建物や設備の設置保存の瑕疵により負傷した場合に、民法第717条の工作物責任を根拠として占有者や所有者へ治療費等を請求します。

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⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。

工作物責任に基づく損害賠償請求書

第1部: 書式本文

損害賠償請求書

【相手方住所】 【相手方氏名・名称】 御中

【作成日】

【被害者住所】 【被害者氏名】 印

貴殿(貴社)に対し、下記のとおり損害賠償を請求します。

  1. 【事故発生年月日時】頃、被害者は、【事故発生場所。例:貴殿(貴社)が所有・占有する建物の外階段】において、【瑕疵の内容。例:手すりの腐食による破損、外壁材の落下】により【負傷の内容】の負傷を負った。
  2. 上記事故現場である【工作物の名称】は、貴殿(貴社)が【占有・所有】するものである。
  3. 上記工作物には、【設置又は保存の瑕疵の具体的内容、状態が生じた時期】という瑕疵が存在していた。
  4. よって被害者は、貴殿(貴社)に対し、民法第717条第1項に基づき、下記損害の賠償を求める。
  5. 治療費: 【金額】円(【通院期間・実日数】)
  6. 通院交通費: 【金額】円
  7. 休業損害: 【金額】円(【休業日数・算定根拠】)
  8. 入通院慰謝料: 【金額】円
  9. その他(後遺障害逸失利益・物損等): 【金額】円
  10. 損害合計: 【合計金額】円
  11. 貴殿(貴社)が占有者であって、損害の発生を防止するに必要な注意をしていたことを証明した場合には、民法第717条第1項但書により、所有者である【所有者名】が同項に基づく責任を負う。
  12. 被害者は、貴殿(貴社)に対し、【回答期限】までに、上記損害賠償金全額を下記口座へ支払うよう求める。
  13. 振込先: 【金融機関名・支店名・口座種別・口座番号・口座名義】
  14. 期限内に支払や具体的な回答が得られないときは、被害者側で法的手続への移行を含めた対応方針を決定する。
  15. 本書面は、被害者が有する民法第709条に基づく請求その他一切の権利に影響を及ぼすものではない。

以上

問い合わせ先 【送付先】 【担当部署】 【担当者名】 【連絡先】

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 被害者側の場合

修正文例:

本件工作物には【瑕疵の内容】という通常有すべき安全性を欠く状態が事故発生時点で存在しており、この瑕疵と被害者の負傷との間には相当因果関係が認められる。貴殿(貴社)が占有者として注意を尽くしていたことを証明できない限り、民法第717条第1項本文に基づく責任を免れない。

一言解説: 工作物責任は占有者について中間責任(無過失の証明により免責され得る)、所有者について無過失責任という二段構造になっており、まず占有者への請求を軸に組み立て、免責立証があった場合に備えて所有者も宛先候補に含めておく。

B. 占有者・所有者側の場合

修正文例:

貴殿(占有者)は、【定期点検の実施状況、修繕履歴、注意喚起の掲示等】により、損害の発生を防止するために必要な注意を尽くしていたものであり、民法第717条第1項但書の免責事由が認められる。また、被害者にも【被害者側の不注意な行動】があり、過失相殺(民法第722条第2項)による減額を求める。

一言解説: 占有者側の反論は、注意義務を尽くしていたことの立証(点検記録等)と、被害者側の落ち度の指摘(第722条第2項)の二段構えで組み立てるのが基本形である。免責が認められる場合には所有者へ責任が移る点も踏まえ、通知の宛先や今後の対応窓口についても回答文中で明確にしておくとよい。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

この書式は、建物の外壁、階段、手すり、塀、看板といった土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があったために人が負傷し、その工作物の占有者又は所有者に対して損害賠償を求める場面で用いる。工作物に起因しない事故、たとえば相手方の行為そのものが直接の原因である事故については、民法第709条を根拠とする一般の不法行為に基づく請求書を検討すべきであり、この書式をそのまま流用すべきではない。また、事故原因が施工業者の施工不良にある場合は、施工業者に対する請負契約上の責任(契約不適合責任等)を別途検討する必要があり、占有者・所有者への請求と施工業者への請求は根拠も相手方も異なる点に留意する。

根拠法令は、民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)である。第1項本文により占有者がまず責任を負い、占有者が損害発生の防止に必要な注意をしていたことを証明したときは、同項但書により所有者が責任を負う構造になっている。所有者の責任は無過失責任とされる点で、占有者の中間責任と性質が異なる。あわせて、被害者側にも落ち度がある場合の過失相殺(民法第722条第2項)、損害賠償請求権の消滅時効(民法第724条。損害及び加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年)の確認も欠かせない。なお、工作物の設置又は保存の瑕疵によって他人に損害を生じさせた原因について、更に他に責任者(施工業者、前所有者等)がいる場合には、占有者又は所有者はその者に対して求償できる場合がある(民法第717条第3項)。

実務でよくある失敗のうち一つ目は、瑕疵の内容を「壊れていた」といった抽象的な表現にとどめ、いつからどのような状態であったかを特定しない点である。対策として、本文第3項のように瑕疵の発生時期や具体的状態(腐食の程度、破損箇所の写真等)を記載し、点検記録や修繕履歴と対応させる。二つ目は、占有者と所有者のいずれに請求すべきかを検討せず一方のみに送付してしまう点である。対策として、本文第5項のように占有者の免責立証があった場合の所有者への責任移転を明記し、必要に応じて双方へ通知を行う。三つ目は、損害項目を治療費のみに絞り、休業損害や慰謝料の請求を漏らしてしまう点である。対策として、本文第4項のように治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料を項目ごとに整理し、それぞれの算定根拠(診断書、給与明細、通院日数の記録)を準備する。四つ目は、瑕疵と負傷との因果関係を検証せず、当該工作物付近で発生した事故であるという事実のみから請求してしまう点である。対策として、事故直前の点検記録や第三者の目撃証言など、瑕疵と負傷を結びつける具体的な事実を整理してから送付する。

瑕疵の有無の評価、過失相殺の割合、損害項目ごとの算定基準は事案により異なるため、個別事案は専門家に確認のうえで請求内容を確定することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 事故発生日時・場所・工作物を具体的に特定したか
  • [ ] 瑕疵の内容(状態・発生時期)を裏付ける資料(写真、点検記録等)があるか
  • [ ] 請求先が占有者か所有者か、両者の関係を確認したか
  • [ ] 占有者の免責立証があった場合の所有者への請求構成を想定したか
  • [ ] 治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料など損害項目を漏れなく列挙したか
  • [ ] 各損害項目の算定根拠(診断書、休業証明、給与明細等)を準備したか
  • [ ] 被害者側の過失の有無・過失相殺の可能性を検討したか
  • [ ] 損害賠償請求権の消滅時効(3年・20年)を確認したか
  • [ ] 回答期限・振込先の記載に誤りがないか
  • [ ] 施工業者など第三者に責任がある可能性を検討したか
  • [ ] 瑕疵と負傷との因果関係を裏付ける具体的事実(目撃証言等)を整理したか
  • [ ] 送付前に個別事案について専門家へ確認したか