入札に際して公正な競争を害する行為を行わないことを誓約する書面です。談合の禁止、情報漏えいの防止、違反時の措置を確認します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
入札心得遵守誓約書
第1部: 書式本文
〇〇〇〇発注者(以下「発注機関」という。)が実施する【工事名・業務名】に係る一般競争入札(以下「本入札」という。)への参加にあたり、〇〇〇〇(以下「参加者」という。)は、入札心得その他関係法令を遵守することを次のとおり誓約する。
1. 入札心得の遵守 参加者は、発注機関があらかじめ交付又は公表した入札心得、入札説明書及び仕様書の内容を了知し、これを遵守して本入札に参加する。
2. 談合その他不当な取引制限の禁止 参加者は、本入札に関し、他の入札参加者との間で、あらかじめ落札者若しくは落札金額を取り決め、又は入札に付すべき事項について相互にその内容を通報し合う等、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第3条に定める不当な取引制限に該当する行為を一切行わない。
3. 独占禁止法違反時の措置の受諾 参加者は、前項の行為が公正取引委員会により独占禁止法違反(同法第3条、第89条)と認定された場合、又は当該行為について刑法第96条の6(公契約関係競売等妨害罪)若しくは同条の談合罪に問われた場合には、発注機関が別途定める入札参加資格の停止その他の措置を受けることに異議を述べない。
4. 発注機関職員への働きかけの禁止 参加者は、発注機関の職員に対し、入札に係る秘密情報(予定価格、入札参加者の内訳その他入札の公正を害すべき情報をいう。以下同じ。)の教示を求め、又はこれに類する働きかけを行わない。この誓約は、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(以下「官製談合防止法」という。)の趣旨を踏まえたものである。
5. 秘密情報の授受の禁止 参加者は、本入札に関し、発注機関の職員又は他の入札参加者から前項の秘密情報の提供を受けた場合には、これを利用して入札を行わず、直ちに発注機関の契約担当部署に報告する。
6. 反社会的勢力との関係遮断 参加者は、自己及びその役員等が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団又はこれに準ずる者に該当せず、これらと取引その他の関係を有しないことを誓約する。
7. 記載事項の真実性 参加者は、入札参加資格審査申請書その他本入札に係る提出書類の記載内容が真実かつ正確であることを誓約する。
8. 違反時の措置 参加者は、本誓約書の各項に違反する事実が判明した場合、発注機関が入札参加資格の停止、指名回避、落札決定の取消し又は契約解除等の措置を講じることがあることをあらかじめ承諾する。
9. 損害賠償 参加者は、本誓約書違反により発注機関に損害が生じた場合、その損害を賠償する責任を負う。
10. 有効期間 本誓約書は、本入札に係る手続の開始から契約締結(不落札の場合は入札手続の終了)までの間、効力を有する。
以上のとおり誓約する。
【日付】 参加者 住所・商号・代表者名 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 入札参加者(受注者候補)の立場からの修正
A-1. 措置の予測可能性を高める修正
修正後:「発注機関は、第8項の措置を講じるに先立ち、参加者に対し弁明の機会を付与するものとする。」 一言解説: 資格停止等の重い措置がいきなり発動されることを避け、事実確認の手続を経ることを求める修正である。実務上、指名停止措置要領は多くの発注機関で整備されているが、誓約書上にも明記することで争いを予防できる。
A-2. 有効期間の明確化
修正後:「本誓約書は、参加者が本入札に係る入札参加資格を喪失した日又は契約が終了した日のいずれか早い日をもって効力を失う。」 一言解説: グループ会社が複数の入札に個別に参加する場合、誓約書の効力範囲が曖昧だと後続案件にまで及ぶと誤解されるおそれがあるため、案件ごとの終期を明確にする修正である。
A-3. 秘密情報授受の禁止範囲の限定
修正後:「本誓約は、参加者が発注機関から正式に開示された情報の範囲を超えて秘密情報を取得しようとする行為を対象とする。」 一言解説: 通常の質問回答手続を通じた情報のやり取りまでもが違反と評価されないよう、対象行為を明確化する修正である。
B. 発注機関の立場からの修正
B-1. 措置内容の具体化
修正後:「第8項の措置には、指名停止期間を最長24か月とする指名停止措置及び違約金〇〇円の請求を含むものとする。」 一言解説: 違反時の措置を抽象的な記載にとどめず、発注機関の指名停止措置要領と整合させて具体的な期間・金額を明示することで、実効性を高める修正である。
B-2. 調査協力義務の追加
追加条文例:「参加者は、発注機関又は公正取引委員会が行う談合の有無に関する調査に対し、資料の提出その他必要な協力を行う。」 一言解説: 独占禁止法違反の疑いが生じた場合の調査への協力を誓約書上の義務として明示し、事後の証拠収集を実効的にする修正である。
B-3. 下請への波及禁止の追加
追加条文例:「参加者は、下請契約の締結に際しても、下請負人に対し本誓約書と同趣旨の遵守を求めるものとする。」 一言解説: 元請と下請の間で情報が漏れることを防ぎ、入札の公正性を重層的に確保する修正である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、公共工事や物品役務の一般競争入札・指名競争入札に参加する際、発注機関が入札参加者から公正な入札を確保するために徴求する誓約書として用いる。既に受注者が決定し契約段階に至っている場面や、随意契約で入札手続自体が存在しない場面には適さない。また、誓約書はあくまで参加者の一方的な意思表示であり、発注機関側の義務(公正な入札実施義務等)を定めるものではない点に留意する必要がある。
根拠法令の解説 談合の禁止は独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)が中核であり、違反した事業者及び個人には同法第89条により刑事罰(懲役又は罰金)が科され得る。また、入札に関する談合行為は刑法第96条の6が定める公契約関係競売等妨害罪にも該当し得る。発注機関側の職員が入札の公正を害する行為に関与した場合には、官製談合防止法(入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律)が適用され、当該職員に対する刑事罰や発注機関としての改善措置が定められている。誓約書は、これら法令上の禁止事項を参加者に改めて周知し、違反時の契約上の措置(指名停止等)の根拠を明確にする機能を持つ。
実務でよくある失敗と対策 第一に、誓約書の文言を抽象的なまま放置し、違反が疑われた際に「何をもって談合とするか」の基準が不明確で紛争化する失敗がある。B-1のように、違反時の措置内容を発注機関の指名停止措置要領等の内部規程と紐づけて具体化することが対策となる。第二に、参加者側が秘密情報の授受禁止の範囲を正確に理解せず、通常の入札説明会での質疑応答すら禁止対象と誤解し、必要な情報収集を控えてしまう失敗がある。A-3のように禁止範囲を明確化する修正が有効である。第三に、下請業者や協力会社との間で誓約の趣旨が共有されず、末端で情報漏えいが生じる失敗がある。B-3のように下請への波及条項を設けることが対策となる。なお、談合の該当性や刑事責任の有無は個別の事実関係により判断が分かれるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 発注機関名・工事名(業務名)・入札日を正確に記載したか
- [ ] 独占禁止法第3条及び第89条を踏まえた談合禁止条項を含めたか
- [ ] 刑法第96条の6(公契約関係競売等妨害罪)の存在を認識したうえで条項を設計したか
- [ ] 官製談合防止法の趣旨に沿い、発注機関職員への働きかけ禁止条項を設けたか
- [ ] 違反時の措置(指名停止・契約解除等)を具体的に定めたか
- [ ] 反社会的勢力との関係遮断条項を含めたか
- [ ] 誓約書の有効期間(始期・終期)を明確にしたか
- [ ] 下請業者への波及の要否を検討したか
- [ ] 代表者印・記名押印の形式が発注機関の様式要件を満たしているか
- [ ] 提出期限及び提出先部署を確認したか