日々の警備実施状況を記録する日誌の書式です。巡回時刻、異常の有無、来訪者対応、引継事項を残し事故時の証拠となります。提出先や保存期間の目安もあわせて整理しています。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
警備日誌様式
第1部: 書式本文
本様式は、警備員が日々の警備実施状況を記録するための日誌であり、事故発生時の証拠及び施設管理者への引継資料として用いる。
1. 基本記載欄 - 対象施設名:【 】 - 記載年月日(曜日):【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日( )】 - 記載警備員氏名:【 】 - 勤務時間帯:【〇〇時〇〇分~〇〇時〇〇分】
2. 巡回記録欄 | 巡回回次 | 実施時刻 | 巡回経路 | 異常の有無 | 対応内容 | |---|---|---|---|---| | 第1回 | 【 時 分】 | 【1階~地下1階】 | 【有・無】 | 【異常があった場合の対応を具体的に記載】 | | 第2回 | 【 時 分】 | 【 】 | 【有・無】 | 【 】 |
(巡回回数分の行を追加すること。異常「有」の場合、発見時刻、発見箇所、状況、応急措置、報告先及び報告時刻を必ず記載する。)
3. 来訪者対応記録欄 | 来訪時刻 | 来訪者氏名・所属 | 訪問先 | 入館証番号 | 退出時刻 | |---|---|---|---|---| | 【 時 分】 | 【 】 | 【 】 | 【 】 | 【 時 分】 |
4. 設備・機器点検欄 - 防犯カメラ・センサー作動確認:【正常・異常】(異常時は内容を付記) - 鍵の授受記録:【授受時刻・相手方氏名】 - 防災設備(消火器、非常灯等)の目視確認:【正常・異常】
5. 異常事態発生時の記録欄 発生時刻、発見の経緯、被害状況、初動対応(通報先・通報時刻)、施設管理者への報告時刻及び報告内容、事後対応(警察・消防対応、応急修理手配等)を時系列で具体的に記載する。
6. 引継事項欄 次直の警備員へ申し送る事項(未対応の異常、来客予定、鍵の所在等)を記載し、引継相手の受領署名を得る。
7. 承認欄 記載警備員署名:【 】/ 現場責任者確認署名:【 】/ 施設管理者確認署名(必要な場合):【 】
8. 提出先及び保存期間 本日誌は、翌営業日までに施設管理者又は警備会社の管理部門に提出し、事故発生時の証拠資料として、少なくとも【3】年間(重大事故に関するものは事故解決まで)保存するものとする。デジタル形式で記録する場合も、改ざん防止のため入力後の修正履歴が残る方式によることが望ましい。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 警備員向け書き換え
A-1. 深夜無人化施設で単独勤務する場合
6.引継事項欄の運用ルール追加例:「単独勤務の場合、次直警備員が到着するまでの間、施設管理者が指定する緊急連絡先に対し、勤務終了予定時刻の【30】分前に定時連絡を行い、応答がない場合は施設管理者が安否確認を行う。」 解説: 単独勤務では引継相手が不在となるリスクがあるため、定時連絡の仕組みを日誌の運用ルールとして明記しておくと異常事態の早期発見につながる。
A-2. 異常発見時の記載が簡略になりがちな場合
5.異常事態発生時の記録欄の記載例:「発見時刻18時05分。3階倉庫にてガラス破損を発見。18時07分施設管理者へ電話報告。18時10分警察へ通報(受理番号【 】)。18時30分警察官到着、現場保存措置実施。」 解説: 「異常あり、対応済み」のような簡略な記載では事故発生時の証拠として不十分となるため、時刻を分単位で記録する具体的な記載例を日誌の記入要領に添えておくとよい。
B. 施設管理者向け書き換え
B-1. 複数の警備会社が交替で勤務する施設の場合
4.設備・機器点検欄の追加例:「点検実施警備会社名欄:当日の点検を実施した警備会社名を記載し、異常発見時は前直の点検記録と照合の上、発生時期を特定できるようにする。」 解説: 複数の警備会社が交替勤務する施設では、異常発生の責任時期の特定が困難になりやすいため、点検実施主体を明記する運用が有用である。
B-2. 日誌の保存期間を施設固有の事情に応じて延長したい場合
8.提出先及び保存期間の修正例:「本日誌は、施設の火災保険契約及び工作物責任(民法第717条)に関する立証資料としても利用する可能性があるため、少なくとも【5】年間保存するものとする。」 解説: 施設側が保険金請求や損害賠償請求の資料として日誌を利用する可能性がある場合、標準的な保存期間より長期の保存を定めておくと有事の際に有用である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面・使ってはいけない場面 本様式は、常駐警備又は巡回警備において、日々の実施状況を客観的に記録し、事故発生時の証拠及び関係者間の引継資料として用いる場合に使用する。機械警備のみで警備員が常駐しない施設については、監視センターの受信記録や出動記録簿など別の様式での記録管理がなじむ場合があり、本様式をそのまま転用する際は記載項目を実態に合わせて調整する必要がある。
根拠法令及び留意点 警備日誌そのものを直接義務付ける規定は警備業法上存在しないが、警備業法第19条に基づく重要事項説明書面において苦情の処理方法等の記載が求められること、また同法第45条の立入検査において業務実施状況の確認資料として日誌の提示を求められることがあるため、実務上、警備業務の適正な実施を裏付ける資料として日誌の整備が求められる。また、施設内で事故が発生し、施設管理者が民法第717条の工作物責任や使用者責任(同法第715条)を問われる場面では、日誌の記載が過失の有無を判断する重要な証拠となる。個人情報保護法との関係では、来訪者氏名等を記録する第3項の運用にあたり、記録の保管・廃棄方法について安全管理措置を講じることが望ましい。
実務でよくある失敗と対策 第一に、異常の有無欄に「無」とだけ記載し、巡回を実際に実施したことを裏付ける具体的記録(時刻・経路)が残らない失敗がある。巡回記録欄に回次ごとの実施時刻と経路を記載する運用を徹底することで対策となる。第二に、異常発生時の記載が事後にまとめて作成され、時系列の正確性に疑義が生じる失敗がある。第2部A-2のように分単位での時系列記載を徹底し、可能な限りリアルタイムで記録する。第三に、引継事項の記載が漏れ、未対応の異常が次直に伝わらず対応が遅延する失敗がある。引継相手の受領署名を必須とする運用にすることで対策となる。日誌の証拠としての価値は記載の具体性と正確性に依存するため、事故対応時の記載方法や保存期間の設計については専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 対象施設名・記載年月日・記載警備員氏名・勤務時間帯を記載する欄を設けたか
- [ ] 巡回記録欄に回次ごとの実施時刻・経路・異常の有無を記載する形式になっているか
- [ ] 異常発見時の記載項目(発見時刻・状況・応急措置・報告先)を具体的に定めたか
- [ ] 来訪者対応記録欄(来訪時刻・氏名・訪問先・入館証番号)を設けたか
- [ ] 設備・機器点検欄(カメラ、鍵授受、防災設備)を設けたか
- [ ] 引継事項欄及び引継相手の受領署名欄を設けたか
- [ ] 記載警備員及び現場責任者の確認署名欄を設けたか
- [ ] 提出先(施設管理者・警備会社管理部門)及び提出期限を明記したか
- [ ] 保存期間(通常事案・重大事故の別)を定めたか
- [ ] 個人情報(来訪者情報等)の保管・廃棄方法について安全管理措置を検討したか