長時間労働の是正に取り組む企業向け。終業から次の始業までの休息時間を定め、労働時間等設定改善法第2条の努力義務を社内制度として具体化します。

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勤務間インターバル制度規程

第1部: 書式本文

第1条(目的) 本規程は、労働時間等設定改善法第2条第1項の趣旨を踏まえ、従業員の終業時刻から次の始業時刻までの間に一定時間以上の休息時間(以下「インターバル時間」という)を確保することにより、健康の保持及び生活時間の確保を図ることを目的とする。

第2条(定義) 本規程において「勤務間インターバル」とは、1日の勤務終了後、翌日の勤務開始までの間に、業務に従事しない継続した休息時間を確保する仕組みをいう。

第3条(適用対象者) 本制度は、【交替制勤務に従事する従業員を含む】すべての正社員及び契約社員に適用する。管理監督者についても、健康確保の観点から本制度の趣旨を準用する。

第4条(インターバル時間) 1 会社は、従業員の終業時刻から次の始業時刻までの間に、原則として【11時間】以上の休息時間を確保する。 2 交替制勤務等、業務の性質上前項の時間を確保することが困難な部署については、労使協議のうえ【9時間】を下回らない範囲で別段の時間を定めることができる。

第5条(始業時刻の繰下げ) 1 前条のインターバル時間を確保できない場合、翌日の始業時刻を、確保できなかった時間に相当する時間だけ繰り下げる。 2 始業時刻を繰り下げた場合であっても、当該日の所定終業時刻は変更せず、繰下げにより短縮された時間は労働したものとみなす(以下「みなし規定」という)。 3 前項のみなし規定は、賃金の減額を伴わない。

第6条(みなし規定の適用除外) 次の各号のいずれかに該当する場合、前条第2項のみなし規定は適用せず、実労働時間に基づき賃金を計算する。 一 従業員本人の申出により、繰下げによる短縮分を通常勤務として就労した場合 二 会社が事前に承認した緊急業務対応により、意図的にインターバル時間を短縮した場合

第7条(適用除外事由) 次の各号のいずれかに該当する場合は、当該日に限り本制度の適用を除外することができる。 一 災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合(労働基準法第33条による時間外労働の場合を含む) 二 突発的な機器障害への対応その他緊急やむを得ない業務が生じた場合 三 従業員本人の申出により、インターバル時間を短縮して就労することに同意した場合(月【2】回を上限とする)

第8条(法定労働時間との関係) 本制度によるインターバル時間の確保及び始業時刻の繰下げは、労働基準法第32条に定める法定労働時間の規制及び36協定に基づく時間外労働の上限規制の適用を妨げるものではない。会社は、インターバル確保の有無にかかわらず、法定労働時間及び時間外労働の上限を遵守する。

第9条(記録及び管理) 1 会社は、従業員ごとの終業時刻、始業時刻及びインターバル時間の確保状況を記録し、【1】年間保存する。 2 所属長は、インターバル時間が確保できていない従業員を把握した場合、速やかに要因を確認し、業務配分の見直し等の措置を講ずる。

第10条(健康確保措置) インターバル時間が継続して確保できない状態にある従業員については、産業医への相談及び必要に応じた面接指導の機会を提供する。

第11条(周知) 会社は、本制度の内容を従業員に周知するとともに、始業時刻の繰下げが生じた場合には、当該従業員及び関係部署に速やかに連絡する体制を整備する。

第12条(規程の改廃) 本規程の改廃は、労働者代表の意見を聴取したうえで行う。

附則 本規程は【西暦】年【月】日から施行する。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 中小企業向け

中小企業では勤怠管理システムが未整備な場合が多く、インターバル時間の把握や始業時刻の繰下げ運用を手作業で行う前提での設計が必要になる。

書き換え例(第9条関連): 「会社は、従業員が使用するタイムカード又は出退勤記録簿により終業時刻及び始業時刻を記録する。所属長は、週次で記録を確認し、インターバル時間が【11時間】を下回った従業員がいる場合は、当該従業員に書面で通知するとともに、翌週の勤務予定を調整する。」

一言解説: システムによる自動アラートが導入できない場合でも、週次確認など人的な運用ルールを条文に落とし込み、確認の抜け漏れを防ぐことが重要である。

B節: 交替制勤務職場向け

交替制勤務では、シフトの組み方によって構造的にインターバル時間が短くなりやすく、直前直後のシフト間隔をあらかじめ設計段階で考慮する必要がある。

書き換え例(第4条第2項及び第7条関連): 「3交替制勤務に従事する従業員については、シフト表作成時にインターバル時間が【9時間】を下回らないよう配置する。やむを得ず9時間を下回るシフトを組む場合は、当該従業員の同意を得たうえで、直後の休日に代償休息を付与する。」

一言解説: 交替制勤務では努力義務とはいえシフト設計そのものにインターバル確保を組み込むことが実効性確保の鍵であり、代償休息の付与などシフト特有の代替措置を明記しておくとよい。

第3部: 書き方と法的ポイントの解説

本規程は、長時間労働の是正や従業員の健康確保に取り組む企業、特に人員体制の制約からインターバル確保が課題となりやすい中小企業や交替制勤務を採用する職場が、社内制度として勤務間インターバルを具体化する場面で用いる。他方、恒常的な長時間労働が是正されないまま本制度のみを形式的に導入すると、インターバル未確保が常態化し、始業時刻繰下げの運用が機能しないおそれがあるため、まずは時間外労働の実態把握と削減策を優先すべき場合がある。

根拠法令としては、労働時間等設定改善法第2条第1項が、事業主に対し勤務間インターバルの導入を努力義務として課している。同法は罰則を伴う義務ではないが、労働基準法第32条の法定労働時間規制及び36協定による時間外労働の上限規制とあわせて運用することで、実効性のある長時間労働対策となる(第8条)。本制度は法律上の義務ではなく企業が任意に設計する社内制度であるため、インターバル時間の長さ、始業時刻繰下げの範囲、みなし規定の有無等は、事業場の実態に応じて労使で協議して定める必要がある。

実務上よくある失敗として、第一に、インターバル時間を努力目標として掲げるのみで、始業時刻を繰り下げた場合の賃金の取扱いを定めず、繰下げによる労働時間短縮分を無給扱いとしてしまう例がある。第5条のとおりみなし規定を設け、賃金減額を伴わないことを明記する対策が必要である。第二に、緊急対応や本人希望による短縮の取扱いを定めず、あらゆる場合に一律みなし規定を適用してしまい、実労働時間との乖離が生じる例がある。第6条のように適用除外事由を明確に区分しておくことが重要である。第三に、インターバル未確保の記録を残さず、健康確保措置につなげられない例がある。第9条・第10条のように記録と産業医面談等の連携を制度化しておく必要がある。

なお、インターバル時間の適正な長さや適用除外事由の設計は、業種・職種の実態によって異なるため、個別事案については社会保険労務士や弁護士等の専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] インターバル時間の長さ(原則11時間等)を事業場の実態に即して定めたか
  • [ ] 交替制勤務等、部署ごとに異なるインターバル時間を設ける場合の下限を定めたか
  • [ ] 始業時刻繰下げの計算方法とみなし規定の内容を具体的に定めたか
  • [ ] みなし規定の適用により賃金が減額されないことを明記したか
  • [ ] みなし規定の適用除外となる場合(本人申出・緊急対応等)を区分したか
  • [ ] 労働基準法第32条及び36協定上の時間外労働上限との関係を整理したか
  • [ ] 終業・始業時刻及びインターバル確保状況を記録する方法と保存期間を定めたか
  • [ ] インターバル未確保が続く従業員への健康確保措置(産業医面談等)を定めたか
  • [ ] シフト作成段階でインターバルを考慮する運用ルールを設けたか(交替制勤務の場合)
  • [ ] 制度導入にあたり労働者代表の意見聴取を行ったか