大企業向けにSaaSを個別交渉で提供する際の書式。民法第548条の2の定型約款によらない交渉型条項と、個人情報保護法第27条の委託の位置付けを整理。

以下はAIが作成し弁護士監修前のβ版である。一般的な参考情報として無料公開しており、個別事案への適合性は保証しない。重要な取引に使用する際は専門家によるレビューを受けること。監修完了後に正式版へ差し替える。

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SaaS利用契約書(B2Bエンタープライズ)

第1部: 書式本文

第1条(目的) 乙(提供者)は、甲(利用者)に対し、【サービス名】(以下「本サービス」という。)を、本契約及び個別に合意する注文書(以下「注文書」という。)に定める条件で提供する。

第2条(契約構成) 本契約は、標準約款によらず甲乙間の個別交渉により締結するものとし、民法第548条の2以下の定型約款に関する規定は適用しない。本契約と注文書の内容が抵触する場合、注文書の定めを優先する。

第3条(利用範囲) 甲は、注文書に定めるユーザー数、利用部門及び利用目的の範囲内で本サービスを利用する。範囲を超える利用が判明した場合、乙は追加ライセンス料を請求することができる。

第4条(データの取扱い) 甲が本サービスに入力するデータ(以下「甲データ」という。)の所有権は甲に帰属する。乙は、甲データを本サービスの提供、保守及び甲が別途書面で同意した目的以外に利用してはならない。

第5条(委託関係の整理) 甲データに個人データが含まれる場合、乙による本サービスの提供は個人情報保護法第27条第5項第1号又は第2号に該当する委託又は共同利用のいずれに整理されるかを別紙で明確にし、乙は同法第25条の委託先としての義務に従う。

第6条(セキュリティ) 乙は、本サービスの提供にあたり、別紙セキュリティ基準に定める安全管理措置を講じる。甲は、セキュリティ監査(質問票への回答、第三者認証の提示等)を年【1】回まで請求できる。

第7条(可用性) 本サービスの稼働率、障害対応時間その他のサービスレベルは、別紙SLAに定めるとおりとする。

第8条(重要な変更の事前通知) 乙は、本サービスの主要機能の廃止又は本質的な仕様変更を行う場合、【〇日】前までに甲に通知する。甲は、当該変更により本サービスの利用継続が困難と判断する場合、通知後【〇日】以内に本契約を解約することができる。

第9条(料金及び支払条件) 利用料金は注文書に定めるとおりとし、甲は乙の発行する請求書に基づき【支払サイト】以内に支払う。

第10条(責任制限) 乙が本契約に関し甲に対して負う損害賠償責任の総額は、〔選択A: 損害原因となった事象が発生した月の直前12か月間に甲が支払った利用料金の総額/選択B: 金〇円〕を上限とする。ただし、乙の故意又は重過失による場合、及び甲データの漏えいに起因する損害についてはこの限りでない。

第11条(契約終了時のデータ返還) 契約終了時、乙は甲の請求に応じ、甲データを甲が指定する形式で返還し、返還完了後【〇日】以内にこれを消去する。

第12条(契約期間) 本契約の有効期間は注文書に定めるとおりとし、期間満了の【〇か月】前までにいずれの当事者からも解約の申出がない場合、同一条件で更新する。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 提供者向け

A-1. カスタム開発の別契約化

修正条文例:「甲の個別要望に基づくカスタム機能開発は、本契約の対象外とし、別途個別契約を締結する。」 一言解説: エンタープライズ交渉では個別カスタマイズの要望が生じやすいため、標準サービスとカスタム開発を契約上分離し、責任範囲の混同を防ぐ修正である。

A-2. 監査対応コストの手当て

修正条文例:「甲が求めるセキュリティ監査が第6条に定める年1回を超える場合、乙は合理的な範囲で実費を甲に請求できる。」 一言解説: 過度な監査要求による対応コストの増大を抑制する修正である。

B. 利用者向け

B-1. 責任制限の例外拡張

修正条文例:「第10条の責任制限は、乙の甲データの漏えい、消失若しくは毀損に起因する損害、又は乙の秘密保持義務違反に起因する損害には適用しない。」 一言解説: データ漏えいなど利用者にとって重大なリスクについて、責任制限の適用対象から除外する修正である。

B-2. 主要機能廃止時の移行支援義務

修正条文例:「乙は、第8条の主要機能廃止に伴い甲が解約する場合、解約日までの間、甲データの移行に必要な支援を無償で行う。」 一言解説: 一方的な仕様変更による解約時にも、データ移行の実務負担を提供者側に分担させる修正である。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、大企業顧客に対しSaaSを個別交渉ベースで提供する場面、すなわち標準利用規約(定型約款)をそのまま適用するのではなく、条項の修正やSLA・セキュリティ基準の個別合意を伴う契約締結の場面で用いる。中小規模の顧客に対して画一的な条件で提供する場合は、定型約款としての利用規約(民法第548条の2以下)を用いる方が管理コストの面で合理的であり、本書式は交渉力のあるエンタープライズ顧客向けの契約に適する。

根拠法令 民法第548条の2以下は、定型取引において画一的な内容が双方の利益に資する場合に「定型約款」としてみなし合意を認める制度を定めるが、個別交渉により条項を修正した契約は定型約款の規律の対象外となる(第2条)。個人データを取り扱うSaaSにおいては、提供者(乙)が利用者(甲)の指示に従いデータを処理する場合は個人情報保護法第27条第5項に基づく委託に該当し、同法第25条の委託先監督義務の対象となるが、提供者が独自の目的でデータを利用する場合は通常の第三者提供規制(同法第27条第1項)が適用されるため、データの利用目的に応じた整理が必要である。

実務でよくある失敗と対策 第一に、標準利用規約をベースに個別交渉で一部条項のみ修正した結果、修正部分と標準部分の整合性が取れず、定型約款としての性質を維持できているのか個別合意契約なのかが不明確になる失敗がある。第2条のように契約構成上の位置付けを明記することが対策となる。第二に、責任制限条項の上限額を一律に設定し、データ漏えいのような重大インシデントについても同じ上限が適用されてしまう失敗がある。B-1のように重大なリスク類型を例外として明記することが有効である。第三に、主要機能の廃止や仕様変更について事前通知の期間を定めず、利用者が業務移行の準備をする時間を確保できない失敗がある。第8条及びB-2のように通知期間と解約権、移行支援を組み合わせることが望ましい。

責任制限条項の有効性や委託・第三者提供の整理は個別の契約内容と取扱うデータの性質によって異なるため、専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 本契約と注文書、標準約款との優先関係を明確にしたか
  • [ ] 利用範囲(ユーザー数、部門、目的)を注文書で具体的に定めたか
  • [ ] 甲データの所有権及び利用目的の制限を明記したか
  • [ ] 個人データを取り扱う場合の委託・共同利用の整理(個人情報保護法第27条)を行ったか
  • [ ] セキュリティ基準及び監査の頻度・範囲を別紙で定めたか
  • [ ] SLA(稼働率、障害対応時間)を別紙で定めたか
  • [ ] 主要機能廃止時の事前通知期間及び解約権を定めたか
  • [ ] 責任制限の上限額及び適用除外事由(データ漏えい等)を定めたか
  • [ ] 契約終了時のデータ返還形式及び消去期限を定めたか
  • [ ] 契約期間及び更新条件を定めたか