戸建住宅の増改築・リフォーム向け工事請負契約書。建設業法19条の必要記載事項に対応。
建設工事請負契約書(民間小規模・リフォーム向け・監修用ドラフト)
⚠ 本ファイルは弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布を禁止する。
商品ID: kensetsu-koji-ukeoi-keiyaku / 価格: 3,480円 / 立場バージョン: 発注者側有利・請負者側有利・標準(中立)
本ドラフトは戸建住宅の増改築・リフォーム等、民間かつ小規模の建設工事を想定した請負契約書である。建設業法第19条が定める必要記載事項(工事内容、請負代金の額、工期、支払の時期・方法、契約不適合責任の定め等)を満たす構成とし、第1部には標準(中立)版を掲載する。
第1部: 契約書本文(標準版・中立)
工事請負契約書
〇〇〇〇(以下「発注者」という。)と〇〇〇〇(以下「請負者」という。)とは、下記工事(以下「本工事」という。)について、次のとおり建設工事請負契約(以下「本契約」という。)を締結する。
記
工事名称:〇〇〇〇工事 工事場所:〇〇〇〇 工期:着手〇〇〇〇年〇〇月〇〇日から完成〇〇〇〇年〇〇月〇〇日まで 請負代金:金〇〇〇〇円(うち消費税及び地方消費税額〇〇〇〇円) 契約書添付書類:設計図面、仕様書、見積内訳書
第1条(総則)
発注者及び請負者は、信義に従い誠実に本契約を履行するものとし、本契約書及びこれに添付する設計図面、仕様書、見積内訳書(以下「設計図書等」という。)に基づき本工事を完成させる。設計図書等の記載内容に齟齬がある場合の解釈順位は、本契約書、見積内訳書、仕様書、設計図面の順とする。
第2条(工事内容)
請負者は、設計図書等に定める内容に従い本工事を施工し、これを完成させて発注者に引き渡す義務を負う。工事内容の詳細は別紙見積内訳書のとおりとする。
第3条(請負代金及び支払方法)
- 発注者は、請負者に対し、本工事の請負代金として上記金額を支払う。
- 支払方法は次のとおりとする。 (1)契約時:請負代金の3割 (2)中間金(上棟又は主要工程完了時):請負代金の3割 (3)完成引渡し時:請負代金の残額
- 発注者が前項各号の支払を怠った場合、請負者は相当の期間を定めて催告のうえ、本工事を中断することができる。
第4条(工期)
- 本工事の工期は上記のとおりとする。
- 天災その他請負者の責めに帰することができない事由により工期内に本工事を完成することができないときは、請負者は発注者に対し、遅滞なくその理由を通知し、工期の延長を協議のうえ定めるものとする。
- 発注者の責めに帰すべき事由(設計変更の指示、資材の提供遅延等)により工期に影響が生じた場合も前項と同様に協議する。
第5条(追加工事及び設計変更)
- 本工事の施工中に発注者が追加工事又は設計変更を求めるときは、事前に書面(電磁的方法を含む。以下同じ。)により請負者に申し出るものとする。
- 請負者は、追加工事又は設計変更に伴う請負代金の増減及び工期の変更について発注者と協議のうえ、書面により合意する。書面による合意のない追加工事の代金は、発注者に請求することができない。
第6条(資材及び施工方法)
- 本工事に使用する資材及び施工方法は、設計図書等に定めるところによる。
- 発注者が資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その品目、数量、引渡し時期及び方法を別途書面で定める。
第7条(近隣対応及び第三者への損害)
- 請負者は、本工事の施工にあたり、騒音、振動、粉じん等により近隣に及ぼす影響を最小限にとどめるよう配慮し、必要に応じて事前に近隣への説明を行う。
- 本工事の施工により第三者に損害を与えた場合、請負者はその責めに帰すべき事由による限度において当該損害を賠償する責任を負う。ただし、発注者の指示に起因する損害についてはこの限りでない。
第8条(検査及び引渡し)
- 請負者は、本工事を完成したときは、その旨を発注者に通知する。
- 発注者は、通知を受けた日から〇日以内に完成検査を行い、本工事が設計図書等のとおり完成していることを確認したときは、請負者から本工事の目的物の引渡しを受ける。
- 検査の結果、補修を要する事項が判明したときは、請負者は自己の負担において速やかに補修する。
第9条(契約不適合責任)
- 引き渡された本工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、発注者は、請負者に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。
- 発注者が前項の追完の催告をしても請負者が相当の期間内に履行の追完をしないときは、発注者はその不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
- 発注者は、本条に基づく請求権を、契約不適合を知った時から1年以内に請負者に通知しないときは、当該不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負者が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときはこの限りでない。
第10条(危険負担)
本工事の目的物の引渡し前に、天災その他両当事者の責めに帰することができない事由により本工事の目的物の全部又は一部が滅失又は毀損したときは、請負者は自己の負担において修補又は再施工するものとする。ただし、当該事由により本工事の完成が不可能となった場合の処理については、発注者及び請負者が協議のうえ定める。
第11条(遅延損害金)
- 請負者の責めに帰すべき事由により工期内に本工事が完成しないときは、請負者は発注者に対し、遅延日数に応じ請負代金額に年〇%の割合を乗じた金額の遅延損害金を支払う。
- 発注者の責めに帰すべき事由により代金の支払が遅延したときは、発注者は請負者に対し、遅延日数に応じ未払代金額に年〇%の割合を乗じた金額の遅延損害金を支払う。
第12条(契約の解除)
- 発注者又は請負者は、相手方が本契約に違反し、相当の期間を定めて是正を催告したにもかかわらずその期間内に是正されないときは、本契約を解除することができる。
- 発注者は、本工事の完成前は、いつでも損害を賠償して本契約を解除することができる。
- 前2項により本契約が解除されたときは、既施工部分の出来形に相当する請負代金及び既に発生した実費について、発注者と請負者が協議のうえ精算する。
第13条(反社会的勢力の排除)
- 発注者及び請負者は、自己(自己の役員を含む。)が暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業その他これらに準ずる者(以下「反社会的勢力」という。)に該当しないことを表明し、保証する。
- 発注者又は請負者が前項の表明保証に違反した場合、相手方は何らの催告を要せず本契約を解除することができる。
第14条(協議事項)
本契約に定めのない事項又は本契約の解釈に疑義が生じた事項については、発注者及び請負者が誠意をもって協議のうえ解決する。
第15条(合意管轄)
本契約に関する紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、発注者・請負者記名押印のうえ、各自1通を保有する。
〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
(発注者)住所 氏名 印
(請負者)住所 商号又は名称 代表者名 印 建設業許可番号 〇〇〇〇
第2部: 立場別修正パターン
A. 発注者有利バージョンへの変更
A-1. 第3条(支払方法)の後払い比率を拡大
修正後: 契約時1割、完成引渡し時9割とし、中間金を廃止する。施工品質に不安がある小規模リフォームで発注者が用いる代表的な修正例である。請負者にとっては運転資金の確保が難しくなるため抵抗が予想される。
A-2. 第9条(契約不適合責任)の通知期間を延長
修正後: 「契約不適合を知った時から2年以内」に延長し、雨漏り等発見に時間を要する不適合類型に備える。品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)は新築住宅の構造耐力上主要な部分等について引渡しから10年間の瑕疵担保責任を義務付けるが、増改築・リフォーム工事には同法の適用がないため、契約上の特約で手当てする必要がある点に留意する。
A-3. 第11条(遅延損害金)の利率引き上げ・違約罰の追加
修正後: 請負者の工期遅延に対する遅延損害金の利率を引き上げ、加えて「1日あたり請負代金の1,000分の〇に相当する違約金を課す」旨の条項を追加する。
A-4. 第7条(近隣対応)に発注者への事前報告義務を追加
追加条文例: 「請負者は、近隣への説明内容及び結果を、施工前に発注者へ書面で報告しなければならない。」
A-5. 第12条(解除)の発注者の任意解除権を明確化
発注者が損害賠償を条件に工事完成前にいつでも解除できる権利(民法641条相当)を維持しつつ、解除時の出来形精算方法をより発注者に有利な算定式(実費+一定の利益相当額に限定する等)に変更する。
B. 請負者有利バージョンへの変更
B-1. 第3条(支払方法)の前払い比率を拡大
修正後: 契約時4割、中間金3割、完成引渡し時3割とし、資材調達・下請発注に必要な資金を早期に確保できるようにする。
B-2. 第9条(契約不適合責任)の通知期間・責任範囲を限定
修正後: 「契約不適合を知った時から6か月以内」に短縮し、かつ通常の使用によって生ずる経年劣化及び発注者の指示に起因する不適合を責任範囲から除外する旨を明記する。
B-3. 第5条(追加工事)の口頭合意による着工を許容
修正後: 緊急を要する追加工事に限り、発注者の口頭による承諾があれば着工でき、書面は事後速やかに取り交わせば足りるとする。ただし建設業法19条の趣旨(書面による契約内容の明確化)に反しないよう、事後書面化の期限(例:3日以内)を明記すべきである。
B-4. 第11条(遅延損害金)に不可抗力・発注者起因事由の免責を明記
追加条文例: 「工期の遅延が、発注者の指示変更、資材提供の遅延又は天災その他請負者の責めに帰することができない事由による場合、請負者は遅延損害金の支払義務を負わない。」
B-5. 第12条(解除)に既施工部分の利益相当額を含めた精算方式を明記
修正後: 発注者による任意解除の場合の出来形精算に、逸失利益相当額(残工事の一定割合)を加算する条項を追加し、請負者の投下資本回収を図る。
C. 標準(中立)バージョンの位置づけ
第1部の本文がこれに該当する。個人住宅の増改築・リフォーム工事等、発注者・請負者双方が対等な交渉力を持ちにくい取引を想定し、建設業法19条の必要記載事項を満たしつつ、双方のリスク分担をバランスさせる構成とする。
D. 工事類型別の追加特約例
D-1. 水回り(キッチン・浴室・トイレ)リフォームの場合
追加条文例: 「請負者は、既存配管の劣化状況を着工前に調査し、追加補修が必要と判明した場合は、速やかに発注者に報告し、第5条の手続に従い追加工事の要否を協議する。」
解説: 解体してみないと分からない配管・下地の劣化は、追加工事費用を巡る紛争の典型例である。着工前調査の実施と報告義務を明記しておくと発注者の予見可能性が高まる。
D-2. 外壁・屋根の防水工事の場合
追加条文例: 「本工事に係る防水性能について、請負者は施工後〇年間の防水保証書を発注者に交付する。」
解説: 防水工事は施工品質が数年後に顕在化することが多いため、契約不適合責任の通知期間(第9条)とは別に、メーカー保証・施工保証の交付を求める実務がある。
D-3. マンション専有部分のリフォームの場合
追加条文例: 「請負者は、施工にあたり管理組合が定める工事に関する細則を遵守し、必要な工事申請手続を発注者に代わって行う場合はその範囲を別途書面で定める。」
解説: 区分所有建物では管理規約・使用細則上の届出・承認手続が必要となる場合が多く、届出主体(発注者か請負者か)を明確にしておく必要がある。
第3部: 逐条解説(購入者向け)
総論(建設業法19条との関係) 建設業法19条は、建設工事の請負契約について、工事内容、請負代金の額、工事着手・完成の時期、支払の時期及び方法、契約不適合責任の定め、天災等不可抗力による工期変更・損害負担の定め、第三者に損害を与えた場合の賠償負担、契約に関する紛争の解決方法等を書面に記載することを義務付けている。本テンプレートはこれらの必要記載事項を網羅する構成としているが、実際の工事内容に応じて空欄部分を具体的に埋める必要がある。
第1条(総則) 設計図書等の解釈順位を定める条項。契約書・見積書・仕様書・図面の間で内容に齟齬があった場合の優先順位を決めておかないと、追加費用の有無を巡る紛争の原因になりやすい。
第2条(工事内容) 工事範囲を画定する条項。リフォーム工事では「どこまでが契約範囲か」が曖昧になりやすく、別紙見積内訳書との整合性を必ず確認すべきである。
第3条(請負代金及び支払方法) 支払時期・方法は建設業法19条の必須記載事項である。小規模リフォームでは中間金を設けない例もあるが、その場合は前払金の比率と検査・引渡し条件をより明確にする必要がある。
第4条(工期) 工期変更の手続を定める条項。発注者・請負者いずれの責めに帰すべき事由かによって遅延損害金の帰属が変わるため、原因の切り分けを記録に残す実務対応が重要である。
第5条(追加工事及び設計変更) リフォーム工事で最も紛争が多い場面の一つ。書面合意のない追加工事の代金請求を制限する規定は発注者保護に資するが、現場では口頭で追加を依頼される実態もあるため、簡易な確認書式(メール等)による合意プロセスを運用面で整備することが望ましい。
第6条(資材及び施工方法) 発注者が資材を支給する「発注者支給品」を用いる場合、品質・数量の不一致による責任の所在が曖昧になりやすいため、引渡し時に検収記録を残すことを推奨する。
第7条(近隣対応及び第三者への損害) リフォーム工事は集合住宅や住宅密集地で行われることが多く、近隣とのトラブルが工期遅延の原因になりやすい。請負者の説明義務と、発注者への報告要否を明確にしておくと良い。
第8条(検査及び引渡し) 検査期間(〇日)は工事規模に応じて設定する。小規模リフォームでは即日〜数日以内とする例が多い。
第9条(契約不適合責任) 民法上の契約不適合責任(旧「瑕疵担保責任」)の枠組みに基づく条項。品確法上の10年責任は新築住宅の基本構造部分に限定され、リフォーム工事には原則及ばないため、通知期間や責任範囲を契約で具体的に定めておくことが特に重要になる。
第10条(危険負担) 引渡し前の滅失・毀損リスクの分担を定める条項。工事中の建物全体(既存部分を含む)に及ぶ損害の扱いは、火災保険・工事保険の付保状況とあわせて確認すべきである。
第11条(遅延損害金) 双方向の遅延損害金を定める構成とした。利率は年14.6%(消費者向け取引での実務相場の一例)を目安に、業界慣行や取引規模に応じて調整する。
第12条(契約の解除) 民法641条は注文者による契約完成前の任意解除権を認めており、その場合の損害賠償の範囲(出来形精算+逸失利益をどこまで含めるか)が交渉の中心になる。
第13条(反社会的勢力の排除) 建設業許可の欠格要件(建設業法8条等)とも関連する重要条項であり、削除は避けるべきである。
第14条・第15条(協議・合意管轄) 個人である発注者が消費者に該当する場合、消費者契約法上の不当条項規制(例えば損害賠償額の予定条項の上限)との関係にも留意が必要である。
小規模リフォーム特有の留意点(総括) 戸建住宅の増改築・リフォーム工事は、新築工事に比べ契約書を取り交わさず口頭・見積書のみで着工してしまう例が実務上少なくない。しかし建設業法19条は工事の規模を問わず書面による契約締結を義務付けており、本テンプレートのような契約書を用いることは、発注者・請負者双方にとって後日の紛争予防に直結する。特に追加工事の合意プロセス(第5条)と契約不適合責任の範囲・期間(第9条)の2点は、消費生活相談の現場でも紛争相談件数が多い分野であるため、契約締結時に双方が内容を十分に理解したうえで署名することが望ましい。
第4部: 監修者への確認依頼事項
- 第3条の支払比率(契約時3割・中間金3割・完成時4割)が小規模リフォーム工事の実務相場として妥当か、工事金額帯(例:100万円未満/100万円〜500万円)に応じた複数モデルを用意すべきか確認いただきたい。
- 第9条の契約不適合責任の通知期間(1年)について、品確法の適用がない増改築・リフォーム工事において、発注者保護の観点からより長い期間(2年等)を標準とすべきか確認いただきたい。
- 第11条の遅延損害金の利率(年〇%)について、実務上の相場(年14.6%等)を明記した参考値を購入者向け解説に加えるべきか確認いただきたい。
- 発注者が消費者(個人)である場合、消費者契約法上の不当条項規制(第9条・第10条等)との関係で、損害賠償額の予定・違約金条項(第2部A-3)の上限設定の要否を確認いただきたい。
- 建設業法19条が定める必要記載事項のうち、本テンプレートで書き漏らしている項目がないか、条文と照合した最終確認をお願いしたい。
- 下請契約が発生する規模の工事(元請・下請関係)まで本テンプレートの適用対象に含めるか、それとも本テンプレートは発注者・請負者間(元請契約)専用とし、下請契約は別商品として切り分けるべきか方針を確認いただきたい。
- 近隣対応(第7条)に関して、建築基準法・条例上の説明義務(日影・振動等)まで踏み込んで言及すべきか、それとも一般的な配慮義務にとどめるべきか確認いただきたい。
- 第2部D(工事類型別の追加特約例)について、水回り・防水・マンション専有部分以外にも実務上追加すべき代表的な工事類型(外構工事、耐震改修等)があるか確認いただきたい。