前払金の保証を受けるため保証事業会社へ委託を申し込む書式です。工事内容、請負金額、保証金額の記載要領を示します。実務で迷いやすい記載箇所には解説コメントを付しています。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
前払金保証委託申込書式
第1部: 書式本文
以下は、建設業者が公共工事の前払金保証事業に関する法律に基づき指定を受けた保証事業会社に対し、前払金の保証を委託する際に用いる申込書の記載項目一覧である。保証委託契約は、建設業者と保証事業会社との間の請負契約とは別個の契約であることに留意する。
前払金保証委託申込書
【保証事業会社名】 御中
【申込年月日】
申込者(建設業者) 住所【 】 商号又は名称【 】 代表者役職氏名【 】 印 建設業許可番号【国土交通大臣/都道府県知事 許可(般-◯)第◯号】 許可業種【 】
下記のとおり、貴社に対し前払金保証委託を申し込みます。
- 発注者名:【発注者名称】
- 工事名称:【工事名称】
- 工事場所:【所在地】
- 工期:【自 年 月 日 至 年 月 日】
- 請負契約締結年月日:【年月日】
- 請負代金額:金【 】円也(うち消費税及び地方消費税額 金【 】円)
- 保証委託金額(前払金額):金【 】円也(請負代金額の【 】分の【 】に相当する額)
- 中間前払金の要否:要/否(要の場合は追加保証委託の予定を付記)
- 担保提供の有無:無/有(有の場合は担保物件の種類・評価額を別紙に記載)
- 保証料算定の基礎となる工事種別:【 】
- 連帯保証人又は共同企業体構成員:【氏名又は名称・住所】(共同企業体の場合は構成員全員を記載)
- 添付書類:請負契約書の写し、建設業許可証の写し、工事内訳明細書、資金計画書、直前決算期の財務諸表
- 保証事業会社への確約事項:申込者は、保証事業会社が求償権を取得した場合、遅滞なくこれに応じることを確約する。
- 保証約款の適用:本申込みに基づき締結される保証契約には、保証事業会社の定める保証約款(国土交通大臣認可済み)を適用する。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節:建設業者(申込者)の立場での修正例
A-1. 個人事業主として申し込む場合 「申込者は個人事業主であり、商号は【屋号】、事業主氏名は【 】とする。開業年月日及び直近の確定申告書の写しを添付する。」 一言解説:法人と異なり登記事項証明書がないため、開業の実在性や事業規模を示す資料(確定申告書等)を代替添付書類として明記する必要がある。
A-2. 共同企業体(JV)として申し込む場合 「申込者は【甲建設株式会社】を代表者とする共同企業体であり、構成員は甲建設株式会社(出資比率【 】パーセント)及び乙建設株式会社(出資比率【 】パーセント)とする。構成員は本保証委託に基づく求償債務につき連帯して責任を負う。」 一言解説:JVの場合は構成員全員の連帯責任を明記し、代表者と構成員それぞれの許可番号を記載する必要がある。
B節:保証事業会社の立場での修正例
B-1. 追加担保を求める場合 「保証事業会社は、申込者の財務状況又は工事の履行状況に照らし保証の履行が懸念されると判断した場合、追加担保の提供又は連帯保証人の追加を求めることができる。申込者はこれに応じるものとする。」 一言解説:財務状況に不安がある申込者に対しては、保証事業会社が審査段階でリスク軽減策を講じられるよう条項を明記しておく。
B-2. 既存保証実績を確認する場合 「申込者は、過去5年以内に前払金保証に係る保証事故(求償権の未履行)がないことを表明し、保証事業会社はこれを確認するため信用情報の照会を行うことができる。」 一言解説:反復して保証事故を起こす業者を早期に識別するため、過去実績の表明保証条項を設けることが望ましい。
B-3. 保証料の算定根拠を明示する場合 「保証事業会社は、申込者に対し、保証委託金額、工事種別及び工期に応じて算定した保証料の見積りを申込受理後【5】営業日以内に提示する。申込者は当該見積りを確認のうえ、保証委託契約の締結可否を決定する。」 一言解説:保証料は工事種別・保証金額・工期により変動するため、審査段階で見積り提示のタイミングを明確にし、申込者との認識の齟齬を防ぐ。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面:建設業者が公共工事の請負契約に基づき前払金の支払を発注者に請求する前提として、指定保証事業会社に保証委託を申し込む場面で使用する。保証事業会社は国土交通大臣の認可を受けた保証約款に基づき保証契約を締結する。
使ってはいけない場面:建設業許可を有しない者、または当該工事に対応する許可業種を有しない者による申込みには使用できない。また、既に別の保証事業会社から同一工事について保証を受けている場合の重複申込みにも適さない。民間工事で発注者独自の前払金制度による場合は、法律上の保証事業会社の関与を前提としないため、そのまま流用しない。
根拠法令:公共工事の前払金保証事業に関する法律(第2条:保証事業会社の定義及び指定、第4条:保証約款の認可、第20条:保証事業会社の求償権)、公共工事標準請負契約約款第34条(前払金)、建設業法第3条(許可)及び第29条(許可の取消し等、財務基盤に問題がある業者の排除の趣旨)。
よくある失敗と対策: 1. 保証委託金額の算定を誤り、請負代金額に対する前払金割合の上限を超えて申し込む例がある。対策として、第1部項目7に算定根拠(割合計算式)を明記し、発注者の前払金取扱要綱を事前に確認する運用を徹底する。 2. 建設業許可の業種区分と実際の工事内容が一致していない申込みが見られる。対策として、許可業種欄(申込者情報欄)と工事内容の整合性を保証事業会社の審査項目として明示する。 3. 共同企業体で申し込む際、構成員全員の連帯責任や出資比率の記載が漏れる例がある。対策として、第2部A-2のような連帯責任明記条項をひな形化し、必ず全構成員分の許可番号・出資比率を記載する。 4. 保証料の見積りを確認しないまま申込みを確定し、後日想定外の保証料負担が判明して資金計画に支障を来す例がある。対策として、第2部B-3のように保証料見積りの提示時期を申込書中に明記し、契約締結前に必ず確認する運用とする。 なお、本書式による申込みの可否及び保証条件の妥当性については、個別事案は専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- 申込者が対象工事に対応する建設業許可(業種区分含む)を有しているか確認したか
- 保証委託金額が請負代金額に対する前払金上限割合の範囲内であるか確認したか
- 請負契約書の写しと申込内容(工事名・工期・請負代金額)が一致しているか確認したか
- 中間前払金を予定する場合、その要否と追加保証委託の見込みを記載したか
- 担保提供の有無及び担保物件の内容を正確に記載したか
- 共同企業体の場合、構成員全員の連帯責任及び出資比率を記載したか
- 添付書類(許可証写し、財務諸表、資金計画書等)が保証事業会社の求める様式に適合しているか確認したか
- 過去の保証事故の有無について事実と異なる記載をしていないか確認したか
- 保証約款(国土交通大臣認可済み)の内容を申込者が確認済みであるか確認したか
- 求償権発生時の対応(担保実行、連帯保証人への請求等)について申込者が理解しているか確認したか
- 保証料の見積内容及び支払時期について事前に確認したか
- 過去の保証事故の有無に関する表明内容が事実と相違ないか確認したか