三者対抗要件具備のため」と付記することで、後日の紛争時に申請目的が明確になる。
場面バリエーション: 会社(法人)が申請人となる場合
申請人が法人である場合、第3条の申請人表示欄に代表者の資格および氏名を併記し、法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の写しを添付書類に加えることが望ましい。個人の実印による申請とは異なり、法人代表印(実印)の押印および印鑑証明書の添付を求められる場合があるため、事前に管轄公証役場へ必要書類を照会しておくと手続がスムーズになる。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面 私署証書の存在時期を客観的に証明したい場合、特に債権譲渡通知(民法467条2項)、金銭消費貸借契約の締結日、著作物の完成時期の証明などに用いる。確定日付は民法施行法5条に列挙された方法(公証人による日付印付与、私署証書の認証等)によってのみ生じる効力であり、公証人法に基づき公証人が職務として行う。
使ってはいけない場面 確定日付は証書の内容が真実であることや、当事者の意思表示が有効であることを証明するものではない。したがって、契約内容の適法性や意思表示の瑕疵の有無について争いがある場面で、確定日付の取得のみをもって紛争を解決しようとするのは誤りである。内容の真正性を争う可能性がある場合は、公正証書の作成など別の手段を検討すべきである。
よくある失敗と対策 第一に、証書に作成日付の記載がないまま持参し、窓口で付与を断られるケースがある。対策として、申請前に証書本文の末尾に日付欄を設け、署名前に必ず記入しておく。 第二に、債権譲渡通知の場面で、確定日付は通知書自体に付与すれば足りると誤解し、通知の到達(民法467条参照、到達主義)を怠るケースがある。確定日付はあくまで書面の存在時期の証明であり、通知の効力発生には別途到達が必要である旨を第2部B節と併せて確認する。 第三に、代理人による申請で委任状の記載が不備なため受付を拒否されるケースがある。委任状には委任者・受任者の氏名住所、委任事項、日付を明記し、可能であれば実印を押印する。 第四に、証書の内容自体に法令違反や公序良俗違反の疑いがある場合でも、確定日付さえ得れば有効性が保証されると誤解して手続を進めてしまうケースがある。公証人は証書の内容の適法性を審査する立場にないため、内容面の適法性については別途、契約審査等の手続で確認する必要がある。
個別の事案における確定日付の要否や取得方法の当否については、弁護士等の専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 証書本文に作成年月日が明記されているか
- [ ] 申請人の氏名・住所が本人確認資料と一致しているか
- [ ] 対象証書の通数と申請書記載の通数が一致しているか
- [ ] 代理申請の場合、委任状に委任事項・日付・押印があるか
- [ ] 手数料(証書1通あたり700円程度)を現金で準備しているか
- [ ] 債権譲渡通知に用いる場合、通知の到達手段(内容証明郵便等)も別途手配しているか
- [ ] 公証役場の受付時間・持参書類の要否を事前に電話確認したか
- [ ] 証書の内容自体について、確定日付では真正性が証明されない旨を関係者に説明したか
- [ ] 副本・謄本の要否を事前に検討したか
- [ ] 申請書の最終版に誤字脱字がないか、証書の名称と一致しているか
- [ ] 法人申請の場合、代表者資格を証する書類(登記事項証明書等)を準備しているか
- [ ] 証書が複数枚にわたる場合、契印(割印)が施されているか
- [ ] 事前予約制の公証役場かどうかを確認したか