共同事業の実施や規約の制定を決定する理事会の議事録です。出席理事、議事の経過、決議結果を法定要件に沿って記録します。想定される例外的な場面への対応方針も補足しています。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
理事会議事録(事業協同組合)
第1部: 書式本文
〇〇事業協同組合 理事会議事録
- 開催日時: 令和〇年〇月〇日 午前〇時〇分から午前〇時〇分まで
- 開催場所: 【】
- 理事現在数: 【〇】名
- 出席理事数: 【〇】名(別紙出席者名簿のとおり)
- 出席監事: 【〇】名(中小企業等協同組合法第36条の8に基づき意見陳述のため出席)
- 議長: 定款第【】条の定めにより理事長〇〇〇〇が議長を務めた
理事長は、理事現在数【〇】名中【〇】名が出席し、定款第【】条に定める定足数を満たしていることを確認のうえ、本理事会が適法に成立した旨を宣した。
報告事項 業務執行状況の報告 理事長は、前回理事会以降の業務執行の状況について報告した。
第1号議案 共同購買事業実施規約の制定の件 理事長は、組合員の共同購買事業を実施するにあたり、別紙のとおり共同購買事業実施規約を制定する必要がある旨を説明した。審議の結果、出席理事の過半数の賛成をもって、原案どおり承認可決された。
第2号議案 共同購買事業の取扱品目及び価格決定方法の件 担当理事から取扱品目の選定基準及び価格決定方法(仕入原価に共通経費を按分する方式)について説明があり、審議のうえ出席理事の過半数の賛成をもって承認可決された。
第3号議案 代表理事の選定及び業務執行権限の範囲の件 中小企業等協同組合法第42条に基づき理事の代表権の範囲を審議した。理事長〇〇〇〇を業務執行理事として選定し、共同購買事業に関する契約締結権限を単独で有するものとし、【金〇円】を超える契約については理事会の事前承認を要するものと決定した。
第4号議案 組合員の事業利用限度額の設定の件 組合員1名当たりの共同事業利用限度額を【金〇円】と定める旨、審議のうえ原案どおり承認可決された。
監事〇〇〇〇は、本理事会に出席し、共同購買事業実施規約の内容につき、組合員の利用機会の公平性の観点から意見を述べた。理事会はこれを踏まえ、規約第【】条に組合員間の利用調整に関する規定を追加した。
以上をもって議事を終了し、理事長は閉会を宣した。
令和〇年〇月〇日 〇〇事業協同組合 理事会 議長(理事長) 【】 印 出席理事 【】 印 出席監事 【】 印(意見陳述者として記名)
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 理事の立場からの整理
A-1. 業務執行権限の上限額の明確化
追加記載例:「代表理事が単独で締結できる契約の上限額を金【】円とし、これを超える場合は理事会の事前承認を要する旨を議事録に明記する。」 一言解説: 中小企業等協同組合法第42条により理事は組合を代表する権限を有するが、内部統制の観点から契約金額に応じた承認プロセスを理事会決議で定め、権限逸脱による組合の損害を防止する趣旨である。
A-2. 特別利害関係を有する理事の議決権行使制限
追加記載例:「本議案について特別の利害関係を有する理事〇〇は、審議及び議決に加わらず、決議の直前に退席した旨を記録する。」 一言解説: 利害関係理事が議決に加わった場合、決議の公正性が争われるおそれがあるため、退席の事実を明記して手続の適正性を担保する。
B. 監事の立場からの整理
B-1. 意見陳述の内容を具体的に記録
追加記載例:「監事は、共同購買事業実施規約案が組合員間の利用機会の公平性を欠くおそれがある旨を指摘し、理事会はこれを受けて規約案を修正した経過を記載する。」 一言解説: 中小企業等協同組合法第36条の8は監事の理事会出席及び意見陳述権を定めており、単に出席した事実のみでなく、陳述内容とそれが議事に反映された経過を記録することで監査機能の実効性を示すことができる。
B-2. 理事の業務執行に問題があると認めた場合の記載
追加記載例:「監事は、理事の業務執行の方法に法令又は定款に違反するおそれがあると認めたときは、理事会に対しその旨を報告する。」 一言解説: 監事による理事会への報告は監査機能の中核であり、議事録に監事の指摘とこれに対する理事会の対応を残すことで、後日の責任追及の場面における経過の証明に資する。
C. 書面決議・持ち回り決議を行う場合の書き換え
C-1. 書面決議の要件確認
追加記載例:「本議案は理事全員が書面により同意の意思表示をしたため、定款第【】条に基づき理事会の決議があったものとみなす。同意書面の写しを本議事録に添付する。」 一言解説: 書面決議(いわゆるみなし決議)は定款に定めがある場合に限り認められるため、根拠となる定款条項と理事全員の同意書面の存在を明記することが不可欠である。
C-2. 緊急を要する議案の事後報告
追加記載例:「理事長が緊急やむを得ない事情により単独で行った措置について、次回理事会において事後報告し、承認を求めた経過を記載する。」 一言解説: 緊急対応を理事会決議を経ずに行った場合、事後に理事会の承認を得た経過を残すことで、当該措置の適法性に関する疑義を早期に解消できる。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、共同事業の実施規約の制定、代表理事の権限範囲の決定、組合員の事業利用条件の設定など、組合の業務執行に関する意思決定を理事会で行う場合に用いる。総会の専属的権限とされる定款変更や解散等の基礎的事項については理事会限りで決定することができないため、本書式ではなく総会議事録を用いるべきである。
根拠法令 平成19年改正で導入された中小企業等協同組合法第36条の6は、一定規模以上の組合等における理事会の設置及びその権限(業務執行の決定、理事の職務執行の監督、代表理事の選定・解職等)を定めている。理事会で選定された代表理事は、同法第42条により組合を代表し、業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有するが、理事会決議により代表権に制限を加えることも実務上行われている。また、同法第36条の8は監事が理事会に出席し、必要があると認めるときは意見を述べる義務を定めており、監事の出席及び発言内容を議事録に反映させることが監査機能の実効性を確保するうえで重要である。
実務でよくある失敗と対策 第一に、代表理事の権限範囲を定款及び理事会決議のいずれにも明記せず、契約金額の大小にかかわらず代表理事が単独で契約を締結できる状態になっている失敗がある。A-1のように承認を要する金額基準を理事会決議で明確化することが対策となる。第二に、監事の出席を形式的なものにとどめ、意見陳述の内容を議事録に反映しない失敗がある。B-1のように陳述内容と対応経過を具体的に記載することが望ましい。第三に、特別の利害関係を有する理事が議決に加わったまま決議を行い、決議の公正性が事後に争われる失敗がある。A-2のように利害関係理事の除斥手続を明記することが対策となる。
第四に、緊急を要する事案について理事長が単独で対応したにもかかわらず、事後の理事会報告及び承認手続を怠り、当該対応の適法性が事後に疑われる失敗もある。C-2のように次回理事会での事後報告と承認の経過を記録することが対策となる。
理事会の権限の範囲や決議要件は組合の定款及び理事会規則の定めにより異なるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 開催日時・場所・理事現在数・出席理事数を記載したか
- [ ] 定款上の理事会定足数を満たしていることを確認したか
- [ ] 監事の出席の有無及び意見陳述の内容を記載したか
- [ ] 代表理事の権限範囲(契約締結権限の上限額等)を明確にしたか
- [ ] 共同事業の実施規約の内容が組合員間で公平か確認したか
- [ ] 特別の利害関係を有する理事の除斥手続を記録したか
- [ ] 組合員の事業利用限度額その他の実施条件を具体的に定めたか
- [ ] 監事の指摘に対する理事会の対応経過を記載したか
- [ ] 議事録に議長及び出席理事の記名押印を得たか
- [ ] 議事録と共同購買事業実施規約その他の関連規約との整合性を確認したか
- [ ] 書面決議を行う場合、定款上の根拠及び理事全員の同意書面を確認したか
- [ ] 緊急対応を行った場合、次回理事会での事後報告・承認手続を経たか