70歳までの就業機会を整える企業向け。継続雇用や業務委託、社会貢献事業への従事を定め、高年齢者雇用安定法第10条の2の努力義務に対応します。

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高年齢者就業確保措置規程

第1部: 書式本文

第1条(目的) 本規程は、【株式会社〇〇】(以下「会社」という。)が、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高年齢者雇用安定法」という。)第10条の2に基づき、65歳から70歳までの高年齢者に対して講ずる就業確保措置の内容及び手続を定め、意欲と能力のある高年齢者が活躍できる環境を整備することを目的とする。

第2条(65歳までの雇用確保措置との関係) 1. 会社は、高年齢者雇用安定法第9条に基づき、定年後の希望者全員を対象とする65歳までの継続雇用制度を別途定める再雇用規程により実施する。 2. 本規程が定める65歳から70歳までの就業確保措置は、同法第10条の2に基づく努力義務であり、第9条に基づく65歳までの雇用確保措置とは適用根拠及び対象年齢を異にする。

第3条(定義) 本規程において「高年齢者就業確保措置」とは、65歳から70歳までの安定した就業を確保するため、次条以下に定める措置のうちいずれかをいう。

第4条(措置の種類) 会社は、次の各号のいずれかの措置を講ずる。 (1) 70歳までの継続雇用制度(嘱託社員として再雇用する制度をいう。) (2) 会社が実施する業務委託契約に基づき高年齢者が就業を継続できる制度(以下「創業支援等措置」という。) (3) 会社又は会社が実施若しくは委託する社会貢献事業に高年齢者が従事できる制度(創業支援等措置に含む。)

第5条(継続雇用制度による場合の対象者) 1. 継続雇用制度による場合、会社は、原則として希望者全員を対象とする。 2. ただし、高年齢者雇用安定法第10条の2第2項に基づき、事業主が労使協定により対象者基準を定めるときは、65歳までの雇用確保措置と異なり、当該基準による対象者の限定が認められると解される。基準は、健康状態、勤務実績、業務遂行能力等、客観的かつ具体的なものとする。

第6条(創業支援等措置の実施手続) 1. 会社が創業支援等措置(業務委託契約又は社会貢献事業への従事)を講じようとするときは、過半数労働組合又は過半数代表者との間で、高年齢者雇用安定法第10条の2第3項に基づく労使協定を締結しなければならない。 2. 前項の労使協定には、対象者の基準、業務委託契約の内容の決定方法、社会貢献事業の実施又は委託の内容、契約の解除事由その他厚生労働省が示す指針に定める事項を定める。

第7条(業務委託契約による就業) 1. 会社は、創業支援等措置として、65歳以上70歳未満の高年齢者との間で個別に業務委託契約を締結することができる。 2. 業務委託契約の内容、業務量及び委託料は、当該高年齢者と個別に協議のうえ決定し、書面により締結する。 3. 業務委託契約に基づく就業は労働契約ではないため、労働基準法その他労働関係法令の適用がないことを、契約締結時に高年齢者本人に説明する。

第8条(社会貢献事業への従事) 会社は、創業支援等措置として、会社が実施し、又はその委託若しくは資金提供を行う社会貢献事業に、希望する高年齢者が従事する機会を提供することができる。

第9条(対象者基準の設定) 1. 継続雇用制度及び創業支援等措置のいずれについても、労使協定により対象者基準を設ける場合、会社は基準を従業員に周知する。 2. 基準は、法の趣旨に反し、会社が恣意的に対象者を選別することを目的とするものであってはならない。

第10条(契約期間及び更新) 1. 継続雇用制度による契約期間は1年とし、70歳に達するまでの間、原則として更新する。 2. 業務委託契約による契約期間及び更新の可否は、個別の契約書の定めるところによる。

第11条(報酬) 1. 継続雇用制度による嘱託社員の賃金は、賃金規程の嘱託社員に関する定めによる。 2. 業務委託契約による委託料は、業務量、業務内容の専門性その他の事情を考慮し、個別に定める。

第12条(健康管理) 会社は、継続雇用制度により就業する高年齢者に対しては労働安全衛生法に基づく健康診断を実施し、業務委託契約により就業する高年齢者に対しても、必要に応じて健康状態の確認に努める。

第13条(苦情処理) 会社は、就業確保措置の運用に関する高年齢者からの苦情に対応する相談窓口を設置する。

第14条(改廃) 本規程の改廃は、就業規則の変更手続に準じて行い、創業支援等措置に係る労使協定の内容変更を伴う場合は、改めて協定を締結する。

第15条(附則) 本規程は【西暦年】年【 】月【 】日から施行する。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 継続雇用型向け(嘱託再雇用による70歳就業確保を志向する企業)

A-1 第4条の修正例 「会社は、70歳までの継続雇用制度(嘱託社員としての再雇用)のみを講ずる。業務委託契約及び社会貢献事業への従事は実施しない。」 一言解説: 措置を継続雇用制度のみに絞る場合は、他の2類型を実施しない旨を明記し、対象者の期待や誤解を避けることが望ましい。

A-2 第5条第2項の修正例 「対象者基準は、直近3年間の人事評価が【 】以上であること、及び継続して就業可能な健康状態にあることとする。基準の適用は労使協定の締結を条件とする。」 一言解説: 基準を数値化すると運用の透明性は高まるが、基準自体が労使協定なしに適用されると法違反となる点に注意が必要である。

B節: 業務委託・社会貢献事業型向け(雇用によらない就業機会の提供を志向する企業)

B-1 第7条第2項の修正例 「業務委託契約の委託料は、当該高年齢者が担当する業務の成果物又は業務量に応じて算定し、最低保障額を【 】円とする。」 一言解説: 委託料の算定方法をあらかじめ明確化しておくと、実態が雇用類似と評価され労働者性を争われるリスクを軽減しやすい。

B-2 第8条の修正例 「社会貢献事業への従事は、会社が委託するNPO法人等が実施する事業への参加とし、活動日数は月【 】日を上限とする。会社は当該NPO法人等に対し資金提供を行うことにより、高年齢者雇用安定法第10条の2第2項第2号の要件を満たすものとする。」 一言解説: 社会貢献事業を自社で実施しない場合は、委託先又は資金提供先の要件(指針が定める非営利性等)を満たすかを個別に確認する必要がある。

第3部: 書き方と法的ポイントの解説

本規程を導入すべき場面は、定年後の継続雇用制度に加え、70歳までの就業機会の確保に努める企業、あるいは雇用契約によらない柔軟な就業形態(業務委託・社会貢献活動)を選択肢として提供したい企業である。逆に、65歳までの雇用確保措置(高年齢者雇用安定法第9条)すら整備が不十分な企業が本規程のみを先行して整備しても、優先順位を誤ることになりかねず、まずは9条義務の充足を確認すべきである。

根拠法令の中心は高年齢者雇用安定法第10条の2であり、同条は65歳から70歳までの就業確保措置を事業主の努力義務として定める。第9条の65歳までの雇用確保措置(定年廃止、定年引上げ、継続雇用制度の導入のいずれか)が義務であるのに対し、第10条の2の70歳までの措置は努力義務にとどまる点が制度上の大きな違いである。また、70歳までの措置のうち創業支援等措置(業務委託契約又は社会貢献事業への従事)を選択する場合には、高年齢者雇用安定法第10条の2第3項及び関連指針により、過半数労働組合又は過半数代表者との労使協定の締結が要件とされており、協定を欠いたまま創業支援等措置のみを実施することは制度上想定されていない点に留意が必要である。

実務でよくある失敗の一つ目は、努力義務であることを理由に何ら検討を行わず放置し、行政指導の対象となることである。第4条のように自社が選択する措置の種類を明確化し、段階的にでも導入を進める姿勢を規程上示すことが対策となる。

二つ目の失敗は、業務委託契約による就業について労働基準法が適用されないと安易に説明しながら、実態としては会社の具体的な指揮命令の下で稼働時間や作業手順を細かく指定し、労働者性が認められてしまう場合である。第7条第3項のように契約の性質を説明するにとどまらず、実際の運用面でも指揮命令性を排除する設計が必要である。

三つ目の失敗は、対象者基準を労使協定なしに一方的に導入し、事実上の選別を行うことである。第9条のように基準の設定には労使協定を要する旨を明記し、恣意的運用を防止する必要がある。対象者基準の適法性や創業支援等措置の設計の妥当性は個別の事情により結論が異なるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 65歳までの雇用確保措置(高年齢者雇用安定法第9条)が別途整備されているか
  • [ ] 70歳までの就業確保措置として講ずる措置の種類(継続雇用・業務委託・社会貢献事業)を選択したか
  • [ ] 創業支援等措置を選択する場合、労使協定の締結手続を実施したか
  • [ ] 対象者基準を設ける場合、基準の内容が客観的かつ具体的か
  • [ ] 業務委託契約の内容(委託料、業務量、契約期間)を書面化したか
  • [ ] 業務委託契約が実態として労働契約と評価されない運用となっているか
  • [ ] 社会貢献事業の実施主体・委託先が指針の要件を満たすか
  • [ ] 継続雇用制度の契約更新の基準及び頻度を定めたか
  • [ ] 高年齢者の健康状態確認の方法を定めたか
  • [ ] 苦情処理・相談窓口を設置したか