見込顧客の紹介に対し手数料を支払う契約書。成約基準と報酬計算を定め、個人情報保護法第27条の第三者提供や景品表示法上の表示責任にも配慮する。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
パートナー契約書(紹介型)
第1部: 書式本文
第1条(目的) 甲(提供者)は、乙(紹介パートナー)に対し、甲の【サービス名】について見込顧客を紹介する業務を委託し、乙はこれを受託する。
第2条(業務内容) 乙の業務は、甲の本サービスに関心を有する見込顧客を甲に紹介することに限られ、乙自らが契約締結の交渉、価格提示又は契約書の取り交わしを行うものではない。
第3条(紹介の方法) 乙は、別紙に定める紹介フォーム又は所定の手続により、見込顧客の情報を甲に提供する。
第4条(成約の定義) 「成約」とは、乙が紹介した見込顧客と甲との間で本サービスの利用契約が締結され、当該顧客から初回の利用料金の支払いが完了したことをいう。
第5条(紹介手数料) 甲は、乙に対し、成約1件につき〔選択A: 初回契約金額の【〇】%/選択B: 固定額【金〇円】〕を紹介手数料として支払う。
第6条(手数料の支払時期) 甲は、成約が確定した月の翌月末までに、乙の指定する口座に紹介手数料を支払う。
第7条(二重紹介の調整) 同一の見込顧客について複数の紹介者が存在する場合、甲は、最初に有効な紹介を行った者を紹介パートナーとして取り扱う。
第8条(個人情報の取扱い) 乙が甲に提供する見込顧客の個人情報については、乙があらかじめ本人から甲への提供について同意を取得するものとし、甲は個人情報保護法第27条第1項に基づく第三者提供の要件を満たしていることを確認する。
第9条(表示・広告における責任) 乙が本サービスを紹介するにあたり行う説明及び広告表示は、甲が提供する公式資料の範囲内で行うものとし、独自に機能や効果を保証する表示を行ってはならない。乙による表示が景品表示法上の不当表示に該当しないよう甲乙双方が留意する。
第10条(競業避止) 乙は、本契約の有効期間中、甲の事前の書面による承諾なく、本サービスと競合するサービスの紹介業務を行ってはならない。
第11条(契約期間及び解約) 本契約の有効期間は【〇年間】とし、いずれの当事者も【〇か月】前の書面による通知により解約することができる。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 提供者向け
A-1. 成約定義の厳格化
修正条文例:「成約とは、利用契約の締結に加え、当該顧客が初回請求に基づく支払いを完了し、かつ契約締結後【〇日】以内に解約されていないことをいう。」 一言解説: 初期解約(いわゆるチャーン)が発生した成約について手数料の支払対象から除外し、紹介の質を担保する修正である。
A-2. 表示内容の事前承認
修正条文例:「乙が本サービスの紹介にあたり使用する広告物、ウェブサイトの記載内容は、事前に甲の承認を得るものとする。」 一言解説: 紹介パートナーによる独自の誇大表示が景品表示法上のリスクや商標毀損につながることを防ぐ修正である。
B. 紹介パートナー向け
B-1. 手数料支払遅延に対する遅延損害金
修正条文例:「甲が第6条の支払期限を徒過した場合、甲は乙に対し、年【14.6】%の割合による遅延損害金を支払う。」 一言解説: 紹介手数料の支払遅延に対する牽制として遅延損害金を明記する修正である。
B-2. 継続課金型サービスにおける継続手数料
修正条文例:「本サービスが継続課金型のサブスクリプションである場合、甲は乙に対し、当該顧客が契約を継続する限り、月額利用料金の【〇】%を継続手数料として支払う。」 一言解説: 単発の紹介手数料ではなく、顧客が契約を継続する限り収益を分配する成果連動型の設計に変更する修正である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、見込顧客の紹介のみを業務範囲とし、契約締結の交渉や価格提示を行わない紹介型パートナーとの契約に用いる。紹介パートナーが自ら価格交渉や契約締結の代理を行う場合は、媒介契約や代理店契約としての性質が強くなり、宅地建物取引業法や保険業法など業法上の代理・媒介規制が適用される業種もあるため、業務範囲を紹介のみに限定するか、代理・媒介まで含めるかを明確に切り分ける必要がある。
根拠法令 紹介業務それ自体は準委任(民法第656条)的な性質を持つが、成果(成約)に応じた成功報酬を定める点で請負的な要素も含む混合的な契約として整理されることが多い。乙が甲に見込顧客の個人情報を提供する行為は、個人情報保護法第27条第1項の第三者提供に該当するため、乙は本人からの同意取得その他の適法要件を満たす必要があり、甲は取得経緯を乙に確認する義務がある(いわゆるトレーサビリティの確保、同法第30条・第31条も関連する)。また、紹介パートナーが行う広告表示や説明が実際のサービス内容と乖離している場合、景品表示法上の不当表示規制(優良誤認表示・有利誤認表示)は、表示を行った紹介パートナーのみならず、表示内容を容認していた提供者にも問題が及ぶ可能性がある。
実務でよくある失敗と対策 第一に、成約の定義を「契約締結」とだけ定め、契約締結後すぐに解約された顧客についても手数料を支払う結果となり、紹介の質が担保されない失敗がある。A-1のように初期解約を手数料対象から除外する条件を追加することが対策となる。第二に、見込顧客の個人情報を紹介パートナーから受け取る際に、本人同意の取得状況を確認せず、個人情報保護法上の第三者提供規制に違反するおそれが生じる失敗がある。第8条のように同意取得の主体と確認プロセスを明記することが有効である。第三に、紹介パートナーが独自に作成した広告資料でサービスの効果を誇大に説明し、景品表示法上のリスクを招く失敗がある。第9条及びA-2のように表示内容を公式資料の範囲に限定し、事前承認制とすることが望ましい。
第四に、競業避止義務の範囲を「本サービスと競合するサービス」とだけ抽象的に定め、紹介パートナーが類似だが厳密には競合しないサービスを紹介した際にトラブルとなる失敗もある。第10条のように競合の判断基準や対象サービスの範囲を可能な限り具体化することが望ましい。
紹介手数料の会計・税務上の扱いや、業種によっては紹介業務自体に許認可(職業紹介事業の届出等)が必要となる場合もあるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 乙の業務範囲が「紹介」に限定され、交渉・契約締結の代理を含まないことを明記したか
- [ ] 成約の定義(契約締結、支払完了、初期解約の除外等)を具体的に定めたか
- [ ] 紹介手数料の算定方法及び支払時期を定めたか
- [ ] 見込顧客の個人情報の第三者提供について本人同意の取得主体を明確にしたか(個人情報保護法第27条)
- [ ] 二重紹介が生じた場合の調整ルールを定めたか
- [ ] 紹介パートナーが使用する広告・説明資料の範囲及び事前承認の要否を定めたか
- [ ] 景品表示法上の不当表示リスクについて双方の責任分担を確認したか
- [ ] 競業避止義務の範囲及び期間を定めたか
- [ ] 紹介業務に許認可(職業紹介等)が必要な業種でないかを確認したか
- [ ] 契約期間及び解約予告期間を定めたか