改善計画の合意内容と実施結果を確認する書面です。目標達成度、支援の実施状況、今後の処遇方針を双方で記録します。社内の承認手続と証跡管理にもそのまま活用できます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
業績改善計画実施確認書
第1部: 書式本文
【作成年月日】令和【 】年【 】月【 】日
【対象労働者氏名】殿
【会社名】 【所属長役職・氏名】㊞
業績改善計画実施確認書
令和【 】年【 】月【 】日付「業績改善指導書」に基づき実施した業績改善計画について、下記のとおり実施結果を確認します。
第1条(対象計画の特定) 本確認書は、令和【 】年【 】月【 】日付業績改善指導書(評価期間:令和【 】年【 】月【 】日から令和【 】年【 】月【 】日まで)の実施結果を確認するものである。
第2条(目標達成状況) 1. 到達基準1に対する結果:【達成/一部達成/未達成】、理由・根拠資料:【具体的内容】 2. 到達基準2に対する結果:【達成/一部達成/未達成】、理由・根拠資料:【具体的内容】 3. 総合評価:【達成率・評価者所見】
第3条(会社が実施した支援の履行状況) 1. 面談の実施回数:【 】回(実施日:【 】) 2. 研修・OJT等の実施状況:【実施内容と実施日】 3. 業務上の配慮の実施状況:【具体的内容】 4. 支援計画からの変更・中断があった場合はその理由:【 】
第4条(対象労働者の意見) 対象労働者は、本計画の実施過程及び評価結果について、下記のとおり意見を述べた。 【対象労働者の意見・反論の要旨】
第5条(社内承認手続) 本確認書の内容は、【承認者役職・氏名】の承認を得て確定したものである。承認記録は別途「人事評価承認記録」により保管する。
第6条(今後の処遇方針) 評価結果を踏まえ、会社は下記の方針を選択する。 □ 計画終了(改善を確認し、通常の人事評価に復帰) □ 計画の延長(延長期間:【 】、理由:【 】) □ 配置転換の検討(検討理由:【 】) □ 追加的な指導・注意の実施 □ 就業規則第【 】条に基づく普通解雇を含む処遇の検討開始
第7条(処遇方針を選択するに至った理由) 前条の方針を選択した理由は次のとおりである。【評価結果と処遇方針の因果関係を具体的に記載】
第8条(次段階の手続) 前条で解雇を含む処遇の検討を開始する場合、別途、弁明の機会の付与その他就業規則に定める手続を経るものとし、本確認書のみをもって解雇等の措置が確定するものではない。
第9条(記録の保管) 本確認書及び関連資料(面談記録書、成果物、評価資料等)は、人事記録として【 】年間保管する。
第10条(異議申立て) 本確認書の内容に異議がある場合、交付日から【 】日以内に【苦情処理窓口・人事部門名】に書面で申し立てることができる。
第11条(署名確認) 本確認書の内容を双方で確認したことを、下記に署名のうえ証する。
【確認年月日】 会社側確認者:【役職・氏名】㊞ 対象労働者:【氏名】㊞(なお、署名は内容への同意を意味するものではなく、内容を確認したことのみを示す)
以上
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 会社の立場から作成する場合
- 記載例1:「第2条の到達基準1の結果を『未達成』とする場合、『目標値【 】に対し実績【 】、達成率【 】パーセント』のように、指導書に定めた到達基準と対応させた数値を明記する。」 一言解説: 指導書の到達基準と確認書の評価結果を一対一で対応させておくことで、評価の恣意性を排除し、後日の説明責任を果たしやすくなる。
- 記載例2:「第6条で解雇を含む処遇の検討開始を選択する場合、第7条に『改善の兆候が全く見られず、かつ第3条記載の支援を尽くしてもなお目標との乖離が縮小しなかった』旨、支援と結果の関係を具体的に記載する。」 一言解説: 解雇の相当性が争われた場合、支援を尽くしたにもかかわらず改善が見られなかった経過を示せるかが重要な判断要素となる。
B節: 対象労働者の立場から確認する場合
- 記載例1:「第4条の意見欄に、『第3条記載の面談は当初予定の半数しか実施されず、支援が計画どおり履行されなかった』等、支援の履行状況に関する事実認識の相違を記載する。」 一言解説: 会社側の評価に事実誤認や支援不足があると考える場合、確認書の署名時点で意見を記録として残しておくことが重要である。
- 記載例2:「第6条で計画の延長を求める場合、第4条に『体調不良により計画期間中の稼働日数が通常の【 】割にとどまったため、実質的な評価期間の確保を希望する』等、延長を求める具体的事情を記載する。」 一言解説: 評価期間中に特別な事情があった場合はその事実を記録に残すことで、公平な再評価を求める根拠となる。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本様式は、業績改善指導書に基づく評価期間が終了した段階で、達成状況と会社が実施した支援の履行状況を突き合わせ、今後の処遇方針を確定させる場面で使用する。指導書が計画開始時点の目標設定書であるのに対し、本様式は計画終了時点の結果確認書であり、双方の内容を混同して同一の文言を用いることは適切でない。使う場面としては、評価期間が実際に満了し、面談記録等の実施資料が揃っている場合が想定される。使ってはいけない場面としては、評価期間の途中で拙速に結果を確定させる場合や、支援の実施記録がないまま未達成のみを一方的に記載する場合である。
根拠法令及び留意点としては、能力不足を理由とする普通解雇の効力は労働契約法第16条により客観的合理的理由及び社会通念上の相当性の有無で判断され、裁判実務上、改善のための指導・教育の機会を実質的に提供したか、改善の見込みがないと判断するに至った経緯が合理的かが重視される傾向にある。本様式の第3条(支援の履行状況)及び第7条(処遇方針を選択した理由)は、この相当性判断の基礎資料として機能する。また、就業規則に定める懲戒手続・解雇手続がある場合は、本確認書の内容のみで手続を完結させず、第8条のとおり別途所定の手続を経る必要がある。労働契約法第3条第4項の信義誠実の原則の観点からも、評価結果を対象労働者に開示し、意見陳述の機会を与えることが望ましい。
実務でよくある失敗として、第一に、評価結果の判定基準が指導書の到達基準と対応しておらず、評価の客観性が説明できないケースがある。対策として、第2条において指導書の到達基準ごとに個別の評価を行う構成とする。第二に、支援の実施が計画どおり行われなかったにもかかわらずその事実を記載せず、未達成の責任を一方的に労働者に帰属させてしまうケースがある。対策として、第3条で支援の履行状況を必ず具体的に記載し、変更・中断があった場合はその理由も併記する。第三に、確認書への署名を同意の証拠として扱い、後日、対象労働者から「内容に同意していない」と争われるケースがある。対策として、第11条に署名の法的意味(内容確認にとどまり同意を意味しない)を明記しておく。なお、評価結果に基づく処遇変更の適法性は個別の事情により判断が異なるため、専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 対象となる業績改善指導書の日付・評価期間が正確に特定されているか
- [ ] 到達基準ごとに達成状況が個別に評価されているか
- [ ] 会社が実施した支援の履行状況が具体的に記録されているか
- [ ] 支援計画からの変更・中断があった場合、その理由が記載されているか
- [ ] 対象労働者の意見を記載する欄が設けられているか
- [ ] 承認手続を経て内容が確定しているか
- [ ] 処遇方針とその選択理由に論理的な整合性があるか
- [ ] 解雇等重い処遇を検討する場合、別途所定の手続を経る旨が明記されているか
- [ ] 署名の法的意味(内容確認にとどまるか同意を含むか)が明確にされているか
- [ ] 異議申立ての窓口・期限が明記されているか
- [ ] 記録の保管期間及び開示対応が定められているか