組合員が任意脱退する際に提出する届出書です。脱退の予告期間、持分の払戻し、未払債務の精算方法を確認します。記載例と注記を添えており、初めての担当者でも作成できます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
組合脱退届
第1部: 書式本文
組合脱退届
〇〇事業協同組合 理事長 〇〇〇〇 殿
令和〇年〇月〇日
組合員 住所【】 氏名(名称)【】 印
私は、貴組合の組合員として、中小企業等協同組合法第19条第1項及び定款第【】条の規定に基づき、下記のとおり脱退を予告いたします。
記
1. 脱退を希望する事業年度末 令和【】年【】月【】日(貴組合の事業年度の末日)
2. 予告日 令和〇年〇月〇日(上記事業年度末の90日以上前であることを確認)
3. 組合員資格取得年月日 令和【】年【】月【】日
4. 出資口数 【】口(金【】円)
5. 脱退理由 【任意記載。例: 事業廃止、地区外への移転、組合員資格の喪失等】
6. 持分払戻しの希望方法 中小企業等協同組合法第20条に基づく持分の払戻しについて、次のとおり希望する。 □ 一括払戻し □ 定款に定める分割払戻し(【】回に分けての払戻し)
7. 未払債務等の確認 私が貴組合に対して負担する未払出資金、未払代金その他の債務については、脱退の効力発生日までに精算することを確認します。
8. 添付書類 組合員資格を証する書面の写し(組合員証等)
(組合側記載欄)
受理年月日: 令和〇年〇月〇日 受理者: 【】 脱退の効力発生日: 令和【】年【】月【】日(事業年度末) 持分払戻し予定額: 金【】円(算定根拠を別紙に添付) 払戻し予定日: 令和【】年【】月【】日
組合は、本届出を受理し、中小企業等協同組合法第19条第1項に基づき、上記事業年度末をもって当該組合員が脱退することを確認する。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 脱退する組合員の立場からの記載
A-1. 予告期間の起算日を明確にする記載
追加記載例:「本届出書は令和〇年〇月〇日に貴組合事務局に到達したものとし、中小企業等協同組合法第19条第1項に定める90日の予告期間は同日を起算日として計算する。」 一言解説: 予告が事業年度末の90日前に到達していなければ当該事業年度末での脱退の効力が生じず、翌事業年度末まで脱退できないことになるため、組合員としては到達日を明確に記録しておく必要がある。
A-2. 持分払戻額の算定根拠の開示請求
追加記載例:「組合員は、持分払戻し予定額の算定根拠(直近の決算に基づく財産目録等)の開示を組合に求めることができる。」 一言解説: 持分の払戻額は組合財産の状況を基礎に算定されるため、脱退組合員が算定の妥当性を検証できるよう、根拠資料の開示を求める記載を加えることが望ましい。
B. 組合(事務局)側の記載パターン
B-1. 予告期間不足の場合の取扱いの明示
追加記載例:「本届出が事業年度末の90日前を経過して到達した場合、当該組合員の脱退の効力は翌事業年度末に生じるものとする。」 一言解説: 予告期間を満たさない届出が提出された場合の取扱いを組合側であらかじめ明記しておくことで、組合員との間の解釈の相違を防止する。
B-2. 除名との区別の明記
追加記載例:「本届出による脱退は任意脱退(中小企業等協同組合法第19条)であり、同法第21条に定める除名とは手続及び効果を異にする旨を組合員に説明する。」 一言解説: 任意脱退は組合員の意思による脱退であるのに対し、除名は組合員の義務違反等を理由に総会の特別決議によって組合が一方的に組合員資格を失わせる手続であり、両者は要件・手続が全く異なるため、事務局として区別を明確にしておくことが望ましい。
C. 死亡・法人解散等による法定脱退が生じた場合の書き換え
C-1. 法定脱退事由の確認記載
追加記載例:「組合員〇〇は令和〇年〇月〇日に死亡(又は解散)したため、中小企業等協同組合法及び定款の定める法定脱退事由に該当し、本届出によらず脱退の効力が生じたことを組合において確認する。」 一言解説: 死亡や法人の解散、組合員資格の喪失等は組合員の意思にかかわらず脱退の効力が生じる法定脱退であり、任意脱退の予告手続とは前提が異なるため、様式を書き換えて確認記録として用いる場合はその旨を明記する必要がある。
C-2. 相続人への持分払戻しに関する記載
追加記載例:「死亡による脱退の場合、持分払戻請求権は相続人が承継するものとし、相続人が複数あるときは代表相続人を選任のうえ請求する旨を届出書に付記する。」 一言解説: 死亡脱退の場合、払戻しの相手方が相続人となるため、代表相続人の選任や必要書類(戸籍謄本等)の確認事項を追加しておくと手続が円滑になる。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、組合員が自らの意思により事業協同組合を脱退しようとする場合(任意脱退)に用いる。組合員の義務違反等を理由として組合が組合員資格を強制的に失わせる場合(除名)には手続・効果が異なるため、本書式は使用できず、総会における除名決議及びその通知に関する別の手続を要する。
根拠法令 組合員の任意脱退については、中小企業等協同組合法第19条第1項が、組合員は事業年度の終わりにおいて脱退することができ、その旨は90日前までに予告しなければならないと定めている。予告期間を満たさない場合、当該事業年度末では脱退の効力が生じず、次の事業年度末まで脱退できないこととなる点に注意を要する。脱退した組合員に対する持分の払戻しについては、同法第20条が定めており、払戻しの範囲や方法(一括か分割か)は組合の定款の定めによる。これに対し、組合員が法令又は定款に違反した場合等における除名は、同法第21条に基づき総会の特別決議によって行われる手続であり、任意脱退とは根拠条文及び効果を異にする。
実務でよくある失敗と対策 第一に、事業年度末の直前に脱退届を提出し、90日の予告期間を満たさないまま脱退を主張してしまい、当該事業年度末での脱退が認められない失敗がある。A-1のように到達日を明確にし、余裕をもった時期に届出を行うことが対策となる。第二に、持分払戻額の算定根拠が組合員に開示されず、算定の妥当性を巡って紛争になる失敗がある。A-2のように算定根拠の開示を求める記載を加えることが望ましい。第三に、組合員の義務違反を理由とする脱退を任意脱退の届出書で処理しようとし、除名に必要な総会特別決議を経ないまま組合員資格を失わせたと誤解する失敗がある。B-2のように任意脱退と除名の区別を組合員に説明し、該当する手続を選択することが対策となる。
第四に、組合員の死亡や法人の解散といった法定脱退事由が生じたにもかかわらず、任意脱退と同様の90日予告手続を要求してしまい、相続人等への対応が遅延する失敗もある。C-1のように法定脱退と任意脱退の要件の違いを組合の事務処理上明確に区別することが対策となる。
予告期間の計算方法や持分払戻しの算定方法は定款の定めによって異なるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 脱退を希望する事業年度末の90日以上前に届出を提出しているか
- [ ] 届出書の到達日を組合側で記録し、予告期間の起算日を確認したか
- [ ] 出資口数及び持分の内容を正確に記載したか
- [ ] 持分払戻しの方法(一括又は分割)について定款の定めを確認したか
- [ ] 持分払戻額の算定根拠(財産目録等)を確認又は開示請求したか
- [ ] 未払出資金・未払代金その他の債務の精算方法を確認したか
- [ ] 任意脱退(第19条)と除名(第21条)の違いを組合員に説明したか
- [ ] 組合員資格を証する書面の添付を確認したか
- [ ] 脱退の効力発生日及び払戻し予定日を組合側で記録したか
- [ ] 除名事由に該当する場合は本書式ではなく総会決議手続を要することを確認したか
- [ ] 死亡・法人解散等の法定脱退事由に該当する場合、任意脱退と区別して処理したか
- [ ] 死亡脱退の場合、相続人への持分払戻しに必要な書類を確認したか