有期契約が通算5年を超えた従業員が期間の定めのない契約への転換を申し込む場面の様式。労働契約法第18条の申込権の行使を書面で明確に残すことができる。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
無期転換申込書
第1部: 書式本文
無期転換申込書
【提出年月日: 西暦〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】
【会社名: 株式会社〇〇】 【代表者役職・氏名: 代表取締役〇〇〇〇】殿
【所属部署: 〇〇部〇〇課】 【申込者氏名: 〇〇〇〇】 印
私は、貴社との間で締結している下記の有期労働契約について、労働契約法第18条第1項の規定に基づき、期間の定めのない労働契約への転換を申し込みます。
記
- 現在の契約期間: 【西暦〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】から【西暦〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】まで
- 最初の有期労働契約の締結日: 【西暦〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】
- これまでの契約更新回数: 【〇〇】回
- 通算契約期間: 【〇〇】年【〇〇】か月(起算日: 【西暦〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】)
- 通算契約期間中の空白期間(クーリング期間)の有無: 【無・有(期間: 【 】)】
- 無期労働契約への転換を希望する始期: 現契約期間満了日の翌日である【西暦〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】
- 転換後の労働条件についての希望(任意記載): 【職務内容・勤務地等に関する希望があれば記載】
- 添付書類: 契約書の写し【〇通】、その他【 】
本申込みは、労働契約法第18条第1項の規定により、貴社に到達した時点で効力を生じ、貴社による承諾の意思表示を要することなく、上記6記載の日から期間の定めのない労働契約が成立するものと承知しております。つきましては、本申込みを受理した旨及び転換後の労働条件を記載した書面の交付をお願いいたします。
以上
【申込者住所: 〇〇〇〇】 【連絡先電話番号: 〇〇〇〇】 【提出方法: 手渡し・郵送(配達証明付内容証明郵便)・電子メール(〇〇@〇〇)のいずれかを選択】 【控えへの受領印・受領日の記入欄: 【 】】
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 従業員側(申込用)
A-1 提出方法欄の修正例 「本書面は、【西暦年月日】付配達証明付内容証明郵便により発送し、貴社に到達したことをもって効力が生じるものとする。到達日は郵便追跡記録により証明する。」 一言解説: 会社側から到達の事実を争われる紛争を避けるため、口頭や社内メールのみでなく到達日を客観的に証明できる方法を選ぶことが望ましい。
A-2 通算契約期間欄の修正例 「通算契約期間の起算日は、2013年4月1日以降に開始した最初の有期労働契約の初日である【西暦〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】とする。同日より前の契約期間は通算に算入しない。」 一言解説: 労働契約法第18条の通算期間は施行日である2013年4月1日以降に開始した契約のみが対象であるため、起算日を明記して誤解を防ぐ。
A-3 転換後の希望条件欄の修正例 「無期転換後も、転換前の契約における職務内容、勤務地及び所定労働時間を維持することを希望する。変更を予定している場合は、変更内容及び変更時期について事前に書面での説明を求める。」 一言解説: 労働契約法第18条は契約期間以外の労働条件を当然に変更するものではないため、条件維持を希望する場合はその旨を明記し、後日の条件変更をめぐる紛争の芽を摘んでおく。
B節: 会社側(受付・確認用)
B-1 受付欄の追加例 「受付日: 【西暦〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】 受付担当者: 【 】 受理番号: 【 】」に加え、「本申込書の内容と雇用契約書・出勤簿を照合し、通算契約期間及びクーリング期間の有無を確認した。確認結果: 【適合・要確認】」との一文を追加する。 一言解説: 会社側は申込みの効力発生を争えないため、受理拒否ではなく、通算期間の事実関係を照合し記録化する運用に切り替える必要がある。
B-2 添付書類欄の修正例 「本申込みに係る有期雇用特別措置法上の特例(第二種計画認定)の対象者であるか否かを確認した。確認結果: 【対象外・対象(認定番号: 【 】)】」 一言解説: 定年後継続雇用の高齢者等、有期雇用特別措置法の認定を受けている場合は無期転換申込権が発生しない特例があるため、受付段階での確認が必要となる。
B-3 社内回付欄の追加例 「本申込書の写しを人事部及び所属長に回付し、【西暦〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】までに無期転換申込受理通知書を作成・交付する。」 一言解説: 申込みへの返答を怠ると、転換後の労働条件が不明確なまま無期労働契約が成立してしまうため、社内での処理期限をあらかじめ定めておくことが望ましい。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式を使用すべき場面は、同一の使用者との間で締結した有期労働契約の通算契約期間が5年を超え、労働契約法第18条第1項に定める無期転換申込権が発生した従業員が、その権利を行使する場面である。申込みは、通算5年を超えることとなる契約期間の初日から末日までの間に行う必要があり、5年に達する前の時点で提出しても、法律上有効な申込みとしての効力は生じない点に注意を要する。他方、本書式を使用すべきでない場面は、有期雇用特別措置法(専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法)に基づく第二種計画の認定を受けた事業主のもとで、定年後に継続雇用される高齢者として無期転換申込権の発生自体が生じない者や、通算契約期間の間に6か月以上(契約期間が1年未満の場合はその2分の1以上)の空白期間があり、いわゆるクーリングにより通算がリセットされている者である。
根拠法令の中心は労働契約法第18条第1項であり、同項は、有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合、労働者の申込みにより、使用者の承諾を要することなく、申込み時点の有期労働契約が終了する日の翌日から期間の定めのない労働契約に転換する旨を定める。関連して、同条第2項はクーリング期間の要件を、有期雇用特別措置法第3条は特例の要件をそれぞれ定めている。
実務でよくある失敗の一つ目は、通算契約期間の起算日を誤認し、2013年4月1日より前に締結された契約まで遡って通算してしまうことである。労働契約法第18条は同法施行日以降に開始した有期労働契約を通算の対象とするため、起算日を書面上に明示しておく必要がある。二つ目は、クーリング期間の計算を誤り、空白期間が6か月未満であるにもかかわらず通算が途切れたと誤解して申込みを断念してしまうことである。三つ目は、口頭やメールのみで申込みの意思を伝え、後日、会社側から到達の事実や日付を争われることである。意思表示は到達によって効力を生じるため、内容証明郵便等、到達を客観的に証明できる方法によることが望ましい。四つ目は、申込みによって転換するのは契約期間の定めのみであり、賃金・職務内容等の他の労働条件は当然には変わらないという構造を理解しないまま、無期転換と同時に正社員と同じ待遇になると誤解してしまうことである。転換後の労働条件は、別段の定めがない限り従前の有期労働契約と同一の内容が引き継がれるにとどまるため、希望する条件があれば申込書の任意記載欄に明記し、会社との協議の端緒とすることが実務上有用である。なお、通算契約期間の計算やクーリング期間の該当性、有期雇用特別措置法の特例該当性については個々の契約の事実関係により結論が異なるため、判断に迷う場合は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 通算契約期間が2013年4月1日以降に開始した契約から5年を超えていることを確認したか
- [ ] クーリング期間(6か月以上の空白等)により通算がリセットされていないか確認したか
- [ ] 申込み時点が、通算5年を超えることとなる契約期間の初日から末日までの間に該当するか確認したか
- [ ] 有期雇用特別措置法上の特例(第二種計画認定等)の対象者に該当しないか確認したか
- [ ] 転換後の契約始期(現契約期間満了日の翌日)を正確に記載したか
- [ ] これまでの契約書・更新通知書等の写しを添付したか
- [ ] 提出方法(内容証明郵便等)を選び、到達の証拠を残せる形にしたか
- [ ] 申込書の控えを保管する準備をしたか
- [ ] 会社からの受理通知書の交付を求める文言を入れたか
- [ ] 押印・署名及び連絡先の記載に不備がないか確認したか