廃棄物処理法第12条に基づき収集運搬を委託する契約書です。許可の範囲、積替保管の有無、マニフェストの運用、再委託の禁止を定めます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
産業廃棄物収集運搬委託契約書
第1部: 書式本文
【排出事業者名】(以下「甲」という)と【収集運搬業者名】(以下「乙」という)は、産業廃棄物の収集運搬業務の委託に関し、次のとおり契約(以下「本契約」という)を締結する。
第1条(目的) 甲は、甲の事業活動に伴い排出される産業廃棄物の収集運搬業務を乙に委託し、乙はこれを受託する。
第2条(委託業務の内容) 1. 委託する産業廃棄物の種類は【品目】(廃棄物処理法施行令別表第一に定める区分による)とする。 2. 数量は月間概算【数量】とし、実際の排出量に応じて甲乙協議のうえ変動を認める。 3. 積込場所は【積込場所住所】、荷卸場所(処分先)は【荷卸場所住所・処分業者名】とする。
第3条(許可の確認) 1. 乙は、産業廃棄物収集運搬業許可(許可番号【許可番号】、有効期間【年月日】〜【年月日】)を有していることを表明し、甲に許可証の写しを提出する。 2. 乙は、許可の内容が更新・変更された場合、遅滞なく甲に書面で通知する。 3. 乙の許可が失効し、または取り消された場合、本契約は当該事由発生時点で自動的に終了する。
第4条(再委託の禁止) 乙は、廃棄物処理法第14条第16項ただし書に定める場合を除き、本業務の全部または一部を第三者に再委託してはならない。再委託を行う場合は、事前に甲の書面による承諾を得るものとする。
第5条(積替え保管の取扱い) 乙が積替え又は保管を行う場合、その場所・面積・保管上限を別紙に明示し、施行規則第8条の4の3に定める基準を遵守する。積替え保管を行わない場合はその旨を明記する。
第6条(運搬の方法) 1. 乙は、産業廃棄物の飛散・流出、悪臭の発散を防止できる運搬車両・容器を用いる。 2. 運搬車両には廃棄物処理法施行規則に定める表示及び書面を備え付ける。
第7条(産業廃棄物管理票の運用) 1. 甲は、乙への引渡しの都度、廃棄物処理法第12条の3に基づく産業廃棄物管理票(紙マニフェストまたは電子マニフェスト)を交付する。 2. 乙は、運搬終了後、管理票の写し(B2票)を法定期日内に甲に返送する。 3. 電子マニフェストを利用する場合は、乙は情報処理センターへの報告を遅滞なく行う。
第8条(委託料金) 本業務の委託料金は【数量】あたり金【金額】円(消費税別)とし、甲は乙に対し毎月末締め翌月末払いで支払う。
第9条(契約期間) 本契約の有効期間は【年月日】から【年月日】までとする。期間満了の1か月前までに甲乙いずれからも書面による終了の申出がない場合、同一条件で1年間自動更新する。
第10条(契約内容の変更) 品目、数量、料金その他の変更は、甲乙協議のうえ書面により合意した場合に限り効力を生じる。
第11条(損害賠償) 乙の運搬業務に起因して甲または第三者に損害が生じた場合、乙はその損害を賠償する。ただし甲の指示に起因する場合はこの限りでない。
第12条(契約の解除) 甲または乙は、相手方が本契約に違反し、催告後相当期間内に是正しないときは、本契約を解除できる。乙の許可取消し、業務停止処分を受けたときも同様とする。
第13条(秘密保持) 甲及び乙は、本契約遂行上知り得た相手方の業務上の秘密を、相手方の承諾なく第三者に漏らしてはならない。
第14条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自己又は自己の役員が暴力団等反社会的勢力に該当しないことを表明し、該当が判明した場合は相手方は無催告で解除できる。
第15条(協議事項) 本契約に定めのない事項及び疑義が生じた事項については、甲乙誠意をもって協議し解決する。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 排出事業者(甲)の立場
排出事業者は廃棄物処理法上の排出事業者責任(同法第3条第1項、第12条第7項の措置命令リスクを含む)を負うため、乙の許可範囲の逸脱や再委託を早期に把握できる条項を強化すべきである。
Before:「乙は許可証の写しを甲に提出する。」 After:「乙は、許可証の写し及び直近の変更届出書控えを契約締結時に提出するほか、許可内容に変更が生じた場合は変更の生じた日から【10】日以内に甲へ書面で通知するものとし、甲は乙の許可情報を年1回以上照会・確認できるものとする。」 一言解説: 提出時点の許可確認だけでは更新漏れや取消しを見逃す危険があるため、定期照会権を明記し排出事業者の善管注意義務を裏付ける。
Before:「乙は再委託してはならない。」 After:「乙は、廃棄物処理法第14条第16項ただし書の要件を満たす場合であっても、再委託先の商号、許可番号及び再委託の理由を事前に甲へ書面で通知し、甲の承諾を得た場合に限り再委託できるものとする。無承諾の再委託が判明した場合、甲は催告なく本契約を解除できる。」 一言解説: 例外的再委託の要件充足を乙任せにせず、甲の事前承諾権を設けることで委託基準違反(同法第25条)への連座リスクを下げる。
B節: 収集運搬業者(乙)の立場
収集運搬業者としては、甲の指示や排出情報の不備に起因するトラブルの責任を過度に負わないよう、情報提供義務と免責範囲を明確化する条項が有利である。
Before:「乙の運搬業務に起因して損害が生じた場合、乙はその損害を賠償する。」 After:「乙の故意又は過失による運搬業務の遂行に起因して甲又は第三者に損害が生じた場合、乙はその損害を賠償する。ただし、甲から提供された品目・性状等の情報の誤り若しくは不足、又は甲の指示に起因する損害についてはこの限りでない。」 一言解説: 排出事業者側の情報提供不備によるリスクまで運搬業者が負う表現を避け、責任範囲を行為態様(故意・過失)と原因(情報起因)で切り分ける。
Before:「数量は月間概算とし、実際の排出量に応じて変動を認める。」 After:「甲は、月間予定数量から【20】パーセントを超えて増減させる場合、事前に乙へ通知するものとし、車両・人員の手配が困難な急な増量については乙は受託を留保できるものとする。」 一言解説: 急な排出量変動によって収集運搬能力を超える受託を強いられる事態を防ぎ、乙の履行可能性を確保する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、排出事業者が産業廃棄物の収集運搬のみを外部委託する場合に使用する。処分まで一括して委託する場合は、収集運搬と処分を別契約とするか、それぞれの受託者の許可範囲に対応した契約書を別途締結する必要がある点に注意する(廃棄物処理法第12条第5項、第6項)。収集運搬業許可のみを有する業者に処分行為まで委託する内容とすることはできない。
根拠法令としては、廃棄物処理法第12条第5項・第6項(委託基準)、同法施行令第6条の2、施行規則第8条の4の3(委託契約書の法定記載事項)が中心となる。無許可業者への委託や委託基準違反は同法第25条により刑事罰の対象となり得るため、契約書の記載事項の充足は形式面でも重要である。
よくある失敗として、第一に許可証の確認を契約締結時のみで済ませ、契約期間中の許可失効・取消しに気付かないケースがある。対策として、本書式第3条のように定期照会権及び通知義務を明記する。第二に、委託する産業廃棄物の品目を許可証の品目区分と突き合わせずに記載し、許可外品目の委託となってしまうケースがある。対策として、別紙に許可証記載の品目区分番号を引用して品目を特定する運用が望ましい。第三に、再委託の例外要件(施行令第6条の12等)を満たさない再委託が黙認されるケースがあり、対策として第4条のように事前承諾及び通知を契約上の義務として明記することが有効である。
なお、委託契約の有効性や個別の許可区分の該当性については解釈が分かれる場合もあるため、個別の事案については弁護士・行政書士等の専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 乙の産業廃棄物収集運搬業許可証の写しを確認し、許可番号・有効期間・取扱品目を契約書と照合したか
- [ ] 委託する品目が許可証記載の区分と一致しているか
- [ ] 積替え保管の有無を明記し、行う場合は場所・面積・保管上限を記載したか
- [ ] マニフェスト(紙又は電子)の運用方法及び返送期限を定めたか
- [ ] 再委託禁止条項及び例外時の手続を明記したか
- [ ] 委託料金の算定方法及び支払条件を明記したか
- [ ] 契約期間及び更新条件を明記したか
- [ ] 損害賠償の範囲及び免責事由を明記したか
- [ ] 反社会的勢力排除条項を含めたか
- [ ] 施行規則第8条の4の3が求める法定記載事項をすべて満たしているか