所有地や契約駐車場への無断駐車について、民法第709条の不法行為と使用料相当額の請求を予告して即時の移動を求める警告書です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
無断駐車に対する警告書
第1部: 書式本文
警告書
【発送日: 20〇〇年〇月〇日】 【文書番号: 第〇号】
宛先: 【駐車した側の氏名または「本書面到達日時点で下記車両を駐車している運転者様」】 車両情報: 【車両番号(ナンバープレート)・車種・色】 差出人: 【土地所有者・管理者側の氏名または名称・住所・連絡先】
前略
貴殿(または貴殿が運転・管理する車両)は、私が所有(または管理)する【駐車場・土地の所在地】(以下「本件土地」といいます)に、私の承諾なく車両を駐車させています。本件について、下記のとおり警告いたします。
1. 事実の確認
本件土地は【私有地であり駐車を許可された契約者以外の駐車を禁止している旨、または月極駐車場であり貴殿との間に賃貸借契約が存在しない旨】の状態にあります。【20〇〇年〇月〇日】以降、上記車両が本件土地に継続的に駐車されていることを確認しております。
2. 法的根拠
貴殿による本件土地への無断駐車は、私の本件土地に対する使用収益権を侵害するものであり、民法第709条に基づく不法行為に該当し得るものです。これにより私に損害が生じた場合、貴殿に対して損害賠償を請求する権利が発生いたします。
また、貴殿が本件土地を無断で使用したことにより得た利益(本来であれば駐車料金相当額の支払いを要する利益)については、民法第703条および第704条に基づき、不当利得として使用料相当額の返還を請求することができるものと考えます。
3. 請求事項
つきましては、本書面到達後直ちに(遅くとも【〇年〇月〇日 〇時】までに)、上記車両を本件土地から移動されるよう求めます。
4. 使用料相当額の請求
貴殿が無断駐車をしていた期間について、近隣相場に基づく駐車料金相当額として、1日あたり金【〇〇〇〇円】の使用料相当額をご請求いたします。
5. 段階的な対応方針
本書面による警告後も車両の移動が確認できない場合、以下の順序で対応いたします。
(1) 期限を定めた再度の警告(本書面) (2) 警告期限徒過後、駐車場管理業者・レッカー移動業者への正式な移動依頼の検討 (3) 損害賠償請求・使用料相当額請求のための法的手続の検討
なお、私において実力で車両を移動させる、または車両に損傷を与える等の自力による対応は、自力救済禁止の原則に照らし、緊急やむを得ない特別の事情がない限り、かえって私自身が器物損壊等の法的責任を問われるリスクがあるため、行わない方針です。車両の移動が必要な場合は、正式に依頼したレッカー移動業者を通じて、法的に適正な手続きにより対応いたします。
6. 証拠の保全について
本件土地への無断駐車の事実については、駐車車両の写真(日時が記録されるもの)、駐車禁止の掲示板の設置状況、駐車場管理契約書の写し等を保全しております。今後の協議または法的手続に際しては、これらの資料を提出する場合がございます。
7. ご連絡先
本件に関するご説明・ご相談は、下記連絡先までご連絡ください。 【電話番号・メールアドレス等】
草々
【差出人氏名・住所・連絡先】 ※本警告書は車両のフロントガラス等、視認しやすい箇所に掲示する場合があります。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 土地所有者・管理者側が発送する場合
-
修正条文例: 「貴殿による無断駐車は、私の本件土地に対する使用収益を妨げるものであり、民法第709条にいう故意または過失による権利侵害に該当し、損害賠償責任が生じ得るものです。」 一言解説: 709条を根拠とする場合、故意・過失、損害の発生、因果関係を意識した記載にすると、後の請求の根拠として説得力が増します。
-
修正条文例: 「貴殿が無断駐車により得た利益については、民法第703条・第704条に基づき、使用開始日から車両移動日までの使用料相当額を不当利得として返還請求いたします。」 一言解説: 不当利得構成は過失の有無を問わず主張できるため、709条の主張と併記することで請求の法的基盤を補強できます。
B. 駐車した側が回答する場合
-
修正条文例: 「本件土地が無断駐車を禁止する私有地であることを認識しておりませんでした。本書面到達後、直ちに車両を移動いたします。」 一言解説: 誤認による駐車であったことを説明し速やかに移動する姿勢を示すことで、使用料相当額の請求範囲についての協議の余地が生まれます。
-
修正条文例: 「本件車両は【〇年〇月〇日】より前から駐車場管理者の許可を得て駐車していたものであり、無断駐車には該当しないと考えます。つきましては契約関係を示す資料をご提示いただきたく存じます。」 一言解説: 契約の有無に争いがある場合は、一方的な移動や支払いに応じる前に、駐車契約の存否を示す資料の提示を求める対応が有効です。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
使う場面・使ってはいけない場面
本書式は、私有地や契約駐車場に契約関係のない車両が無断で駐車している場合に、任意の移動と使用料相当額の支払いを促すために使用します。他方、契約者との間で駐車料金の未払いのみが問題となっている場合(契約関係自体は存在する場合)は、無断駐車ではなく賃料不払いに基づく契約解除・明渡請求の書式を用いるべきであり、本書式をそのまま流用すべきではありません。また、車両所有者が特定できず、かつ緊急に交通の安全を害する等の特別な事情がある場合を除き、警告書を経ずに実力で車両を移動させることは避けるべきです。
根拠法令
民法第709条(不法行為による損害賠償)、民法第703条(不当利得の返還義務)、民法第704条(悪意の受益者の返還義務)を根拠とします。自力救済禁止の原則は判例上確立された考え方であり、緊急やむを得ない特別の事情がない限り、権利者が実力を行使して権利を実現することは違法と評価される点に留意が必要です。
実務でよくある失敗と対策
第一に、警告書を送付せずに直ちにレッカー移動業者へ依頼し、後に器物損壊や自力救済禁止違反を主張されるリスクを負う失敗があります。対策として、警告と期限設定を経たうえで、正式な移動依頼という段階的な手順を踏むことが重要です。
第二に、使用料相当額の算定根拠(近隣相場等)を示さないまま高額な請求を行い、任意の支払いに応じてもらえない失敗があります。近隣の駐車場相場や契約時の料金表を根拠資料として添付することが対策になります。
第三に、車両の所有者・運転者を特定しないまま警告書を送付し、名宛人が不特定であるため後の請求が困難になる失敗があります。車両登録情報の照会(陸運局への登録事項等証明書交付請求等)を検討し、可能な範囲で名宛人を特定することが望まれます。
第四に、無断駐車が繰り返される常習的な事案において、都度口頭で注意するにとどめ、書面や写真による証拠を残さないまま使用料相当額を請求し、金額の算定根拠を争われる失敗があります。駐車の都度、日時が分かる写真を撮影し、警告書の送付履歴を保存しておくことが対策になります。
無断駐車への対応方法(レッカー移動の可否・費用負担等)は個別事情により結論が異なるため、専門家に確認することを推奨します。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 本件土地が私有地または契約駐車場であり、貴殿との間に駐車契約が存在しないことを確認したか
- [ ] 無断駐車の期間・日時を写真等で記録したか
- [ ] 車両番号(ナンバープレート)・車種等の車両情報を正確に記載したか
- [ ] 使用料相当額の算定根拠(近隣相場・契約料金表等)を用意したか
- [ ] 移動期限を明確に設定したか
- [ ] 自力救済(実力による移動・器物損壊のおそれ)のリスクを認識し、段階的対応の方針を記載したか
- [ ] レッカー移動を依頼する場合の業者・費用負担・手続を事前に確認したか
- [ ] 車両所有者・運転者が不特定の場合の対応(登録事項等証明書の交付請求等)を検討したか
- [ ] 警告書の掲示・送付方法(車両への掲示、内容証明郵便等)を検討したか
- [ ] 個別事案における対応方法について専門家に確認したか