複数社が共同で映像作品を製作する委員会の運営規約です。権利の共有、窓口権、追加出資、脱退と解散の手続を定めます。必要事項を埋めるだけで短時間に整えられる書式です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
製作委員会規約
第1部: 書式本文
【幹事会社名】(以下「甲」という)を幹事会社とし、【構成員会社名一覧】(甲を含め、以下総称して「委員会構成員」という)は、映像作品「【作品名】」(以下「本作品」という)の共同製作及び利用を目的として、次のとおり製作委員会規約(以下「本規約」という)を定める。
第1条(組合の名称及び目的) 委員会構成員は、本作品の企画、製作、宣伝、利用及びこれに付随する事業(以下「本事業」という)を共同で行うため、「【製作委員会名称】」(以下「本委員会」という)を組成する。本委員会は民法第667条以下に定める組合契約としての性質を有する。
第2条(出資及び持分割合) 1. 各委員会構成員の出資額及び出資比率(以下「持分割合」という)は、別紙【出資一覧表】のとおりとする。 2. 出資は、金銭出資のほか、現物出資(制作素材の提供、配給・宣伝役務の提供等)を含むことができ、その評価額は委員会構成員全員の合意により定める。
第3条(幹事会社の地位及び窓口権) 1. 甲は本委員会の幹事会社として、対外的な窓口業務(第三者との利用許諾契約締結、契約管理、収支管理等)を行う。 2. 甲は、窓口権の行使にあたり、本規約に定める重要事項を除き、構成員の日常的な個別同意を要しない。 3. 甲は、窓口業務の遂行状況を構成員に対し【報告頻度(例:四半期ごと)】に報告する。
第4条(著作権の共有) 1. 本作品の著作権は、委員会構成員が持分割合に応じて共有する。 2. 共有著作権の行使は、著作権法第65条の定めに従い共有者全員の合意によることを原則とする。ただし本規約に定める範囲内で甲が行う通常の利用許諾業務については、あらかじめ構成員が包括的に同意したものとして処理する。 3. 各構成員は、正当な理由なく著作権の共有物分割請求又は利用許諾への合意を拒むことができない。
第5条(意思決定機関及び決議方法) 1. 本委員会の重要事項(製作費の大幅な増額、公開時期の変更、主要な利用許諾契約の締結・解除、本規約の変更等)は、構成員による幹事会(以下「幹事会」という)の決議による。 2. 幹事会の決議は、原則として持分割合の【決議要件(例:過半数、3分の2以上)】の賛成をもって行う。 3. 前項以外の窓口業務に付随する軽微な事項は、甲の裁量により処理できる。
第6条(収益の分配) 1. 本事業から生じる収益は、必要経費及び控除費用を控除した後、各委員会構成員の持分割合に応じて分配する。 2. 分配の時期及び方法は【分配頻度(例:半期ごと)】とし、甲が収支報告書を作成のうえ各構成員に分配する。
第7条(追加出資) 1. 製作費の不足等により追加出資が必要となった場合、甲は構成員に対しその理由及び金額を通知し、追加出資の可否を確認する。 2. 追加出資に応じない構成員が生じた場合、不足分は追加出資に応じる構成員の増資により賄うものとし、持分割合は出資額の変動に応じて再計算する。 3. 持分割合の再計算方法は【再計算方法(例:出資総額に対する各出資額の比率)】による。
第8条(脱退) 1. 委員会構成員は、やむを得ない事由がある場合、他の構成員の同意を得て本委員会から脱退することができる。 2. 脱退する構成員の持分の取扱い(他の構成員による買取り、清算等)は、脱退時点における構成員全員の協議により定める。 3. 脱退した構成員は、脱退時までに生じた本委員会の債務について、脱退前の持分割合に応じた責任を免れない。
第9条(解散及び清算) 1. 本委員会は、本作品の製作及び主要な利用が完了し全構成員が合意したとき、又は幹事会の決議によるときに解散する。 2. 解散後の清算は甲が清算事務を行い、残余財産は各構成員の持分割合に応じて分配する。
第10条(組合財産の共有) 本委員会の事業のために取得した財産(本作品の原版、著作権その他の権利を含む)は、民法第668条の定めに従い構成員の共有(合有的な性質を有する組合財産)とする。
第11条(秘密保持) 構成員は、本事業の遂行を通じて知り得た他の構成員又は本委員会の未公開情報を、正当な理由なく第三者に開示してはならない。
第12条(反社会的勢力の排除) 構成員は、自己が反社会的勢力に該当せず、将来にわたっても該当しないことを表明し、保証する。
第13条(合意管轄) 本規約に関する紛争については、【管轄裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
本規約締結の証として、委員会構成員は本書を各自記名押印のうえ各1通を保有する。
締結日: 【締結日】
幹事会社(甲) 住所: 名称: 代表者: 印
委員会構成員 住所: 名称: 代表者: 印 (構成員の数に応じて欄を追加)
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 幹事会社側から見た有利な書き換え
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窓口権の範囲拡大 「甲は、利用許諾契約の締結・変更・解除、侵害対応その他の対外的業務を、個別の事前同意を要せず単独で行うことができる。ただし契約金額が【一定額】を超える場合は幹事会に事後報告する。」 一言解説: 対外交渉のスピードを確保する条項。著作権法第65条の共有著作権行使原則(全員合意)との整合を欠くと異議が出やすいため、事後報告とセットにするのが実務的である。
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追加出資不履行時の持分希薄化ルール 「追加出資に応じない構成員の持分割合は、応じた構成員の出資額増加分に応じて自動的に低下するものとし、当該構成員はこれに異議を述べない。」 一言解説: 資金調達の実効性を確保する希薄化条項。力関係の変化を招くため、あらかじめ全構成員の合意を明文で取得しておくことが望ましい。
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幹事会決議要件の引き下げ 「重要事項の決議は、持分割合の過半数の賛成をもって行うことができ、全員一致を要しない。」 一言解説: 意思決定の停滞を避ける緩和だが、少数持分の意向が反映されにくくなるため、拒否権事項を別途限定列挙する等の配慮が望ましい。
B節: 委員会構成員側から見た有利な書き換え
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重要事項への拒否権確保 「持分割合【10%】以上を有する構成員は、主要キャスト・監督の変更及び製作費総額の大幅な増額について単独で異議を述べることができ、当該構成員の同意なく決定することができない。」 一言解説: 小規模持分であっても重要な意思決定から排除されないよう確保する、構成員側の防御条項である。
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幹事会社の窓口業務への監督権強化 「甲は、契約金額が【一定額】を超える利用許諾契約を締結する際は、事前に構成員に内容を開示し、【7日】以内に異議がない場合に限り締結できる。」 一言解説: 窓口権行使の透明性を高め、幹事会社の独走を防ぐ事前開示・異議申立て手続である。
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脱退時の持分買取請求権の明確化 「構成員は、やむを得ない事由により脱退する場合、他の構成員に対し出資額を基準とした公正な評価額での持分買取りを請求できる。」 一言解説: 脱退時の清算交渉の長期化を防ぎ、投下資本の回収可能性を確保する条項である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
解説: 使用場面と適用範囲
本書式は、複数の企業(放送局、配給会社、広告代理店、出版社等)が共同で映像作品を製作し、著作権その他の権利を共有しながら利益を分配する「製作委員会方式」の運営ルールを定める場面での使用を想定している。単独の出資者と製作幹事会社との出資関係のみを整理する場合は、製作委員会規約ではなく別途の出資契約書(関連書式を参照)が適する。構成員が2社のみで対等な共同事業体を組成する場合等は、規模に応じ幹事会決議要件等を簡略化した設計が実務上採られることもある。
解説: 根拠法令の説明
製作委員会は法律上の明文の制度ではなく、実務上、民法第667条以下の組合契約(任意組合)としての性質を持たせて組成されるのが一般的である。組合財産は民法第668条により組合員の共有(合有的性質)に属し、本規約の「組合財産の共有」条項はこの規律を踏まえる。また著作権法第65条は共有著作権の行使に共有者全員の合意を要する旨を定めており、日常的な利用許諾のたびに全員合意を得る負担を軽減するため、幹事会社への窓口権限の委任(包括的同意)という形で運用される例が多い。なお匿名組合(商法第535条以下)は出資者が事業財産を共有せず経営に関与しない点で任意組合と異なり、構成員が幹事会決議に関与する本規約とは法的性質が異なる。
解説: よくある失敗と対策
第一に、窓口権限の委任範囲を曖昧にしたまま運営し、著作権法第65条が求める共有者全員の合意を欠く利用許諾が行われ、後日効力が争われる失敗がある。第3条・第4条のように包括的同意の範囲と幹事会決議事項を条文上切り分けることが対策になる。第二に、追加出資のルールがなく、資金拠出に応じる構成員と応じない構成員の間で発言力をめぐる紛争が生じる例がある。第7条のように追加出資の手続と持分再計算方法をあらかじめ規約化することが有効である。第三に、脱退時の持分の取扱いを定めず、清算方法が決まらず利用に支障が出る失敗がある。第8条のように脱退時の協議事項と債務負担の帰趨を明記することが望ましい。組合契約としての法的性質や共有著作権の行使方法の解釈は事案により異なるため、個別の事案については弁護士等の専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 構成員の名称、出資額、持分割合が別紙で明記されているか
- [ ] 幹事会社の窓口権の範囲(単独で行える業務と幹事会決議事項)が区分されているか
- [ ] 著作権の共有割合と行使方法(包括的同意の範囲)が定められているか
- [ ] 幹事会の決議要件(全員一致か多数決か)が明記されているか
- [ ] 収益分配の頻度と持分割合に応じた計算方法が定められているか
- [ ] 追加出資時の手続と持分再計算方法が定められているか
- [ ] 追加出資に応じない構成員の持分希薄化ルールの有無を確認したか
- [ ] 脱退時の手続、持分の取扱い、債務負担の帰趨が定められているか
- [ ] 解散・清算時の残余財産分配方法が定められているか
- [ ] 秘密保持義務と反社会的勢力排除条項が含まれているか
- [ ] 組合契約としての性質と匿名組合との違いを社内で理解しているか