落札者決定や資格判定に不服がある場合に異議を申し立てる書面です。申立期限、根拠となる事実、求める措置を記載します。想定される例外的な場面への対応方針も補足しています。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
入札結果に対する異議申立書
第1部: 書式本文
異議申立書
【発注機関名】 【担当部署名】 御中
【作成日】
【申立人住所】 【申立人商号又は名称】 【代表者役職・氏名】 印
下記のとおり、貴機関が行った入札結果に関する決定について異議を申し立てます。
記
- 案件名称: 【案件名称】
- 入札(開札)期日: 【開札期日】
- 対象となる決定: 【落札者決定・入札参加資格の判定・無効入札の決定等、対象を特定】
- 決定通知を受けた日: 【通知受領日】
- 異議申立ての対象となる決定の内容: 【落札者名、落札金額、資格判定結果等を具体的に記載】
異議申立ての理由
(1) 争う事実関係 【何が問題となる決定か、経緯を時系列で具体的に記載】
(2) 申立人の主張 【当該決定が入札公告、入札説明書又は関係法令のいずれの規定に反すると考えるか、根拠となる箇所を具体的に記載】
(3) 添付資料 【入札説明書、入札書写し、資格審査資料、その他根拠資料の一覧】
- 求める措置: 【決定の撤回・再審査・落札者決定の見直し・説明の追加提供等、具体的に記載】
- 申立期限との関係: 本異議申立書は、入札説明書又は関係規程に定める異議申立期限である【期限日】までに提出するものである。
以上
第1条(申立ての趣旨) 申立人は、発注機関に対し、上記決定の見直し又は説明の追加提供を求める。
第2条(回答期限) 発注機関は、本異議申立書を受理した日から【日数】日以内に、書面により回答するものとする。
第3条(手続の停止) 申立人は、本異議申立てに対する回答があるまでの間、契約締結手続を留保するよう求める。ただし、発注機関の判断を拘束するものではない。
第4条(不服がある場合の対応) 申立人は、本異議申立てに対する回答になお不服がある場合、関係法令又は発注機関の定める規程に基づく上級機関への申立て、審査請求その他の法的手続を検討する。
以上
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 入札参加者の立場からの修正
A-1 落札者決定の妥当性を争う場合
申立人の主張: 落札者とされた者の入札価格は、入札説明書第【条項番号】に定める最低制限価格を下回っていると思われるが、その確認及び審査の経過について説明を求める。
一言解説: 落札結果そのものを直接覆すことを求めるのではなく、審査過程の説明を求める形にすると、発注機関からの回答を得やすく、事実関係の把握にもつながる。
A-2 入札参加資格の判定に不服がある場合
申立人の主張: 申立人は入札説明書第【条項番号】に定める参加資格要件をすべて満たしていたにもかかわらず、無効又は失格と判定された。当該判定の根拠となった具体的事実及び適用条項の説明を求める。
一言解説: 資格判定は事実認定を伴うため、抽象的な不服の表明ではなく、満たしていたと考える要件と判定結果との齟齬を具体的に指摘することが重要である。
B. 発注機関の立場からの修正
B-1 異議申立ての受付要領を明示する場合
発注機関は、入札結果の公表後【日数】日以内に到達した異議申立てのみを受け付けるものとし、当該期間を経過した申立てについては、原則として受理しない。
一言解説: 申立期限を明確にしておくことで、契約締結手続の停滞を防ぎつつ、入札参加者の異議申立権を一定期間内で保障するバランスを取ることができる。
B-2 回答内容の範囲を限定する場合
発注機関は、本異議申立てに対する回答において、他の入札参加者の営業秘密又は個人情報に該当する事項を除いた範囲で、審査の経過及び結果を説明する。
一言解説: 説明義務の履行と第三者情報の保護を両立させるため、回答範囲の限定をあらかじめ明文化しておくと、開示範囲を巡る二次的な紛争を避けやすい。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面: 一般競争入札又は指名競争入札における落札者決定、入札参加資格の判定、入札の無効決定等について、入札参加者が発注機関の決定に疑義を持ち、その説明又は見直しを求める場面で使用する。契約締結前の段階で速やかに提出することが望ましい。
使ってはいけない場面: 単に落札できなかったことへの不満を表明する目的や、根拠となる事実・条項を示さずに感情的な不服申立てを行う目的で本書式を用いることは適切でない。また、契約締結後に契約自体の効力を争う場合は、異議申立てという任意の手続ではなく、契約無効確認訴訟等の司法手続を含めた検討が必要となり、本書式が想定する場面とは異なる。
根拠法令: 地方公共団体の入札手続については、地方自治法施行令第167条の2から第167条の13までが一般競争入札及び指名競争入札の参加資格、開札、落札者決定等の手続を規定しており、異議申立ての受付や回答の要否は各発注機関の入札心得、契約事務規則又は苦情処理に関する要綱に委ねられていることが多い。公共工事に関しては、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)第3条に基づく入札契約適正化指針において、入札及び契約に関する苦情の処理体制の整備が求められており、この体制の下で異議申立てが処理される。国の契約においては会計法及び予算決算及び会計令が一般競争契約・指名競争契約の手続を定めているほか、政府調達に関する協定の対象となる調達については、別途の苦情処理手続(政府調達苦情処理体制)が用意されている場合がある。落札者決定の過程において入札参加者間で事前調整があったと疑われる場合は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)第3条の不当な取引制限(談合)の問題として、公正取引委員会への申告等、別の手続を検討する余地もある。
よくある失敗と条項上の対策: 1. 異議申立ての理由を「納得できない」といった抽象的な表現にとどめ、発注機関が事実関係を特定できず実質的な回答が得られない。対策として、争う事実関係と適用条項を分けて具体的に記載する構成(第1部の(1)(2))を徹底する。 2. 申立期限を確認しないまま提出が遅れ、受理されない。対策として、入札説明書又は苦情処理要綱に定める期限を事前に確認し、書式冒頭に明記する。 3. 契約締結手続の停止を当然の権利であるかのように記載してしまい、発注機関の裁量を誤解させる。対策として、第3条のように停止を求める旨とそれが発注機関の判断を拘束しない旨を併記する。
異議申立ての手続、期限及び回答の法的拘束力は発注機関ごとの規程や調達区分によって異なるため、本書式の適用可否を含め、個別事案は専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- 対象となる決定(落札者決定・資格判定・無効決定等)を明確に特定しているか。
- 決定通知を受けた日と申立期限との関係を確認したか。
- 争う事実関係と申立人の主張を分けて具体的に記載しているか。
- 主張の根拠となる入札説明書の条項番号又は関係法令を明示しているか。
- 添付資料(入札書写し、資格審査資料等)を整理し一覧化しているか。
- 求める措置(説明提供・見直し・撤回等)を具体的に記載しているか。
- 契約締結手続の停止を求める場合、その法的拘束力の有無を正しく理解しているか。
- 発注機関からの回答期限を明記しているか。
- 回答になお不服がある場合の次の手続(上級機関への申立て等)を想定しているか。
- 他の入札参加者の営業秘密や個人情報に触れる記載がないか確認したか。
- 提出方法・提出先が発注機関の指定と一致しているか。