キャンペーン用のノベルティや販促物の制作を委託する契約書。著作権法第27条・第28条の権利譲渡と景品表示法の景品類の制限告示に留意します。

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ノベルティ・販促物制作委託契約書

第1部: 書式本文

ノベルティ・販促物制作委託契約書

【発注者名】(以下「甲」という。)と【制作会社名】(以下「乙」という。)は、甲が実施するキャンペーンに用いるノベルティ及び販促物の制作に関し、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(委託業務) 甲は乙に対し、別紙記載のノベルティグッズ及び販促物(以下「本制作物」という。)の企画、デザイン、製造又は調達に係る業務(以下「本業務」という。)を委託し、乙はこれを受託する。

第2条(仕様及びスケジュール) 本制作物の仕様、数量、単価、納期及び納品場所は別紙のとおりとする。

第3条(委託料及び支払方法) 1. 甲は乙に対し、本業務の委託料として金【委託料の額】円(消費税別)を、別紙に定める支払条件に従って支払う。 2. 甲の都合による仕様変更に伴い追加費用が生じる場合、乙は事前に見積りを提示し、甲の承諾を得た上で追加費用を請求できる。

第4条(景品表示法上の確認) 1. 甲は、本制作物が景品類として提供される場合、景品表示法及び景品類の制限告示に定める提供方法(一般懸賞、共同懸賞、総付景品等)に応じた最高額・総額規制を遵守する責任を負う。 2. 乙は、甲から本制作物の提供形態の情報提供を受けた場合、想定小売価格等、景品類該当性の判断に必要な情報を甲に提供する。 3. 限度額を超えるか否かの最終判断及び法令遵守の責任は甲が負うものとし、乙は必要な資料提供の限度で協力する。

第5条(校正及び検収) 1. 乙は、本制作物のデザイン案、原稿又は試作品(以下「校正物」という。)を甲に提示し、甲の承認を得た上で本製作に着手する。 2. 甲は、乙から本制作物の納入を受けた日から【7】営業日以内に検査を行い、合格又は不合格を乙に通知する。期間内に通知がない場合、検収完了とみなす。

第6条(著作権の帰属) 1. 本制作物のデザイン、イラスト、キャラクター等の著作物(以下「本著作物」という。)に関する著作権(著作権法第21条から第28条までに規定する複製権、譲渡権、翻案権及び二次的著作物の利用に関する原著作者の権利を含む。)は、委託料の完済をもって乙から甲に移転する。 2. 前項にかかわらず、乙が本契約締結前から保有していたテンプレート、素材集その他の汎用的な著作物(以下「乙既存著作物」という。)の著作権は乙に留保され、甲は本制作物に組み込まれた限度で乙既存著作物を無償で利用できる。 3. 乙は、甲に対し、本著作物について著作者人格権(著作権法第18条から第20条まで)を行使しない。

第7条(第三者素材の利用) 乙が本制作物の制作にあたりフォント、写真素材、既存キャラクター等の第三者の権利物を利用する場合、乙は必要なライセンスを取得し、甲に対しその利用条件(利用範囲、期間、地域等)を明示する。

第8条(第三者権利の非侵害) 乙は、本制作物が第三者の著作権、商標権、意匠権その他の権利を侵害しないことを甲に対して表明する。ただし、甲の指定した仕様、ロゴ又はデザイン原案に起因する侵害については乙は責任を負わない。

第9条(製造物の安全性) 1. 乙は、本制作物が食品衛生法、電気用品安全法その他関係法令上の安全基準(材質、対象年齢に応じた誤飲防止基準等)に適合するよう製造し、又は適合する製品を調達する。 2. 本制作物の欠陥に起因して甲又は第三者に損害が生じた場合の責任分担は別紙のとおりとする。

第10条(在庫及び返品) 甲の都合により本業務の全部又は一部が中止された場合、既に発注済みの本制作物の在庫の取扱い及び費用負担は甲乙協議の上決定するものとし、乙は当該協議に応じるまで製造を継続する義務を負わない。

第11条(秘密保持) 甲及び乙は、本契約に関連して知り得た相手方のキャンペーン企画、原価情報その他の営業上の秘密を、第三者に開示又は漏えいしてはならない。

第12条(再委託) 乙は、甲の事前の書面による承諾を得た場合に限り、本業務の全部又は一部を第三者に再委託できる。

第13条(契約不適合責任) 本制作物が仕様書の内容に適合しない場合、甲は乙に対し、修補、代替品の納入又は代金減額を請求できる。

第14条(契約の解除) 甲又は乙は、相手方が本契約に違反し、催告後【14】日以内に是正されない場合、本契約を解除できる。

第15条(準拠法及び管轄) 本契約は日本法に準拠し、本契約に関する紛争は【管轄裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

以上、本契約の成立を証するため本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。

【契約締結日】

甲(発注者) 住所: 名称: 代表者: 印 乙(制作会社) 住所: 名称: 代表者: 印

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 発注者(販促主)向け

A-1 景品規制違反時の責任明確化と協力義務の強化 修正後:「乙は、本制作物の想定原価及び想定小売価格の算定資料を、甲が景品類の限度額を算定するために必要な範囲で、本制作物の発注前に甲に提出しなければならない。」 一言解説: 景品類の限度額は景品類の提供に係る取引価額を基準に算定されるため、甲が景品表示法上の判断を誤らないよう、乙が保有する原価・価格情報の提供時期を発注前に前倒しすることで、限度額超過のまま制作が進むリスクを防ぐ。

A-2 複数キャンペーンでの二次利用に備えた著作権範囲の拡張 追加条文例:「本著作物の著作権には、本キャンペーン終了後、甲が別のキャンペーンにおいて本制作物のデザインを再利用し、又は改変して使用する権利を含むものとする。」 一言解説: 著作権が移転していても、当初のキャンペーン限定利用を前提とした仕様書の記載があると、翻案や別企画への転用の可否を巡って疑義が生じうる。将来の再利用を見込む場合は、その範囲を条文上明記しておくことが望ましい。

B. 制作会社向け

B-1 景品表示法上の最終判断責任の甲への帰属明記 修正後:「本制作物の提供形態が景品表示法上の景品類に該当するか否か、及び景品類の限度額規制への適合性の判断は甲の責任において行うものとし、乙が甲の提供する情報に基づき誠実に資料を提供した場合、乙は当該判断の誤りについて責任を負わない。」 一言解説: 景品類の該当性判断はキャンペーンの実施形態(懸賞か総付けか等)に依存し、制作会社が把握し得ない甲の販促設計に左右されるため、判断責任の所在を明確にしないと、規制違反が生じた際に乙が不当に責任を追及されるおそれがある。

B-2 汎用デザイン要素の再利用可能性の確保 修正後:「第6条第2項の乙既存著作物には、本制作物の制作過程で乙が新たに開発した色使い、レイアウトの基本フォーマットその他の抽象的な表現手法を含み、これらは他の顧客案件においても乙が自由に利用できるものとする。」 一言解説: 著作権の全部移転を前提とすると、乙が案件を通じて培った汎用的な表現手法まで甲に独占されかねない。具体的なデザインそのものと、抽象的な表現手法・ノウハウとを切り分けて留保範囲を明記することで、乙の他案件での事業活動を確保する。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、キャンペーンやイベントで配布するノベルティグッズ、パンフレット、POP等の販促物の企画・デザイン・製造を外部の制作会社に委託する場面で使用する。景品類に該当しない自社使用のみの販促ツール制作であっても著作権条項は共通して有用だが、懸賞・総付景品として消費者に提供する場合は第4条の景品表示法対応条項を必ず確認する必要がある。他方、テレビCM等の広告映像制作や、ウェブサイト制作のみを目的とする場合は、それぞれの制作類型に適した別の書式を用いるべきである。

根拠法令の解説 著作権の帰属及び著作者人格権の不行使については、著作権法第21条から第28条まで(複製権、公衆送信権、譲渡権、翻案権、二次的著作物の利用に関する権利)及び第18条から第20条まで(著作者人格権)が根拠となる。景品類の提供については、景品表示法第2条第3項の景品類の定義並びに同法第3条に基づく景品類の制限告示により、懸賞か総付けかに応じた最高額・総額規制が課される。

実務でよくある失敗と対策 第一に、ノベルティが実質的に懸賞景品や来店者への総付景品に該当するにもかかわらず、景品表示法上の限度額規制を確認せずに高額な制作物を発注し、後に規制違反が発覚するケースがある。対策として第4条のように、提供形態の確認と限度額算定に必要な情報提供の役割分担を明記する。第二に、著作権の移転条項はあるが、乙が過去案件で使用してきたテンプレートやフォーマットまで移転対象に含めてしまい、乙が同種のデザインを他社案件で使えなくなるケースがある。対策として第6条第2項及びB-2のように乙既存著作物の範囲を具体化する。第三に、対象年齢や誤飲防止基準など景品表示法以外の安全規制への配慮が抜け落ち、乳幼児が対象となりうるノベルティで事故が生じるケースがある。対策として第9条のように関係法令上の安全基準への適合を明記する。

個別事案は専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 本制作物の仕様・数量・単価・納期を別紙で具体的に特定しているか
  • [ ] 本制作物が懸賞・総付景品等の景品類に該当するかを確認しているか
  • [ ] 景品類の限度額算定に必要な原価・価格情報の提供時期を定めているか
  • [ ] 景品表示法上の最終判断責任の所在を明記しているか
  • [ ] 著作権の移転範囲及び著作者人格権の不行使特約を定めているか
  • [ ] 乙既存著作物・汎用ノウハウの留保範囲を具体化しているか
  • [ ] 第三者素材(フォント・キャラクター等)の利用ライセンス条件を確認しているか
  • [ ] 対象年齢に応じた誤飲防止基準等の安全規制への適合を定めているか
  • [ ] 甲都合による中止時の在庫・費用負担ルールを定めているか
  • [ ] 校正・検収の手続及び期限を定めているか
  • [ ] 再委託の可否及び事前承諾の要否を定めているか