セット内容

  • SES契約書 2バージョン(発注側・客先/SES事業者側)Word形式
  • 偽装請負を避けるための指揮命令系統チェックリスト
  • 精算幅(清算単価・時間)の取り決め例

こんな場面で

システム開発現場に技術者を常駐させ、準委任契約の形式で稼働させる取引を書面化したい場面。

特長

  • 指揮命令権がSES事業者側に留保されることを明確化し、労働者派遣との混同を回避
  • 清算幅・精算単価・稼働時間の報告方法をあらかじめ規定
  • 業務委託契約書(準委任型)(gyomu-itaku-junin)の技術者常駐特化版として利用可能
以下はAIが作成し弁護士監修前のβ版である。一般的な参考情報として無料公開しており、個別事案への適合性は保証しない。重要な取引に使用する際は専門家によるレビューを受けること。監修完了後に正式版へ差し替える。

SES契約書(準委任・技術者常駐型)標準版(監修用ドラフト)

⚠ 本ファイルは弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布を禁止する。

商品ID: ses-keiyaku / 価格: 2,980円 / 立場バージョン: 発注側(客先)有利・SES事業者側有利

本ドラフトは第2部で2バージョンの差分を提示する構成とし、第1部には中立〜標準版をベース条文として掲載する。本契約は準委任契約(民法656条において準用される委任の規定に服する契約)として構成し、労働者派遣法上の労働者派遣に該当しないよう、指揮命令権がSES事業者側(乙)に留保される点を随所で明確化している。


第1部: 契約書本文(標準版・中立)

業務委託契約書(SES・技術者常駐型)

〇〇〇〇(以下「甲」という。)と〇〇〇〇(以下「乙」という。)とは、乙が甲に対しシステム開発等に係る技術者を派遣類似の形態ではなく準委任の形式で常駐させ、業務を提供することに関し、以下のとおり業務委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的)

本契約は、乙が乙の指揮命令の下にある技術者(以下「本件技術者」という。)を甲の指定する場所に常駐させ、甲の委託する業務を準委任の方式により遂行することに関し、甲乙間の権利義務関係を定めることを目的とする。

第2条(業務内容)

  1. 乙が甲から委託を受ける業務(以下「本業務」という。)の内容は、個別契約(第3条に定める。)において別途定める。
  2. 本業務は、システムの設計、開発、テスト、保守その他これらに準ずる技術的役務の提供とし、具体的な作業項目は個別契約添付の業務仕様書に記載する。
  3. 本契約は準委任契約であり、乙は本業務の遂行を約するものであって、特定の仕事の完成を約するものではない。

第3条(個別契約)

  1. 甲及び乙は、本業務の実施にあたり、業務期間、業務従事場所、本件技術者の人数・スキル要件、精算単価、清算幅、その他必要事項を定めた個別契約(注文書及び注文請書の取り交わし又はこれに準ずる書面による合意をいう。以下同じ。)を締結する。
  2. 本契約と個別契約の内容が抵触する場合、個別の取引に関する定めについては個別契約の規定を優先して適用する。ただし、指揮命令権の所在(第6条)及び偽装請負防止に関する規定については、個別契約によっても変更できないものとする。

第4条(契約期間)

  1. 本契約の有効期間は、本契約締結日から1年間とする。ただし、期間満了の1か月前までに甲乙いずれからも書面による別段の意思表示がない場合、本契約は同一条件でさらに1年間自動的に更新されるものとし、以後も同様とする。
  2. 個別契約の期間は、当該個別契約において別途定める。

第5条(業務従事場所)

  1. 本件技術者が本業務に従事する場所は、個別契約において定める場所(以下「就業場所」という。)とする。
  2. 甲は、就業場所において、本件技術者が業務を遂行するために必要な設備(作業スペース、什器、ネットワーク環境等)を、個別契約に定めるところにより提供するものとする。

第6条(指揮命令権の所在及び偽装請負の防止)

  1. 本件技術者に対する労務の指揮命令(作業の割付け、進捗管理、勤怠管理及び業務遂行方法に関する具体的指示を含む。以下同じ。)は、専ら乙が行うものとし、甲は本件技術者に対して直接の指揮命令を行わないものとする。
  2. 甲が本業務の遂行状況について本件技術者に確認又は依頼を行う必要がある場合は、乙が指定する管理責任者(以下「乙の管理責任者」という。)を通じて行うものとし、本件技術者個人に対して直接業務指示を行ってはならない。
  3. 乙は、本件技術者の労働時間管理、休憩・休日の付与、安全衛生管理その他労働関係法令上の使用者としての責任を負うものとする。
  4. 甲及び乙は、本契約に基づく業務提供が労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)上の労働者派遣に該当しないよう、指揮命令系統を本条の定めのとおり運用するものとし、実態が労働者派遣に該当するに至った場合には、速やかに契約形態の見直しについて協議するものとする。
  5. 甲及び乙は、本業務の実施にあたり、別紙「指揮命令系統チェックリスト」記載の各項目を遵守し、定期的に運用状況を確認するものとする。

第7条(清算幅・精算単価及び稼働時間の報告)

  1. 本業務の対価(以下「業務委託料」という。)は、本件技術者の月間稼働時間に応じて精算する方式(以下「清算幅方式」という。)によるものとし、個別契約において、基準稼働時間、清算幅(上限時間及び下限時間)並びに精算単価(清算幅内における1時間当たりの単価及び清算幅を超過又は不足した場合の単価)を定める。
  2. 乙は、本件技術者の月間稼働時間について、甲が指定する様式又は方法(作業報告書、勤怠管理システムへの入力等)により、翌月〇営業日以内に甲に報告するものとする。
  3. 月間稼働時間が清算幅の上限を超過した場合、甲は超過時間分について個別契約に定める超過単価により追加の業務委託料を乙に支払うものとする。
  4. 月間稼働時間が清算幅の下限を下回った場合、甲は不足時間分について個別契約に定める控除単価により業務委託料を減額することができる。
  5. 甲は、乙から提出された稼働時間の報告について疑義がある場合、乙に対し資料の提示その他必要な説明を求めることができ、乙はこれに誠実に応じるものとする。

第8条(業務委託料の支払)

  1. 甲は、乙に対し、前条の業務委託料を、個別契約に定める支払期日までに、乙が指定する銀行口座に振り込む方法により支払うものとする。振込手数料は甲の負担とする。
  2. 業務委託料には消費税及び地方消費税を含まないものとし、甲は法令に基づき算定される消費税等相当額を別途乙に支払うものとする。

第9条(善管注意義務)

乙は、本業務の遂行にあたり、善良な管理者の注意をもって本件技術者に業務を行わせるものとする。

第10条(業務遂行の不完全な履行に関する責任)

  1. 乙が前条の善管注意義務に違反し、これにより甲に損害が生じたことが認められる場合、乙は当該損害を賠償する責任を負うものと考えられる。
  2. 前項の請求は、甲が本業務の提供を受けた時から1年以内に行わなければ、時効によって消滅するものとする。
  3. 本条の規定は、乙の故意又は重過失による場合の責任を制限するものではない。

第11条(再委託の制限)

  1. 乙は、本業務の全部又は一部を第三者に再委託しようとする場合、事前に甲の書面による承諾を得なければならない。
  2. 乙は、再委託先に対し、本契約に基づき乙が負う義務と同等の義務を課すものとし、再委託先の行為について、自己の行為と同様の責任を負うものとする。
  3. 前2項の規定は、本件技術者の労務を第三者に再度委任又は請け負わせる、いわゆる多重下請構造を安易に許容する趣旨ではなく、乙は再委託の要否について慎重に判断することが望ましい。

第12条(秘密保持)

  1. 甲及び乙は、本契約及び個別契約の履行に関連して相手方から開示された技術上・営業上の情報であって、秘密である旨明示されたもの(以下「秘密情報」という。)を、相手方の事前の書面による承諾なく第三者に開示又は漏えいしてはならない。
  2. 乙は、本件技術者に対し、秘密保持に関する誓約書の取得その他必要な措置を講じ、秘密情報が本件技術者を通じて流出することのないよう管理するものとする。
  3. 本条の義務は、本契約が終了した後も〇年間存続するものとする。

第13条(個人情報の取扱い)

  1. 甲及び乙は、本業務の遂行にあたり相手方から個人情報の取扱いの委託を受けた場合、個人情報の保護に関する法律その他関係法令を遵守し、善良な管理者の注意をもって当該個人情報を取り扱うものとする。
  2. 乙は、本件技術者に対し、業務上知り得た個人情報を目的外に利用させず、かつ第三者に開示又は漏えいさせないよう、必要かつ適切な監督を行うものとする。
  3. 甲及び乙は、個人情報の漏えい、滅失又はき損等の事故が発生し、又はそのおそれを認識した場合、速やかに相手方に通知し、協議のうえ必要な措置を講じるものとする。

第14条(知的財産権)

  1. 本業務の遂行過程で本件技術者が作成した成果物に関する著作権(著作権法27条及び28条に定める権利を含む。)その他の知的財産権は、個別契約に別段の定めがない限り、甲に帰属するものとする。
  2. 乙は、甲に対し、成果物について著作者人格権を行使しないものとする。
  3. 前2項の規定にかかわらず、乙又は本件技術者が本契約締結前から保有していた著作物、汎用性のあるプログラム部品又はノウハウについては、乙又は本件技術者にその権利が留保されるものとする。

第15条(反社会的勢力の排除)

  1. 甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、自己(自己の役員を含む。)が、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団その他これらに準ずる者(以下「反社会的勢力」と総称する。)に該当しないこと、及び反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有しないことを表明し、保証する。
  2. 甲及び乙は、自ら又は第三者を利用して、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求行為、取引に関する脅迫的言動又は暴力の行使その他これらに準ずる行為を行わないことを表明し、保証する。
  3. 甲又は乙が前2項の表明保証に違反した場合、相手方は、何らの催告を要せず本契約及び個別契約の全部又は一部を解除することができる。この場合、解除した当事者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。

第16条(解除)

  1. 甲又は乙は、相手方が次の各号のいずれかに該当した場合、何らの催告を要せず本契約又は個別契約の全部又は一部を解除することができる。 (1)本契約又は個別契約の重要な条項に違反し、相当の期間を定めた催告後もその違反が是正されないとき (2)支払停止若しくは支払不能となり、又は破産手続、民事再生手続その他倒産手続の開始の申立てがあったとき (3)差押え、仮差押え、仮処分、強制執行又は競売の申立てを受けたとき (4)解散、事業の全部若しくは重要な一部の譲渡又は会社分割の決議をしたとき
  2. 前項による解除は、解除した当事者による相手方に対する損害賠償の請求を妨げないものと解される。

第17条(損害賠償)

  1. 甲又は乙が本契約若しくは個別契約に違反し、相手方に損害を与えた場合、当該違反当事者は、相手方に生じた通常損害を賠償する責任を負うものと考えられる。
  2. 前項の賠償額は、当該損害の発生原因となった個別契約に定める直近〇か月分の業務委託料相当額を上限とする。ただし、賠償義務を負う当事者の故意又は重過失による場合は、この限りでない。

第18条(存続条項)

第7条第5項、第10条、第12条から第14条まで、第15条第3項、第17条及び第19条から第22条までの規定は、本契約が終了した場合においても、なお効力を有する。

第19条(権利義務の譲渡禁止)

甲及び乙は、相手方の事前の書面による承諾を得ることなく、本契約上の地位並びに本契約に基づく権利及び義務を第三者に譲渡し、承継させ、又は担保に供してはならない。

第20条(分離可能性)

本契約の一部の条項が法令に基づき無効又は執行不能と判断された場合であっても、当該判断は本契約の他の条項の効力に影響を及ぼさないものと解される。

第21条(協議事項)

本契約に定めのない事項又は本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠意をもって協議のうえ解決するものとする。

第22条(合意管轄)

本契約に関する紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ、各自1通を保有する。

〇〇〇〇年〇〇月〇〇日

(甲)住所    商号又は名称    代表者名         印

(乙)住所    商号又は名称    代表者名         印


第2部: 立場別修正パターン

商品には「発注側(客先)有利」「SES事業者側有利」の2バージョンを収録する。第1部は中立〜標準版を基準としており、以下は他2バージョンを作成する際の差分(代替条文)である。

A. 発注側(客先)有利バージョンへの変更

A-1. 第7条(清算幅・精算単価)の清算幅を狭め、超過単価を抑制

修正後: 「清算幅は基準稼働時間の±10時間とし、超過分の単価は基準単価の100分の100(同額)とする。」

解説: 中立版では超過単価に割増を設ける例も多いが、発注側有利版では割増を排除し、コスト予見可能性を高める。SES事業者側からは、稼働時間の変動リスクを一方的に負わされるとして抵抗が予想される条項である。

A-2. 第10条(業務遂行の不完全な履行に関する責任)の請求期間を延長

修正後: 「前項の請求は、甲が本業務の提供を受けた時から2年以内に行わなければ、時効によって消滅するものとする。」

解説: 準委任契約には請負における契約不適合責任の規定(民法636条等)は直接適用されないが、善管注意義務違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効を契約上明確化しつつ、期間を延長することで発注側の追及可能期間を確保する趣旨である。

A-3. 第14条(知的財産権)の権利帰属を全面的に甲へ

追加条文例: 「乙又は本件技術者が本契約締結前から保有していた著作物等であっても、成果物に組み込まれ分離が困難なものについては、甲に対し無償かつ無期限の利用許諾がされたものとみなす。」

解説: 汎用ライブラリ等まで甲の利用範囲に取り込む条項であり、SES事業者側の既存資産の再利用を制約するおそれがあるため、範囲を明確に限定した上で合意することが望ましい。

A-4. 第17条(損害賠償)の上限撤廃

修正後: 「乙は、故意又は過失により甲に生じた損害について、業務委託料相当額の多寡にかかわらず、その全額を賠償する責任を負う。」

解説: 賠償上限を撤廃する条項であり、SES事業者側にとって重い負担となる。個別契約の金額規模との均衡を欠く場合、公序良俗違反等が問題となる余地もあるため、事業者間の交渉力格差にも留意すべきである。

A-5. 第16条(解除)に中途解約権を追加

追加条文例: 「甲は、乙に対し〇か月前に書面で予告することにより、理由の如何を問わず本契約又は個別契約を中途解約することができる。」

解説: 準委任契約は民法651条により各当事者がいつでも解除できるのが原則であるが、これを契約書上でも確認的に明記し、予告期間を設けることで実務上の急な打切りリスクを一定程度緩和する構成である。ただし、651条2項の損害賠償請求権を契約上排除する場合は、その旨を明記する必要があると考えられる。

B. SES事業者側有利バージョンへの変更

B-1. 第7条(清算幅・精算単価)の清算幅を拡大し、下限控除を緩和

修正後: 「清算幅は基準稼働時間の±20時間とし、下限を下回った場合の控除は、下限を下回った時間数から10時間を控除した時間分についてのみ行う。」

解説: 稼働時間の変動リスクをSES事業者側に一方的に負わせないための調整。技術者の急な欠勤・休暇取得等による稼働不足を一定程度吸収する設計である。

B-2. 第10条(業務遂行の不完全な履行に関する責任)に上限及び免責事由を追加

追加条文例: 「乙の責任は、当該損害の発生原因となった個別契約に定める直近1か月分の業務委託料相当額を上限とする。ただし、乙の故意又は重過失による場合はこの限りでない。」

解説: 準委任契約における善管注意義務違反の責任範囲を明確に限定する条項。SES事業者側にとって最重要の交渉ポイントの一つと考えられる。

B-3. 第16条(解除)に予告期間及び違約金相当の措置を追加

追加条文例: 「甲が本契約又は個別契約を期間満了前に中途解約する場合、甲は乙に対し2か月前に書面で予告するものとし、予告期間を置かない場合は、残存期間に相当する業務委託料の70%相当額を乙に支払うものとする。」

解説: 技術者の再アサインには一定の期間を要するため、中途解約による稼働待機リスクをSES事業者側から発注側に一部転嫁する条項である。

B-4. 第14条(知的財産権)の留保範囲を拡大

修正後: 「乙又は本件技術者が本契約締結前から保有していたもの、及び本業務遂行を通じて得た汎用的な知識・経験・ノウハウについては、乙又は本件技術者にその権利が留保されるものとし、乙は他の顧客への役務提供において自由にこれらを利用できるものとする。」

解説: 技術者個人のスキル・経験の汎用性を確保し、他案件への転用を妨げないようにする条項。人材を扱う事業モデル上、SES事業者側が特に重視する条項である。

B-5. 第8条(業務委託料の支払)に遅延損害金及び早期支払を追加

追加条文例: 「甲が支払期日までに業務委託料を支払わない場合、乙は、支払期日の翌日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金を甲に請求できるものとする。」

解説: 遅延損害金の利率は、2020年民法改正により導入された法定利率(年3%、3年ごとの変動制。民法404条)を参照した例。契約締結時点の法定利率を確認の上、数値を確定させる必要がある。


第3部: 逐条解説(購入者向け)

第1条・第2条(目的・業務内容) 本業務が準委任であることを明示し、請負(仕事の完成を目的とする契約)との違いを冒頭で確認する条項。業務仕様書の記載が抽象的すぎると、稼働実態と契約形式の齟齬が生じやすいため、業務内容はできる限り具体的に記載することが望ましい。

第3条(個別契約) 基本契約・個別契約の二層構造は、継続的なSES取引において一般的な設計である。個別契約で定める事項と基本契約の適用関係を明確にしておかないと、条件変更のたびに基本契約自体を修正する手間が生じるため、個別契約優先の原則を明記することが実務上便宜である。

第6条(指揮命令権の所在及び偽装請負の防止) 本契約の核心にあたる条項。労働者派遣法において、労働者派遣に該当するか業務委託(準委任・請負)に該当するかは、契約書の文言のみならず、実態としてどちらが指揮命令を行っているかによって判断されると解される(いわゆる「37号告示」に基づく判断基準が参考になる)。契約書上で指揮命令権を乙に留保する旨を定めていても、実際の運用(甲の担当者が本件技術者に直接指示を出す等)が伴わなければ、偽装請負と評価されるリスクが残る点に留意が必要である。

第7条(清算幅・精算単価及び稼働時間の報告) SES契約に特有の対価算定方式。清算幅の設定(狭い・広い)と精算単価(超過・控除の単価)の組み合わせにより、稼働時間の変動リスクをどちらの当事者がどの程度負担するかが決まる。稼働時間の報告方法・頻度についても、勤怠管理システムの導入状況に応じて実務に合わせた調整が必要と考えられる。

第9条・第10条(善管注意義務・業務遂行の不完全な履行に関する責任) 準委任契約には、請負契約における契約不適合責任(民法562条以下、2020年民法改正により「瑕疵担保責任」から名称・内容が改められた制度)は原則として適用されない。準委任における受任者の責任は、善管注意義務(民法644条)違反に基づく債務不履行責任として構成するのが一般的な整理と考えられる。本条の請求期間の定めは、時効に関する民法166条の原則的な期間制限(権利を行使できることを知った時から5年等)を踏まえつつ、契約上より短期の期間を設定する例を示したものであり、期間の長短は当事者の交渉力によって変動しうる。

第11条(再委託の制限) 多重下請構造は偽装請負や労働環境の悪化を招く要因として指摘されることがあり、再委託を認める場合であっても、再委託先における指揮命令系統の整理(本件技術者の実際の使用者が誰かの明確化)が別途必要になると考えられる。

第12条・第13条(秘密保持・個人情報の取扱い) 本件技術者を通じた情報漏えいリスクに備え、乙が本件技術者個人に対して負わせる誓約書等の管理措置を明記する点がSES契約特有の留意点である。常駐先のシステムやデータベースへのアクセス権限管理についても、個別契約や覚書で補足することが望ましい。

第14条(知的財産権) 成果物の権利帰属は甲に帰属させるのが実務上一般的だが、技術者が保有する汎用的なノウハウ・ライブラリまで権利移転の対象とすると、技術者の他案件への稼働やキャリア形成を過度に制約するおそれがある。権利帰属の範囲は、成果物の性質(顧客固有のシステムか、汎用的なツールか)に応じて調整することが望ましい。

第15条(反社会的勢力の排除) 現在の契約実務でほぼ必須の条項。本件技術者についても反社会的勢力に該当しないことの確認を乙の義務として個別契約や誓約書レベルで補完する例もある。

第16条・第17条(解除・損害賠償) 準委任契約は民法651条によりいつでも解除できるのが原則であるが、継続的な役務提供契約であるSES契約においては、突然の解約が技術者の稼働先喪失に直結するため、予告期間や違約金相当の合意により民法の原則を修正する例が多いと考えられる。損害賠償の範囲・上限設定は、第2部で示したとおり立場によって大きく交渉方針が異なる。

第18条(存続条項) 契約終了後も効力を残す条項を列挙する規定。列挙漏れがあると、終了後に当該条項が無効と解釈されるリスクがあるため、契約全体の見直し時には本条の列挙内容も必ず更新することが望ましい。

第19条〜第22条(譲渡禁止・分離可能性・協議・合意管轄) 分離可能性条項は、特定の条項(例えば損害賠償の上限条項)が無効と判断された場合でも契約全体が無効にならないようにするための一般的な条項であり、近年の契約書で採用例が増えている。


第4部: 監修者への確認依頼事項

  1. 第6条の指揮命令権に関する規定及び別紙「指揮命令系統チェックリスト」の内容が、労働者派遣法上の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(いわゆる37号告示)に照らして最新かつ十分な内容になっているか確認いただきたい。
  2. 第7条の清算幅方式(基準稼働時間、清算幅、精算単価の設計)について、実務上一般的な数値例(例: 基準160時間・清算幅±20時間等)をテンプレートの記載例として併記すべきか確認いただきたい。
  3. 第10条の善管注意義務違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効について、民法166条の一般原則との関係を踏まえた期間設定(本文では1年)が実務上妥当か確認いただきたい。
  4. 第14条の知的財産権の帰属について、技術者個人の汎用スキル・ノウハウと成果物固有の著作物との切り分け方の記載が、実務上の紛争予防の観点から十分か確認いただきたい。
  5. 第16条の解除条項について、民法651条(委任の解除)の任意解除権及び同条2項の損害賠償請求権との関係を契約上どこまで修正・排除できるか、法的な整理を確認いただきたい。
  6. 第17条の損害賠償の上限設定(業務委託料相当額を基準とする例)について、故意・重過失免責の記載を含め、消費者契約法は適用されない事業者間契約であることを前提としてもなお公序良俗上の問題が生じないか確認いただきたい。
  7. 別紙「指揮命令系統チェックリスト」を具体的にどのような項目立てで作成すべきか(勤怠管理の主体、業務指示のルート、成果物の検収者等)、監修者の見地から項目案を提示いただきたい。
  8. 個人情報保護法の直近改正(要配慮個人情報、越境移転規制等)を踏まえ、第13条の個人情報取扱条項に追加すべき特則があるか確認いただきたい。