通常総会や臨時総会の議決内容を記録する議事録です。議決権行使書と委任状の集計、区分所有法の決議要件の充足を明記します。相手方との認識のずれを防ぐ具体的な記載例を示します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
管理組合総会議事録
第1部: 書式本文
【〇〇マンション管理組合】(以下「本組合」という。)の【令和〇年度通常/臨時】総会について、次のとおり議事録を作成する。
1. 開催日時 【令和〇年〇月〇日(〇)午前/午後〇時〇分から〇時〇分まで】
2. 開催場所 【〇〇マンション集会室】
3. 組合員総数及び議決権総数 組合員総数【〇名】、議決権総数【〇個】
4. 出席状況 1. 出席組合員(本人出席)【〇名】(議決権【〇個】) 2. 議決権行使書による出席【〇名】(議決権【〇個】) 3. 委任状による出席【〇名】(議決権【〇個】) 4. 出席者合計【〇名】(議決権合計【〇個】、出席割合【〇%】) 5. 区分所有法第43条及び本組合管理規約第〇条に定める定足数(組合員総数及び議決権総数の各過半数)を充足していることを確認した。
5. 議長及び議事録署名人の選任 管理規約第〇条の定めにより、理事長【氏名】が議長となり、出席組合員のうちから議事録署名人2名(【氏名】、【氏名】)を選任した。
6. 議事
第1号議案 【令和〇年度事業報告及び収支決算承認の件】 - 議長から令和〇年度の事業報告及び収支決算(管理費会計・修繕積立金会計)について説明があった。 - 監事より会計監査の結果、適正である旨の報告があった。 - 採決の結果、賛成【〇個】、反対【〇個】、棄権【〇個】により、出席議決権の過半数の賛成を得て原案どおり承認された(通常決議)。
第2号議案 【令和〇年度事業計画及び収支予算承認の件】 - 議長から次年度の事業計画及び収支予算について説明があった。 - 採決の結果、賛成【〇個】、反対【〇個】により、出席議決権の過半数の賛成を得て原案どおり承認された(通常決議)。
第3号議案 【管理規約第〇条の変更承認の件】 - 議長から規約変更の内容(【変更点の要旨】)について説明があった。 - 採決の結果、組合員総数【〇名】中【〇名】の賛成、議決権総数【〇個】中【〇個】の賛成により、区分所有法第31条第1項に定める区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の要件を充足し、原案どおり承認された(特別多数決議)。
第4号議案 【大規模修繕工事実施及び工事請負契約締結承認の件】 - 議長から工事内容、見積り経緯(相見積りの結果)及び資金計画(修繕積立金からの充当額)について説明があった。 - 質疑応答の後、採決の結果、区分所有法第17条第1項に定める区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の要件を充足し、原案どおり承認された(特別多数決議)。
7. 閉会 以上をもって本総会の議事を終了し、議長は閉会を宣した。
上記の議事の経過の要領及びその結果を明確にするため、この議事録を作成し、議長及び議事録署名人が次に記名押印する。
議長(理事長) 【氏名】 ㊞ 議事録署名人 【氏名】 ㊞ 議事録署名人 【氏名】 ㊞
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 管理組合(理事会・議長)側の書き換えパターン
A-1. 決議要件を充足しなかった場合の記載
追加記載例:「第3号議案について採決の結果、区分所有者の賛成割合は4分の3以上に達したが、議決権割合が4分の3に満たなかったため、原案は否決された。」 一言解説: 特別多数決議は区分所有者数と議決権数の双方で要件を満たす必要があるため、いずれか一方のみが充足された場合は否決である旨を明確に記録する必要がある。
A-2. 継続審議とする場合の記載
修正後:「第4号議案については、追加の見積り資料を精査する必要があるとの意見が出されたため、議長は本議案を継続審議とし、臨時総会にて改めて審議する旨を宣した。」 一言解説: 議案を否決するのではなく審議未了で持ち越す場合、その旨と理由を明確に記録し、次回総会での取扱いを明らかにする修正である。
B. 区分所有者側の書き換えパターン
B-1. 反対意見・少数意見の記録
追加記載例:「第4号議案について、組合員【氏名】から工事費用の妥当性に関する質問があり、理事長より相見積りの内訳を示して回答した。当該組合員は反対の意思を表明した。」 一言解説: 決議後に工事の妥当性を巡って紛争が生じた場合に備え、審議過程での質疑や反対意見の内容を具体的に記録しておく修正である。
B-2. 議決権行使書の集計方法の明記
修正後:「議決権行使書及び委任状は、総会開催の前日までに理事会事務局が受領したものを有効とし、各議案の可否が記載されていない行使書は棄権として集計した。」 一言解説: 議決権行使書の集計基準を議事録上に明記することで、後日の集計の正確性に関する疑義を防ぐ修正である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、管理組合の通常総会又は臨時総会の議事内容を記録し、後日の決議の証拠及び区分所有者・購入希望者への開示資料として用いる場面で使用する。理事会における日常的な業務執行の審議は、本書式ではなく理事会議事録として別途記録すべきであり、総会議事録と理事会議事録を混同して作成すると、決議の効力を検証する際に議決権数の記載等が欠落し、後日の紛争時に不利益を被るおそれがある。
根拠法令の解説 区分所有法第39条第1項は、集会(総会)における議決権は、規約に別段の定めがない限り専有部分の床面積の割合による旨を定めており、議決権数の集計は同条を踏まえて行う。同法第43条は、通常決議は区分所有者及び議決権の各過半数で行う旨を定める一方、規約の設定・変更・廃止(同法第31条第1項)、共用部分の重大変更(同法第17条第1項)、建替え(同法第62条第1項)等については、区分所有者及び議決権の各4分の3以上又はそれ以上の特別多数決議を要求している。議事録には、これらの決議要件を実際に充足したことが客観的に確認できるよう、出席者数・議決権数・賛成数を具体的に記載する必要がある。
実務でよくある失敗と対策 第一に、特別多数決議が必要な議案であるにもかかわらず、賛成割合のみを記載して区分所有者数と議決権数のいずれの要件も充足したかを区別せずに記録してしまい、後日決議の有効性が争われる失敗がある。第3号議案・第4号議案の記載例のように、区分所有者数ベースと議決権数ベースの双方の割合を明記することが対策となる。第二に、議決権行使書・委任状の集計基準(受領期限、無効票の扱い等)を議事録に残さず、後日集計結果に疑義が生じても検証できない失敗があるが、B-2のように集計基準を明記することで対応できる。第三に、議事録に議長及び議事録署名人の記名押印を欠いたまま保管し、区分所有法上の証拠力に疑義が生じる失敗があるが、署名人2名以上の記名押印を徹底することで防止できる。決議要件の該当性や議事録の記載レベルは物件の管理規約や決議事項の内容によって異なるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 開催日時、場所及び組合員総数・議決権総数を正確に記載したか
- [ ] 出席者(本人出席・議決権行使書・委任状)を区分して集計したか
- [ ] 定足数(区分所有法第43条等)を充足していることを記載したか
- [ ] 議長及び議事録署名人の選任経過を記載したか
- [ ] 各議案について賛成・反対・棄権の議決権数を具体的に記載したか
- [ ] 通常決議と特別多数決議(区分所有法第17条・第31条・第62条等)を区別して記載したか
- [ ] 特別多数決議については区分所有者数と議決権数の双方の割合を記載したか
- [ ] 質疑応答や反対意見の要旨を必要に応じて記録したか
- [ ] 議決権行使書・委任状の集計基準(受領期限・無効票の扱い)を明記したか
- [ ] 継続審議・否決となった議案の取扱いを明確にしたか
- [ ] 議長及び議事録署名人2名以上の記名押印を得たか
- [ ] 決議事項が管理規約上の理事会決議事項と混同されていないか確認したか