物流センターの入出庫・仕分け・流通加工を請け負う際の契約書。倉庫業法や労働者派遣法との区分(偽装請負の回避)を意識した業務範囲と指揮命令を規定。

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庫内作業請負契約書

第1部: 書式本文

〇〇〇〇(以下「甲」という。委託者・物流事業者又は荷主)と〇〇〇〇(以下「乙」という。請負人・構内作業会社)とは、甲の物流センターにおける庫内作業の請負について、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(請負業務) 乙は、甲が指定する物流センター(以下「本件施設」という。)において、入庫検品、棚入れ、ピッキング、仕分け、流通加工及び出庫梱包等の作業(以下「本件作業」という。)を、乙が雇用する労働者(以下「乙作業員」という。)を用いて請け負う。

第2条(業務の完成) 乙は、甲が定める作業手順書及び品質基準に従い、乙自らの裁量と責任において本件作業を完成させるものとする。乙は、乙作業員の配置、作業手順の具体的な割当て及び労務管理を自ら行う。

第3条(指揮命令の帰属) 乙作業員に対する業務上の指揮命令は乙が行うものとし、甲は乙作業員に対し直接の作業指示を行わない。甲が本件作業に関し要望がある場合は、乙の現場責任者を通じて伝達する。

第4条(請負代金) 甲は乙に対し、本件作業の対価として月額〇円(消費税別)を支払う。作業量が著しく変動した場合の代金調整方法は別紙のとおりとする。

第5条(施設・設備の提供) 甲は、本件作業に必要な倉庫スペース、什器及びマテハン機器を乙に提供する。乙は、甲から提供を受けた設備を善良な管理者の注意をもって使用する。

第6条(貨物の保管責任) 甲が乙に保管を委ねる貨物(以下「保管貨物」という。)について、乙が保管業務を伴う倉庫業を営む場合は、倉庫業法に基づく登録を得たうえで受寄者としての善良な管理者の注意義務を負い、保管貨物の滅失又は毀損について責任を負う。

第7条(安全衛生) 乙は、乙作業員の労働安全衛生に関する法令上の義務を自ら履行するものとし、フォークリフト等の運転資格者の配置その他必要な安全管理体制を整備する。

第8条(偽装請負の防止) 甲及び乙は、本契約が労働者派遣に該当しないよう、乙が自己の業務として本件作業を完成させ、乙作業員に対する指揮命令を乙が一元的に行う実態を維持するものとし、甲は乙作業員に対し個別の作業指示、勤怠管理その他労働者派遣法上の派遣先の行為に類する行為を行わない。

第9条(品質管理及び是正) 乙は、誤出荷、破損その他の品質不良が生じた場合、速やかに甲に報告し、原因を調査のうえ再発防止策を講じる。

第10条(秘密保持) 乙及び乙作業員は、本件作業を通じて知り得た甲の取引先情報その他の秘密を第三者に開示又は漏洩してはならない。

第11条(損害賠償) 乙の責めに帰すべき事由により保管貨物の滅失、毀損又は誤出荷が生じ甲に損害が生じた場合、乙はこれを賠償する。ただし、甲の指示に起因する損害についてはこの限りでない。

第12条(契約期間) 本契約の有効期間は1年間とし、期間満了の2か月前までに書面による解約の申入れがない限り、同一条件で更新するものとする。

第13条(協議) 本契約に定めのない事項については、甲乙誠実に協議のうえ解決する。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 委託者(物流事業者・荷主)側の修正

A-1. KPIに基づく代金減額条項

修正後:「乙の誤出荷率が別紙基準を超えて連続する場合、甲は乙と協議のうえ翌月の請負代金を減額することができる。」 一言解説: 品質不良への実効的な牽制策として代金調整を用いる場合、一方的な減額とならないよう協議を前置する形にすることが望ましい。

A-2. 繁忙期の応援要員確保義務

修正後:「乙は、甲があらかじめ通知する繁忙期において、本件作業を遅滞なく完成させるため必要な作業員数を自ら確保するものとする。」 一言解説: 繁忙期の人員不足によって作業が滞ることを防ぐため、乙の請負人としての人員確保義務を明確化する修正である。

B. 請負人(構内作業会社)側の修正

B-1. 甲による直接指示の禁止を明記する修正

修正後:「甲の従業員は、乙の現場責任者を介さずに乙作業員へ個別の作業指示を行ってはならない。甲がこれに違反した場合、乙は甲に対し是正を求めることができる。」 一言解説: 偽装請負のリスクは現場での運用実態から生じやすいため、甲側からの直接指示を禁止する条項を明記して指揮命令の一元化を担保する修正である。

B-2. 什器・設備の不備に起因する遅延の免責

修正後:「甲が提供する什器又はマテハン機器の不具合に起因して本件作業が遅延した場合、乙はその責任を負わないものとし、当該遅延に伴う追加費用は甲の負担とする。」 一言解説: 請負人は甲の設備環境に依存して作業を行うため、設備起因の遅延について免責を明確にしておくことが重要である。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面/使ってはいけない場面

本書式は、物流センター内の入出庫・仕分け・流通加工等の作業を、乙が自己の労働者を用いて業務として完成させる請負取引を想定している。甲が乙作業員に対し日々の作業内容や勤務時間を直接指示し、実質的な指揮命令を行う実態がある場合には、契約書の名称にかかわらず労働者派遣に該当し得るため、その場合は労働者派遣法に基づく派遣契約への切替えを検討すべきである。また、乙が保管貨物の物理的な保管そのものを主たる業務として行う場合は、倉庫業法上の登録の要否を別途確認する必要がある。

根拠法令

労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)は、労働者派遣事業の許可その他派遣先・派遣元の義務を定めており、請負と労働者派遣の区分については、いわゆる37号告示(労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準)の考え方が参考にされている。指揮命令を伴わない労働力の供給は職業安定法第44条により禁止される労働者供給事業に該当し得る。保管貨物の管理については倉庫業法上の登録制度及び善良な管理者の注意義務の考え方が関係する。

実務でよくある失敗と対策

第一に、契約書上は請負としながら、現場では甲の担当者が乙作業員に直接休憩時間や作業順序を指示し、偽装請負と評価されるおそれのある運用になっている例がある。現場責任者を通じた指示経路を徹底し、定期的に運用実態を点検することが対策となる。第二に、什器の不具合など甲側に起因する遅延についても乙の責任として扱われ、費用負担をめぐり紛争化する例がある。原因別の費用負担ルールをあらかじめ定めておくべきである。第三に、保管貨物の滅失時に倉庫業法上の登録の有無が確認されておらず、責任の所在が不明確になる例がある。乙の事業実態に応じて倉庫業法登録の要否を確認することが望ましい。個別事案は専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 乙が自己の労働者を用いて指揮命令を一元的に行う体制を確認したか
  • [ ] 甲から乙作業員への直接指示を禁止する運用を徹底したか
  • [ ] 偽装請負に該当しないか37号告示の考え方を踏まえ点検したか
  • [ ] 保管貨物を扱う場合、倉庫業法上の登録の要否を確認したか
  • [ ] 請負代金の算定方法及び作業量変動時の調整ルールを定めたか
  • [ ] 安全衛生管理の責任分担を明記したか
  • [ ] 品質不良発生時の報告・是正フローを定めたか
  • [ ] 什器・設備起因の遅延に関する免責を定めたか
  • [ ] 秘密保持の対象範囲を明確にしたか
  • [ ] 契約期間及び更新条件を確認したか