鳴き声や糞尿の放置など近隣に迷惑を及ぼす飼育について、動物の愛護及び管理に関する法律第7条の飼い主責務を挙げて改善を求めます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
ペット飼育マナー改善申入書
第1部: 書式本文
ペットの飼育に関するマナー改善の申入書
【飼い主住所】 【飼い主氏名・名称】 様
作成日: 【西暦】年【月】月【日】日
差出人: 【申入人住所】 【申入人氏名・名称】 印
件名: ペット飼育に伴う近隣迷惑の改善に関する申入れ
申入人は、貴殿に対し、下記のとおり申し入れる。
- 申入人は【申入人住所】に居住しており、貴殿は【位置関係。例: 隣家、上下階】において【飼育動物の種類。例: 犬、猫】を飼育している。
- 貴殿が飼育する動物について、【問題の内容。例: 頻繁な鳴き声、敷地外への糞尿の放置、放し飼いによる徘徊、悪臭】が【発生開始時期】頃から継続しており、申入人の生活環境に支障を来している。
- 具体的な発生状況は、時間帯【時間帯】、頻度【頻度】であり、【記録方法。例: 録音、写真、生活記録ノート】により裏付けられる。
- 申入人は、【申入れ済みの場合はその経緯】において改善を求めたが、【現在の状況】。
- 動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)第7条第1項及び第4項は、動物の所有者又は占有者は、動物の適正な飼養及び保管に努めるとともに、その動物が人の生命、身体又は財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせることのないように努めなければならない旨を定めている。
- 同法第25条第1項は、都道府県知事は、多数の動物の飼養又は保管に起因した周辺の生活環境の保全上の支障が生じている場合に、その飼養者等に対し、必要な指導又は助言をすることができる旨を定めており、指導に従わない場合には勧告及び命令に至ることもある。
- 民法第709条は、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う旨を定めている。
- 申入人は、貴殿に対し、下記事項の実施を求める。
- 鳴き声・臭気を軽減するための飼育環境の改善
- 敷地外に放置された糞尿の速やかな清掃及び再発防止
- 敷地外への放し飼いの中止、リード等の適切な使用
- 本申入書到達後【回答期限。例: 2週間】以内に、対応方針についてご回答いただきたい。
- 期限までに改善が見られない場合、申入人は、自治体の動物愛護担当部局への相談、管理組合(区分所有建物の場合)への相談、その他法的手続の検討を行う。
- 本申入書は、申入人の有するその他の請求権その他一切の権利を放棄するものではない。
以上
回答書送付先その他の連絡先 【送付先住所】 【申入人氏名】 【電話番号・メールアドレス】
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 申し入れる側
修正後の文例:
申入人は、【記録期間】にわたり記録した鳴き声の発生時刻及び頻度、並びに敷地内に放置された糞尿の写真を保有している。動物愛護管理法第7条第1項に照らし、貴殿に対し、本申入書到達後【期限】以内に飼育環境の改善及び再発防止策の実施を求める。
一言解説: 動物愛護管理法第7条は所有者・占有者の努力義務を定める規定であるため、直ちに損害賠償請求権を基礎づけるものではなく、受忍限度を超える具体的被害を記録して民法709条とあわせて主張する構成が実務上有効である。
B. 飼い主側
修正後の文例:
ご指摘の点については確認した。当職は、【対応内容。例: しつけ教室への通所、防音対策の実施、外飼いから室内飼育への変更】を実施し、糞尿の放置についても今後は速やかに清掃するよう徹底する。なお、当該動物は狂犬病予防法に基づく登録及び鑑札の交付を受けており、必要な予防接種も実施済みである。
一言解説: 飼い主側としては、具体的な改善策とあわせて、狂犬病予防法上の登録・鑑札・予防接種など適法な飼育を行っている事実を示すことで、飼育そのものの適法性への疑念を払拭しつつ改善への協力姿勢を伝えられる。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、近隣で飼育されている動物の鳴き声や糞尿の放置、放し飼いによる徘徊等により、周辺の生活環境に具体的な支障が生じている場合に、飼い主へ改善を求める場面で用いる。単に動物が苦手である、動物の飼育自体に反対であるといった主観的な理由のみでは、飼育行為自体を規制する根拠とはならないため、本書式を用いる際は、具体的にどのような被害が生じているかを客観的に示すことが前提となる。また、動物による咬傷事故など人身被害が生じている場合には、本書式のような改善申入れにとどまらず、直ちに医療機関の受診及び警察・保健所への通報を検討すべきであり、本書式はそのような緊急性の高い場面を想定したものではない。
根拠法令の中心は、動物の愛護及び管理に関する法律である。同法第7条は、動物の所有者又は占有者に対し、動物の種類、習性等に応じた適正な飼養・保管に努める義務、及びその動物が人の生命等に害を加え、又は生活環境の保全上の支障を生じさせることのないように努める義務を定めている。もっとも、同条は努力義務規定であるため、これ単独から直接に損害賠償請求権が発生するわけではなく、実際の被害回復には民法第709条の不法行為規定を組み合わせて主張することになる。また、同法第25条は、都道府県知事が周辺の生活環境保全上の支障に関して飼養者等に指導・助言を行い、なお改善されない場合には勧告及び命令を行うことができる行政上の枠組みを定めており、当事者間の話し合いで解決しない場合の行政的な選択肢として案内する意義がある。マンション等の区分所有建物においては、管理規約や使用細則でペットの飼育自体を制限し、又は禁止している場合があり、そのような場合には動物愛護管理法とは別に契約上の制限違反として管理組合が対応することになる。なお、犬の飼育については、狂犬病予防法に基づく登録及び鑑札の装着、年1回の狂犬病予防注射が義務付けられており、これらの遵守状況を確認することも実務上有用である。
実務でよくある失敗の一つ目は、動物愛護管理法第7条の努力義務規定のみを根拠に、確定的な法的義務違反であるかのように主張してしまうことである。対策として、本文7項のように民法709条をあわせて引用し、受忍限度を超える具体的被害の存在を示す構成としている。二つ目の失敗は、被害の記録を残さないまま感情的な苦情のみを伝え、かえって関係を悪化させることである。対策として、本文3項のように発生状況の記録方法を明示している。三つ目の失敗は、区分所有建物においてペット飼育制限の管理規約が存在するにもかかわらず、これを確認せず動物愛護管理法のみを根拠に交渉してしまうことである。管理規約による制限がある場合は、管理組合を通じた対応の方が実効性が高いことも多く、対応方針の選択については専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 被害の内容(鳴き声・糞尿放置・放し飼い等)を具体的に特定したか
- [ ] 発生時刻・頻度・期間を記録(録音・写真・日誌等)したか
- [ ] 過去の申入れ・相談の経緯を整理したか
- [ ] 対象がマンション等の区分所有建物か戸建てかを確認したか
- [ ] 管理規約・使用細則にペット飼育制限の定めがないか確認したか
- [ ] 犬の場合、狂犬病予防法上の登録・鑑札・予防接種の状況を確認したか
- [ ] 人身被害(咬傷事故等)が発生していないか、発生時の緊急対応を区別して検討したか
- [ ] 動物愛護管理法第25条に基づく自治体への相談窓口を把握したか
- [ ] 回答期限を明確に設定したか
- [ ] 感情的な表現を避け、客観的な事実に基づく記載になっているか確認したか