サービス提供に伴う一定のリスクについて責任範囲を確認する同意書です。消費者契約法第8条の制限を踏まえた記載としています。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
免責同意書(責任範囲確認書)
第1部: 書式本文
免責同意書(責任範囲確認書)
【役務提供者の名称】(以下「甲」という。)が提供する【サービス・プログラム名】(以下「本サービス」という。)への参加に当たり、参加者・利用者【氏名】(以下「乙」という。)は、下記事項を確認のうえ同意する。
第1条(本サービスの内容) 本サービスの名称及び内容:【 】 実施日時:令和【 】年【 】月【 】日【 】時から【 】時まで 実施場所:【 】 実施主体:甲及び甲が指定する指導者・スタッフ
第2条(本サービスに内在するリスクの説明) 乙は、本サービスの性質上、次のようなリスクが一定程度存在することについて、甲から事前に説明を受け、これを理解した。 一 【身体的接触・運動を伴う場合の受傷リスク等】 二 【天候、施設、他の参加者の行動等、甲が完全には制御できない要因によるリスク】 三 【乙自身の健康状態・体力に起因するリスク】
第3条(甲の説明義務の履行) 甲は、本サービスの内容、想定されるリスク及び安全確保のための注意事項について、乙に対し書面又は口頭により事前に説明したことを確認する。
第4条(責任の範囲に関する確認) 甲は、本サービスの提供にあたり、甲及び甲の従業員・指導者の故意又は重大な過失による乙の生命、身体又は財産への損害については、その賠償責任を免れない。 甲の軽過失による損害については、甲は【損害賠償額の上限を本サービスの対価相当額とする等、合理的な範囲での上限】を限度として賠償する。 乙の故意又は過失、乙の健康状態の申告漏れ、及び甲の関与しない乙自身の判断による行動に起因して生じた損害について、甲は責任を負わない。
第5条(健康状態の申告) 乙は、本サービスへの参加にあたり支障となる持病、既往症、服薬状況その他の健康上の事情がある場合、事前に甲に申告するものとする。申告を怠ったことにより生じた損害について、甲は責任を負わない。
第6条(参加者の遵守事項) 乙は、本サービスの実施中、甲及び指導者の指示に従い、安全に配慮した行動をとるものとする。乙が指示に反した行動をとったことに起因して生じた損害について、甲は責任を負わない。
第7条(保険) 甲は、本サービスに関し【傷害保険・賠償責任保険等】に加入している場合はその内容を乙に説明する。乙は、必要に応じて自ら任意の保険に加入することができる。
第8条(未成年者の参加) 乙が未成年者である場合、法定代理人【氏名】が本同意書の内容を確認のうえ、乙の参加に同意する。
第9条(キャンセル・中止) 天候不良その他甲の判断により本サービスの実施を中止する場合、甲は乙に対し速やかにその旨を通知する。この場合の参加費の取扱いは【返金・振替等の条件】による。
第10条(個人情報の取扱い) 甲は、本同意書及び本サービスの実施に際して取得した乙の個人情報を、本サービスの運営及び安全管理の目的以外に使用しない。
第11条(本同意書の効力) 本同意書は、乙が本サービスに参加する都度、又は【有効期間】の間、効力を有する。
第12条(合意管轄) 本同意書に関する紛争については、【地方裁判所・簡易裁判所名】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
以上の内容を確認し、乙は本サービスへの参加に同意する。
令和【 】年【 】月【 】日 甲(役務提供者)名称・代表者名: 印 乙(参加者・利用者)住所・氏名: 印 (未成年者の場合)法定代理人住所・氏名: 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節:役務提供者側の場面別パターン
A-1 スポーツ・アウトドア体験プログラムなど身体的リスクが高い役務を提供する場面 第2条に次を追加する。「本サービスは【種目名】であり、天候、地形、水位、他の参加者の動向等、甲が事前に完全には予測・制御できない自然的要因によるリスクが通常のサービスより高いことを乙は理解する。」 一言解説:リスクの高さや性質を具体的に記載するほど、事前説明義務を履行した事実の裏付けとなり、単なる定型文言よりも実務上の意味を持つ。
A-2 施設利用のみを提供し、指導行為を伴わない場面(フィットネスジム等の設備利用) 第6条を次のように修正する。「乙は、甲が提供する設備を自己の判断と責任において使用するものとし、設備の使用方法について不明な点がある場合は事前に甲に確認するものとする。甲は、設備の点検・保守を適切に行う義務を負うが、乙の使用方法に起因する損害については前条の範囲で責任を負う。」 一言解説:指導者が常時介在しない業態では、設備管理責任と利用者の自己責任の線引きを明確にすることが免責の合理性を支える。
B節:参加者・利用者側の場面別パターン
B-1 参加者が既往症を有し、参加の可否について事前確認を求める場面 第5条に次を追加する。「乙は、【既往症の内容】を有していることを申告する。甲は、当該申告内容を踏まえ、本サービスへの参加の可否又は参加条件について、乙と事前に協議のうえ決定する。」 一言解説:申告を受けた事業者が何ら対応せず参加させた場合、単なる免責条項だけでは事業者側の説明義務違反や重過失の評価を免れない可能性がある点に留意する。
B-2 未成年者が参加し、法定代理人が内容を十分に理解しないまま同意する場面 第8条を次のように修正する。「甲は、法定代理人に対し、本同意書の内容、特に第4条の責任範囲について、書面の交付に加え口頭でも説明を行い、質問の機会を与えたうえで同意を取得する。」 一言解説:未成年者に関する同意は、書面への署名のみで足りるとは限らず、実質的な説明機会の確保が同意の有効性を支える重要な要素となる。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式を使う場面は、スポーツ体験、アウトドア活動、体験型イベントなど、参加者の身体等に一定のリスクが内在するサービスを提供するにあたり、事前に責任の範囲について認識を共有しておきたい場面である。他方、本書式を使ってはいけない場面として、甲の故意又は重大な過失により生じる損害まで一律に免責しようとする内容や、消費者との間で損害賠償責任を包括的かつ無条件に免除する内容を盛り込むことは避けるべきである。このような条項は法律上無効となる可能性が高く、書面を整えたこと自体が紛争の火種になりかねない。
根拠法令としては、消費者契約法第8条が、事業者の債務不履行又は不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項、及び事業者の故意又は重大な過失による場合に損害賠償責任の一部を免除する条項を無効とする旨を定めている。同法第8条の2は、消費者の解除権を放棄させる条項等を無効とし、第8条の3は事業者に対し後見開始の審判等のみを理由として解除権を付与する条項を無効とする。本書式第4条は、これらの規制を踏まえ、故意・重過失による損害を免責の対象外とし、軽過失による損害についてのみ合理的な範囲で責任を限定する構成としている。また、消費者契約法の適用がない事業者間契約であっても、著しく一方的な免責条項は民法第90条の公序良俗違反により無効と判断される可能性がある点に留意が必要である。
よくある失敗として、第一に、「いかなる理由によっても甲は一切の責任を負わない」といった包括的な文言のみを用い、消費者契約法第8条により無効とされるリスクを抱えたまま運用してしまう例がある。第4条のように故意・重過失を除外し、軽過失についても上限を設ける構成にすることが対策となる。第二に、リスク説明を書面の定型文言のみで済ませ、実際には口頭での説明を行っていない例がある。第3条のように説明の履行自体を確認する条項を設け、実際に説明の機会を持つことが対策となる。第三に、未成年者の参加について本人の署名のみを取得し、法定代理人の同意を得ていない例がある。第8条のように法定代理人の同意取得を明記することが対策となる。免責条項が有効と評価される範囲は業種やリスクの性質によって異なるため、条項の設計に当たっては個別事案は専門家に確認することが不可欠である。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 本サービスの内容・日時・場所を具体的に記載したか
- [ ] 想定されるリスクを具体的に列挙したか
- [ ] 甲の故意・重大な過失を免責の対象から除外しているか
- [ ] 軽過失による損害についての賠償範囲・上限を合理的に設定したか
- [ ] 事前のリスク説明を実際に行い、その履行を確認する記載を設けたか
- [ ] 参加者の健康状態等の申告事項を明記したか
- [ ] 未成年者が参加する場合、法定代理人の同意取得手続を定めたか
- [ ] 保険加入状況について記載したか
- [ ] 中止・キャンセル時の参加費の取扱いを明記したか
- [ ] 消費者契約法第8条等に抵触する包括免責文言が残っていないか確認したか
- [ ] 合意管轄裁判所を記載したか
- [ ] 参加者(及び法定代理人)の署名又は記名押印を取得する運用になっているか