環境目標の設定から内部監査、マネジメントレビューまでの運用手順を定める規程です。文書管理と是正処置の手続も規定します。社内の承認手続と証跡管理にもそのまま活用できます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
環境マネジメントシステム運用規程
第1部: 書式本文
環境マネジメントシステム運用規程
第1条(目的) 本規程は、【会社名】(以下「当社」という。)の環境方針を実現するため、環境マネジメントシステム(以下「EMS」という。)の構築、運用、維持及び改善に関し必要な事項を定めることを目的とする。
第2条(適用範囲) 本規程は、当社の全部門(【対象事業所を記載】)における事業活動に適用する。
第3条(体制) 1. 当社に環境管理責任者を置き、EMSの構築・運用・維持について統括する権限及び責任を有する。 2. 各部門に環境推進担当者を置き、当該部門におけるEMSの実施を担当する。
第4条(環境目標及び目的の設定) 1. 環境管理責任者は、環境方針に基づき、毎事業年度、全社及び各部門の環境目標及び目的を設定する。 2. 環境目標及び目的は、測定可能な指標及び達成期限を伴うものとする。
第5条(実施計画) 各部門は、設定された環境目標を達成するための実施計画(担当者、スケジュール、必要な資源を含む。)を策定する。
第6条(教育訓練) 1. 当社は、全従業員に対し、EMSに関する教育を年1回以上実施する。 2. 環境影響の大きい業務に従事する従業員に対しては、当該業務に特有の教育訓練を追加で実施する。
第7条(文書管理) 1. EMSに関する文書(規程、手順書、記録様式等)は、文書管理台帳に登録し、版数管理を行う。 2. 文書の改定は、環境管理責任者の承認を経て行う。
第8条(記録の管理) EMSの運用により生じた記録(教育記録、監査記録、是正処置記録等)は、種類ごとに定める保存期間、当社所定の場所に保存する。
第9条(内部監査) 1. 当社は、EMSが本規程及び関連法令等の要求事項に適合し、有効に実施・維持されているかを検証するため、年1回以上の内部監査を実施する。 2. 内部監査は、被監査部門と独立した立場の内部監査員が実施する。
第10条(不適合及び是正処置) 1. 内部監査又は日常の業務において不適合(本規程・法令等からの逸脱)が発見された場合、当該部門は原因を分析し、是正処置計画を立案する。 2. 是正処置の実施状況は、環境管理責任者が確認し、必要に応じて有効性を検証する。
第11条(緊急事態への準備及び対応) 当社は、環境事故等の緊急事態を想定した対応手順を整備し、定期的な訓練を実施する。
第12条(マネジメントレビュー) 1. 経営者は、年1回以上、EMSの適切性、妥当性及び有効性を評価するマネジメントレビューを実施する。 2. マネジメントレビューの結果は、環境目標の見直し、資源配分の決定等に反映する。
第13条(法令等の遵守評価) 当社は、事業活動に適用される環境関連法令等について、定期的に遵守状況を評価し、環境関連法令遵守評価表等を用いて記録する。
第14条(改廃) 本規程の改廃は、環境管理責任者の起案により、【取締役会・経営会議】の承認を経て行う。
制定日:【 】 【会社名】代表者:【 】
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 環境管理責任者が体制を明確化したい場合
第3条に「環境管理責任者は代表者から権限を委譲された者とし、資源(人員・予算・設備)の確保について経営者に対し直接提言する権限を有する」との権限規定を追加する。ISO14001のトップマネジメント関与を明確にする書き換えです。
B節: 中小企業で兼任体制により運用する場合
第3条・第9条を修正し、「環境推進担当者は他業務との兼任を妨げないが、内部監査については利害関係のない者(外部の専門家を含む)が実施することができる」との柔軟な体制を認める規定に修正する。
C節: 複数事業所で認証範囲が異なる場合
第2条を拡充し、「認証取得の対象事業所と対象外事業所を区分し、対象外事業所についても本規程に準じた自主的な運用に努める」との段階的展開の条項を追加する。
D節: 是正処置が繰り返し発生する場合
第10条に「同一部門において同種の不適合が【2】回以上発生した場合、環境管理責任者は当該部門の業務プロセスそのものの見直しを指示する」との再発防止の強化条項を追加する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、ISO14001の認証取得又は自主的な環境マネジメントシステムの運用を行う企業が、環境方針を実行に移すための社内規程を整備する場面で使用します。環境方針が理念を示す文書であるのに対し、本規程はその実行体制、計画、監査、是正処置、マネジメントレビューといったPDCAサイクルの具体的な手続を定める点に特徴があります。単に規程を制定するだけで実際の運用(内部監査の実施、是正処置の記録化等)が伴わない場合、認証審査における不適合の指摘対象となるだけでなく、環境法令違反が発生した際に社内の管理体制の不備を問われるリスクが高まります。
本規程自体はISO14001という民間規格に基づく任意の文書ですが、第13条のように法令等の遵守評価の仕組みを組み込むことで、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、廃棄物処理法、化学物質排出把握管理促進法(化管法)、フロン排出抑制法等、事業活動に適用される個別法令の遵守状況を体系的に把握する機能を持たせることができます。また、内部監査や是正処置の記録は、行政による立入検査や取引先によるデューデリジェンスの際に、管理体制の実効性を示す証跡としても重要な役割を果たします。
よくある失敗として、第一に、内部監査を形式的に実施するにとどまり、被監査部門との独立性が確保されていないケースがあります。第9条のように独立した立場の監査員が実施する旨を明記し、必要に応じて外部専門家の活用も検討することが対策です。第二に、是正処置が個別事案の応急対応にとどまり、根本原因への対策や再発防止策が講じられないケースです。第10条のように再発時の対応強化条項を設けることが有効です。第三に、マネジメントレビューが形骸化し、環境目標の見直しや資源配分の決定に結びついていないケースです。第12条のようにレビュー結果の反映先を明記することが望まれます。本規程の運用が実際の法令遵守として十分と評価されるかは事業の実態によるため、個別事案は専門家に確認することをお勧めします。特に、環境法令違反により行政処分を受けた場合、社内規程の整備状況及び運用実績は、経営責任の有無を判断する上での重要な資料となり得る点も念頭に置く必要があります。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 環境管理責任者及び環境推進担当者の権限と責任を明確にしたか
- [ ] 環境目標・目的が測定可能な指標を伴っているか確認したか
- [ ] 教育訓練の対象者・頻度・内容を明記したか
- [ ] 文書管理(版数管理・承認プロセス)の仕組みを整備したか
- [ ] 記録の種類ごとの保存期間を定めたか
- [ ] 内部監査の実施頻度及び監査員の独立性を確保したか
- [ ] 不適合発生時の是正処置プロセス(原因分析・有効性検証)を定めたか
- [ ] 緊急事態対応手順及び訓練の実施計画を整備したか
- [ ] マネジメントレビューの実施頻度及び反映先を明記したか
- [ ] 法令等の遵守評価の実施方法(評価表の活用等)を定めたか
- [ ] 本規程の改廃手続(承認者・承認プロセス)を明記したか
- [ ] 複数事業所がある場合、適用範囲・認証範囲の区分を明確にしたか