食品・化粧品のOEM製造委託契約書。PL法上の責任分担と食品表示法・薬機法対応を整理。
OEM製造委託契約書(食品・化粧品)(監修用ドラフト)
⚠ 本ファイルは弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布を禁止する。
商品ID: oem-seizo-itaku-keiyaku / 価格: 3,480円 / 立場バージョン: 委託者側有利・受託製造者側有利・標準(中立)
本ドラフトは、食品又は化粧品を自社ブランドで販売する事業者(以下「委託者」という。)が、製造設備を有する事業者(以下「受託製造者」という。)に対しOEM(相手先ブランドによる製造)方式で製造を委託する場面を想定した契約書である。
製造物責任法(PL法)、食品表示法、化粧品を対象とする場合の医薬品医療機器等法(薬機法)及び下請代金支払遅延等防止法(下請法)との整合を前提に条文を設計する。
第1部には標準(中立)版をベース条文として掲載する。
食品・化粧品のいずれの製造委託にも共通して使えるよう、業態固有の詳細事項(表示事項、成分規格等)は別紙仕様書に切り出す構成としている。
第1部: 契約書本文(標準版・中立)
OEM製造委託契約書
(本契約は、食品OEM・化粧品OEMのいずれの製造委託にも共通して適用できるよう設計している。)
〇〇〇〇(以下「委託者」という。)と〇〇〇〇(以下「受託製造者」という。)とは、委託者が指定する仕様に基づく製品の製造委託に関し、以下のとおりOEM製造委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(目的)
本契約は、委託者が受託製造者に対し、委託者のブランドで販売する製品(以下「本製品」という。)の製造を委託し、受託製造者がこれを受託することに関する権利義務を定めることを目的とする。
第2条(定義)
本契約において使用する用語の意義は次のとおりとする。 (1)「本製品」とは、別紙仕様書に定める処方・規格に基づき受託製造者が製造する食品又は化粧品をいう。 (2)「仕様書」とは、本製品の原材料、配合(処方)、製造工程、品質基準、表示事項を定める書面をいう。 (3)「知的財産権」とは、本製品のレシピ、処方、製造方法に関する特許権、ノウハウその他の知的財産に関する権利、及び委託者の商標権をいう。
第3条(製造委託の内容)
- 委託者は、受託製造者に対し、仕様書に基づき本製品の製造を委託し、受託製造者はこれを受託する。
- 仕様書の内容を変更する場合、委託者及び受託製造者は事前に協議のうえ書面により合意するものとする。
第4条(発注及び供給数量)
- 委託者は、受託製造者に対し、個別の発注書により本製品の発注を行う。
- 受託製造者は、発注書受領後〇営業日以内に受注の可否を回答するものとする。
- 最低発注数量(MOQ)を定める場合は、別紙のとおりとする。
第5条(委託料及び支払条件)
- 本製品の製造委託料(単価)は別紙のとおりとする。
- 委託者は、受託製造者からの請求書受領後〇日以内に、受託製造者の指定口座に委託料を振り込む。振込手数料は委託者の負担とする。
- 原材料価格の変動が製造原価に重大な影響を及ぼす場合、委託者及び受託製造者は委託料の改定について協議するものとする。
第6条(原材料の調達)
- 本製品の原材料は、受託製造者が自己の責任において調達するものとする。ただし、委託者が特定の原材料を指定する場合、当該原材料の調達方法及び費用負担は別紙のとおりとする。
- 受託製造者は、原材料の調達にあたり、食品表示法、食品衛生法又は薬機法その他関係法令が定める基準に適合する原材料を使用するものとする。
第7条(品質保証及び検査基準)
- 受託製造者は、仕様書に定める品質基準に従い本製品を製造し、出荷前に自主検査を実施するものとする。
- 委託者は、受託製造者に対し、本製品の製造工程及び品質管理体制について、事前に通知のうえ立入調査を行うことができる。
- 受託製造者は、本製品が仕様書の品質基準に適合しないと判明した場合、速やかに委託者に報告し、委託者の指示に従い代替品の製造又は返金等の措置を講じる。
第8条(表示及びパッケージング)
- 本製品が食品である場合、受託製造者は食品表示法及び同法に基づく食品表示基準に従い、原材料名、アレルゲン、栄養成分、賞味期限その他の表示事項を仕様書のとおり適正に表示するものとする。
- 本製品が化粧品である場合、受託製造者は医薬品医療機器等法(薬機法)に定める全成分表示その他の表示事項を仕様書のとおり適正に表示するものとする。また、薬機法上必要な製造業許可・製造販売業許可の有無について、委託者及び受託製造者間で役割分担を明確にするものとする。
- パッケージのデザイン及び表示内容の最終確認は、出荷前に委託者が行うものとする。
- 受託製造者は、表示内容に法令上の疑義がある場合、委託者に対しその旨を指摘し、修正を提案することができる。
- 委託者は、受託製造者からの指摘があった場合、表示内容の修正の要否について速やかに検討し、回答するものとする。
第9条(知的財産権の帰属)
- 委託者が受託製造者に開示するレシピ、処方その他の情報に関する知的財産権は、委託者に帰属する。
- 受託製造者が本契約の履行過程で独自に開発した製造方法・ノウハウに関する知的財産権は、受託製造者に帰属する。ただし、当該ノウハウが本製品の仕様書に反映される場合、その利用条件について別途協議する。
- 委託者の商標を本製品又はパッケージに使用する場合、受託製造者は当該商標を本製品の製造及び委託者への納品の目的以外に使用してはならない。
第10条(製造物責任(PL法)の分担)
- 本製品の欠陥に起因して第三者の生命、身体又は財産に損害が生じた場合、委託者及び受託製造者は、製造物責任法上、それぞれ法令に定めるところにより責任を負う場合がある。
- 委託者及び受託製造者は、前項の損害が生じた場合の内部的な負担割合について、原則として次の各号のとおりとする。 (1)製造工程における受託製造者の過失に起因する欠陥の場合、受託製造者が負担する。 (2)委託者が指定した仕様・処方自体に内在する欠陥の場合、委託者が負担する。 (3)前2号のいずれにも起因しない場合、委託者及び受託製造者が協議のうえ負担割合を定める。
- 委託者及び受託製造者は、製造物責任保険への加入その他の損害填補手段を検討するものとする。
第11条(リコール対応)
- 本製品について、食品衛生法、薬機法その他関係法令に基づく回収(リコール)が必要となる事態が生じた場合、委託者及び受託製造者は相互に協力し、速やかに必要な措置を講じるものとする。
- リコールに要する費用の負担は、第10条第2項の負担割合の考え方に準じて協議のうえ定める。
第12条(秘密保持)
- 委託者及び受託製造者は、本契約の履行を通じて知り得た相手方の営業上・技術上の秘密情報(レシピ、処方、原価情報等を含む。)を、本契約の目的以外に使用し、又は第三者に開示してはならない。
- 本条の秘密保持義務は、本契約終了後も〇年間存続する。
第13条(競業避止及び独占的取引)
- 委託者及び受託製造者は、本契約に別段の定めがある場合を除き、それぞれ自由に第三者と取引を行うことができる。
- 委託者が受託製造者に対し独占的な製造委託を求める場合、その範囲(競合ブランドの製造禁止等)及び対価(最低発注保証等)を別紙のとおり定める。
第14条(契約期間及び更新)
本契約の有効期間は、契約締結日から〇年間とする。期間満了の〇か月前までにいずれの当事者からも別段の意思表示がない場合、本契約は同一条件でさらに1年間更新されるものとし、以後も同様とする。
第15条(中途解約)
委託者又は受託製造者は、相手方に対し〇か月前までに書面で通知することにより、本契約を中途解約することができる。
第16条(反社会的勢力の排除)
委託者及び受託製造者は、それぞれ相手方に対し、自己が暴力団、暴力団員、暴力団関係企業その他の反社会的勢力に該当しないこと、及び反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有しないことを表明し、保証する。相手方がこれに違反した場合、無催告で本契約を解除することができる。
第17条(損害賠償)
委託者又は受託製造者が本契約に違反し相手方に損害を与えた場合、当該違反当事者は、相手方に生じた通常損害(弁護士費用を含む。)を賠償する責めを負う。
第18条(協議及び合意管轄)
- 本契約に定めのない事項又は解釈に疑義が生じた事項については、委託者及び受託製造者が誠意をもって協議し解決するものとする。
- 本契約に関する紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
別紙(仕様書・料金表記載例)
- 処方・配合:原材料名、配合比率、アレルゲン情報を記載する。
- 品質基準:規格値(水分含量、pH値等)及び検査方法を記載する。
- 最低発注数量(MOQ):〇個又は〇ロットを下限とする。
- 委託料単価:数量区分ごとの単価表を作成する。
- 表示事項:食品の場合は食品表示基準、化粧品の場合は薬機法上の全成分表示に従った記載例を添付する。
- 賞味期限・使用期限:保存試験の結果に基づき設定し、設定根拠資料を委託者に提出する。
以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、委託者・受託製造者記名押印のうえ、各自1通を保有する。
〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
(委託者)住所 商号 代表者名 印
(受託製造者)住所 商号 代表者名 印
第2部: 立場別修正パターン
A. 委託者側有利バージョンへの変更
A-1. 第7条(品質保証及び検査基準)の立入調査権を強化
修正後: 「委託者は、事前通知なく随時、受託製造者の製造工程を視察することができる。」とし、委託者の品質管理権限を強化する。受託製造者にとっては、他社製品の製造ラインとの兼ね合いで抵抗が予想される修正である。
A-2. 第10条(PL法の分担)の負担割合を受託製造者に寄せる
修正後: 「本製品の欠陥に起因する損害については、委託者が指定した仕様・処方自体に内在する欠陥であることを受託製造者が立証しない限り、受託製造者が負担するものとする。」とし、立証責任を転換する。
A-3. 第9条(知的財産権)の受託製造者ノウハウの帰属を委託者に寄せる
修正後: 「受託製造者が本契約の履行過程で開発したノウハウであって、本製品に関するものは、委託者に帰属するものとする。」とし、受託製造者の技術的蓄積を委託者側に取り込む。受託製造者にとっては技術投資のインセンティブが損なわれるおそれがある。
A-4. 第13条(独占的取引)の対価なしでの独占要求
修正後: 「受託製造者は、委託者の競合ブランド製品の製造を行ってはならない。」とし、最低発注保証等の対価なしに独占義務のみを課す。受託製造者からは強い抵抗が予想される修正である。
A-5. 第11条(リコール対応)の費用負担を受託製造者に集中
修正後: 「本製品のリコールに要する費用は、原因の如何を問わず受託製造者が負担する。」とし、原因究明前に費用負担を確定させる。
B. 受託製造者側有利バージョンへの変更
B-1. 第5条(委託料)に原材料価格変動時の自動改定条項を追加
修正後: 「主要原材料の価格が〇%以上変動した場合、受託製造者は委託料の改定を委託者に申し入れることができ、委託者はこれに誠実に応じる。」との条項を追加し、受託製造者の採算悪化リスクを軽減する。
B-2. 第10条(PL法の分担)に上限を設定
修正後: 「受託製造者が本契約に基づき負う損害賠償責任の累計額は、直近1年分の委託料相当額を上限とする。ただし、受託製造者の故意又は重過失による場合はこの限りでない。」との上限規定を追加する。
B-3. 第4条(最低発注数量)に最低取引保証を追加
修正後: 「委託者は、契約期間中、年間最低〇個の発注を行うものとする。」とし、受託製造者の生産計画の安定化を図る。
B-4. 第9条(知的財産権)の受託製造者独自ノウハウの保護を強化
修正後: 「受託製造者が独自に開発した製造方法・ノウハウは、本製品に反映されている場合であっても受託製造者に帰属し、委託者は当該ノウハウを他の製造委託先に開示してはならない。」とし、受託製造者の技術的優位性を保護する。
B-5. 第15条(中途解約)の通知期間を延長
修正後: 委託者からの中途解約の通知期間を「〇か月前」から「6か月前」に延長し、受託製造者の生産設備・人員計画の見直しに必要な準備期間を確保する。
C. 標準(中立)バージョンの位置づけ
第1部の本文がこれに該当する。委託者のブランド保護・品質管理上の要請と、受託製造者の技術的独立性・適正な収益確保とのバランスを取った標準形である。
食品OEM・化粧品OEMのいずれにも共通して使えるよう、業態固有の規制対応(食品表示基準か薬機法上の全成分表示か)は別紙仕様書で切り分ける設計としている。
第3部: 逐条解説(購入者向け)
第3条・第4条(製造委託の内容・発注及び供給数量) OEM製造委託契約は、基本契約と個別発注の二層構造を採る点で他の継続的取引契約と共通する。最低発注数量(MOQ)は受託製造者の生産効率と密接に関わるため、委託者側の販売計画とのすり合わせが実務上の重要な論点となる。
第6条〜第8条(原材料の調達・品質保証・表示) 食品表示法及び薬機法は、いずれも表示義務違反について行政指導・命令の対象となり得るほか、悪質な場合は刑事罰の対象ともなり得る。表示内容の最終確認を委託者・受託製造者のいずれが行うかを契約書上明確にしておかないと、表示ミスが生じた際の責任の所在が曖昧になりやすい。
第9条(知的財産権の帰属) OEM契約においては、委託者が持ち込むレシピ・処方と、受託製造者が有する製造ノウハウが交錯するため、知的財産権の帰属を明確にしておくことが将来の紛争予防に不可欠である。特に、委託者が複数の受託製造者を並行して利用する場合、レシピの流出防止(秘密保持)と受託製造者独自のノウハウの保護のバランスが重要な論点となる。
第10条・第11条(PL法の分担・リコール対応) 製造物責任法上、「製造業者等」に該当する者は、表示上の製造者(委託者のブランド表示)であっても責任を負い得る。実際に製造した受託製造者との間で、内部的な求償関係をあらかじめ契約書で定めておくことは、対外的な被害者救済とは別に、当事者間の最終的な損害負担を明確にする実務上の意義がある。
第13条(競業避止及び独占的取引) 独占的な製造委託を求める場合、対価(最低発注保証、専用ライン確保費用の分担等)なしに独占義務のみを課すと、下請法上の優越的地位の濫用や、独占禁止法上の拘束条件付取引に該当するおそれがある。対価と義務のバランスを契約書上明確にすることが望ましい。
第5条(委託料) 原材料価格の変動(特に輸入原材料や穀物価格の高騰)は、食品OEMにおいて特に重要な論点である。委託料の自動改定条項を設けるか、都度協議とするかは、取引の継続性・価格交渉力によって決まる部分が大きい。
第14条・第15条(契約期間・中途解約) OEM製造委託は、受託製造者側の設備投資・専用ラインの確保を伴うことが多いため、中途解約の予告期間は他の業務委託契約よりも長めに設定される傾向がある。
第16条〜第18条(反社排除・損害賠償・合意管轄) 食品・化粧品業界においても、取引先の反社会的勢力該当性の確認は取引開始前のデューデリジェンス項目として一般化している。
第2条(定義) 仕様書は本契約の中核をなす別紙であり、処方・配合、品質基準、表示事項の3要素を最低限含む必要がある。仕様書の変更手続(第3条第2項)を軽視すると、口頭合意による仕様変更が後日「言った言わない」の紛争に発展しやすいため、変更履歴の書面化を徹底することが望ましい。
第6条(原材料の調達) 原材料の調達を受託製造者に一任する場合であっても、委託者が最終的な販売責任を負う以上、原材料の安全性・適法性について一定の関与(サプライヤー監査への同席等)を求める実務も増えている。
別紙(賞味期限・使用期限の設定) 賞味期限・使用期限の設定根拠(保存試験の結果)は、食品表示法及び薬機法上の表示適正性を裏付ける重要な資料である。受託製造者が保存試験を実施していない場合、委託者は自ら試験を実施するか、第三者機関に依頼する必要が生じる点に留意すべきである。
第4部: 監修者への確認依頼事項
以下の事項は、標準版の記載内容を確定するにあたり監修者の判断を要する論点である。
- 第8条の表示事項について、食品表示法及び薬機法上の最新の基準(アレルゲン表示、全成分表示のルール改正等)に照らして記載内容が適切か確認いただきたい。
- 第10条のPL法の分担について、委託者・受託製造者間の内部負担割合の定め方が、実際の裁判例・実務慣行に照らして妥当か確認いただきたい。
- 第9条の知的財産権の帰属について、委託者が持ち込むレシピと受託製造者が独自に開発したノウハウが混在する場合の権利関係の整理方法をより具体的に示すべきか確認いただきたい。
- 第13条の独占的取引について、対価のない独占義務が下請法・独占禁止法上問題となるリスクの程度を確認いただきたい。
- 本テンプレートは食品・化粧品の双方を対象とする汎用設計としているが、化粧品固有の論点(薬機法上の製造販売業許可と製造業許可の区分)を別紙でどこまで詳細に扱うべきか確認いただきたい。
- 第11条のリコール対応について、食品衛生法改正(HACCP制度化)及び薬機法上の回収報告義務との関係で、追記すべき手続があるか確認いただきたい。
- 第4条の最低発注数量(MOQ)について、業界慣行上の相場観(食品・化粧品それぞれの標準的なロット単位)を購入者向け解説に補足すべきか確認いただきたい。
- 第5条の原材料価格変動時の委託料改定について、近年の原材料高騰を踏まえた標準的な改定基準(変動率の閾値等)の目安を確認いただきたい。
以上の論点は、製造物責任法・食品表示法・薬機法・下請法の4つにまたがるため、監修にあたっては各分野の実務経験を踏まえた確認を依頼したい。