施設や土地での撮影を許諾する書面です。使用日時、機材の搬入、原状回復、映像の公開範囲、事故時の責任分担を定めます。自社の実情に合わせて条項を取捨選択できる構成です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
ロケーション撮影使用許諾書
第1部: 書式本文
甲(【施設・土地の名称】の所有者又は管理者。以下「甲」という。)と乙(撮影者。以下「乙」という。)は、甲が所有又は管理する下記施設・土地における撮影に関し、次のとおりロケーション撮影使用許諾契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(目的物) 本契約の対象となる施設・土地は【所在地・施設名称】(以下「本件施設」という。)とする。
第2条(使用許諾) 甲は乙に対し、下記の日時及び区域において本件施設を撮影目的で使用することを許諾する。 使用日時:【年月日・時間帯】 使用区域:【使用箇所の具体的な範囲】
第3条(使用目的の限定) 乙は、本件施設を【作品名・用途:映画・CM・配信番組等】の撮影目的にのみ使用するものとし、甲の事前の書面による承諾なく使用目的を変更してはならない。
第4条(機材の搬入・搬出) 1 乙は、搬入する撮影機材、照明機材及び車両の一覧を事前に甲に提出し、承諾を得るものとする。 2 乙は、搬入及び搬出にあたり、本件施設及びその周辺の通行の安全に配慮し、必要に応じて誘導員を配置する。
第5条(立会い) 甲は、撮影当日、甲の指定する担当者を立ち会わせることができる。乙は当該担当者の指示に従うものとする。
第6条(使用料) 乙は甲に対し、本件施設の使用料として金【金額】円を【支払時期】までに支払う。使用時間が予定を超過した場合、乙は超過時間に応じた追加使用料を支払う。
第7条(原状回復) 1 乙は、撮影終了後、本件施設を使用前の状態に原状回復のうえ、甲の確認を受けて明け渡す。 2 乙が本件施設に生じさせた損傷については、民法第622条の2の趣旨に準じ、通常の使用及び収益によって生じた本件施設の損耗並びに経年変化を除き、乙の負担で原状回復する。
第8条(事故時の責任分担) 1 撮影に伴い本件施設の工作物の設置又は保存の瑕疵に起因して第三者に損害が生じた場合、民法第717条に基づく占有者又は所有者としての責任は甲が負う。 2 前項にかかわらず、乙の撮影行為(機材の設置、照明の使用、演出上の行為等)に起因して生じた事故及び損害については、乙が責任を負う。
第9条(保険) 乙は、本件撮影に関し、賠償責任保険その他相当の保険に加入するものとし、甲の求めに応じて加入状況を証する書類を提示する。
第10条(映像の公開範囲) 1 乙は、撮影した映像を第3条に定める使用目的の範囲内で公開・配信・放送することができる。 2 本件施設の外観、内装又は名称が識別可能な形で撮影された映像を、第1項の範囲を超えて広告その他の用途に使用する場合、乙は事前に甲の書面による承諾を得るものとする。
第11条(近隣対応) 乙は、撮影に伴う騒音、交通規制及び人員配置について、事前に甲と協議し、必要に応じて近隣住民への周知を行う。公道上での撮影を伴う場合、乙は道路交通法第77条に基づく道路使用許可その他必要な許可を自らの責任と費用負担で取得する。
第12条(禁止行為) 乙は、本件施設内において、火気の使用、危険物の持込み、建造物の損壊のおそれがある演出、その他甲が指定する禁止行為を行ってはならない。
第13条(中止・延期) 天災、悪天候その他甲乙いずれの責にも帰さない事由により撮影が実施できない場合、甲乙協議のうえ、使用日時の変更又は本契約の解除を行うことができる。この場合、既払いの使用料の取扱いは甲乙協議して定める。
第14条(契約解除) 甲又は乙は、相手方が本契約に違反し、催告後【7日】以内に是正されないときは、本契約を解除することができる。
第15条(協議・合意管轄) 1 本契約に定めのない事項及び疑義については、甲乙誠実に協議のうえ解決する。 2 本契約に関する紛争については、【管轄裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する。
【契約締結日】
甲(施設・土地の所有者) 住所: 名称: 代表者: 印
乙(撮影者) 住所: 名称: 代表者: 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節 施設・土地の所有者の立場から有利にする修正
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原状回復義務の厳格化(第7条の書き換え) 「乙は、撮影終了後【当日中】に本件施設を原状回復のうえ甲の確認を受けるものとし、確認が取れない場合は明渡しが完了したものとみなさない。」 一言解説: 原状回復完了の確認を明渡しの要件とし、放置による損害を防ぐ。
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責任分担の乙側拡大(第8条の書き換え) 「本件施設内で生じた事故は、その原因が本件施設の設置又は保存の瑕疵に基づくことが明確な場合を除き、乙の責任と費用負担において解決するものとする。」 一言解説: 立証責任を実質的に乙側へ寄せ、原因不明の事故対応コストを軽減する。
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公開範囲の事前承認強化(第10条の書き換え) 「乙は、撮影映像の公開前に、本件施設が映る全カットを甲に提示し、甲の書面による承諾を得たうえで公開するものとする。」 一言解説: 施設イメージへの影響を事前にコントロールできるようにする。
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キャンセル料の設定(第13条の書き換え) 「乙の都合により使用日の【7日】前を過ぎて撮影を中止する場合、乙は甲に対し使用料の【50%】をキャンセル料として支払う。」 一言解説: 直前キャンセルによる機会損失を補填する。
B節 撮影者の立場から有利にする修正
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事故時の責任分担の明確化(第8条の書き換え) 「乙の責任は、乙が搬入した機材及び乙の指示に基づく演出行為に直接起因する事故に限るものとし、本件施設の構造、設備の不具合又は経年劣化に起因する事故については甲が責任を負う。」 一言解説: 撮影者の過失に起因しない事故まで責任を負わされることを防ぐ。
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原状回復の範囲限定(第7条の書き換え) 「原状回復の対象は乙の使用により生じた損傷部分に限るものとし、通常の使用による損耗及び経年変化は原状回復の対象に含まない。」 一言解説: 民法622条の2の考え方を明記し、過大な原状回復請求を防ぐ。
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使用料の分割・延期時の精算(第6条の書き換え) 「甲の事情により使用日が変更となった場合、乙は既払いの使用料を次回使用日に充当できるものとし、甲の都合による中止の場合は全額を返還する。」 一言解説: 施設側都合のキャンセルリスクを撮影者側が一方的に負わないようにする。
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公開範囲の柔軟化(第10条の書き換え) 「乙は、本件施設が背景として映り込む範囲の映像について、施設名称を強調しない限り、甲の個別の承諾なく作品の宣伝目的で使用できるものとする。」 一言解説: カット単位の逐一承認を不要にし、宣伝活動の機動性を確保する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、店舗、社寺、個人邸宅、公共施設に準ずる私有地など、施設・土地の所有者又は管理者の許諾を得て映像・広告・配信コンテンツの撮影を行う場面で用いる。純粋な公道上・公園等の公共空間のみでの撮影で、施設管理者の許諾が不要な場合には本書式は適さず、道路使用許可や公園占用許可など行政手続を中心に検討すべきである。また、賃借物件を撮影会場として又貸しするような場合は、原賃貸借契約における転貸禁止条項に抵触しないかを別途確認する必要がある。
根拠法令としては、民法第717条が土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときの占有者及び所有者の責任を定めており、本件施設の設備に起因する事故は原則として施設側が責任主体となり得る。一方、撮影者側の機材操作や演出行為に起因する事故は施設の瑕疵とは別の問題であり、契約上どちらの原因かで責任分担を切り分けておく必要がある。また、施設の利用が実質的に賃貸借に類する場合には民法第601条の賃貸借の規定や、同法第622条の2に定める原状回復義務(通常損耗・経年変化を除く)の考え方が参考になる。公道上での撮影を伴う場合は、道路交通法第77条に基づき、所轄警察署長の道路使用許可が必要となることがある点にも留意する。
よくある失敗として、第一に、原状回復の範囲を定めずに撮影を実施し、通常損耗まで原状回復を求められて紛争化する例がある。対策として、第7条のように民法第622条の2の趣旨を踏まえ、通常損耗・経年変化を除く旨を明記する。第二に、事故発生時の責任分担が曖昧なまま撮影を実施し、施設の設備由来の事故か撮影行為由来の事故かで争いになる例がある。第8条のように原因ごとに責任主体を分ける条項を設けることが望ましい。第三に、撮影映像の公開範囲を確認せずに施設名称や外観が広告に使用され、施設側の意図しないイメージ利用につながる失敗もある。第10条のように公開範囲・追加利用時の承諾手続を明記することが有効である。撮影場所の性質や近隣状況によって必要な許可や責任分担の妥当な内容は異なるため、専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 撮影対象となる施設・土地の所有者又は管理者が契約当事者本人であるかを確認したか
- [ ] 使用日時・使用区域(立入可能な範囲)を具体的に特定したか
- [ ] 撮影目的・作品名・用途を限定して記載したか
- [ ] 搬入機材・車両のリストを事前提出する仕組みを設けたか
- [ ] 使用料の金額・支払時期・超過利用時の追加料金を明記したか
- [ ] 原状回復義務の範囲(通常損耗・経年変化の扱い)を明確にしたか
- [ ] 事故発生時の責任分担(施設起因か撮影行為起因か)を条項化したか
- [ ] 撮影者が賠償責任保険に加入しているか確認する条項を設けたか
- [ ] 撮影映像の公開範囲・施設名称の使用可否について合意したか
- [ ] 公道での撮影を伴う場合、道路使用許可等の取得責任を明記したか
- [ ] 近隣住民への配慮・騒音対策について定めたか
- [ ] 天災等による中止・延期時の使用料精算方法を定めたか