株式取得者が株主名簿の書換えを求める請求書。会社法第133条の取得者と譲渡人による共同請求の原則と、施行規則第22条により単独請求が認められる場合を示します。

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株主名簿の名義書換請求書

第1部: 書式本文

株式を譲渡・相続・合併等により取得した者が、発行会社に対し株主名簿の名義書換えを請求する際の書式である。会社法上、名義書換えは原則として株式取得者と譲渡人(名義人)が共同で請求することとされているため、本書式は共同請求を基本形としつつ、単独請求が認められる場合の記載を選択できる構成とする。

記載項目一覧

  1. 宛先 発行会社の商号及び株主名簿管理人(名義書換代理人を設置している場合)の名称
  2. 請求日 請求書を提出する年月日
  3. 請求者(取得者)の表示 氏名又は名称、住所、連絡先
  4. 請求者(譲渡人)の表示 氏名又は名称、住所(共同請求の場合)
  5. 対象株式の表示 株式の種類、株式数、株券発行会社である場合は株券番号
  6. 取得原因 売買、贈与、相続、合併、会社分割、株式交換等の別
  7. 取得原因を証する書面の表示 株式譲渡契約書、相続を証する戸籍謄本・遺産分割協議書、合併契約書等の添付書類名
  8. 単独請求の根拠(単独請求の場合のみ) 会社法施行規則第22条各号のいずれに該当するかの特定
  9. 譲渡制限株式である場合の承認手続の記載 取締役会又は株主総会の承認決議の日付・議事録の添付
  10. 名義書換え後の株主名簿記載事項として希望する内容 氏名(名称)、住所、株式数
  11. 請求者(取得者)の記名及び実印又は届出印による押印、印鑑証明書の添付
  12. 請求者(譲渡人)の記名及び押印、印鑑証明書の添付(共同請求の場合)
  13. 代理人による請求の場合の委任状の添付

以上の項目を記載した請求書に、取得原因を証する書面及び印鑑証明書を添付し、発行会社又は株主名簿管理人に提出する。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 共同請求パターン(原則形)

会社法第133条第2項及び会社法施行規則第22条第1項の原則どおり、取得者と譲渡人が共同で請求する場合の記載例である。

記載例:「請求者(取得者)〇〇〇〇及び請求者(譲渡人)〇〇〇〇は、共同して、下記株式について株主名簿の名義書換えを請求します。」

一言解説: 共同請求は最も紛争リスクが低い方式である。譲渡人の押印(実印)と印鑑証明書を必ず取得し、譲渡人の意思確認を書面上明確にしておくことが望ましい。

B. 株式取得者単独請求パターン

会社法施行規則第22条第1項各号(株式取得者が株主名簿上の株主又はその相続人その他の一般承継人に対して名義書換手続をすることを請求する裁判の勝訴判決を得た場合、相続その他の一般承継により株式を取得した場合等)に該当するときは、取得者が単独で請求できる。

記載例:「請求者(取得者)〇〇〇〇は、被相続人〇〇〇〇の死亡による相続により下記株式を取得したため、会社法施行規則第22条第1項第1号に基づき単独で株主名簿の名義書換えを請求します。」

一言解説: 単独請求の場合は、単独請求が認められる根拠事由を条文レベルで具体的に特定し、戸籍謄本等の一般承継を証する書面を必ず添付する。会社側が根拠事由を確認できない場合は書換えに応じないリスクがある。

C. 発行会社側(受付担当)が確認用に使う場面

発行会社が請求書を受理する立場で用いる場合は、請求書そのものの記載は変更せず、受理欄を追加するのが実務的である。

追加記載例:「(会社使用欄)受理日 年 月 日/確認担当者 印/添付書類確認欄(取得原因証明書 有・無、印鑑証明書 有・無、承認議事録 有・無)」

一言解説: 会社側は名義書換えを不当に拒絶すると会社法上の過料等の制裁や損害賠償責任を負うリスクがある一方、要件を満たさない請求に安易に応じると真の株主の権利を害するおそれがあるため、受理欄を設けて確認プロセスを可視化しておくことが望ましい。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、株式を有効に取得したにもかかわらず株主名簿上の名義が旧株主のままとなっている場合に、取得者(又は取得者・譲渡人双方)が発行会社に対して名義書換えを求める場面で用いる。他方、株式の帰属自体に争いがある場合(二重譲渡や取得原因の有効性に疑義がある場合)には、名義書換請求書のみで解決することは想定されておらず、株主権確認訴訟等の司法手続を要する場面もあるため、単純な事務手続として扱うべきでない。

根拠法令 会社法第130条は、株式の譲渡は株主名簿への記載がなければ会社その他の第三者に対抗できない旨を定める。同法第133条第1項は株式取得者が株主名簿の名義書換えを請求できる旨を、同条第2項は原則として利害関係人(譲渡人等)との共同請求によることを定める。共同請求の例外は会社法施行規則第22条に列挙されており、相続その他の一般承継、勝訴判決の確定、会社の過失により名義書換えがされなかった場合の適用除外等が定められている。譲渡制限株式については、会社法第136条以下の譲渡承認手続を経ていることが名義書換えの前提となる。

実務でよくある失敗と対策 第一に、譲渡制限株式について取締役会等の承認決議を経ないまま名義書換えを請求してしまう例がある。対策として、記載項目一覧の第9項に承認手続の記載欄を設け、承認議事録の添付を必須化した。第二に、単独請求の根拠事由を明示せずに請求し、会社側から差戻しを受ける例がある。対策として、第8項に施行規則第22条の該当号を具体的に記入する欄を設けた。第三に、株券発行会社であるにもかかわらず株券の提示・提出を怠る例がある。株券発行会社の場合、名義書換えには原則として株券の提示が必要となるため、対象株式が株券発行会社の株式か否かを事前に確認する必要がある。

第四に、株主名簿管理人(信託銀行等)を設置している会社に対して発行会社の本店所在地宛てに請求書を送付してしまい、手続が遅延する例も少なくない。会社の登記事項証明書や有価証券報告書等で株主名簿管理人の設置の有無・提出先を事前に確認することが望ましい。

なお、個別の事案において単独請求の可否や添付書類の要否、譲渡承認手続の要否は事案ごとに異なりうるため、実際の請求にあたっては専門家に確認することが望ましい。

株券発行会社における留意点 株券発行会社の株式については、会社法第128条により株券の交付が譲渡の効力要件とされているため、名義書換請求にあたっても原則として株券の提示・提出が必要となる。株券不発行会社(定款で株券を発行しない旨を定めた会社。実務上の多数派)であれば株券の提示は不要であるが、対象会社の定款を確認し、株券発行会社に該当するか否かを事前に把握しておく必要がある。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 対象会社が株券発行会社か否かを確認したか
  • [ ] 対象株式が譲渡制限株式か否かを確認したか
  • [ ] 譲渡制限株式である場合、取締役会又は株主総会の承認決議を得ているか
  • [ ] 共同請求とするか単独請求とするかを決定したか
  • [ ] 単独請求の場合、会社法施行規則第22条の該当号を特定したか
  • [ ] 取得原因を証する書面(売買契約書、戸籍謄本等)を準備したか
  • [ ] 請求者(取得者)の印鑑証明書を準備したか
  • [ ] 共同請求の場合、譲渡人の印鑑証明書を準備したか
  • [ ] 代理人が請求する場合、委任状を準備したか
  • [ ] 株主名簿管理人(信託銀行等)を設置している会社か否かを確認し、提出先を誤っていないか
  • [ ] 対象株式の種類・数・株券番号(該当する場合)に誤りがないか