業務用スマートフォンやタブレットの貸与ルールを定める規程です。私的利用の制限、紛失時の報告、遠隔消去、退職時の返却を規定します。

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携帯電話・モバイル端末貸与規程

第1部: 書式本文

携帯電話・モバイル端末貸与規程

(目的) 第1条 本規程は、【株式会社〇〇】(以下「会社」という。)が業務上の必要により従業員に貸与する携帯電話、スマートフォン、タブレット端末その他のモバイル端末(以下「貸与端末」という。)の貸与条件及び管理方法を定め、業務の円滑な遂行と情報セキュリティの確保を図ることを目的とする。

(適用範囲) 第2条 本規程は、会社が貸与端末を貸与する全ての従業員(正社員、契約社員、嘱託社員、パートタイム従業員を含む。以下「貸与者」という。)に適用する。

(貸与の決定) 第3条 貸与端末の貸与は、所属長の申請に基づき、【総務部】が業務上の必要性を審査したうえで決定する。会社は、貸与の要否及び機種を業務内容に応じて随時見直すことができる。

(貸与品目及び付属品) 第4条 貸与端末には、本体のほか、充電器、保護ケース、SIMカードその他会社が指定する付属品(以下「付属品等」という。)を含む。貸与者は、貸与時に貸与端末チェックリスト(別紙【様式1】)により品目を確認し、署名の上、会社に提出する。

(貸与期間) 第5条 貸与期間は、当該従業員の在籍期間中とする。ただし、会社は、業務上の必要性がなくなったと認めるとき、又は本規程に定める事由が生じたときは、貸与期間中であっても返還を命じることができる。

(善良な管理者の注意義務) 第6条 貸与者は、善良な管理者の注意をもって貸与端末を管理し、業務の目的以外に使用してはならない。

(私的利用の制限) 第7条 貸与端末は、原則として業務目的にのみ使用するものとし、私的な通話、メッセージの送受信、アプリケーションの追加インストール、写真・動画の私的保存その他業務に関係のない利用(以下「私的利用」という。)を禁止する。 2 前項にかかわらず、緊急連絡等やむを得ない場合の軽微な私的利用は、社会通念上相当と認められる範囲でこれを妨げない。 3 会社は、モバイルデバイス管理(MDM)ソフトウェアの導入その他の方法により、貸与端末の利用状況を確認することができる。ただし、私生活に関する情報の取得は業務上必要な範囲に限る。

(セキュリティ対策) 第8条 貸与者は、次の各号に定めるセキュリティ対策を遵守しなければならない。 一 パスコード、生体認証等によるロック機能を常時設定すること 二 会社が指定するセキュリティアプリケーション及びMDMソフトウェアを削除・無効化しないこと 三 OS及びアプリケーションを会社の指示に従い最新の状態に保つこと 四 業務に必要のないアプリケーションを許可なくインストールしないこと 五 公衆無線LAN等セキュリティが確保されていない通信環境での業務データの送受信を避けること

(紛失・盗難時の対応) 第9条 貸与者は、貸与端末を紛失し、又は盗難に遭ったときは、直ちに【総務部】及び所属長に報告しなければならない。 2 前項の報告を受けた会社は、遠隔ロック及び遠隔データ消去(リモートワイプ)その他必要な措置を速やかに講じることができる。 3 貸与者は、会社の指示に応じて警察への遺失物届又は盗難届の提出に協力しなければならない。

(費用負担) 第10条 貸与端末の通信費及び利用料は、原則として会社が負担する。ただし、私的利用に起因して発生した超過料金その他の費用は、貸与者の負担とする。

(通信内容の取扱い) 第11条 会社は、電気通信事業法第4条に定める通信の秘密に留意し、貸与端末の通信内容そのものを恣意的に閲覧してはならない。ただし、法令に基づく場合、又は情報漏えい等の重大な事故の調査上必要不可欠な場合であって、本人への事前説明その他適正な手続を経たときはこの限りでない。

(返却) 第12条 貸与者は、退職、休職、異動その他貸与の必要がなくなった場合は、会社の指定する期日までに貸与端末及び付属品等一式を返却しなければならない。 2 会社は、返却時に端末内の会社データを消去し、貸与者の私的データが混在していないことを確認する。

(亡失・損壊時の弁償) 第13条 貸与者の故意又は重大な過失により貸与端末を亡失し、又は損壊したときは、会社は、貸与者に対し、当該損害の全部又は一部について弁償を求めることができる。ただし、通常の使用による自然損耗はこの限りでない。

(禁止事項) 第14条 貸与者は、貸与端末を第三者(家族を含む。)に使用させ、又は譲渡・転貸してはならない。

(懲戒) 第15条 貸与者が本規程に違反したときは、就業規則の定めるところにより懲戒処分を行うことがある。

(規程の改廃) 第16条 本規程の改廃は、【取締役会】の決議により行う。

附則 本規程は、【令和〇年〇月〇日】から施行する。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 会社(貸与元)の視点で強化する場合

A-1 監視強化型の修正例 「会社は、業務上必要と認めるときは、MDMソフトウェアにより貸与端末の位置情報、アプリケーション利用履歴及び通信ログを常時取得することができる。」 一言解説:私生活監視に及ばないよう、取得目的・範囲・保存期間を条文上で明示し、就業規則や個人情報保護方針と整合させることが望ましい。

A-2 BYOD(私物端末業務利用)併用禁止の追加例 「貸与者は、貸与端末が交付されている業務については、私物のスマートフォン等を用いてはならない。」 一言解説:私物端末経由の情報漏えいリスクを遮断する目的の条項であり、貸与制度の趣旨を明確化する。

A-3 海外出張時の特則 「海外に貸与端末を持ち出す場合は、事前に【総務部】の承認を得るとともに、現地の通信規制及びセキュリティリスクについて説明を受けるものとする。」 一言解説:渡航先の通信法制やローミング費用トラブルを未然に防ぐための追加規定である。

B節: 貸与を受ける従業員の視点で調整する場合

B-1 私的利用の許容範囲を明確化する修正例 「勤務時間外における家族との連絡等、社会通念上相当と認められる軽微な私的利用は妨げない。」 一言解説:全面禁止は現実的でないため、許容範囲を具体的に示すことで従業員の予見可能性を高める。

B-2 監視範囲の限定を求める修正例 「会社による利用状況の確認は、業務上必要な範囲に限り、通信内容そのものの閲覧は行わない旨を明記する。」 一言解説:従業員のプライバシー保護の観点から、監視の目的外利用を防止する歯止め規定となる。

B-3 休日・深夜の連絡遮断の追加例 「所定休日及び深夜時間帯において、業務上緊急性のない連絡を貸与端末宛てに行わないよう努めるものとする。」 一言解説:勤務間インターバルや長時間労働防止の観点から、常時接続によるみなし労働時間の拡大を抑制する趣旨である。

第3部: 書き方と法的ポイントの解説

使う場面・使ってはいけない場面の解説 本規程は、会社が業務用にスマートフォンやタブレットを貸与する場合に用いる。私物端末を業務利用させるBYOD運用には別途「私物端末業務利用規程」が必要であり、本規程をそのまま流用すると、費用負担や返還の前提が食い違い機能しない。また、対象が数名程度の小規模事業所では、就業規則の付属規程として簡易な誓約書形式にとどめる選択肢もある。

根拠法令の解説 安全管理措置については、個人情報保護法第20条が個人情報取扱事業者に対し、取り扱う個人データの漏えい・滅失・毀損を防止するための必要かつ適切な措置を講じる義務を課しており、同法第21条は従業者の監督義務を定める。貸与端末には顧客情報等が保存されることが多く、遠隔消去機能の整備はこれらの義務を履行する具体策となる。また、労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する事業場に就業規則の作成・届出を義務付けており、貸与品の費用負担に関する定めをする場合には、これを就業規則(本規程を含む)に記載しなければならない相対的必要記載事項となる。さらに、電気通信事業法第4条は通信の秘密を保護しており、会社が業務目的を超えて通信内容自体を閲覧することは、たとえ会社所有の端末であっても慎重な取扱いが求められる。

よくある失敗と条項上の対策 第一に、私的利用を全面一律に禁止しながら実態として黙認しているケースが多く、懲戒時に規程が形骸化していたと判断されるおそれがある。対策として、第7条のように許容範囲を明文化し、実態と規程を一致させることが有効である。第二に、紛失時の報告義務を定めていても遠隔消去の実施権限や手順を明記していないため、事故対応が遅れる例がある。第9条のように報告先・初動対応・警察届出への協力を条文化しておくことが望ましい。第三に、通信内容の監視範囲が曖昧で、従業員の私生活に踏み込んだ監視が行われ紛争化する例がある。監視の目的・範囲・手続を条文で限定し、電気通信事業法上の通信の秘密に配慮することが必要である。なお、個別の運用や懲戒処分の可否については、事案の具体的事情によって判断が異なるため、個別事案は弁護士等の専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • 貸与対象者の範囲(正社員・契約社員等)を明記したか
  • 貸与端末の機種・付属品を貸与時にリスト化し、署名で確認する仕組みがあるか
  • 私的利用の可否と許容範囲を具体的に定めたか
  • MDM等による監視の目的・範囲・取得情報の種類を明記したか
  • 紛失・盗難時の報告先と初動対応(遠隔ロック・消去)を定めたか
  • 通信費の会社負担・従業員負担の区分を明確にしたか
  • 通信内容の閲覧について、電気通信事業法上の通信の秘密への配慮を記載したか
  • 退職・異動時の返却期限と返却物の範囲を定めたか
  • 亡失・損壊時の弁償基準(故意・重過失の場合等)を定めたか
  • 就業規則との整合性(懲戒事由の連動)を確認したか
  • 個人情報保護法上の安全管理措置との整合性を確認したか
  • 海外持出しや第三者貸与の禁止等、想定される利用場面を網羅したか