従業員が家族等の連絡先を会社へ届け出る書式。個人情報保護法の利用目的の特定と第三者の情報取得への配慮に対応し、災害や事故時の安否確認に用途を限定します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
緊急連絡先の届出書
第1部: 書式本文
【会社名】 御中
私は、下記のとおり緊急連絡先を届け出ます。
1. 届出日 【届出日】
2. 届出者(従業員本人) 氏名【 】 所属【 】
3. 緊急連絡先(第1順位) 氏名【 】 続柄【 】 連絡先電話番号【 】 住所【 】
4. 緊急連絡先(第2順位) 氏名【 】 続柄【 】 連絡先電話番号【 】
5. 緊急連絡先への確認 私は、上記緊急連絡先に記載した者に対し、本届出書に氏名及び連絡先を記載し会社に提出することについて説明し、了承を得ています。
6. 利用目的 会社が本届出書の情報を利用するのは、次の場合に限るものとします。 一 災害、事故その他本人の安否確認が必要な緊急時における連絡 二 本人と連絡が取れない場合における業務上必要な確認 三 その他本人があらかじめ同意した場合
7. 情報の管理 会社は、本届出書の情報を人事労務管理担当部門において厳重に管理し、前項の利用目的の範囲を超えて使用しません。
8. 変更の届出 緊急連絡先に変更が生じた場合、私は速やかに会社に変更後の内容を届け出ます。
9. 保管期間 本届出書は、在職中及び退職後【期間】保管された後、廃棄されます。
10. 開示等の請求 届出者は、会社に対し、自己が届け出た緊急連絡先情報の開示、訂正又は削除を求めることができます。
11. 紛失・盗難時の対応 本届出書に記載された情報を含む書類又は電子データの紛失、盗難その他の事故が発生した場合、会社は速やかに届出者に通知し、必要な対応を講じます。
以上
届出者署名: 【氏名】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 人事労務担当の立場から
人事労務担当としては、災害発生時に安否確認システムと連動させることを想定し、緊急連絡先とは別に本人の安否確認手段(携帯電話番号・専用アプリ等)もあわせて届け出させることが望ましい。
修正例:「私は、緊急連絡先とは別に、災害時安否確認システムに登録する自己の携帯電話番号及びメールアドレスを次のとおり届け出ます。」
一言解説:緊急連絡先は本人と連絡が取れない場合の代替手段であるため、まず本人への直接連絡手段を整備した上で、緊急連絡先を補完的な情報として位置づけることが実務上望ましい。
人事労務担当としては、労働災害が発生した場合の家族への連絡担当者及び連絡手順をあらかじめ定め、緊急連絡先の届出情報と連動させておくことが望ましい。
修正例:「労働災害等の緊急事態が発生した場合、人事労務担当部門の【役職】が緊急連絡先へ連絡するものとし、連絡内容及び連絡日時を記録する。」
一言解説:緊急連絡先の情報を保有していても、実際に連絡すべき場面での役割分担が不明確だと初動対応が遅れるため、連絡担当者と手順をあらかじめ明確にしておくことが重要である。
B. 総務担当の立場から
総務担当としては、緊急連絡先の情報が古いまま放置されないよう、定期的な更新確認を義務付ける規定を追加することが有効である。
修正例:「会社は、年に1回、届出者に対し緊急連絡先の内容に変更がないかを確認し、届出者は確認の求めに対し速やかに回答する。」
一言解説:緊急連絡先は入社時に一度届け出たまま更新されないことが多く、実際の緊急時に連絡がつかない事態を避けるため、定期確認の仕組みを設けることが望ましい。
総務担当としては、届出書の紙媒体を分散管理せず、施錠可能な場所又はアクセス制限を設けたシステムで一元管理する運用を明記することが望ましい。
修正例:「会社は、緊急連絡先の届出書を人事システム上で一元管理し、紙媒体で保管する場合は施錠可能なキャビネットに保管する。」
一言解説:緊急連絡先は家族の個人情報を含む機微な情報であるため、部署ごとにばらばらに管理するのではなく、一元管理により漏えいリスクを低減することが望ましい。
C. 従業員本人の立場から
従業員本人としては、緊急連絡先として届け出た家族等の情報が、業務上の第三者に開示される範囲を限定させることが望ましい。
修正例:「会社は、緊急連絡先の情報を、緊急時対応に必要な範囲の担当者以外の第三者(取引先等)に開示しないものとします。」
一言解説:緊急連絡先には家族の氏名や連絡先という第三者の個人情報が含まれるため、社内でのアクセス範囲を限定することが本人及び家族のプライバシー保護の観点から重要である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、企業が従業員から、災害や事故等の緊急時に連絡すべき家族等の連絡先を届け出てもらう場面で使用する。業務上の緊急連絡網とは別に、労働災害発生時の家族への連絡等、限定的な目的でのみ使用することを前提としており、営業活動や人事評価等の目的で家族の情報を利用することは想定されていない。
根拠法令としては、個人情報保護法第17条が、個人情報を取り扱うにあたりその利用目的をできる限り特定しなければならないと定めており、緊急連絡先の届出書についても、利用目的を安否確認等の緊急時対応に限定して明記することが求められる。また、緊急連絡先として届け出られる家族等の情報は、届出者本人ではなく第三者の個人情報であるため、当該第三者本人の同意を得た上で会社に提供することが望ましく、本人の意思確認なく無断で家族の連絡先を届け出ることは、当該第三者との関係でトラブルの原因となり得る。個人情報保護法第20条は適正取得の原則を定めており、第三者の情報を取得する場合の配慮が求められる。
実務でよくある失敗として、第一に、緊急連絡先の届出情報を、緊急時対応以外の目的(例えば人事評価の参考情報や営業リストの補完)に流用し、目的外利用として問題となるケースがある。利用目的を条項上具体的に限定し、目的外利用を行わない旨を明記することが対策となる。第二に、届け出た緊急連絡先の本人(家族等)に事前の説明や了承を得ないまま届出書を提出させ、後日、当該家族から個人情報の取得について抗議を受けるケースがあり、届出時に緊急連絡先本人への説明・了承取得を確認する項目を設けることが望ましい。第三に、緊急連絡先の情報が入社時のまま更新されず、実際の緊急時に連絡が取れないケースがあり、定期的な更新確認の仕組みを設けることが対策となる。第四に、緊急連絡先の届出書が紙媒体のまま各部署の担当者の机上に放置され、閲覧権限のない従業員の目に触れる状態になっているケースがあり、保管場所を一元化しアクセス制限を設けることが対策となる。
第三者の個人情報を取得する際の配慮の程度は個別の事情により異なるため、実際の運用にあたっては弁護士等の専門家に個別に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 利用目的を安否確認等の緊急時対応に限定して明記したか
- [ ] 緊急連絡先(第1順位・第2順位)の記載欄を設けたか
- [ ] 緊急連絡先本人への説明・了承取得の確認欄を設けたか
- [ ] 情報の管理主体及び管理方法を明記したか
- [ ] 社内でのアクセス範囲を限定したか
- [ ] 変更時の届出義務を明記したか
- [ ] 保管期間及び廃棄方法を定めたか
- [ ] 目的外利用を行わない旨を明記したか
- [ ] 定期的な内容確認の仕組みを検討したか
- [ ] 本人への直接連絡手段(携帯電話等)もあわせて確認したか
- [ ] 緊急時の連絡担当者及び連絡手順を明確にしたか
- [ ] 届出書の保管場所を一元化しアクセス制限を設けたか