開発費を抑え売上を分配する協業契約書。民法第667条の組合との区別を意識し、収益の定義・報告義務・監査権と下請法適用の有無を明確に定める。

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レベニューシェア契約書

第1部: 書式本文

〇〇〇〇(以下「甲」という。開発者)と〇〇〇〇(以下「乙」という。事業パートナー)とは、甲が開発する〇〇〇〇(以下「本サービス」という。)の事業化にあたり、次のとおりレベニューシェア契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的) 本契約は、甲が本サービスの開発を、乙が本サービスの販売促進、資金提供又は運営支援(以下「本協力」という。)をそれぞれ分担して行い、本サービスから生じる収益を分配することを目的とする。

第2条(役割分担) 1. 甲は、本サービスの開発、保守及び技術的な運営を担当する。 2. 乙は、別紙に定める本協力(販売促進、資金提供、営業活動等)を担当する。 3. 甲及び乙は、本契約が民法上の組合契約(同法第667条)を構成するものではなく、それぞれが独立した事業者としての役割を分担する契約であることを相互に確認する。

第3条(収益の定義) 本契約において「収益」とは、本サービスの提供により生じる売上高から、別紙に定める控除項目(決済手数料、返金額、消費税等)を控除した金額をいう。

第4条(分配割合) 甲及び乙は、収益を別紙に定める割合(甲〇%、乙〇%)により分配する。

第5条(報告義務) 1. 甲は、毎月末日締めで収益の内訳を記載した報告書を、翌月〇日までに乙に提出する。 2. 乙は、前項の報告書について疑義がある場合、甲に対し裏付け資料の提示を求めることができる。

第6条(監査権) 乙は、年1回を上限として、甲の事前の同意を得たうえで、収益算定の基礎となる会計帳簿を監査することができる。監査の結果、収益の過少報告が判明した場合、甲は不足額及び別紙に定める遅延損害金を乙に支払う。

第7条(支払方法) 甲は、第5条の報告に基づき算定した乙の取分を、報告書提出後〇日以内に乙が指定する口座に振り込むものとする。振込手数料は甲の負担とする。

第8条(知的財産権の帰属) 本サービスにかかる著作権その他の知的財産権は、本契約に別段の定めがある場合を除き、甲に帰属する。乙による本協力の実施は、当該知的財産権の帰属に影響を及ぼさない。

第9条(下請法の適用に関する確認) 甲及び乙は、乙が甲に対し本サービスの開発の一部を再委託する場合等、取引の実態によっては下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)の適用対象となりうることを確認し、該当する場合は同法上の書面交付義務及び支払期日の規制を遵守する。

第10条(費用負担) 本サービスの提供に必要な費用のうち、開発に関する費用は甲が、本協力に関する費用は乙が、それぞれ自己の負担とする。ただし、別紙に定める共同負担費用については、別紙に定める割合により分担する。

第11条(秘密保持) 甲及び乙は、本契約の履行の過程で知り得た相手方の営業上又は技術上の秘密情報を、相手方の事前の書面による承諾なく第三者に開示してはならない。

第12条(契約期間) 本契約の有効期間は〇年間とし、期間満了の3か月前までにいずれかの当事者から書面による終了の申出がない限り、同一条件で1年間自動更新される。

第13条(中途解約) 甲及び乙は、6か月前までに書面で通知することにより、本契約を中途解約することができる。

第14条(契約終了後の収益分配) 本契約終了後も、終了前に生じた取引に起因する収益については、本契約に定める分配割合に従い分配するものとする。

第15条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自己が暴力団その他反社会的勢力に該当せず、これらと関係を有しないことを表明し、保証する。

第16条(合意管轄) 本契約に関する紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 開発者向けの修正

A-1. 最低保証収益の否定と実績連動の徹底

修正後:「乙の取分は、あくまで実際に生じた収益に対する分配割合により算定するものとし、収益が生じない場合、甲は乙に対し最低保証額その他名目のいかんを問わず金銭を支払う義務を負わない。」 一言解説: 収益が想定を下回った場合でも固定額の支払義務を負わないようにすることで、開発者側の資金繰りリスクを抑える修正である。

A-2. 知的財産権の単独帰属の強調

修正後:「乙が本協力の過程で本サービスの改善提案を行った場合であっても、当該提案が具体化された成果物にかかる知的財産権は甲に帰属するものとし、乙は甲に対しこれを主張しない。」 一言解説: 事業パートナーからの提案が製品改善に寄与した場合でも、権利の帰属先を開発者に一本化し、将来の権利紛争を防ぐ修正である。

B. 事業パートナー向けの修正

B-1. 収益報告の正確性を担保する監査権の強化

修正後:「乙は、監査の結果、収益の過少報告が売上高の5%以上判明した場合、監査費用を甲の負担とすることができる。」 一言解説: 収益算定を甲が単独で行う本契約の構造上、乙にとって透明性の確保が重要であるため、不正確な報告があった場合のペナルティを明記する修正である。

B-2. 独占的協業関係の設定

追加条文例:「甲は、本契約の有効期間中、乙の書面による事前の承諾なく、乙と競合する第三者との間で本サービスに関する同種の協業契約を締結してはならない。」 一言解説: 販売促進や資金提供に注力する事業パートナーが、自らの投資が競合他社の利益にもなってしまう事態を避けるための独占条項である。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、開発費用を先行投資せず、売上が生じた場合にのみ収益を分配する形で協業する場面において、両当事者の役割分担と収益分配の方法を定める契約書として用いる。他方、事業パートナーが単に資金を拠出し利益・損失をともに分担する共同事業体を構成する場合には、民法上の組合契約(同法第667条以下)としての性質を帯びる可能性があり、本契約とは異なる規律(組合財産の合有、業務執行の方法等)が適用されうる点に注意が必要である。

根拠法令 民法第667条第1項は、組合契約を「各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約する」契約と定義する。レベニューシェア契約が組合契約に該当するか否かは、当事者が損益をともに分担する共同事業としての実質を有するか、業務執行における意思決定を共同で行うかといった実態に即して判断される。本契約は、甲乙がそれぞれ独立した事業者として役割を分担し、収益の分配を受けるにとどまる構成(業務委託類似の構成)を想定しており、第2条第3項でその旨を確認しているが、実際の運用において共同事業としての実質が強まる場合には、組合契約としての規律(組合員の連帯責任等)が及ぶリスクが生じる点に留意すべきである。また、開発の一部を乙が甲に再委託させる構造や、資本金区分等の要件を満たす場合には、下請代金支払遅延等防止法の適用が問題となりうるため、第9条のように適用の有無を確認する規定を設けている。

実務でよくある失敗と対策 第一に、収益の定義(控除項目の範囲)を曖昧にしたまま契約を締結し、返金額や決済手数料の扱いを巡って分配額の計算に争いが生じる失敗がある。第3条のように控除項目を別紙で具体的に列挙することが対策となる。第二に、事業パートナーが実質的に共同の意思決定に関与する運用を続けた結果、組合契約としての実質を帯び、対外的な責任(組合員の連帯責任)を予期せず負うことになる失敗がある。役割分担を契約書上明確にし、意思決定権限の所在(甲の単独決定事項と協議事項の区分)を定めることが対策となる。第三に、収益報告の正確性を担保する仕組みがなく、当事者間の信頼関係が悪化した際に収益の過少計上が疑われても検証手段がない失敗がある。第6条のような監査権を設けることが対策となる。

組合契約への該当性の判断や下請法の適用範囲は取引の実態によって左右されるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 甲乙の役割分担(開発担当・協力担当)を具体的に定めたか
  • [ ] 本契約が組合契約(民法第667条)に該当しない構成になっているか確認したか
  • [ ] 収益の定義及び控除項目を明確に定めたか
  • [ ] 分配割合とその見直し条件(実績連動等)を定めたか
  • [ ] 収益報告の頻度・様式・提出期限を定めたか
  • [ ] 監査権の行使方法及び過少報告時のペナルティを定めたか
  • [ ] 開発の再委託が生じる場合、下請法の適用の有無を確認したか
  • [ ] 知的財産権の帰属を明確にしたか
  • [ ] 契約終了後の収益分配(終了前取引分)の扱いを定めたか
  • [ ] 中途解約の予告期間及び手続を定めたか