商業施設の催事スペースに期間限定で出店する契約書。借地借家法第40条の一時使用目的の建物賃貸借を意識し、売上歩合と原状回復を取り決めます。

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催事出店契約書

第1部: 書式本文

催事出店契約書

施設運営者【施設運営者名称】(以下「甲」という。)と出店事業者【出店事業者名称】(以下「乙」という。)は、商業施設内の催事スペースへの期間限定出店に関し、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(出店場所及び目的) 1. 甲は乙に対し、下記施設内の催事スペース(以下「本スペース」という。)を、下記期間、乙の【取扱商品・業態】の販売のために使用させる。 - 施設名称・所在地: 【施設名称・所在地】 - 催事スペースの位置・面積: 【区画番号・面積】 2. 本契約は、借地借家法第40条に定める一時使用のための建物賃貸借に該当するものとして締結する。

第2条(出店期間) 1. 出店期間は、【始期】から【終期】までの【 】日間とする。 2. 出店期間は、甲乙双方の書面による合意がある場合を除き、自動更新しない。

第3条(賃料及び売上歩合) 1. 乙は甲に対し、次のいずれか高い額を月間賃料として支払う。 (1) 固定賃料 金【 】円 (2) 売上歩合賃料 当該期間中の本スペースにおける総売上高(消費税抜き)に【 】%を乗じた額 2. 乙は、毎月【 】日までに前月分の日別売上報告書(レジ精算記録の写しを含む。)を甲に提出する。 3. 甲は、乙の帳簿・POSデータその他売上関係資料を閲覧し、必要に応じて説明を求めることができる。

第4条(共益費) 乙は甲に対し、共益費として月額金【 】円(消費税別)を賃料と併せて支払う。

第5条(什器・内装) 1. 乙は、自己の費用で商品陳列什器を持ち込み、又は甲が提供する什器を使用することができる。 2. 乙が内装・什器の変更を行う場合は、事前に甲の承認を得なければならない。

第6条(施設利用に関する遵守事項) 乙は、施設の営業時間、館内規則、防災規則及び甲の指示する陳列・接客に関するルールを遵守する。

第7条(原状回復) 1. 乙は、出店期間満了時又は本契約終了時、自己の費用で本スペースを持込み前の状態に原状回復して甲に明け渡す。 2. 乙が原状回復を怠ったときは、甲は乙の費用負担でこれを行い、要した費用を乙に請求することができる。

第8条(中途解約) 甲又は乙は、相手方に対し【 】日前に書面で予告することにより、出店期間中であっても本契約を解約することができる。

第9条(即時解除) 甲は、乙が売上報告を怠り、又は賃料の支払を【 】回連続して遅滞したときは、催告を要せず本契約を解除することができる。

第10条(損害賠償) 乙が本スペース又は施設内の設備を毀損したときは、乙はその損害を賠償する。

第11条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自己及び関係者が反社会的勢力に該当しないことを表明し、該当する場合は相手方は無催告で解除できる。

第12条(協議事項) 本契約に定めのない事項は、甲乙誠実に協議して定める。

以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。

【締結日】

甲: 【住所】 【名称】 印 乙: 【住所】 【名称】 印

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 施設運営者向け

A-1 修正後: 第3条第1項に「甲が指定するPOSレジシステムの使用を義務付け、売上データをリアルタイムで甲のシステムに連携させるものとする。」を追加する。 一言解説: 施設側にとって売上歩合の正確な把握は収益管理の核心であるため、レジシステムの指定・連携義務を明記し、乙の自己申告のみに依拠しない仕組みを設けることが望ましい。

A-2 追加条文例: 「甲は、本スペースにおける乙の営業内容が施設全体のブランドイメージを損なうと合理的に判断した場合、乙に対し陳列・販売方法の是正を求めることができ、乙が従わないときは本契約を解除できる。」 一言解説: 複数のテナント・催事出店者を抱える施設運営者は、個々の出店者の営業態様が施設全体の評価に影響するため、是正指導と解除の権限を明確にしておく必要がある。

B. 出店事業者向け

B-1 修正後: 第3条第1項の売上歩合率について、「催事開始当初1か月間は歩合率を【 】%とし、以降は月間売上実績に応じて甲乙協議のうえ見直すことができる。」とする変動制の条項に差し替える。 一言解説: 出店事業者にとっては初期集客が読みにくいため、固定歩合率のみとせず、実績連動で見直せる余地を残すことで過大な固定負担を避けられる。

B-2 運用上の留意点: 第7条の原状回復範囲について、持込什器の撤去のみか、床・壁面の補修まで含むかを事前に甲との間で写真・図面により確認し、契約書別紙に添付する。 一言解説: 出店事業者は退去時の原状回復費用をめぐる紛争を避けるため、入店時の状態を記録化しておくことが実務上重要である。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

本書式は、百貨店・ショッピングセンター等の商業施設が保有する催事スペースを、数日から数か月程度の期間、外部の出店事業者に使用させる場面で使用する。恒常的なテナント出店(通常の建物賃貸借)を想定した契約書式ではなく、期間・目的が明確に限定された一時的な利用にのみ使用すべきであり、実質的に長期にわたり反復更新する運用には適さない。

根拠法令は借地借家法第40条である。同条は、建物の賃貸借で一時使用のために設定されたことが明らかなものについては、借地借家法上の存続期間、更新拒絶の正当事由、造作買取請求権等の借主保護規定を適用しない旨を定める。もっとも、契約書に「一時使用」と記載するのみでは足りず、出店期間の長短、更新の予定、賃料の定め方等の実態を踏まえて一時使用性が判断される点に留意が必要である。売上歩合賃料の定め方自体は民法上の賃貸借契約の枠内で当事者が自由に設計できる事項であり、固定賃料と歩合賃料のいずれか高い額とする方式(第3条)は小売業の催事出店で広く用いられる。

実務でよくある失敗の一つ目は、売上報告の正確性を検証する手段を定めず、乙の自己申告のみに依拠した結果、歩合賃料の過少申告をめぐって紛争化することである。第3条のようにPOSデータの提出義務や甲による帳簿閲覧権を定めておくべきである。

二つ目の失敗は、原状回復の範囲(什器撤去のみか、床・壁面補修まで含むか)を明確にしないまま契約し、退去時に追加費用の負担をめぐって対立することである。入店時の写真記録と原状回復範囲の事前合意が有効な対策となる。

三つ目の失敗は、出店期間が反復更新され実質的に長期テナント化しているにもかかわらず、一時使用目的の賃貸借であることを前提とした簡易な契約内容のまま運用を続け、後に借地借家法の通常の保護規定の適用を主張されるリスクを見落とすことである。更新の都度、出店期間や目的の一時性を再確認する運用が求められる。

一時使用該当性の判断や売上歩合の設計は施設の業態・慣行により異なるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 出店期間の始期・終期及び更新をしない旨を明記したか
  • [ ] 借地借家法第40条の一時使用目的である旨とその実質的根拠(期間・目的の限定性)を確認したか
  • [ ] 固定賃料と売上歩合賃料の算定方法・比較方式を明確にしたか
  • [ ] 売上報告の頻度・方法とPOSデータ等の裏付け資料の提出義務を定めたか
  • [ ] 甲による帳簿・売上データの閲覧権を定めたか
  • [ ] 共益費の負担額と対象範囲を明記したか
  • [ ] 什器・内装の持込み及び変更に関する承認手続を定めたか
  • [ ] 原状回復の範囲(什器撤去か内装補修まで含むか)を具体的に定め、入店時の状態を記録したか
  • [ ] 賃料滞納・売上報告懈怠時の即時解除条項を定めたか
  • [ ] 反社会的勢力排除条項を含めたか