屋外看板や広告塔を設置するため土地建物の一部を使用させる契約書。民法第601条の賃貸借を基礎に、屋外広告物法の許可取得や倒壊事故時の責任分担を規定する。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
看板・広告塔設置に関する土地建物使用契約書
第1部: 書式本文
看板・広告塔設置使用契約書
土地建物所有者【所有者氏名・名称】(以下「甲」という。)と、広告主(広告会社)【広告主氏名・名称】(以下「乙」という。)は、次のとおり看板・広告塔設置のための使用契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(目的) 甲は乙に対し、下記土地又は建物の一部(以下「本件設置場所」という。)を、乙が看板・広告塔(以下「本件広告物」という。)を設置し広告掲出する目的で使用させ、乙はこれを使用する。 - 所在地: 【所在地】 - 設置場所の特定: 【建物外壁・屋上・敷地内の位置等】 - 本件広告物の種別・規模: 【看板・広告塔の種類、寸法、高さ】
第2条(使用期間) 本契約の使用期間は、【始期】から【終期】までの【 】年間とする。
第3条(使用料) 乙は甲に対し、使用料として月額(又は年額)金【 】円を、【支払時期・方法】により支払う。
第4条(許可取得義務) 1. 乙は、本件広告物の設置にあたり、屋外広告物法及び関係条例に基づく屋外広告物の許可を、自己の責任と負担において取得する。 2. 乙は、建築基準法上の工作物確認(広告塔等で高さ4メートルを超えるもの等)が必要な場合、当該確認手続を自己の責任と負担において行う。 3. 甲は、乙による許可取得手続に必要な範囲で、本件設置場所の所有権を証する書類等の協力を行う。
第5条(設置工事) 1. 乙は、本件広告物の設置工事を行うときは、事前に甲の承諾を得るとともに、建物の構造・耐荷重に影響を及ぼさない工法で施工する。 2. 乙は、工事に伴い建物又は敷地に損傷を生じさせた場合、自己の費用でこれを修復する。
第6条(維持管理・安全確保) 1. 乙は、本件広告物の維持管理を自己の責任と負担で行い、法令上義務付けられる定期点検(工作物定期報告等)を実施する。 2. 乙は、台風・地震その他の事由による本件広告物の倒壊、落下等の事故を防止するため、必要な補強・点検を行う。
第7条(事故発生時の責任) 1. 本件広告物の倒壊、落下、脱落等により第三者に損害が生じた場合、当該損害は、本件広告物の設置・保存の瑕疵に起因するものである限り、乙が責任を負う。 2. 乙は、前項の責任に備え、乙の費用負担で施設賠償責任保険その他の保険に加入する。
第8条(原状回復) 乙は、本契約終了時、自己の費用で本件広告物を撤去し、本件設置場所を原状に回復して甲に返還する。
第9条(解除) 甲は、乙が使用料の支払を【 】か月分以上怠ったとき、又は屋外広告物法上の許可を取得せずに広告物を設置し是正しないときは、本契約を解除することができる。
第10条(協議事項) 本契約に定めのない事項は、甲乙誠実に協議して定める。
以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。
【締結日】
甲: 【住所】 【氏名・名称】 印 乙: 【住所】 【氏名・名称】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 土地建物所有者向け(景観・美観への配慮を求める場合)
A-1 第5条への追加例 「乙は、本件広告物のデザイン、色彩及び照明について、事前に甲の承諾を得るものとし、景観法又は関係条例に基づく景観計画区域内にある場合は、当該計画の基準に適合するデザインとする。」 一言解説: 景観計画区域や屋外広告物条例による色彩・意匠規制がある地域では、所有者が広告物のデザイン承認権を留保しておくことで、地域規制違反によるトラブルを未然に防げる。
B節: 広告主・広告会社向け(複数区画への出稿を想定する場合)
B-1 第1条・第3条の修正例 「本契約は、甲が所有する複数の設置場所(別紙一覧のとおり)について包括的に適用し、使用料は設置場所ごとに別紙記載の金額とする。個別の設置場所の追加・削除は、甲乙合意のうえ別紙を更新することにより行う。」 一言解説: 複数拠点に看板を展開する広告会社は、個別契約を都度締結するのではなく、包括契約と別紙管理により契約事務の効率化を図ることができる。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、建物外壁、屋上、敷地内の空地等に看板・広告塔を設置するため、当該場所を使用させる場面で使用する。建物の一室や全体を賃貸する通常の建物賃貸借とは異なり、設置スペースの限定的な使用権を設定する契約であるため、借地借家法の適用の有無について契約書上の位置づけを明確にしておくことが望ましい。
根拠法令は、使用対価を伴う土地建物の一部使用として民法第601条の賃貸借の性質を有するが、屋外広告物の表示・設置については屋外広告物法に基づき都道府県又は市町村が条例で規制しており、許可を要する地域・広告物の種類・規格が細かく定められている。無許可設置は屋外広告物法及び条例上の罰則の対象となりうるため、許可取得義務の所在を契約書で明確にする必要がある。また、高さ4メートルを超える広告塔等は建築基準法上の工作物に該当し、確認申請及び定期報告(建築基準法第12条)の対象となる場合がある。
実務でよくある失敗の一つ目は、屋外広告物の許可取得義務が甲乙いずれにあるか契約書に明記せず、無許可のまま広告物が設置され、行政指導や除却命令の対象となることである。本書式第4条のように、許可取得義務を広告主側に明確に負わせ、所有者側は必要書類の提供に協力する役割分担とすることが実務上一般的である。
二つ目の失敗は、広告物の倒壊・落下事故が発生した場合の責任の所在を明確にしておらず、被害者からの損害賠償請求に対し所有者と広告主の間で責任のなすりつけ合いが生じることである。民法第717条の土地工作物責任は、第一次的に占有者(設置・管理者)、占有者が損害の防止に必要な注意をしていたときは所有者が無過失責任を負うとされているため、第7条のように広告物の設置・保存の瑕疵に起因する責任を広告主が負う旨を契約上明確にし、保険加入を義務付けておくことが重要である。
三つ目の失敗は、定期点検や補強工事を怠り、老朽化した広告物が台風等で落下する事故につながることである。工作物定期報告制度の対象となる規模の広告塔については、法令上の点検義務があることを契約書にも明記し、実施状況を所有者に報告させる仕組みを設けることが望ましい。
四つ目の失敗は、使用期間の満了に伴う更新の可否や更新拒絶の手続を曖昧にしたまま契約を締結し、広告主側が長期的な出稿計画を立てられない、あるいは所有者側が別の用途への転用機会を逃すことである。第2条のような更新条項を設ける場合には、更新拒絶の予告期間と、更新しない場合の原状回復スケジュールをあわせて明記しておくことが望ましい。
屋外広告物の許可基準や建築基準法上の工作物確認の要否は自治体・広告物の規模により異なるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 設置場所(壁面・屋上・敷地内)を具体的に特定したか
- [ ] 屋外広告物法・条例上の許可取得義務の所在を明記したか
- [ ] 建築基準法上の工作物確認・定期報告の要否を確認したか
- [ ] 使用料の額・支払時期を明記したか
- [ ] 設置工事における建物構造・耐荷重への配慮を定めたか
- [ ] 広告物の倒壊・落下事故時の責任分担(民法第717条を踏まえた整理)を明記したか
- [ ] 施設賠償責任保険等の加入義務を定めたか
- [ ] 定期点検・補強の実施義務と報告方法を定めたか
- [ ] デザイン・色彩に関する承諾権限(景観規制対応)を定めたか
- [ ] 契約終了時の撤去・原状回復義務を明記したか