建設現場から生じるがれき類等の収集運搬や処分を業者へ委託する際の契約書。廃棄物処理法の二者契約義務とマニフェスト交付、建設リサイクル法の分別解体に対応する。
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産業廃棄物処理委託契約書
第1部: 書式本文
産業廃棄物処理委託契約書
【排出事業者名】(以下「甲」という。)と【収集運搬業者又は処分業者名】(以下「乙」という。)は、甲の建設工事現場から生じる産業廃棄物(以下「本廃棄物」という。)の処理委託に関し、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(委託業務の内容) 甲は乙に対し、別紙「委託内容明細書」記載の種類・数量の産業廃棄物について、【収集運搬・積替保管・中間処分・最終処分】業務(以下「本業務」という。)を委託し、乙はこれを受託する。
第2条(許可の確認) 乙は、本業務の実施に必要な産業廃棄物収集運搬業許可又は産業廃棄物処分業許可を有していることを証する許可証の写しを甲に提出する。許可の内容(許可品目・許可有効期間・事業の範囲)が本業務の内容と合致していることを甲乙双方が確認する。
第3条(委託契約の分離) 本廃棄物の収集運搬と処分を異なる事業者に委託する場合、甲は収集運搬業者及び処分業者のそれぞれと個別に二者間契約を締結する。乙が収集運搬のみを受託する場合、乙は処分業者との契約関係を持たないものとし、処分業務について甲が別途処分業者と契約する。
第4条(委託料金) 本業務の委託料金は別紙「委託内容明細書」のとおりとし、甲は乙に対し【月末締め翌月末払い】等の方法により支払う。
第5条(産業廃棄物管理票(マニフェスト)の運用) 甲は、本廃棄物の引渡しに際し産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付し、乙は各工程終了後、法定期限内に該当する票を甲に返送する。甲は最終の処分終了を確認する票(E票等)の未返送が生じた場合、乙に対し状況の報告を求める。
第6条(再委託の禁止) 乙は、甲の書面による事前の承諾がある場合を除き、本業務の全部又は一部を第三者に再委託してはならない。承諾を得て再委託する場合であっても、乙は本契約上の責任を免れない。
第7条(処理困難通知への対応) 乙は、天災その他の事由により委託された産業廃棄物の処理を継続することが困難となった場合、遅滞なくその旨を甲に書面で通知する。
第8条(分別解体等への協力) 本廃棄物が建設工事に伴う解体工事等から生じるものである場合、甲は分別解体の実施状況を乙に情報提供し、乙は品目ごとの分別状態に応じた適正な処理を行う。
第9条(実地確認) 甲は、乙の処理施設について、契約締結時及び契約期間中に必要に応じて実地確認を行うことができる。乙はこれに協力する。
第10条(契約期間) 本契約の有効期間は【契約締結日】から【1年間】とし、期間満了の1か月前までにいずれの当事者からも異議のない場合、同一条件で1年間更新するものとする。
第11条(損害賠償) 甲又は乙が本契約に違反し相手方に損害を与えた場合、当該違反当事者は相手方に生じた損害を賠償する。
第12条(解除) 甲又は乙は、相手方が本契約に違反し、相当期間を定めた催告後も是正されない場合、本契約を解除できる。乙の許可取消し等、本業務の継続が不可能となる事由が生じた場合、甲は催告を要さず本契約を解除できる。
第13条(協議) 本契約に定めのない事項及び疑義が生じた事項については、甲乙誠実に協議のうえ解決する。
以上を証するため本契約書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する。
【締結日】 甲(排出事業者)【住所・氏名・印】 乙(処理業者)【住所・氏名・印】
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 排出事業者(元請)側が有利になる修正例
A-1. マニフェスト未返送時の是正措置請求権 「乙が法定期限内にマニフェスト該当票を返送しない場合、甲は乙に対し是正措置を求めることができ、乙は甲の求めに応じ処理状況を報告する義務を負う。」 一言解説: 排出事業者はマニフェストの交付・保存義務を負う立場であるため、返送遅延を早期に把握できる仕組みを条項化する。
A-2. 許可証の有効期間管理義務の明記 「乙は、許可証の有効期間満了前に更新手続を行い、更新後の許可証の写しを速やかに甲に提出する。」 一言解説: 許可切れのまま業務を継続させないよう、乙側に更新管理義務を課す。
A-3. 立入検査への同行権 「甲は、事前通知のうえ乙の処理施設に立ち入り、処理状況を確認することができる。」 一言解説: 排出事業者は委託後の処理状況にも一定の注意義務を負うとされるため、確認の実効性を高める。
B. 収集運搬・処分業者側が有利になる修正例
B-1. 受入基準からの逸脱時の追加費用 「引き渡された産業廃棄物が別紙記載の性状・混入禁止物の基準に適合しない場合、乙は選別・追加処理に要する費用を甲に請求できる。」 一言解説: 分別が不十分な廃棄物の受入れリスクを費用転嫁できるようにする。
B-2. 数量超過時の受入拒否 「乙は、別紙記載の数量を著しく超える引渡しの申出があった場合、処理能力の範囲内で受入れを調整し、又は受入れを拒否できる。」 一言解説: 処理施設のキャパシティを超える委託を防ぎ、適正処理を確保する。
B-3. 委託料金の改定条項 「処分費用の基礎となる中間処分場・最終処分場の受入単価に変動が生じた場合、乙は甲に対し委託料金の改定を協議のうえ請求できる。」 一言解説: 処分先の受入価格変動リスクを一方的に負わない仕組みとする。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面 建設現場から生じるがれき類、木くず、金属くず、廃プラスチック類等の産業廃棄物について、排出事業者である元請業者が収集運搬業者又は処分業者に処理を委託する場面で用いる。新規委託先との契約締結時のほか、既存委託先との契約更新時にも許可内容の確認を兼ねて使用できる。
使ってはいけない場面 収集運搬と処分を一体で行う許可(積替保管を含む収集運搬業許可等)を有していない事業者に対し、収集運搬と処分をまとめて一本の契約で委託する運用は、廃棄物処理法上の委託基準に抵触するおそれがあるため避けるべきである。個別の許可内容を必ず確認したうえで契約形態を選択する必要がある。
根拠法令 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)第12条の3は、事業者が産業廃棄物の処理を他人に委託する場合の委託基準を定めており、委託契約は書面により行い、法定の記載事項を満たす必要があるとされている。また同法に基づく産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度は、排出事業者が廃棄物の流れを最終処分まで把握するための仕組みであり、交付・保存義務や虚偽記載・不交付に対する規制が定められている。建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)は、一定規模以上の解体工事等について分別解体及び再資源化等を義務付けており、本契約と併せて建設現場での分別状況を踏まえた処理委託が求められる。
実務でよくある失敗と対策 第一に、収集運搬業者と処分業者を区別せず、一つの契約書でまとめて処理を委託してしまう(いわゆる混合契約)ケースがある。第3条のように収集運搬と処分を別々の二者間契約とすることを明記し、実際の契約書も分けて締結することが必要である。第二に、乙の許可証の有効期間や許可品目を確認しないまま委託を継続し、期限切れの状態で処理が行われていたことが後日判明するケースがある。第2条の許可確認と、A-2のような更新管理条項が対策になる。第三に、マニフェストの返送状況を確認せず、最終処分の完了が確認できないまま放置されるケースがある。第5条のような返送確認の仕組みを運用面でも徹底する必要がある。委託基準違反や許可の該非判断は個別の廃棄物の性状や自治体の運用により異なるため、専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 委託先が委託する業務内容に対応した許可(収集運搬業・処分業)を有しているか確認したか
- [ ] 許可品目が委託する産業廃棄物の種類と一致しているか確認したか
- [ ] 許可の有効期間内であることを確認したか
- [ ] 収集運搬業者と処分業者を区別し、それぞれと個別に契約を締結しているか
- [ ] 委託契約書に廃棄物処理法上の法定記載事項(委託する産業廃棄物の種類・数量、運搬の最終目的地、処分場所等)を記載しているか
- [ ] マニフェストの交付・返送確認の運用方法を定めているか
- [ ] 再委託の可否及び承諾手続を明記しているか
- [ ] 委託料金及び処理困難時の対応(処理困難通知)を定めているか
- [ ] 建設リサイクル法上の分別解体の実施状況を委託先に情報提供する仕組みがあるか
- [ ] 実地確認・立入りに関する規定を設けているか