定款変更や役員変更など臨時の議案を決議した社員総会の議事録です。特別決議の要件を満たす定足数の記載例を示します。自社の実情に合わせて条項を取捨選択できる構成です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
臨時社員総会議事録(一般社団法人)
第1部: 書式本文
臨時社員総会議事録
一般社団法人【法人名】は、【 】年【 】月【 】日(【曜日】)午前・午後【 】時【 】分から、主たる事務所会議室(【所在地】)において、臨時社員総会を開催した。
- 招集の理由 【定款変更及び役員変更の必要が生じたため】
- 社員の総数 【 】名(議決権を行使することができる社員の総数【 】名)
- 出席社員数(委任状及び書面による議決権行使を含む) 【 】名(議決権数【 】個)
- 出席理事 【氏名】(代表理事)、【氏名】
- 出席監事 【氏名】
- 議長 定款第【 】条の規定により、代表理事【氏名】が議長に就任した。
議長は、本総会が一般法人法第49条第2項に定める特別決議の要件(総社員の半数以上であって、総社員の議決権の3分の2以上に当たる多数)を審議する議案を含むことから、定足数及び決議要件を慎重に確認する旨を述べ、出席社員数及び議決権数が上記要件を充たしていることを確認した上で開会を宣言した。
【議事の経過の要領及びその結果】
第1号議案 定款一部変更の件 議長は、事業の多角化に伴い、定款第【 】条(事業)に【新規事業項目】を追加する必要がある旨を説明し、変更後の条文案を朗読した。審議の結果、出席社員の議決権【 】個のうち賛成【 】個、反対【 】個で、一般法人法第49条第2項所定の特別決議の要件を充たしたため、原案どおり可決確定した。
第2号議案 理事解任及び後任理事選任の件 議長は、理事【氏名】について任務懈怠の事実が認められることを説明し、同人を解任のうえ、後任として【氏名】を選任したい旨を提案した。審議の結果、出席社員の議決権の過半数の賛成をもって、理事の選任(一般法人法第63条)については普通決議として可決した。なお、監事の解任議案がある場合は、一般法人法第49条第2項第1号により特別決議によるべき旨を付言した。
議長は、以上をもって本総会の目的である事項の審議を終了した旨を述べ、【 】時【 】分、閉会を宣言した。
上記の議事の経過の要領及び結果を明確にするため、この議事録を作成し、議長及び出席理事がこれに記名押印する(一般法人法第57条)。
【 】年【 】月【 】日
一般社団法人【法人名】 臨時社員総会
議長・代表理事 【氏名】 印 出席理事 【氏名】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節 法人(招集者・議事運営側)の立場から
A-1 特別決議の定足数を厳密に記載する条項 「3. 出席社員数【 】名(議決権数【 】個、総社員の議決権数【 】個の3分の2以上に相当することを確認)」 解説:特別決議は普通決議より加重された要件(総社員の半数以上かつ議決権の3分の2以上、一般法人法第49条第2項)を満たす必要があるため、母数と充足状況を数値で明示し、後日の登記添付書類としても耐えうる記載にすることが重要である。
A-2 招集手続の適法性を裏付ける条項 「本総会は、一般法人法第39条に基づき、会日の1週間前までに社員全員に対し招集通知を発したうえで開催された。」 解説:臨時総会は招集の要否・時期が定例と異なり争点化しやすいため、招集通知の発送日・方法を議事録に残すことで手続の適法性を担保できる。
B節 社員(議案提出・審議参加者)の立場から
B-1 社員による招集請求を経た場合の記載 「本総会は、一般法人法第37条に基づき、総社員の議決権の5分の1以上を有する社員【氏名等】からの招集請求により開催されたものである。」 解説:社員側が招集を主導した経緯がある場合、その根拠条文と請求者を明記しておくことで、招集の正当性を客観的に示すことができる。
B-2 定款変更の内容に条件を付す条項 「第1号議案について、社員【氏名】から、施行日を【 】年【 】月【 】日とする修正動議が提出され、原案にこれを加えたうえで採決した。」 解説:社員側から修正動議が出された場合、その内容と採決結果を記録しておくことで、定款変更の効力発生時期をめぐる争いを未然に防げる。
場面別バリエーション: 定款変更に伴う登記が必要な議案を含む場合 主たる事務所の所在地、目的、名称など登記事項に関する定款変更を決議した場合は、議事録に「本決議により変更された事項は、一般法人法第301条第2項の登記事項に該当するため、決議の日から2週間以内に変更の登記を申請する。」との一文を加え、登記期限の管理を明確にしておくことが望ましい。
場面別バリエーション: 全社員書面決議により臨時総会の開催を省略する場合 役員の選任のように緊急性が高いものの社員の招集が困難な場合は、一般法人法第58条に基づき、理事又は社員が提案した議案について社員全員が書面又は電磁的記録で同意したときに決議があったものとみなす方法を用いることができる。この場合、本文の「出席社員数」等の項目に代えて、「本議案につき、社員の全員(【 】名)が【 】年【 】月【 】日までに同意書を提出したため、一般法人法第58条第1項の規定により、臨時社員総会の決議があったものとみなす。」と記載し、同意書の写しを議事録に添付する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
議事録としての性質に関する解説 本書式は、定款変更や役員の解任・選任など、定時開催によらず必要に応じて招集される臨時社員総会の議事経過及び結果を記録する議事録である。決議事項の性質に応じて普通決議と特別決議が混在することが多く、両者の要件差を議事録上で区別して記載する点に定時総会議事録との違いがある。
使う場面・使ってはいけない場面に関する解説 定款変更、事業の全部譲渡、合併契約の承認、監事の解任など特別決議を要する議案(一般法人法第49条第2項各号)を扱う場合、及び役員の選任・解任など臨時に生じた議案を扱う場合に用いる。事業年度終了後の定例的な計算書類承認のみを目的とする総会には不向きであり、その場合は定時社員総会議事録の書式を用いるべきである。
根拠法令に関する解説 本書式は一般法人法第36条から第39条まで(招集手続)、第49条(社員総会の決議、特に第2項の特別決議要件)、第57条(議事録)、第63条(役員等の選任)、第70条(理事の解任)、第301条(設立の登記に関する規定を準用する変更登記の考え方)を踏まえて構成している。特別決議を要する事項は法定列挙されており、定款変更はその代表例である。
よくある失敗とその対策 第一に、特別決議事項を普通決議の要件のみで可決してしまい、後に決議取消しの争いとなる例がある。対策として、議案ごとに適用される決議要件を議事録上で明示し、充足状況を確認する記載を設けることが挙げられる。第二に、招集通知の発送日を記録せず、招集手続の瑕疵を指摘される例があり、対策として招集通知の発送日・方法を議事録に残すことが有効である。第三に、定款変更を決議したにもかかわらず変更登記の期限管理を怠る例があり、対策として議事録に登記期限に関する一文を加えることが望ましい。決議要件の適用範囲や登記期限の起算日については条文解釈が分かれる場合もあるため、個別事案は専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- 招集の理由及び議案が具体的に特定されているか
- 招集通知の発送日・方法が確認できる記載になっているか
- 各議案が普通決議・特別決議のいずれに該当するかを判別したか
- 特別決議議案について総社員の半数以上かつ議決権の3分の2以上の充足を確認したか
- 出席社員数・議決権数が正確に記載されているか
- 議長の選任根拠を記載したか
- 修正動議や反対意見があった場合にその経過を記録したか
- 定款変更を伴う議案について登記事項該当性と登記期限を確認したか
- 役員の解任・選任議案について解任理由や選任経緯を記載したか
- 出席理事・監事の記名押印欄に不足がないか
- 議事録の備置き(一般法人法第57条2項)体制が整っているか