商品パッケージのデザイン制作を外部に委託する契約書。著作権法第21条以下の権利帰属と意匠法第3条の登録要件を踏まえ、二次利用範囲を定めます。

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パッケージデザイン制作委託契約書

第1部: 書式本文

パッケージデザイン制作委託契約書

【委託者名】(以下「甲」という。)と【デザイナー・制作会社名】(以下「乙」という。)は、甲が販売する商品のパッケージデザインの制作に関し、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(委託業務) 甲は乙に対し、【対象商品名】の外箱、容器、ラベル又は台紙(以下「本パッケージ」という。)のデザイン制作業務(以下「本業務」という。)を委託し、乙はこれを受託する。成果物は、デザイン原案、入稿用データ及び別紙記載のその他成果物(以下「本成果物」という。)とする。

第2条(制作方針及びラフ案の提示) 乙は、甲が提示するブランドコンセプト、ターゲット層及び表示すべき法定表示事項(原材料名、成分表示、警告表示等)を踏まえ、複数のラフ案を甲に提示する。

第3条(委託料及び支払方法) 甲は乙に対し、本業務の委託料として金【委託料の額】円(消費税別)を、【着手金/納品後残金】の区分に応じ別紙のとおり支払う。

第4条(色校正及び印刷立会い) 1. 乙は、本パッケージの量産印刷に先立ち、色校正見本を甲に提示し、甲の書面による承認を得る。 2. 甲が求める場合、乙は印刷工程への立会いに協力する。ただし、立会いに要する追加費用は甲の負担とする。

第5条(検収) 甲は、乙から本成果物の納入を受けた日から【10】営業日以内に検査を行い、合格又は不合格を乙に通知する。期間内に通知がない場合、検収完了とみなす。

第6条(著作権の帰属) 1. 本成果物に関する著作権(著作権法第21条以下に規定する複製権、譲渡権及び翻案権を含む。)は、委託料の完済と同時に乙から甲に移転する。ただし、乙が本契約締結前から保有していたフォント、素材集、汎用的なレイアウト手法(以下「乙既存資産」という。)の著作権は乙に留保される。 2. 乙は、甲及び甲の指定する第三者に対し、本成果物について著作者人格権(著作権法第18条から第20条まで)を行使しない。

第7条(利用範囲及び二次利用) 1. 甲は、本成果物を対象商品のパッケージとしての利用のほか、対象商品の広告、販促物、ウェブサイトへの掲載等、別紙に定める範囲内で利用できる。 2. 甲が別紙に定める範囲を超えて本成果物を利用する場合(他の商品ラインへの転用、ブランド全体のリニューアルへの応用等)、甲乙は別途利用条件及び追加対価について協議する。

第8条(意匠登録出願) 1. 甲が本成果物に基づき意匠法上の意匠登録出願(包装容器の形状又は模様に係るもの、物品の部分に係る部分意匠を含む。)を行う場合、乙は出願人名義を甲とすることに同意し、必要な協力を行う。 2. 乙は、意匠法第3条第1項に定める新規性を喪失させないよう、甲の書面による事前の承諾なく本成果物を公表し、又はポートフォリオ、コンペティション応募その他の媒体に掲載してはならない。 3. やむを得ず出願前に公表する必要が生じた場合、甲及び乙は意匠法第4条に定める新規性喪失の例外規定の適用を受けるために必要な証明書類の作成に協力する。

第9条(第三者権利の非侵害) 乙は、本成果物が第三者の著作権、意匠権、商標権その他の権利を侵害しないことを甲に対して表明する。ただし、甲の指定した既存ブランド要素に起因する侵害についてはこの限りでない。

第10条(法定表示事項の確認義務) 1. 乙は、本パッケージのレイアウト上、食品表示法、薬機法その他関係法令が定める表示事項を記載するためのスペースを確保する。 2. 表示事項の内容自体の適法性の確認及び最終責任は甲が負うものとし、乙は甲から提供された表示文言をレイアウトに反映する限度で協力する。

第11条(改変及びリニューアル対応) 甲が将来的に本成果物の一部を改変してリニューアルデザインを制作する場合、甲は乙に優先的に改変業務を依頼するよう努めるものとし、乙以外に依頼する場合であっても、乙既存資産の利用条件は第6条第1項の定めに従う。

第12条(秘密保持) 甲及び乙は、本契約に関連して知り得た相手方の商品コンセプト、発売時期その他の営業上の秘密を第三者に開示又は漏えいしてはならない。

第13条(再委託の制限) 乙は、甲の事前の書面による承諾なく、本業務の全部又は主要な部分を第三者に再委託してはならない。

第14条(契約不適合責任) 本成果物が仕様書の内容に適合しない場合、甲は乙に対し、修補、代替物の引渡し又は代金減額を請求できる。

第15条(準拠法及び管轄) 本契約は日本法に準拠し、本契約に関する紛争は【管轄裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

以上、本契約の成立を証するため本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。

【契約締結日】

甲(委託者) 住所: 名称: 代表者: 印 乙(デザイナー・制作会社) 住所: 名称: 代表者: 印

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 委託者(メーカー)向け

A-1 利用範囲の拡張と将来の関連商品展開への対応 修正後:「第7条第1項の利用範囲には、対象商品の姉妹品又は派生品として甲が別途発売する商品のパッケージデザインへの応用を含み、乙は追加対価を請求しない。」 一言解説: 商品ラインナップが拡充する食品・日用品メーカーでは、当初のデザインをシリーズ展開の基調として使い回すことが多い。利用範囲を対象商品限りとすると、姉妹品展開のたびに追加協議が必要となり機動的な展開の支障となる。

A-2 意匠権の帰属を確実にするための出願禁止条項 追加条文例:「乙は、本成果物又は類似デザインについて、自ら又は第三者をして意匠登録出願を行わないものとし、違反した場合は当該出願に係る一切の権利を無償で甲に譲渡する。」 一言解説: 意匠法第9条は先願主義を採用しており、乙が先に類似デザインを出願すると甲が登録を受けられなくなるおそれがある。出願禁止と違反時の譲渡義務を明記し、甲の登録の途を確保する。

B. デザイナー・制作会社向け

B-1 汎用レイアウト手法の留保範囲の具体化 修正後:「第6条第1項の乙既存資産とは、別紙記載の乙独自のグリッドシステム、配色理論に基づくカラーパレット及び乙が開発した加工技術(箔押し、エンボス等)をいい、本成果物への組込みの有無にかかわらず乙に留保される。」 一言解説: 著作権の包括的な移転条項のみでは、乙が培ってきたデザイン手法自体まで甲に独占されかねない。具体的な成果物と汎用的な制作ノウハウを条文上区別し、乙の他クライアント案件での活動を確保する。

B-2 表示事項の適法性に関する責任限定 修正後:「乙は、甲から提供された原材料名、成分表示その他の法定表示事項の文言をレイアウトに反映する義務を負うにとどまり、当該文言自体の食品表示法又は薬機法上の適法性については確認する義務を負わない。」 一言解説: デザイナーは表示レイアウトの専門家であり、表示内容の法令適合性を審査する立場にはない。役割分担を明確にしないと、甲の表示内容の誤りについてまで乙が責任を問われかねない。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、商品の外箱、容器、ラベル等のパッケージデザインの制作を外部のデザイナーやデザイン会社に委託する場面で使用する。製品本体の形状デザイン(工業製品の意匠開発)の委託は、印刷・色校正工程や法定表示事項への配慮が不要な点で本書式と前提が異なるため、別の書式を用いる方が実務に適合する。パッケージの構造自体(緩衝材の形状等)の設計が主目的の場合も、構造設計に特化した契約書を検討すべきである。

根拠法令の解説 著作権の帰属については、著作権法第21条以下の複製権、譲渡権、翻案権等の支分権及び第18条から第20条までの著作者人格権が根拠となる。パッケージの形状や模様は、令和元年意匠法改正で導入された内装の意匠制度や部分意匠制度により意匠登録の対象となりうるため、意匠法第3条(新規性)、第3条の2(関連意匠)、第4条(新規性喪失の例外)、第9条(先願主義)を踏まえた条項設計が必要である。あわせて、パッケージ上の表示事項には食品表示法及び薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)上の表示規制が及ぶ場合があり、デザインレイアウトとの整合が求められる。

実務でよくある失敗と対策 第一に、公表制限を設けないまま乙がポートフォリオやコンペに本成果物を掲載し、甲の出願前に新規性が失われるケースがある。対策として第8条第2項のように公表を事前承諾制とする。第二に、著作権移転条項のみで乙既存資産の範囲を具体化しなかったため、乙独自の加工技術やカラーパレットの使用まで禁止されたと乙が誤解し、他案件での提案に支障が生じるケースがある。対策としてB-1のように留保範囲を具体的に列挙する。第三に、表示事項の誤記について適法性確認責任の所在を定めなかったため、甲乙間で責任の押し付け合いになるケースがある。対策として第10条のように役割分担を明記する。

個別事案は専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 対象商品及び本パッケージ(外箱・容器・ラベル等)の種類を具体的に特定しているか
  • [ ] ラフ案の提示回数及び修正対応の範囲を定めているか
  • [ ] 色校正の承認手続及び印刷立会いの費用負担を定めているか
  • [ ] 著作権の移転範囲及び著作者人格権の不行使特約を定めているか
  • [ ] 乙既存資産(汎用レイアウト・加工技術等)の留保範囲を具体化しているか
  • [ ] パッケージとしての利用範囲及び関連商品への二次利用の可否を定めているか
  • [ ] 意匠登録出願への協力義務及び乙による出願禁止を定めているか
  • [ ] 出願前の公表制限及び新規性喪失の例外規定適用への協力を定めているか
  • [ ] 法定表示事項(食品表示法・薬機法等)のスペース確保義務と適法性確認責任の分担を定めているか
  • [ ] 第三者権利の非侵害保証及び侵害判明時の責任分担を定めているか
  • [ ] リニューアル時の優先発注及び利用条件を確認しているか