公共工事の前払金や中間前払金を請求する書式です。保証事業会社の保証書添付、使途の制限、精算方法を確認します。自社の実情に合わせて条項を取捨選択できる構成です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
前払金・中間前払金請求書
第1部: 書式本文
以下は、公共工事の請負契約に基づき受注者が発注者に対して前払金または中間前払金の支払を請求する際に用いる記載項目一覧である。公共工事標準請負契約約款第34条及び公共工事の前払金保証事業に関する法律に基づく保証を付した請求を前提とする。
前払金(中間前払金)請求書
【発注者名】 殿
【請求年月日】
請求者(受注者) 住所【 】 商号又は名称【 】 代表者役職氏名【 】 印
下記工事について、下記のとおり前払金(中間前払金)の支払を請求します。
- 工事名称:【工事名称】
- 工事場所:【所在地】
- 請負契約締結年月日:【年月日】
- 請負代金額:金【 】円也(うち消費税及び地方消費税額 金【 】円)
- 請求区分:前払金/中間前払金(いずれかに丸をつける)
- 請求金額:金【 】円也(請負代金額の【 】分の【 】に相当する額)
- 既受領前払金額(中間前払金請求の場合):金【 】円也
- 出来高及び進捗率(中間前払金請求の場合):【 】パーセント(既済部分検査結果通知書番号【 】)
- 保証事業会社名:【 】
- 保証証書番号:【 】
- 保証金額:金【 】円也
- 保証期間:【自 年 月 日 至 年 月 日】
- 振込先口座:金融機関名【 】支店名【 】預金種目【 】口座番号【 】口座名義【 】
- 添付書類:前払金(中間前払金)保証証書の写し、資金使途計画書、(中間前払金の場合)既済部分検査結果通知書の写し
- 使途の誓約:請求者は、受領した前払金及び中間前払金を、当該工事の材料費、労務費、機械器具の賃借料及び購入費、動力費、支払運搬費、修繕費、仮設費、労働者災害補償保険料、租税公課その他当該工事の施行に直接必要な諸経費の支払に限り充当し、他の工事又は他の用途に流用しないことを誓約する。
- 精算方法:前払金及び中間前払金は、工事完成時の請負代金支払額から既受領額を控除する方法により精算する。中間前払金を受領した場合は、当初前払金と中間前払金の合計額が請負代金額の【 】分の【 】を超えないものとする。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節:受注者(請求者)の立場での修正例
A-1. 通常の前払金請求(契約締結直後)の場合 「本請求は請負契約締結後、工事に着手するに先立ち行うものであり、着手前の資材調達及び労務確保に必要な資金として使途誓約書記載の用途に限り使用する。」 一言解説:着手前請求であることを明記し、出来高要件が不要である旨を示すことで、発注者側の審査を円滑にする。
A-2. 中間前払金請求(出来高要件を満たした場合)の場合 「本工事の出来高は既済部分検査の結果、請負代金額の【 】パーセントに達しており、公共工事標準請負契約約款に定める中間前払金の請求要件を満たすことを確認のうえ請求する。」 一言解説:中間前払金は出来高要件(実務上おおむね工程の中間時点、出来高2割以上等の発注者基準)を満たす必要があるため、検査結果を明示して疎明資料とする。
B節:発注者(審査側)の立場での修正例
B-1. 受理時の確認欄を追加する場合 「本請求書の受理にあたり、発注者は保証証書の有効性、保証金額の妥当性及び使途誓約の内容を確認したうえで受理印を押印する。不備がある場合は受注者に補正を求める。」 一言解説:発注者側の内部統制として、審査項目をあらかじめ書面化しておくことで、後日の監査対応にも資する。
B-2. 下請への前払金の回付状況を確認する場合 「発注者は、受注者に対し、受領した前払金のうち下請負人への前払として支払われた額及びその時期の報告を求めることができる。」 一言解説:下請保護の観点から、元請が前払金を適正に下請へ回付しているかを確認する条項を付加する運用が見られる。
B-3. 保証事故が疑われる場合の留保条項を追加する場合 「発注者は、受注者について前払金保証事業に関する法律上の保証事故(信用状態の著しい悪化等)の事由が生じたと認めるときは、前払金の支払を留保し、又は保証事業会社に対し状況の照会を行うことができる。」 一言解説:受注者の経営状況が急変した場合に備え、発注者側があらかじめ支払留保の根拠を明文化しておくことで、公金の適正な支出管理に資する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面:公共工事標準請負契約約款が適用される請負契約において、契約締結後の着手前資金または工事中間時点の資金を確保するために、受注者が発注者に対し正式に支払請求を行う場面で使用する。前払金保証事業会社の保証書が発行されていることが前提条件となる。
使ってはいけない場面:保証事業会社の保証証書が未発行の段階、または請負代金額に対する前払金・中間前払金の合計割合が契約書及び約款上の上限(発注者の定める前払金取扱要綱等による)を超える請求には使用できない。また、民間工事で公共工事標準請負契約約款の適用がない場合は、前払金条項の有無・内容が異なるため、そのまま流用しない。
根拠法令:公共工事標準請負契約約款第34条(前払金)、公共工事の前払金保証事業に関する法律(第2条:保証事業会社の定義、第4条:保証契約の内容、第20条:求償権)、建設業法第24条の3(下請代金の支払)。前払金の下請への適正な回付確保の観点から、建設業法第24条の3の趣旨も踏まえた記載が望ましい。
よくある失敗と対策: 1. 保証証書の有効期間が請求時点で満了している、または工期延長に伴う保証期間の更新を失念する例が多い。対策として、第1部の記載項目に保証期間を明記し、工期変更時の更新義務条項を別途契約書に定めておく。 2. 請求金額が約款上の上限割合(前払金・中間前払金の合計)を超過して算定される例がある。対策として、既受領額との合計を明記する項目(第1部項目7)を必須化する。 3. 使途誓約なく前払金を受領し、他工事への流用が疑われて発注者から精算時に指摘を受ける例がある。対策として、使途誓約条項(第1部項目15)を必須記載とし、必要に応じて資金使途計画書の添付を求める。 4. 中間前払金の請求時期を誤り、出来高が要件(発注者の定める基準)に達する前に請求してしまい、審査段階で差し戻しを受ける例がある。対策として、既済部分検査結果通知書の写しを添付書類として必須化し、検査完了後に請求する運用を徹底する。 なお、本書式の適用可否を含め、個別事案は専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- 対象工事が公共工事標準請負契約約款の適用を受ける契約であることを確認したか
- 前払金保証事業会社発行の保証証書が有効期間内で発行済みであることを確認したか
- 請求金額が請負代金額に対する約款上・発注者要綱上の上限割合を超えていないか確認したか
- 中間前払金請求の場合、出来高要件(既済部分検査結果)を満たしているか確認したか
- 既受領前払金額との合計が保証金額の範囲内にあるか確認したか
- 振込先口座情報に誤りがないか確認したか
- 使途誓約の内容が実際の資金使途計画と整合しているか確認したか
- 添付書類(保証証書写し、資金使途計画書等)が過不足なく揃っているか確認したか
- 発注者側の受理窓口・提出期限を事前に確認したか
- 精算方法(工期完了時の控除方法、合計上限)が契約書の定めと矛盾していないか確認したか
- 下請負人への前払金回付を予定している場合、その報告方法を発注者側と事前に確認したか
- 保証事故に該当する事由(信用状態の悪化等)が生じていないか、請求前に自己点検したか